「アーモンド効果がいつもより酸っぱい?」
2026年9月、江崎グリコは「アーモンド効果PROTEIN ナッツミックス」シリーズの一部商品について自主回収を発表しました。
自主回収の原因となったのは、一部商品で確認された「風味劣化」です。
江崎グリコによると、製造過程でバチルス・チューリンゲンシスという細菌が混入し、その菌が増殖したことで酸が生じ、風味が劣化したとされています。
では、なぜ細菌が増えると酸が生まれ、飲料の味まで変わってしまうのでしょうか。
今回は、微生物の「増殖」と「代謝」という視点から、アーモンド効果で起きた風味劣化の仕組みをわかりやすく解説します。
アーモンド効果で起きた風味劣化とは?
今回、自主回収の対象となったのは「アーモンド効果PROTEIN ナッツミックス250g」と「アーモンド効果 PROTEIN ナッツミックス砂糖不使用250g」の一部商品です。
江崎グリコは、風味劣化の原因について、製造過程で細菌が混入し、その増殖によって酸が生じたことによるものと説明しています。
流れを整理すると、次のようになります。
| 段階 | 起きたこと |
|---|---|
| 1 | 製造過程でバチルス・チューリンゲンシスが混入 |
| 2 | 商品中で菌が増殖 |
| 3 | 菌の増殖によって酸が生じる |
| 4 | 本来とは異なる風味になる |
| 5 | 品質基準を満たさない商品として自主回収 |
ポイントは、「菌が入った瞬間に酸っぱくなった」というわけではないことです。
混入した細菌が食品中で活動し、増殖する過程で生じた物質が、商品の風味に影響しました。
そもそも細菌も食品中の成分を利用している
細菌は、ただ食品の中に存在しているだけではありません。
増殖できる環境が整っている場合には、周囲にある成分を利用しながら生命活動を行います。
人が食事から栄養を取り込み、体内でさまざまな物質へ変化させるように、微生物も利用できる成分を取り込み、さまざまな物質を作り出します。
こうした生命活動に伴う化学反応を「代謝」と呼びます。
微生物の種類や食品の成分、環境条件などによって、代謝によって生じる物質は異なります。
細菌が増殖すると酸が生じることがある
微生物が食品中の成分を利用すると、その代謝の結果として酸などの物質が生じることがあります。
酸が増えれば、食品の味や香りに影響する可能性があります。
もともと想定されていなかった酸味が加われば、「いつもの味と違う」「酸っぱい」「風味がおかしい」と感じることにつながります。
今回のアーモンド効果についても、江崎グリコはバチルス・チューリンゲンシスが増殖し、酸が生じたことによって風味劣化が発生したとしています。
今回「何の酸」ができたの?
ここは気になるところですが、2026年9月18日時点で江崎グリコが公表している情報では、具体的にどの種類の酸が生じたのかまでは明らかにされていません。
また、正常な商品と比較してpHがどの程度変化したのか、製造直後から回収までに菌数がどのように推移したのかといった詳細な検査データも公表されていません。
そのため、「この酸が作られたから酸っぱくなった」と具体的な物質名まで断定することはできません。
現段階で確認できるのは、菌の増殖によって「酸」が生じ、それが風味劣化につながったというところまでです。
酸が増えるとpHはどうなる?
食品中で酸性の物質が増えると、一般的にはpHが低下する方向へ変化することがあります。
pHは、食品や飲料の酸性・アルカリ性の程度を示す指標のひとつです。
ただし、食品中ではさまざまな成分が影響し合うため、「酸が一定量増えればpHが必ずこれだけ下がる」と単純に決めることはできません。
今回のアーモンド効果についても具体的なpHの変化は公表されていないため、数値を推測することはできません。
菌が少し入っただけでもすぐ味が変わる?
必ずしもそうではありません。
微生物が食品へ混入しても、すぐに人が分かるほどの風味変化が現れるとは限りません。
食品中で菌が増殖できるかどうかには、温度、水分、pH、利用できる栄養成分、酸素など、さまざまな条件が関係します。
さらに、最初にどの程度の菌が存在していたのかによっても、その後の変化は異なります。
菌が増殖し、代謝によって生じる物質が一定量蓄積して初めて、味や香りなどの変化として認識される場合もあります。
製造から時間が経って風味が変わることもある
今回の対象商品は2026年7月27日に製造され、自主回収が発表されたのは9月14日でした。
微生物による品質劣化では、製造直後には大きな変化が見えなくても、時間の経過に伴って菌が増殖し、風味などの異常として現れることがあります。
これが、食品の微生物管理で「作った瞬間だけ確認すればいい」というわけではない理由のひとつです。
ただし、今回の商品で具体的にいつから風味劣化が始まったのか、どの時点で菌がどの程度増殖したのかは公表されていません。
「酸っぱい」=腐っているとは限らない
食品が本来とは違う酸味を持つと、「腐っているのでは?」と考えるかもしれません。
しかし、「酸が生じた」という事実だけで、一般的な意味での腐敗と断定することはできません。
食品の品質変化にはさまざまな微生物や化学反応が関係しており、その現象も異なります。
今回、江崎グリコが公式に使っている表現は「風味劣化」です。
そのため、「アーモンド効果が腐った」と言い換えるのではなく、細菌の増殖によって酸が生じ、品質基準を満たさない風味変化が起きたと理解するのが適切です。
「酸っぱいか飲んで確認」はしない
自主回収のニュースを見て、冷蔵庫やストックにある商品を「飲んで確認してみよう」と考えるのはおすすめできません。
回収対象かどうかは、味覚で判断する必要はありません。
今回の対象商品には、賞味期限とロット記号という明確な確認方法があります。
| 確認項目 | 回収対象 |
|---|---|
| 商品 | アーモンド効果PROTEIN ナッツミックス250g/砂糖不使用250g |
| 製造日 | 2026年7月27日 |
| 賞味期限 | 2027年4月22日 |
| ロット記号 | 「PKP」を含むもの |
対象商品だった場合には、味を確かめるために開封・試飲するのではなく、江崎グリコの回収案内に従いましょう。
健康への影響は?
「菌が増えて酸まで作った」と聞くと、健康への影響も気になるでしょう。
江崎グリコは今回の対象商品について、摂取することによる健康への影響はないと判断しています。
今回の自主回収は、食中毒患者が発生したことによるものではなく、風味劣化によってメーカーの品質基準を満たさない商品が流通していたことによるものです。
ただし、実際に商品を飲んだあとに体調の異変がある場合には、自主回収との関係を自分だけで判断せず、症状に応じて医療機関などへ相談してください。
実は2025年のアーモンド効果でも「酸」が関係していた
アーモンド効果では、2025年にも別の商品で風味劣化による自主回収が行われています。
2025年の事例では、「アーモンド効果 3種のナッツ200ml」の一部商品にセルロモナス属細菌が混入し、増殖によって酸や成分の凝集が生じました。
今回の2026年の事例ではバチルス・チューリンゲンシスが確認されており、対象商品や製造工場も異なります。
そのため、2つの自主回収を同じ原因によるものとして扱うことはできません。
一方で、異なる微生物であっても、食品中で増殖して代謝物を作ることで、味や見た目などの商品品質へ影響する場合があることが分かります。
食品メーカーが微生物を管理する理由
食品メーカーの微生物管理というと、食中毒菌を検出しないための検査をイメージするかもしれません。
しかし、実際には健康被害だけが微生物管理の対象ではありません。
微生物によって味や香りが変化したり、濁り、沈殿、凝集、ガスの発生などが起きたりすれば、商品としての品質を保てなくなる可能性があります。
つまり、微生物管理には「安全な食品を作る」という役割とともに、「設計された品質を賞味期限まで維持する」という役割もあります。
今回のアーモンド効果は、その「品質を守るための微生物管理」がなぜ重要なのかを考えることのできる事例でもあります。
まとめ
2026年9月に自主回収が発表されたアーモンド効果PROTEINの一部商品では、製造過程でバチルス・チューリンゲンシスが混入し、その菌が増殖したことで酸が生じ、風味劣化につながりました。
細菌は食品中の成分を利用して活動し、その代謝によって酸などの物質を生じることがあります。
その物質が蓄積すると、本来とは異なる味や香りなど、品質の変化として現れることがあります。
ただし、今回どの種類の酸が生じたのか、pHがどの程度変化したのか、菌数がどのように推移したのかといった詳細は公表されていません。
また、江崎グリコは今回の対象商品を摂取することによる健康への影響はないと判断しています。
手元の商品が回収対象か気になる場合は、実際に飲んで酸味を確認するのではなく、商品名、賞味期限、ロット記号を確認しましょう。

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