県立広島中学校の給食で、異物混入が相次いでいます。
2026年9月16日には、かに玉スープから直径約3mmの緑色の物質。
翌17日には、パエリアからビニール片、プラスチック片、髪の毛2本が見つかりました。
しかも、公表基準に達しないものを含めると、9月だけで8件。
2026年度に入ってからは、すでに17件の異物混入が確認されていると報じられています。
ここまで件数が重なると気になるのが、
「なぜ同じ学校の給食で異物混入が続いているのか?」
という点です。
実は県立広島中学校では以前から異物混入が問題となり、県教育委員会や保健所による調理施設の実地調査や改善指導も行われてきました。
それでも2026年度に再び異物混入が相次いでいます。
今回は、これまでに分かっている事実と過去に行われた対策を整理しながら、「なぜ続くのか」を考えます。
2026年9月だけで8件、今年度は17件
広島県教育委員会は9月18日、県立学校の給食における異物混入について発表しました。
県立広島中学校では9月16日、かに玉スープの食缶から直径約3mmの緑色の物質が見つかりました。
そして翌17日には、パエリアから、
- 直径約1cmのビニール片
- 約1.5cmのプラスチック片
- 約5cmの髪の毛2本
が確認されています。
2日連続での異物混入です。
さらにRCCの報道によると、公表基準に達しないものまで含めると9月だけで8件、今年度はすでに17件の異物混入が確認されています。
7月にも4回、異物が見つかっていた
異物混入が集中しているのは9月だけではありません。
県立広島中学校では2026年7月にも、4回にわたって給食から異物が見つかっています。
7月には、ブロッコリーから髪の毛が見つかるなど、複数の異物混入が報じられました。
つまり今回の9月16日・17日の事案だけを切り取って、「たまたま2日続いただけ」と考えることは難しい状況です。
なぜ異物混入が続く?現時点で原因は断定できない
では、なぜ異物混入が繰り返されているのでしょうか。
ここで最も重要なのは、現時点で「原因はこれだ」と断定しないことです。
9月に確認された異物だけでも、緑色の物質、ビニール片、プラスチック片、髪の毛と種類が異なります。
異物の種類が違えば、考えられる混入経路も異なります。
また、給食は調理して終わりではありません。
食材の納入から下処理、調理、盛り付け、容器への収納、配送、学校での受け取り、配膳、喫食まで複数の工程を通ります。
どの工程で混入したのかを確認しないまま、すべてを一つの原因で説明することはできません。
毛髪なら「人」が扱う工程を確認
給食で比較的イメージしやすい異物が毛髪です。
大量調理では、調理従事者の帽子や身だしなみだけではなく、盛り付けや配送後の配膳など、人が食品を扱うさまざまな工程があります。
そのため毛髪が見つかった場合、「調理員の髪の毛だ」と見た目だけで決めることはできません。
どの段階で食品が開放された状態になっていたのか、誰が扱ったのか、作業時の身だしなみや環境がどうだったのかを確認する必要があります。
ビニール片なら包装資材なども確認対象
一方、ビニール片の場合には別の視点が必要です。
大量調理では、さまざまな食材が袋やフィルムなどの包装資材に入った状態で納品されます。
開封時に包装の一部が切れて食品へ入り込む可能性がないか。
包装を切る作業方法に問題がないか。
使用している手袋や袋などが破損していないか。
こうした点も、原因調査の対象になります。
ただし、今回のビニール片が実際に包装資材由来だったと公表されているわけではありません。
あくまで一般的に確認すべき混入経路の一つです。
プラスチック片なら器具や設備の破損も確認
プラスチック片が見つかった場合には、調理器具や容器、設備などに破損がないかを確認することも重要です。
大量調理では多くの器具が繰り返し使用されます。
劣化した部品や破損した器具があれば、その一部が食品へ混入する可能性があります。
実際、広島県教育委員会は過去の県立広島中学校の異物混入を受け、事業者に対して劣化した物品の交換などを指導していました。
実は2025年にも県教委と保健所が実地調査
今回の問題を考えるうえで重要なのが、過去の対応です。
広島県教育委員会の資料によると、2025年6月11日には、
- 保健所職員
- 学校職員
- 県教育委員会の担当職員
が給食事業者の調理施設を訪問。
調理・盛り付け作業を実際に確認し、衛生面の確認と指導を行っています。
さらに6月18日には炊飯・盛り付け作業についても実地調査が行われました。
単に事業者から報告書を受け取っただけではなく、実際の作業現場まで確認していたことになります。
7月にはさらに3回、現地確認
対応はそこで終わっていません。
県教育委員会の2025年9月の資料によると、7月9日、15日、22日にも事業者の調理施設を訪問。
それまでの指導事項に対する対応状況を現地で確認しています。
確認事項には、
- 異物混入防止のための施設・設備の補修
- 破損しやすい物品などの使用を避けること
- 異物混入防止策について従業員へ指導すること
などが含まれていました。
8月にも学校職員と県教育委員会担当者が事業所を訪問し、継続した衛生管理の徹底について確認しています。
学校側の配膳環境も見直されていた
異物混入対策は調理事業者だけを対象にしたものではありません。
学校側でも、
- 給食当番のエプロン・三角巾・マスクなどの身だしなみ
- 机上を整理する
- ランチョンマットを敷く
- 教職員が配膳や給食の様子を見守る
- 配膳・喫食時に扉や窓を閉める
といった対応が改めて周知されました。
食缶やランチボックスといった給食用品についても、更新の手続きが進められていました。
それでも2026年度に17件
ここが今回の問題で特に重要なところです。
県立広島中学校では、過去の異物混入を受けて、
- 保健所を交えた調理施設の実地調査
- 調理・盛り付け作業の確認
- 施設や設備の補修
- 破損しやすい物品への対策
- 従業員への再指導
- 学校側の配膳環境の改善
などが進められてきました。
それにもかかわらず、2026年度は9月時点ですでに17件の異物混入が確認されています。
「対策をしていなかったから続いた」という単純な話ではないことが分かります。
対策したのに続く場合、何を見る?
異物混入対策で大切なのは、対策を「実施した」という事実だけではありません。
その対策によって、実際に異物混入が減ったのかを確認する必要があります。
たとえば、
- 決めたルールが毎日守られているか
- 設備や器具の点検が継続されているか
- 異物が見つかった際に混入経路を特定できているか
- 同じ種類の異物が繰り返されていないか
- 改善策を実施した後に効果を検証しているか
といった視点が必要になります。
対策は、一度決めて終わりではありません。
「17件」を一括りにしないことも重要
一方で、今年度17件という数字だけを見て、すべてを同じ原因による事故と考えるのも適切ではありません。
異物混入には、調理施設で入り込むものもあれば、配送後や学校での配膳・喫食中に入り込むものもあります。
広島県の「県立学校給食異物混入対応マニュアル」でも、異物の種類や混入したと考えられる段階によって対応を分けています。
原因を究明するには、17件を単純な一つの数字として扱うのではなく、異物の種類、発見場所、発見時点、調理工程などを一件ずつ分析する必要があります。
県は異物混入対応マニュアルも策定
広島県教育委員会は、相次ぐ異物混入を受けて「県立学校給食異物混入対応マニュアル」を策定しています。
マニュアルでは、異物が見つかった際の対応だけでなく、事後の原因究明や再発防止についても定めています。
納入物資や調理作業に原因があると考えられる場合には、学校から給食事業者などへ、調理機器・器具の点検記録の確認や、原因究明・再発防止策の提出を求めることとされています。
施設や設備、器具などに原因がある場合には、速やかな修繕・交換などを行うことも盛り込まれています。
「原因が分からないまま次へ」が一番怖い
異物混入は、ゼロにすることが簡単な問題ではありません。
大量調理では多くの食材、人、器具、設備、包装資材が関わります。
だからこそ異物が見つかった際には、「取り除いたから終わり」にせず、混入経路をできる限り追跡することが重要です。
原因が分からなければ、適切な再発防止策を選ぶことも難しくなります。
逆に原因や工程が絞り込めれば、器具の交換、作業方法の変更、包装の開封方法の見直し、身だしなみの改善など、対策を具体化できます。
今後の焦点は「今回の異物がどこから入ったか」
広島県教育委員会は、今回の異物混入について原因を調べるとともに、異物混入防止の徹底を指導しています。
今後注目したいのは、単に「再発防止を徹底する」という言葉だけではありません。
9月16日の緑色の物質。
17日のビニール片、プラスチック片、髪の毛。
それぞれがどこから入り込んだのか。
過去に実施した対策と今回の事案にどのような関係があるのか。
そして、これまでの対策に不足していた部分があったのか。
具体的な原因分析と、その後の改善内容が重要になります。
まとめ|対策後も続く異物混入、原因の「個別分析」が重要
県立広島中学校では、2026年9月だけで8件、今年度はすでに17件の異物混入が確認されていると報じられています。
9月16日・17日には2日連続で異物が見つかり、ビニール片、プラスチック片、髪の毛など複数種類の異物が確認されました。
一方、県教育委員会や保健所は過去にも調理施設を実地調査し、施設・設備の補修や破損しやすい物品への対策、従業員への指導などを進めています。
つまり今回の問題は、「何も対策していなかったから17件起きた」と単純化できるものではありません。
異物ごとに混入経路を特定し、これまで行ってきた対策が実際に機能していたのかを検証することが、再発防止につながります。
今回確認された異物について、今後どこまで具体的な原因が明らかになるのかが注目されます。

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