ラーメン1杯を完食して、そのまま走り出す。
「国道ラーメンマラソン」をきっかけに、「普通にラーメンを食べるだけならできるけれど、そのあと走るのはかなり大変そう」と感じた人もいるのではないでしょうか。
ラーメンマラソンから考えると、その大変さには単純なカロリーだけでは説明できないポイントがあります。
注目したいのが、食事全体の量・脂質・水分です。
今回は栄養士目線から、ラーメン1杯を食べた直後に走るとなぜつらくなりやすいのか、この3つを中心に考えてみます。
ラーメン1杯は「麺だけ」ではない
ラーメンというと、まず麺を思い浮かべるかもしれません。
しかし実際には、麺だけでなく、
- スープ
- チャーシュー
- 卵
- メンマ
- 野菜
- のりやネギなどのトッピング
- スープや具材に含まれる油脂
など、さまざまなものが組み合わされています。
もちろん店やメニューによって内容は異なりますが、ラーメン1杯は一食として成立するボリュームのある料理です。
運動中に使われる少量の補給食とは、胃に入る量が大きく異なります。
ポイント1:食事の「量」が多い
まず考えたいのが、胃に入る食事全体の量です。
食事をすると、胃では食べ物を一時的にためながら、消化して少しずつ腸へ送り出していきます。
たくさん食べれば、それだけ胃の中に多くの食べ物が入った状態になります。
そこですぐにランニングを始めると、体の上下動も加わります。
人によっては、
- 胃が重い
- お腹が張る
- 食べ物が上がってくるように感じる
- 腹部に不快感がある
- 吐き気がする
といった症状につながる可能性があります。
運動前の食事では、栄養バランスだけでなく「胃にどのくらい入っているか」も重要なのです。
満腹になるほど食べると走りにくい理由
「エネルギーを使うなら、たくさん食べておいたほうがいいのでは?」と思うかもしれません。
しかし、食べたものは瞬間的にすべて利用できるわけではありません。
食べ物は消化され、栄養素が吸収されていきます。
つまり、満腹になるまで食べた直後は、エネルギーをたっぷり補充したというよりも、まだ消化途中の食べ物が胃に多く存在している状態ともいえます。
その状態で激しく動くと、胃腸の不快感を覚える場合があります。
ポイント2:脂質が多くなるラーメンもある
次に注目したいのが脂質です。
ラーメンの脂質量は種類によって大きく異なります。
あっさりしたものもあれば、背脂や油を多く使用したこってり系のラーメンもあります。
さらに、チャーシューなどの具材から脂質をとることもあります。
脂質は重要なエネルギー源であり、悪者というわけではありません。
ただし、脂質を多く含む食事は胃から腸へ移動するまでに時間がかかりやすい傾向があります。
そのため、運動直前に脂っこい食事をたくさんとると、胃の重さや不快感につながることがあります。
「炭水化物が多い=運動前に最適」とは限らない
ラーメンの麺には炭水化物が多く含まれています。
炭水化物は体を動かすための重要なエネルギー源です。
そのため、「ラーメンは炭水化物が多いから運動前に良いのでは?」と考えることもできます。
しかし、運動前の食事はひとつの栄養素だけで判断するものではありません。
同じラーメンでも、
- 食べる量
- 脂質の量
- トッピング
- スープをどのくらい飲むか
- 食後から運動までの時間
などによって条件は変わります。
炭水化物を含んでいることと、食べてすぐ激しく走るのに適していることは別の話として考えましょう。
ポイント3:スープによる「水分量」も多い
ラーメンならではの特徴がスープです。
麺や具材だけでなくスープも飲めば、胃の中に入る全体量はさらに増えます。
運動中の水分補給は大切ですが、運動直前に食事と一緒に大量の水分をとることと、運動中に必要な水分を適切に補うことは同じではありません。
胃に食べ物と水分が多く入った状態で走れば、お腹が揺れるような感覚や張りを感じる人もいます。
「水分だから胃への負担はない」と単純に考えることはできません。
ラーメンのスープは水分補給代わりになる?
スープには水分だけでなく、塩分や脂質なども含まれています。
一方、運動時の水分補給では、気温や湿度、運動時間、発汗量などに合わせて水分を補います。
大量に汗をかく場合には、失われた塩分などの電解質についても考える必要があります。
そのため、ラーメンのスープを飲んだからといって、その後の水分補給が不要になるわけではありません。
食事としてのスープと、運動時の水分補給は分けて考えることが大切です。
量・脂質・水分が同時に重なるのがポイント
ラーメンを食べて走る大変さは、「脂っこいから」「量が多いから」というひとつの理由だけではありません。
食べ物の量が多い、脂質を多く含む場合がある、スープによる水分も加わる。
こうした条件が同時に重なることがポイントです。
さらに食べた直後に激しいランニングをすれば、運動による体の上下動や消化管への血流の変化なども加わります。
その結果、人によっては胃の重さや腹痛、吐き気などを感じる可能性があります。
暑い日の運動では「食べた量」以外にも注意
暑い環境で走る場合には、胃腸への負担だけを考えていればよいわけではありません。
汗をかけば体内の水分や電解質が失われます。
脱水や熱中症でも吐き気、頭痛、めまい、強いだるさなどが起こることがあります。
運動中に体調がおかしいと感じた場合は、食べ過ぎだけが原因だと決めつけず、無理に走り続けないことが重要です。
特に意識がもうろうとしている、自力で水分がとれない、受け答えがおかしいといった場合には、速やかな救急要請を検討しましょう。
ラーメンマラソンから考える運動前の食事
ラーメンマラソンから考えると、運動前の食事では「栄養があるか」だけではなく、体が運動しやすい状態かどうかも大切だとわかります。
ポイントになるのは、
- 何を食べるか
- どのくらい食べるか
- 脂質が多すぎないか
- 水分をどう補うか
- 食べてからどのくらい時間を空けるか
といった部分です。
運動の種類や強度によっても適した食事は変わります。
軽い散歩をする場合と、本格的なランニングをする場合を同じように考える必要はありません。
まとめ
ラーメン1杯を食べてすぐ走るのが大変な理由を考えるときは、量・脂質・水分の3つが大きなポイントになります。
ラーメンは一食としてまとまった量があり、種類によっては脂質も多く、スープを飲めば胃に入る水分量も増えます。
その状態ですぐ激しい運動をすると、人によっては胃の重さや腹部の不快感、吐き気などにつながる可能性があります。
運動と食事を組み合わせるときは、栄養素だけを見るのではなく、食事量やタイミングまで含めて考えることが大切です。
次の記事では視点を少し広げて、ラーメンマラソンから見えてくる「食事と運動」の意外な関係について詳しく考えていきます。

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