アーモンド効果から検出されたバチルス・チューリンゲンシスとは?どんな菌か解説

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2026年9月、江崎グリコ「アーモンド効果PROTEIN ナッツミックス」シリーズの一部商品が自主回収されました。

その原因として公表されたのが、「バチルス・チューリンゲンシス」という細菌です。

聞き慣れない名前だけに、「危険な菌なの?」「食中毒菌なの?」「飲んでしまったら大丈夫?」と不安になった人もいるかもしれません。

江崎グリコは今回の対象商品について、摂取による健康への影響はないと判断しています。

一方、バチルス・チューリンゲンシスという菌そのものを詳しく見ていくと、食品衛生上よく知られるセレウス菌と近い関係にある細菌でもあります。

今回は、バチルス・チューリンゲンシスとはどんな菌なのか、どこに存在するのか、今回のアーモンド効果では何が問題になったのかを整理します。

バチルス・チューリンゲンシスとは?

バチルス・チューリンゲンシスは、学名を「Bacillus thuringiensis」といいます。

英語名の頭文字を取って「Bt」と呼ばれることもあります。

江崎グリコは今回の自主回収に関する発表で、バチルス・チューリンゲンシスについて、土壌や農産物などからも検出され、広く分布している菌と説明しています。

つまり、特殊な場所にしか存在しない細菌ではなく、自然環境と関係の深い細菌です。

バチルス・チューリンゲンシスは「セレウス菌群」の仲間

バチルス・チューリンゲンシスを理解するうえで重要なのが、セレウス菌との関係です。

バチルス・チューリンゲンシスは、「Bacillus cereus group」と呼ばれる近縁な細菌群に含まれています。

このグループには、食品衛生でよく知られているBacillus cereus、いわゆるセレウス菌も含まれています。

非常に近い性質を持つ細菌が集まったグループで、欧州食品安全機関(EFSA)もバチルス・チューリンゲンシスをBacillus cereus groupの一種として扱っています。

ただし、「セレウス菌群に属する=今回の商品が食中毒を起こす」という意味ではありません。

菌の安全性を考える場合には、菌種名だけでなく菌株の性質や量、食品中での状態などを含めて考える必要があります。

自然界ではどこにいる?

バチルス・チューリンゲンシスは、土壌をはじめ自然界に広く存在します。

農産物などから検出されることもあります。

食品の原材料には農産物が多く使われるため、食品工場ではこうした環境由来の微生物も含め、さまざまな微生物を管理する必要があります。

食品製造における微生物管理では、「食中毒を起こす菌だけを排除すればいい」というわけではありません。

味や香り、色、食感などの商品品質を変化させる微生物についても管理が必要です。

バチルス属菌には「芽胞」を作るものがいる

バチルス属の細菌を考えるうえで特徴的なのが、「芽胞」です。

芽胞とは、細菌が増殖に適さない環境になったときなどに形成する、耐久性の高い構造です。

通常の増殖状態の細菌と比べて、熱や乾燥などに強い性質を持ちます。

そのため、芽胞を形成する細菌は食品製造の微生物管理でも重要な存在です。

ただし、今回のアーモンド効果について「芽胞が加熱工程を生き残ったことが原因だった」と公表されているわけではありません。

江崎グリコが発表しているのは、製造過程でバチルス・チューリンゲンシスが混入し、その後増殖したというところまでです。

今回のアーモンド効果では何が起きた?

江崎グリコの発表によると、今回の品質問題は次のような流れで発生しました。

段階公表されている内容
製造工程バチルス・チューリンゲンシスが混入
製品中菌が増殖
増殖後酸が生じる
品質への影響風味が劣化
メーカー対応対象商品を自主回収

今回問題となったのは、菌の増殖によって商品の風味が本来の状態から変化し、江崎グリコの品質基準を満たさない商品が流通したことです。

バチルス・チューリンゲンシスは危険な菌?

ここは今回の自主回収で、特に慎重に整理したいポイントです。

江崎グリコはバチルス・チューリンゲンシスについて、土壌や農産物などから検出される菌で、安全性は国内外の公的機関によって科学的に確認されていると説明しています。

そして今回の対象商品については、「摂取することによる健康への影響はない」と判断しています。

一方、バチルス・チューリンゲンシスはセレウス菌群に含まれる細菌です。

海外ではBacillus cereus groupについて食品媒介疾患との関係も研究されており、バチルス・チューリンゲンシスについても菌株によって性質が異なることが知られています。

したがって、「バチルス・チューリンゲンシスという菌はどんな場合でも絶対に無害」と一般化するのではなく、今回の商品についてメーカーが健康への影響はないと判断している、と理解するのが適切です。

農業では「Bt菌」として利用されることも

バチルス・チューリンゲンシスは、農業分野でも知られている細菌です。

特定の昆虫に作用するタンパク質を作る性質を持つ菌株があり、生物農薬として利用されてきました。

「Bt」という言葉を農業や害虫防除について調べたときに見たことがある人もいるかもしれません。

ただし、農業で利用される菌の話と、今回の飲料で発生した品質問題は分けて考える必要があります。

今回のアーモンド効果では、製造過程で菌が混入して商品中で増殖し、風味を劣化させたことが問題となっています。

なぜ食品工場では「健康被害を起こさない菌」も管理するの?

食品工場における微生物管理の目的は、食中毒を防ぐことだけではありません。

たとえば微生物が食品中で増殖すると、酸やガスなどの代謝物が生じる場合があります。

その結果、食品の味や香りが変わったり、濁りや沈殿、膨張などの商品異常につながったりすることがあります。

健康への影響が問題にならない場合でも、本来の商品と異なる状態になれば品質上の問題になります。

今回のアーモンド効果は、まさに微生物による「品質劣化」が自主回収につながった事例です。

見た目だけでは微生物の存在は分からない

微生物が食品に混入しても、最初から目で確認できるとは限りません。

細菌は非常に小さいため、食品を見ただけで混入を確認することはできません。

また、混入直後から味や香りが変化するとも限りません。

食品中で菌が増殖し、代謝物が一定量生じることで、時間が経過してから品質変化として現れる場合があります。

今回の商品についても、製造直後からどの程度菌が存在し、どのような速度で増殖したのかなどの詳細は公表されていません。

「酸っぱい」と感じたら菌がいると判断できる?

今回の発表では、菌の増殖によって酸が生じ、風味劣化につながったとされています。

しかし、飲料が酸っぱく感じたからといって、バチルス・チューリンゲンシスが存在すると判断することはできません。

食品の味は原材料や製造条件、保存状態などさまざまな要因によって変化します。

微生物の種類を特定するためには、適切な検査が必要です。

今回の対象商品については、消費者が味を確かめて判断するのではなく、商品名、賞味期限、ロット記号を確認して回収対象かどうかを判断しましょう。

対象はアーモンド効果シリーズ全部ではない

今回自主回収されているのは、「アーモンド効果PROTEIN ナッツミックス250g」と「アーモンド効果 PROTEIN ナッツミックス砂糖不使用250g」の一部です。

対象となるのは、2026年7月27日に製造委託先工場で製造された商品で、賞味期限が「2027年4月22日」、ロット記号に「PKP」が含まれるものです。

江崎グリコは、該当日以外に生産した対象商品については品質上の問題がないことを確認していると発表しています。

今回の自主回収から分かる「菌名だけで判断しない」重要性

食品の自主回収で「細菌混入」という言葉を見ると、すぐに食中毒を連想してしまうかもしれません。

しかし、食品と微生物の関係はそれほど単純ではありません。

微生物にはさまざまな種類があり、同じグループに属する菌でも菌株によって性質が異なる場合があります。

また、食品中の菌数や食品そのものの性質などによってもリスクは変わります。

ニュースを見るときには、「菌が検出された」という部分だけではなく、どの菌なのか、何が問題になったのか、健康影響についてどのような評価が行われているのかまで確認することが大切です。

まとめ

アーモンド効果の一部商品の自主回収で公表されたバチルス・チューリンゲンシスは、土壌や農産物などからも検出され、自然界に広く存在する細菌です。

セレウス菌と同じBacillus cereus groupに含まれ、農業分野では「Bt菌」として利用される菌株もあります。

今回のアーモンド効果では、製造過程でこの菌が混入し、商品中で増殖して酸が生じたことで風味劣化につながりました。

江崎グリコは、今回の対象商品を摂取することによる健康への影響はないと判断しています。

一方で、菌そのものについて「どんな状況でも絶対に無害」と一般化するのではなく、菌株や食品中での状態などによって評価することが重要です。

今回の自主回収は、食中毒だけでなく、食品の味や香りを守るという意味でも微生物管理が重要であることが分かる事例といえるでしょう。

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