サルモネラというと、「汚染された食品を食べて感染する食中毒」というイメージが強いかもしれません。
では、サルモネラに感染した人から、家族など別の人へうつることはあるのでしょうか。
結論からいうと、サルモネラ属菌は人から人へ感染する可能性があります。
ただし、風邪のように咳やくしゃみをしただけで簡単に広がるという話ではありません。
感染者の便などに含まれる菌が手指などを介して口に入る、いわゆる糞口感染に注意する必要があります。
この記事では、サルモネラが人から人へ感染する仕組みと、家庭内で二次感染を防ぐためのポイントを解説します。
サルモネラは人から人にうつることがある
サルモネラ属菌に感染すると、菌が便中に排出されることがあります。
そのため、感染者がトイレを使用した後に十分な手洗いを行わず、その手で食品や身の回りのものに触れると、菌が周囲へ広がる可能性があります。
さらに別の人が菌の付着した場所に触れ、その手を口元へ持っていくなどすると、感染につながる可能性があります。
食品を介した感染だけでなく、感染者から別の人へ菌が広がる二次感染についても知っておくことが大切です。
咳やくしゃみでうつる?
サルモネラは、一般的な風邪やインフルエンザのように、咳やくしゃみによる飛沫感染を主な感染経路とするものではありません。
注意したいのは、便などに含まれる菌が手指や物を介して口に入ることです。
そのため家庭内で感染者が出た場合には、マスクだけで対策するのではなく、トイレ後の手洗いや身の回りの衛生管理が重要になります。
なぜトイレ後の手洗いが重要?
サルモネラ感染者の便には、菌が含まれている可能性があります。
トイレ後の手洗いが不十分な場合、手指を介して、
- ドアノブ
- 水道の蛇口
- トイレのレバーやボタン
- タオル
- 冷蔵庫の取っ手
- 食器
- 食品
などへ菌が移る可能性があります。
サルモネラの二次感染を防ぐうえで、トイレ後に石けんを使って丁寧に手を洗うことは非常に重要です。
症状が治ったら菌はいなくなる?
ここも注意したいポイントです。
下痢や腹痛などの症状が改善しても、すぐに体内からサルモネラ属菌が完全にいなくなるとは限りません。
症状がなくなった後もしばらく便中に菌が排出される場合があります。
そのため、
「下痢が治ったから、もう手洗いを気にしなくていい」
とは考えないようにしましょう。
症状の有無にかかわらず、トイレ後や調理前の手洗いを習慣にすることが大切です。
症状がない人が菌を持っていることもある
食中毒菌を保有していても、本人に目立った症状がみられないことがあります。
このような状態は健康保菌などと呼ばれます。
本人が元気だからといって、必ずしも菌を保有していないとは限りません。
食品を扱う仕事で健康管理や手洗い、必要に応じた検便が重視される理由のひとつです。
家庭内で注意したい場面① トイレ
家庭内で特に意識したい場所がトイレです。
感染者がトイレを使用した後には、便に含まれる菌が手指などを介して周囲へ広がる可能性があります。
トイレ使用後には石けんと流水でしっかり手を洗いましょう。
また、家族みんなが触れる場所についても清潔に保つことが大切です。
家庭内で注意したい場面② おむつ交換
乳幼児がサルモネラに感染した場合には、おむつ交換にも注意が必要です。
便を処理するときに手指へ菌が付着する可能性があるため、交換後には必ず丁寧に手を洗います。
おむつ交換後、そのまま調理や食事介助を始めることは避けましょう。
これはサルモネラだけでなく、さまざまな感染性胃腸炎を家庭内で広げないためにも重要な習慣です。
家庭内で注意したい場面③ 調理
サルモネラに感染している人が食品を扱うと、手指などを介して食品へ菌を付着させる可能性があります。
特に下痢やおう吐などの症状がある場合には、無理に家族の食事を調理することは避けるのが望ましいでしょう。
やむを得ず食品を扱う場面でも、手洗いなどの衛生管理を徹底する必要があります。
食品を扱う仕事の場合には、自己判断で業務を続けるのではなく、勤務先の衛生管理ルールや医師・保健所などの指示に従います。
家庭内で注意したい場面④ タオル
手洗いをしても、その後に使用するタオルが汚染されていれば、再び手に微生物が付着する可能性があります。
感染者がいる家庭ではタオルを清潔に保ち、状況に応じて共用を避けることも対策になります。
手洗いは「洗ったところ」で終わりではなく、その後の手の扱いまで意識することが大切です。
家庭内で注意したい場面⑤ 食事介助
小さな子どもや高齢者がいる家庭では、食事介助をすることもあります。
介助する人がトイレやおむつ交換などを行った後には、食事に触れる前に必ず手を洗いましょう。
食べ物を直接手で扱う場合には特に注意が必要です。
手洗いはいつ行えばいい?
サルモネラの二次感染や食品への汚染を防ぐため、特に次のようなタイミングでは手洗いを意識しましょう。
- トイレの後
- おむつ交換の後
- 便や吐物を処理した後
- 調理を始める前
- 食事の前
- 生肉や卵などを扱った後
- 動物に触れた後
石けんと流水を使い、指先や指の間、親指の周囲、手首など洗い残しやすい部分も丁寧に洗います。
家族全員が同じものを食べていないのに発症することも?
サルモネラは食品から感染するケースが多いものの、人から人への二次感染も起こり得ます。
そのため、同じ原因食品を食べていない家族に胃腸症状が現れた場合でも、状況によっては二次感染などを考える必要があります。
ただし、下痢や腹痛、発熱を起こす病気はサルモネラだけではありません。
症状だけを見て「家族からサルモネラがうつった」と自己判断することはできません。
サルモネラとノロウイルスは同じ?
どちらも下痢やおう吐などを起こすことがありますが、サルモネラ属菌は細菌、ノロウイルスはウイルスです。
原因や潜伏期間、感染の広がり方などにも違いがあります。
ただし、どちらについてもトイレ後や調理前の手洗いは重要です。
サルモネラとノロウイルスの違いについては、このシリーズ内で詳しく比較します。
麻布十番の食中毒では従事者からもサルモネラを検出
2026年8月に発生した麻布十番納涼まつりの食中毒では、患者だけでなく調理従事者の便からもサルモネラ属菌が検出されました。
港区が9月3日に公表した検査状況では、従事者便8検体の細菌検査で、2検体からサルモネラ属菌が検出されています。
ただし、ここで注意が必要です。
従事者からサルモネラが検出されたことだけを理由に、「従事者が料理を汚染して食中毒を起こした」と判断することはできません。
行政発表では、そのような具体的な汚染経路までは示されていません。
「菌が検出された」という事実と、「誰が感染源だったのか」は別の問題です。
人から人への感染を防ぐ基本
サルモネラの二次感染を防ぐために、家庭では次のような基本を意識しましょう。
- トイレ後は石けんと流水で手を洗う
- おむつ交換や便の処理後は必ず手を洗う
- 調理前・食事前にも手を洗う
- 感染が疑われる人は食品を扱うことをできるだけ避ける
- 家族がよく触れる場所を清潔に保つ
- タオルなどの衛生管理にも注意する
症状があるときはどうする?
下痢、腹痛、発熱、おう吐などがあり、食中毒が疑われる場合には、症状の程度に応じて医療機関へ相談してください。
特に乳幼児、高齢者、基礎疾患がある人などでは重症化に注意が必要です。
水分がとれない、ぐったりしている、症状が強いなど心配な状態がある場合には、早めに医療機関へ相談しましょう。
まとめ|サルモネラは食品だけでなく二次感染にも注意
サルモネラ食中毒は、サルモネラ属菌に汚染された食品を食べることで起こります。
しかし、感染者の便などに含まれる菌が手指などを介して別の人の口へ入れば、人から人へ感染する可能性もあります。
家庭内で特に重要なのは、
- トイレ後の手洗い
- おむつ交換後の手洗い
- 調理前・食事前の手洗い
- 感染が疑われる人による食品の取り扱いを避ける
- 身の回りを清潔に保つ
といった基本的な衛生管理です。
また、症状が改善しても一定期間菌を排出する場合があるため、普段から手洗いを習慣化することが大切です。
「食中毒=食べ物だけの問題」と考えず、人の手を介して菌を広げないこともサルモネラ対策の重要なポイントです。

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