「サルモネラは加熱すれば死ぬの?」
卵や肉などを調理するとき、気になる方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、サルモネラ属菌は熱に弱く、十分に加熱することは重要な食中毒予防になります。
ただし、食品の表面が熱くなっただけでは十分とは限りません。
また、一度しっかり加熱した食品でも、その後に生肉を扱った手や調理器具などから菌が付着する「二次汚染」が起こる可能性があります。
この記事では、サルモネラと加熱の関係、家庭で覚えておきたい加熱温度・時間の目安、加熱後に注意したいポイントまで解説します。
サルモネラは加熱すれば死滅する?
サルモネラ属菌は熱に弱いため、十分な加熱によって死滅させることができます。
そのため、肉や卵など加熱して食べる食品については、中心部までしっかり火を通すことが重要です。
食中毒予防というと冷蔵保存にも目が向きますが、冷蔵と加熱では役割が異なります。
- 冷蔵:菌を「増やさない」ための対策
- 加熱:菌を「やっつける」ための対策
厚生労働省が示す食中毒予防の3原則「つけない・増やさない・やっつける」のうち、加熱は「やっつける」にあたります。
何℃で何分加熱すればいい?
家庭で食中毒を防ぐための加熱について、厚生労働省は中心部を75℃で1分間以上加熱することをひとつの目安として示しています。
重要なのは「フライパンが75℃になったか」ではありません。
食品の中心部が十分な温度に達しているかという点です。
肉の表面だけ焼けていても、厚みのある部分の中心が十分に加熱されていない場合があります。
特にハンバーグやつくねなど、ひき肉を使用した料理では中心部までしっかり加熱しましょう。
「75℃1分」は食品の中心温度
ここは家庭で誤解しやすいポイントです。
「75℃以上のフライパンで1分焼けばいい」
という意味ではありません。
食中毒予防で示される加熱温度は、基本的に食品の中心部の温度を指します。
食品の厚さや大きさ、加熱方法によって、表面と中心部では温度の上がり方が異なります。
中心部まで十分に加熱できていることを確認することが重要です。
見た目だけで加熱を判断していい?
家庭では中心温度計を毎回使うとは限らないため、肉の色などを確認しながら調理することもあるでしょう。
しかし、見た目だけで中心温度を正確に判断することはできません。
厚みのある肉やハンバーグなど、中心まで火が通りにくい料理では特に注意が必要です。
より確実に確認したい場合には、食品用の中心温度計を活用する方法もあります。
卵はどう加熱すればいい?
サルモネラと聞いて、卵を心配する方も多いでしょう。
卵は購入後、表示されている保存方法に従って適切に保存します。
特に乳幼児、高齢者、妊娠中の人、免疫機能が低下している人などが食べる場合には、十分に加熱した卵料理を選ぶことが大切です。
また、卵を割った後は長時間放置せず、調理に使う場合は早めに使用しましょう。
殻付き卵だけでなく、卵を使用した料理の保存方法にも注意が必要です。
肉は表面だけ焼けばいい?
肉の場合も、種類や調理方法によって注意点が異なります。
特に、ひき肉を使った、
- ハンバーグ
- 肉団子
- つくね
- メンチカツ
などでは、表面だけではなく中心部まで十分に加熱する必要があります。
ひき肉は加工の過程で表面に付着していた菌が内部へ入り込む可能性があるためです。
厚みのある料理では中心部まで火が通るように調理しましょう。
電子レンジで加熱するときの注意点
電子レンジは便利ですが、食品によっては加熱ムラが生じることがあります。
厚生労働省の家庭向け食中毒予防でも、電子レンジを使用するときには、
- 電子レンジ対応の容器を使う
- 必要に応じてふたをする
- 途中でかき混ぜる
などして、食品全体に熱が行き渡るようにすることが勧められています。
「電子レンジにかけたから大丈夫」と考えるのではなく、中心まで十分に温まっているか確認しましょう。
再加熱するときも十分に
作り置きした料理や残った料理を食べる場合には、十分に再加熱します。
スープや煮込み料理などでは全体をよく混ぜ、中心までしっかり温めることが重要です。
ただし、保存状態に問題があった食品を「加熱すれば何でも安全に戻せる」と考えるのは適切ではありません。
食中毒菌の中には、食品中で増殖する過程で熱に強い毒素を作るものもあります。
そのため、加熱だけに頼らず、調理後の食品を適切に保存することも必要です。
加熱した食品でも食中毒になることがある
「サルモネラは熱に弱いなら、加熱した料理では食中毒にならないのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、食品を十分に加熱した後でも食中毒リスクがゼロになるわけではありません。
理由のひとつが二次汚染です。
たとえば、
- 生肉をまな板で切る
- 肉を十分に加熱する
- 焼き上がった肉を同じまな板へ戻す
という扱いをすると、生肉からまな板へ付着していた菌が、加熱済みの肉へ再び付着する可能性があります。
せっかく加熱で菌を減らしても、その後に再汚染させてしまう可能性があるのです。
生肉用トングを焼いた肉に使わない
バーベキューや焼肉でも注意したいポイントです。
生肉をつかんだトングや箸を、そのまま焼き上がった肉に使用することは避けましょう。
生肉を扱う器具と食べるときの箸・トングを分けることで、二次汚染を防ぎやすくなります。
これはサルモネラだけでなく、カンピロバクターなどほかの食中毒菌を防ぐうえでも重要です。
加熱後の料理を室温に放置しない
十分に加熱した料理でも、その後の保存方法は重要です。
「一度火を通したから大丈夫」と、調理済み食品を長時間室温に置くことは避けましょう。
すぐに食べない場合には適切に保存し、冷蔵が必要な食品は速やかに冷蔵します。
大量に作った料理では中心部まで冷えるのに時間がかかるため、小分けするなどして速やかに冷却することも大切です。
冷凍すればサルモネラは死ぬ?
冷凍も、加熱と同じ「殺菌」と考えることはできません。
低温では細菌の増殖が抑えられますが、冷凍によってすべてのサルモネラ属菌が確実に死滅するわけではありません。
解凍した食品についても、生肉などは生の食品として扱い、十分な加熱や二次汚染防止を行う必要があります。
加熱だけでなく「つけない・増やさない」も必要
食中毒予防で重要なのは、加熱だけではありません。
つけない
調理前や生肉・卵などを扱った後には手を洗い、調理器具を適切に使い分けます。
増やさない
要冷蔵食品は適切な温度で保存し、調理済み食品を室温に長時間放置しません。
やっつける
加熱が必要な食品は、中心部まで十分に加熱します。
この3つを組み合わせることが、サルモネラを含む細菌性食中毒を防ぐ基本です。
麻布十番の食中毒ではどうだった?
2026年8月の麻布十番納涼まつりでは、「冷やし蟹ラーメン」を原因食品とするサルモネラ属菌による食中毒が発生しました。
ここで、
「加熱が足りなかったのでは?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、今回の食中毒が加熱不足によって発生したと行政が公表しているわけではありません。
現在確認できる行政発表では、どの食材が最初に汚染され、どの工程で食中毒につながったのかまでは明らかにされていません。
サルモネラが加熱に弱いという一般的な性質と、今回の具体的な発生原因は分けて考える必要があります。
まとめ|サルモネラ対策は中心部まで十分な加熱を
サルモネラ属菌は熱に弱く、十分な加熱によって死滅させることができます。
家庭での食中毒予防では、中心部75℃で1分間以上が加熱の目安のひとつです。
ただし重要なのは、加熱だけではありません。
- 食品の中心部まで十分に加熱する
- 生肉などを扱った器具を加熱済み食品に使わない
- 調理前後に手を洗う
- 調理済み食品を室温に長時間放置しない
- すぐ食べない食品は適切に保存する
など、加熱前から食べるまで一連の衛生管理が必要です。
「加熱してやっつける」だけでなく、「つけない・増やさない」も一緒に行う。
これがサルモネラ食中毒を防ぐ基本です。

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