「運動前に揚げ物やこってりした料理を食べると、なんとなく体が重い……」
そんな経験がある人もいるのではないでしょうか。
国道ラーメンマラソンのように、ラーメンを食べてから走る状況を考えると、気になるのが食事に含まれる「脂質」です。
脂質は体に必要な栄養素であり、大切なエネルギー源でもあります。しかし、激しい運動の直前というタイミングでは、脂質の多い食事が胃の重さや不快感につながる場合があります。
ラーメンマラソンから考える今回は、運動前に脂っこい食事を控えめにしたい理由を、消化との関係から栄養士目線で解説します。
そもそも脂質は体に必要な栄養素
「脂っこい食事を避ける」と聞くと、脂質そのものが悪いもののように感じるかもしれません。
しかし、脂質は炭水化物・たんぱく質と並ぶエネルギー産生栄養素のひとつです。
体のエネルギー源になるほか、細胞膜などの材料になったり、脂溶性ビタミンの吸収に関わったりと、さまざまな役割があります。
つまり、運動する人だから脂質を食べないほうがいいという話ではありません。
ポイントは、「どのくらい食べるか」「いつ食べるか」です。
脂質の多い食事は胃にとどまる時間が長くなりやすい
脂質の多い食事は、胃から小腸へ内容物が送り出される速度を遅くする傾向があります。
そのため、脂っこい料理をたっぷり食べた直後は、胃の中に食べ物が残った状態が続きやすくなります。
そこですぐにランニングなどの激しい運動をすると、人によっては胃の重さやもたれを感じることがあります。
「脂質は消化できない」という意味ではなく、運動開始まで十分な時間がない状況では、胃腸への負担を考えて量を調整したいということです。
どんな食事が脂質の多い食事になりやすい?
例えば、次のような料理は脂質が多くなりやすい傾向があります。
- 天ぷらやフライなどの揚げ物
- 脂身の多い肉料理
- 生クリームやバターを多く使った料理
- こってりしたラーメン
- 大量のマヨネーズやドレッシングを使った料理
ただし、同じ料理名でも材料や調理方法によって脂質量は変わります。
例えばラーメンでも、あっさりしたものと背脂などを多く使ったものでは内容が異なります。
「ラーメンだから脂質が多い」と一括りにするのではなく、実際の料理内容を見ることも大切です。
脂っこい食事のあとに走るとどうなる?
脂質の多い食事を満腹になるまで食べ、その直後に激しく走った場合、人によっては胃腸の不快感が起こることがあります。
例えば、
- 胃が重い
- 胃もたれ
- お腹が張る
- 胸やけ
- 吐き気
- 腹痛
などです。
ランニングでは体の上下動も加わるため、胃に食べ物が多く残っている状態では不快感を覚える場合があります。
ただし、これらの症状は脂質だけで決まるわけではありません。
食事量や運動強度、脱水、その日の胃腸の状態なども関係します。
ラーメンでは「脂質+量」に注目
ラーメンマラソンから考える場合、脂質だけを見るのでは不十分です。
ラーメンは麺、スープ、チャーシュー、卵など、複数の食品を組み合わせた一食です。
種類によってはスープや具材から脂質を多くとることがあり、さらにスープまで飲めば胃に入る全体量も増えます。
つまり、
脂質の多さ+食事全体のボリューム+スープによる水分量
が同時に重なる可能性があります。
その状態ですぐ走ることを考えると、少量の補給食をとって走る場合とは大きく違うことがわかります。
炭水化物が入っていても運動直前向きとは限らない
ラーメンの麺には炭水化物が含まれています。
炭水化物は運動時の重要なエネルギー源なので、「だったらラーメンも運動前にいいのでは?」と思うかもしれません。
しかし、料理はひとつの栄養素だけで評価するものではありません。
炭水化物をとれる料理でも、脂質が多かったり、一食の量が多かったりすれば、運動直前には胃が重く感じられる場合があります。
運動前の食事は、炭水化物の有無だけでなく、食事全体を見て考えましょう。
運動まで時間があるなら脂質を食べてもいい?
脂質を含む食事をしたからといって、その日の運動ができなくなるわけではありません。
運動開始まで十分な時間があり、消化が進んで胃の重さなどもなければ、条件は運動直前とは異なります。
普段の食事では、脂質も含めて必要な栄養素をバランスよくとることが基本です。
「運動する日は脂質禁止」と極端に制限する必要はありません。
運動開始までの時間が短いときに、脂っこい料理を大量に食べることを避けるという考え方が現実的です。
運動直前なら何を選ぶ?
運動開始までの時間が短い場合は、胃腸への負担を増やしすぎないよう、量を控えめにします。
状況によっては、
- おにぎり
- パン
- バナナ
- うどん
など、炭水化物を含み比較的脂質の少ない食品を選択肢にすることができます。
ただし、食べやすさには個人差があります。
運動中に胃腸トラブルが起こりやすい人は、練習時に自分に合う食品や量を確認しておくことも大切です。
食べる量が多ければ低脂質でも重くなることはある
ここでもうひとつ注意したいのが、「脂質が少なければ好きなだけ食べていい」わけではないことです。
低脂質の料理でも、大量に食べれば胃に入る食事量は増えます。
満腹状態で激しく走れば、胃の重さやお腹の張りを感じる可能性があります。
運動前には、
- 脂質
- 食事量
- 運動開始までの時間
をセットで考えましょう。
運動中の吐き気を「脂っこいもののせい」と決めつけない
脂っこい食事をしたあとに走って吐き気が出ると、「脂質が原因だ」と考えたくなるかもしれません。
しかし、運動中の吐き気にはさまざまな要因が関係する可能性があります。
- 満腹状態
- 激しい運動
- 脱水
- 暑さ
- 水分の一気飲み
- その日の体調
などです。
特に暑い日の運動中に吐き気や頭痛、めまい、強いだるさなどが出た場合には、熱中症にも注意しましょう。
体調がおかしいと感じたら運動を中止して涼しい場所で休み、自力で水分がとれない、意識がおかしいなど重い症状がある場合には、速やかな救急要請を検討してください。
ラーメンマラソンから考える脂質と運動の関係
ラーメンマラソンから見えてくるのは、脂質が「良い・悪い」という単純な話ではありません。
脂質は私たちに必要な栄養素です。
しかし、激しい運動の直前という特別な状況では、脂質の多い食事が胃に残りやすく、運動中の不快感につながることがあります。
大切なのは、栄養素そのものを悪者にするのではなく、食べる量とタイミングを考えることです。
まとめ
運動前に脂っこい食事を控えめにしたい理由のひとつは、脂質の多い食事が胃から腸へ移動するまでに時間がかかりやすいことです。
特に満腹になるほど食べた直後に激しい運動をすると、胃の重さや胃もたれ、吐き気などにつながる場合があります。
ただし、脂質は体に必要な栄養素です。「運動するなら脂質を食べてはいけない」と考える必要はありません。
ラーメンマラソンから考えると、重要なのは食事内容・量・運動までの時間のバランスです。
次の記事では、「ではラーメンそのものは運動前の食事に向いているの?」という疑問について、栄養面から詳しく考えていきます。

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