新潟市西区の認定こども園「有明こども園」で、複数の園児に対する虐待があったことが明らかになりました。
報道によると、新潟市が虐待と認定したのは計11件。
保育教諭による行為が9件、さらに園長が適切な対応を取らなかったとされたものが2件です。
園児を強く押さえつける。
腕をねじる。
叩く。
そして、食べ物を口に押し込む。
こうした行為があったとされています。
さらに有明こども園では、2023年にも今回の保育教諭による事案を含む複数の不適切保育が確認され、新潟市から指導を受けていました。
今回、何が明らかになったのでしょうか。
2026年9月21日現在で確認できる情報を整理します。
有明こども園で虐待11件を認定
問題が明らかになったのは、新潟市西区の認定こども園「有明こども園」です。
園を運営しているのは、社会福祉法人「新潟市有明福祉事業協会」です。
報道によると、保育教諭1人が2025年度から2026年6月までの間、複数の園児に対して不適切な行為をしていたとされています。
新潟市は2026年8月3日、保育教諭による9件と園長の対応に関する2件、合わせて11件を虐待と認定し、改善勧告を通知しました。
園児に何をした?報じられている行為
運営法人への取材などをもとに報じられている行為には、次のようなものがあります。
- 園児を強く押さえつける
- 腕をねじる
- 叩く
- 食べ物を口に押し込む
強く押さえつけられたことで、園児にあざができたとされるケースも報じられています。
いずれも、保育を受ける子どもの身体や心に関わる重大な問題です。
一方で、現時点の公表情報では、保育教諭による9件それぞれについて、誰に対してどの行為が何回あったのかという詳細な内訳まですべて明らかになっているわけではありません。
公表されている範囲を超えて、11件すべてが同じ行為だったと考えることは避ける必要があります。
「食べ物を口に押し込む」行為も
今回、栄養士として特に気になったのが、食べ物を園児の口に押し込む行為です。
子どもの食事は、単に決められた量を食べ終えればいいものではありません。
子ども自身が口に取り込み、噛んだり口の中で処理したりしながら、飲み込んでいきます。
特に乳幼児は、噛む・飲み込むといった食べる機能も発達の途中です。
嫌がっている、泣いている、口の中にまだ食べ物が残っているなど、そのときの状態を見ながら食事を進める必要があります。
食事介助は「口へ食べ物を入れる作業」ではありません。
食べる子どもの状態を見ながら、安全に食べられるよう支えることが大切です。
この点については、別の記事で窒息や誤嚥など食事の安全面から詳しく取り上げます。
保育教諭だけではなく園長の対応も2件が虐待認定
今回の特徴のひとつが、虐待と認定された11件すべてが保育教諭本人の行為ではないことです。
内訳は、
- 保育教諭によるもの:9件
- 園長が適切な対応を取らなかったもの:2件
と報じられています。
つまり、問題となった行為をした職員だけでなく、管理する立場の対応についても新潟市が問題を認定したことになります。
保育施設で虐待や不適切な保育が疑われた場合、個々の職員だけの問題として終わらせず、組織として事実確認や子どもの安全確保、必要な対応を行うことが重要です。
保育教諭は現在、保育業務から外れている
報道によると、今回の保育教諭は現在、保育業務から外れています。
また、法人による聞き取りに対して「感情のコントロールができていなかった」という趣旨の説明をしていると報じられています。
ただし、本人の説明があったことと、行為の原因や組織的な背景がすべて明らかになったことは別です。
なぜ複数の行為が起きたのか。
周囲はどこまで把握していたのか。
園内でどのような対応が行われていたのか。
再発防止を考えるうえでは、個人の問題だけでなく、管理体制を含めた検証も必要になります。
2023年にも不適切保育で新潟市から指導
今回の問題でもうひとつ重要なのが、過去の経緯です。
有明こども園では2023年にも複数の不適切保育が確認され、新潟市から指導を受けていたと報じられています。
そして、その中には今回問題となった保育教諭による事案も含まれていました。
つまり、今回初めてこの保育教諭をめぐる問題が明らかになったわけではありません。
2023年に指導を受けたあと、どのような改善策が取られていたのか。
その改善策がどのように実施・確認されていたのか。
今回の問題を考えるうえで、重要なポイントになります。
2023年の指導から今回までの流れ
現在確認できている経緯を簡単に整理すると、次のようになります。
2023年
有明こども園で複数の不適切保育が確認され、新潟市が指導。今回問題となった保育教諭による事案も含まれていたと報じられています。
2025年度~2026年6月
保育教諭1人が複数の園児に対し、強く押さえつける、腕をねじる、叩く、食べ物を口に押し込むなどの行為をしたとされています。
2026年8月3日
新潟市が、保育教諭による9件と園長の対応2件、計11件を虐待と認定し、改善勧告を通知しました。
2026年9月17日・18日
園が保護者説明会を開催し、虐待があったことを保護者へ説明しました。
9月18日
運営法人の会長が取材に応じ、園の管理体制や法人による監督、園への支援体制などを含め、法人全体で改善に取り組む考えを示しました。
なぜ8月の改善勧告が9月に大きく報じられた?
新潟市が改善勧告を通知したのは8月3日ですが、この問題が広く報じられたのは9月18日から19日にかけてです。
園では9月17日と18日に保護者説明会が行われ、その後、運営法人の会長が取材に応じています。
そのため、報道を見て「9月に虐待が認定された」と受け取る可能性がありますが、報じられている時系列では、市による虐待認定と改善勧告は8月3日です。
発生日、行政による認定日、報道された日はそれぞれ分けて考える必要があります。
運営法人は管理体制を含め改善へ
9月18日の保護者説明会後、運営法人の会長が取材に応じています。
報道によると、今回の問題を一人の職員だけの問題として終わらせるのではなく、園の管理体制や法人による監督、園への支援体制なども含めて改善に取り組む考えを示しています。
2023年にも市から指導を受けていた経緯を考えれば、再発防止では「職員個人を指導した」で終わらせず、組織として問題を防ぎ、発見し、対応できる仕組みをどう作るかが重要になります。
保育施設での虐待防止は職員個人だけの問題ではない
新潟市の幼児教育・保育に関する資料でも、保育所や認定こども園などにおける虐待の防止や、発生した場合の対応に関する国のガイドラインが案内されています。
子どもの安全を守るには、
- 不適切な関わりを起こさない
- 職員同士で気付ける
- 問題を報告できる
- 管理者が適切に対応する
- 組織として再発防止につなげる
という複数の段階が必要です。
問題を一人の職員の性格や感情だけに帰してしまえば、組織側にある問題を見落とす可能性があります。
子育て支援員として考える「止められる現場」
私は現在、子育て支援員として保育現場で子どもたちに関わっています。
保育は、一人の職員だけで完結する仕事ではありません。
子どもの様子を見ている人。
食事を介助する人。
給食を作る人。
クラスをまとめる人。
そして園全体を管理する人。
さまざまな立場の職員が関わります。
だからこそ、誰かの関わり方に違和感があったときに、周囲が気付き、共有し、必要なら止められる環境が重要です。
「その先生のやり方だから」で終わらせない。
子どもの安全を基準に考えられる仕組みが必要だと思います。
現時点で分かっていないこともある
今回の問題については、すでに多くの事実が報じられていますが、すべてが明らかになったわけではありません。
たとえば、保育教諭による9件それぞれの詳細な内容や、2023年の指導後に園が具体的にどのような改善策を実施していたのかなど、公表情報だけでは分からない部分があります。
そのため、分かっていない部分について原因や責任を推測することは避け、今後の新潟市や運営法人からの説明を確認する必要があります。
まとめ|11件の虐待認定、過去の指導後に再び問題が明らかに
新潟市西区の認定こども園「有明こども園」で、計11件が虐待と認定されました。
内訳は、保育教諭による行為9件と、園長が適切な対応を取らなかったとされた2件です。
保育教諭については、園児を強く押さえつける、腕をねじる、叩く、食べ物を口に押し込むなどの行為があったと報じられています。
新潟市は2026年8月3日に改善勧告を通知しました。
さらに有明こども園では2023年にも、今回問題となった保育教諭による事案を含む複数の不適切保育が確認され、市から指導を受けていました。
今回の問題は、一人の保育教諭による行為だけではありません。
園長の対応についても虐待認定に含まれたこと、過去にも市の指導を受けていたことから、園や運営法人の管理・再発防止体制も重要な論点になります。
そして、報じられた行為の中には「食べ物を口に押し込む」という食事場面での行為もありました。
食事は、子どもを満腹にさせれば終わりではありません。
子どもの身体と気持ちを守りながら、安全に食べられるよう支えることも保育の一部です。
今後明らかになる情報についても、確認できた事実と推測を分けながら見ていく必要があります。


コメント