芝生の上に、キノコがぐるっと円を描くように並んでいる。
まるで誰かがキノコを一本ずつ並べたような、不思議な光景です。
2026年9月16日放送のフジテレビ系「イット!」では、埼玉県滑川町にある国営武蔵丘陵森林公園に出現した、直径約6メートルにもなるキノコの輪が紹介されました。
こうした現象は「フェアリーリング」と呼ばれています。
日本語では「菌輪」とも呼ばれる現象です。
でも、なぜキノコはわざわざ輪になって生えてくるのでしょうか?
実はその秘密は、私たちからは見えない地面の下にあります。
フェアリーリングとは?
フェアリーリングとは、キノコが円形や円弧状に並んで発生する現象です。
森林総合研究所では、キノコが森林の林床や草地などで円を描いて発生する現象、または円状に並んだキノコの列を「菌輪」と説明しています。
完全な円になるとは限らず、途中が途切れた輪や、弧を描くような形になる場合もあります。
英語では「fairy ring」。
直訳すると「妖精の輪」です。
なんともメルヘンな名前ですが、もちろん妖精が夜中にキノコを並べているわけではありません。
そこにはキノコならではの生態が関係しています。
埼玉の森林公園には直径約6mのフェアリーリング
2026年9月16日の「イット!」では、埼玉県滑川町にある国営武蔵丘陵森林公園に現れたフェアリーリングが紹介されました。
園の担当者によると、輪の直径はおよそ6メートル。
人の身長をはるかに超える大きさの円です。
園内では植物の採取が禁止されていることから、来園者にはキノコへ手を触れないよう呼びかけています。
報道では、このフェアリーリングを作っているキノコについて「毒キノコとみられる」とされています。
なぜキノコが円形に生えるの?
ポイントになるのが、地面の下に広がる「菌糸」です。
普段私たちが「キノコ」と呼んで見ている傘や柄は、その生物の一部分です。
地面の中などには、細い糸のような菌糸が広がっています。
条件が整うと、その菌糸から地上へキノコが現れます。
菌糸が中心付近から周囲へ向かって広がっていくタイプでは、成長している外側付近からキノコが発生することがあります。
それを地上から見ると、キノコが円を描くように並んで見えるのです。
つまり「見えている輪」より地下が本体?
フェアリーリングを見ると、どうしても地上に並んでいるキノコに目が向きます。
しかし、その不思議な配置を作り出している重要な存在が地下の菌糸です。
地上に出ているキノコだけを見れば、一本一本が別々に生えているように見えることがあります。
ところが地下では、菌糸が土壌の中へ広がっています。
その広がり方によって、地上に現れるキノコも円形や弧状に並ぶことがあるのです。
どうして輪が大きくなっていくことがある?
菌糸が中心から外側へ成長していく場合、キノコが発生する位置も外側へ移っていくことがあります。
そのため、同じ場所で菌輪が繰り返し形成されると、以前より大きな輪として現れる場合があります。
地上では突然キノコの輪が出現したように見えても、地下ではそれ以前から菌糸が成長していた可能性があります。
キノコが出ていない時期にも、地下では菌類が活動しているのです。
なぜ「フェアリーリング」という名前なの?
円形に並んだキノコは、昔の人にとっても相当不思議な光景だったのでしょう。
ヨーロッパでは、妖精が輪になって踊った跡にキノコが生えたという伝承などと結び付けられ、「フェアリーリング」と呼ばれるようになったとされています。
日本では「菌輪」という、仕組みをイメージしやすい名前でも呼ばれています。
妖精の輪と菌輪。
同じ現象でも、名前から受ける印象はかなり違います。
フェアリーリングを作るキノコは毒キノコなの?
ここは今回のニュースを見るうえで、とても重要です。
「フェアリーリング=毒キノコ」という意味ではありません。
フェアリーリングは、キノコが円形などに発生する「現象」を表す言葉です。
特定のキノコの名前ではありません。
さまざまな種類のキノコで菌輪が形成されることがあります。
そのため、「輪になっているから毒キノコ」「輪になっていないから安全」という見分け方はできません。
今回のフェアリーリングはオオシロカラカサタケ?
2026年9月16日の「イット!」では、オオシロカラカサタケが駒沢公園や東京競馬場、横浜市内の公園など関東各地で確認されている状況とともに、国営武蔵丘陵森林公園のフェアリーリングが紹介されました。
ただし、ここは情報を混同しないよう注意が必要です。
報道では、森林公園のフェアリーリングを形成していたキノコについて「毒キノコとみられる」としています。
オオシロカラカサタケであると断定されたとは報じられていません。
同じニュースの中で紹介されていても、駒沢公園などで確認されたオオシロカラカサタケと、森林公園のフェアリーリングは分けて考える必要があります。
キノコは見た目や生え方だけで食用判断しない
フェアリーリングは非常に目を引くため、見つけたら近くで観察したくなるかもしれません。
しかし、生え方だけでキノコの種類や安全性を判断することはできません。
「きれいな輪になっているから安全」
「公園に自然に生えているから食べられる」
といった判断は避けましょう。
食用と確実に判断できない野生キノコは、自己判断で採取したり食べたりしないことが重要です。
見つけても輪の中へ入る必要はない
巨大なフェアリーリングを見つければ、写真を撮りたくなる人もいるでしょう。
しかし、公園などでは植物やキノコの採取が禁止されていたり、キノコに触れないよう注意喚起されていたりする場合があります。
現地のルールや管理者からの案内に従い、離れた場所から観察しましょう。
特に子どもやペットと一緒の場合は、キノコを口に入れたり持ち帰ったりしないよう注意が必要です。
2026年はキノコが目立ちやすい条件に
2026年は、オオシロカラカサタケをはじめ、公園など身近な場所でキノコの大量発生が相次いで話題になっています。
9月16日の「イット!」では、異例の長雨が大量発生の一因とみられると報じられました。
東京農業大学の橋本貴美子教授は、オオシロカラカサタケについて、暑い時期に大雨が降ると各地で一斉に出てくることがあると解説しています。
地面の下に存在していた菌糸にとって発生に適した条件が整うことで、私たちが目にするキノコが一気に現れることがあります。
まとめ|フェアリーリングの秘密は地面の下にある
フェアリーリングとは、キノコが円形や円弧状に並んで発生する現象です。
日本語では「菌輪」と呼ばれます。
その不思議な形には、地面の中に広がる菌糸の成長が関係しています。
2026年9月には、埼玉県の国営武蔵丘陵森林公園で直径約6メートルのフェアリーリングが確認され、「イット!」でも紹介されました。
ただし、フェアリーリングはキノコの種類を表す名前ではなく、「輪になって生える現象」です。
フェアリーリングだから毒キノコ、あるいは食用キノコという判断はできません。
不思議なキノコの輪を見つけたら、地下に広がる菌糸が作り出した自然現象として観察しつつ、種類の分からないキノコには不用意に触れたり、採取して食べたりしないようにしましょう。


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