冷凍しても食中毒菌は死なない?冷凍保存と微生物の関係を解説

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肉や魚、冷凍食品などを冷凍庫に入れておけば、長期間保存することができます。

そこで、こんな疑問を持ったことはないでしょうか。

「冷凍したら食中毒菌も死ぬの?」

「一度冷凍した肉なら、生焼けでも大丈夫?」

結論からいうと、冷凍したからといって食中毒の原因となる細菌がすべて死滅するわけではありません。

低温になると多くの細菌は増殖できなくなりますが、生き残るものがあります。

そして食品を解凍して温度が上がれば、再び増殖できる条件が整うことがあります。

今回は、冷凍保存中の微生物はどうなっているのか、食品を安全に冷凍・解凍するために知っておきたいポイントを解説します。

冷凍すれば食中毒菌は死ぬ?

「冷凍=殺菌」と思われることがありますが、これは正しくありません。

厚生労働省は家庭での食中毒予防について、冷凍庫の温度の目安をマイナス15℃以下とし、この温度では細菌の増殖は停止するものの、細菌が死ぬわけではないと説明しています。

つまり冷凍保存は、

「菌を殺す」のではなく、「菌が増殖しにくい状態にする」

方法だと考えると分かりやすいでしょう。

冷凍庫は殺菌装置ではない

食品衛生では、食中毒予防の基本として、食中毒菌を「つけない・増やさない・やっつける」という考え方があります。

冷凍保存が主に担っているのは、この中の「増やさない」です。

低温によって細菌の増殖を抑えることはできますが、「やっつける」、つまり殺菌する工程とは別に考える必要があります。

そのため、

「生肉を冷凍したから食中毒菌はいなくなった」

「冷凍した食品だから加熱が不十分でも大丈夫」

と考えるのは危険です。

解凍すると食中毒菌はどうなる?

冷凍中に生き残っていた細菌は、食品を解凍して温度が上がると、条件によって再び増殖できるようになります。

特に注意したいのが、室温で長時間かけて解凍する方法です。

食品の表面から温度が上がり、内部がまだ凍っていても、表面では微生物が増殖しやすい温度になっていることがあります。

厚生労働省も、冷凍食品などを調理台に放置して解凍すると食中毒菌が増える場合があるとして、冷蔵庫や電子レンジなどを利用するよう呼びかけています。

解凍は冷蔵庫や電子レンジを利用する

家庭で食品を解凍するときは、商品の表示に従うことが基本です。

自然解凍が指定されていない食品では、

  • 冷蔵庫で解凍する
  • 電子レンジの解凍機能を使う
  • 密閉した状態で流水解凍する

などの方法があります。

解凍が終わった食品は長時間放置せず、できるだけ速やかに調理しましょう。

冷凍と解凍を繰り返すのは避ける

「少し解凍したけれど使わなかったから、また冷凍庫に戻そう」

ということもあるかもしれません。

しかし、冷凍と解凍を何度も繰り返すことはおすすめできません。

解凍中に食品の温度が上がれば、その間に食中毒菌が増殖する可能性があります。

さらに、再凍結によって水分状態が変化し、食感や風味などの品質も低下しやすくなります。

最初から1回で使う量に小分けして冷凍しておくと便利です。

冷凍した肉もしっかり加熱する

冷凍した肉や、未加熱の状態で販売されている冷凍食品は、表示された方法で十分に加熱する必要があります。

厚生労働省では、家庭で加熱調理する食品について、中心部を75℃で1分間以上加熱することを目安として示しています。

特にひき肉を使ったハンバーグやメンチカツなどは、表面だけでなく内部にも食中毒菌が存在する可能性があります。

実際に過去には、加熱調理を前提として販売された冷凍メンチカツを原因食品とする腸管出血性大腸菌O157の食中毒も発生しています。

「冷凍食品だから安全」ではなく、加熱が必要な商品は中心部までしっかり加熱することが重要です。

電子レンジ加熱では「加熱ムラ」に注意

電子レンジで冷凍食品を加熱するときには、加熱ムラにも注意しましょう。

食品の大きさや厚さによっては、一部分が熱くなっていても別の部分は十分に温まっていないことがあります。

厚生労働省では電子レンジ調理について、専用の容器やふたを使い、熱が伝わりにくい食品は途中でかき混ぜるなどして十分に加熱するよう案内しています。

市販の冷凍食品の場合は、パッケージに表示されたワット数や加熱時間、調理方法を守りましょう。

冷凍すれば食中毒予防になる微生物もある?

ここで少しややこしいのが、すべての食中毒原因物質が冷凍に対して同じ反応をするわけではないことです。

例えばアニサキスは細菌ではなく寄生虫です。

厚生労働省では、アニサキス幼虫についてマイナス20℃で24時間以上冷凍することを予防方法のひとつとして示しています。

また、ヒラメに寄生するクドアについても、一定条件の冷凍によって病原性が失われることが確認されています。

しかし、これは「冷凍すれば食中毒菌も全部死ぬ」という意味ではありません。

細菌・ウイルス・寄生虫などでは低温への強さや予防方法が異なるため、原因ごとに考える必要があります。

冷凍前の菌が「なかったこと」になるわけではない

家庭で作った料理を冷凍するときにも注意が必要です。

例えば調理後の料理を室温に長時間放置し、その後で冷凍したとします。

冷凍庫に入れれば、その後の細菌の増殖を抑えることはできます。

しかし、冷凍する前の不適切な温度管理までリセットできるわけではありません。

料理を保存する場合は、必要に応じて小分けするなどして速やかに冷却し、冷蔵・冷凍することが大切です。

冷凍前後の交差汚染にも注意

冷凍保存そのものだけでなく、食品を扱うときの交差汚染にも注意しましょう。

例えば生肉を解凍したときに出た肉汁が、サラダや調理済み食品に付着すると、そこから食中毒菌が移る可能性があります。

冷凍した生肉も、生の食品として扱うことが基本です。

  • 生肉や魚は他の食品と分ける
  • 汁が漏れない容器や袋に入れる
  • 触った後は手を洗う
  • 包丁やまな板を洗浄する
  • 加熱済み食品と器具を使い分ける

といった基本的な衛生管理を続けましょう。

微生物検査の経験からも「いる」と「増える」は別に考える

私は飲料メーカーの品質管理部門で微生物検査に携わった経験があります。

微生物について考えるときに重要なのが、「微生物が存在すること」と「その環境で増殖できること」は別だという点です。

温度、水分、栄養など、微生物の増殖にはさまざまな条件が関係します。

冷凍保存は温度を非常に低くすることで、細菌が増殖しにくい環境を作っています。

しかし、食品の温度が上がれば条件は変わります。

だからこそ、冷凍中だけではなく、購入、保存、解凍、加熱、食べるまでを一連の温度管理として考えることが大切です。

まとめ|冷凍は「殺菌」ではなく「増殖を止める」保存方法

食品を冷凍しても、食中毒の原因となる細菌がすべて死滅するわけではありません。

低温では多くの細菌の増殖が止まりますが、生き残っているものがあります。

そして解凍して食品の温度が上がれば、条件によって再び増殖する可能性があります。

そのため、

  • 冷凍前から衛生的に扱う
  • 適切な温度で保存する
  • 室温で長時間解凍しない
  • 解凍と再冷凍を繰り返さない
  • 加熱が必要な食品は中心まで十分に加熱する
  • 生肉などからの交差汚染を防ぐ

ことが重要です。

冷凍庫は「菌を消す場所」ではなく、「菌を増やさないための場所」。

この違いを覚えておくと、冷凍食品やホームフリージングをより安全に活用できます。

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