毒キノコというと、見るからに毒々しい色や形をしているものを想像するかもしれません。
しかし、実際には食用キノコとよく似た毒キノコもあります。
そして毒キノコによる食中毒では、こうした食用キノコとの取り違えが大きな原因になります。
厚生労働省や食品安全委員会でも、ツキヨタケ、クサウラベニタケ、カキシメジなど、食用キノコと間違えやすい毒キノコへの注意を呼びかけています。
この記事では、代表的な毒キノコと、どんな食用キノコと間違えやすいのかを解説します。
なぜ食用キノコと毒キノコを間違えるの?
野生キノコは種類が非常に多く、見た目が似ているものがあります。
さらに、同じ種類でも、
- 成長段階
- 大きさ
- 色の濃淡
- 発生環境
- 乾燥や雨の影響
などによって姿が変わります。
そのため、図鑑や写真を見て「これに似ているから食べられる」と判断することは危険です。
ツキヨタケ
ツキヨタケは、毒キノコによる食中毒の原因として特に注意されている種類です。
厚生労働省によると、ツキヨタケは、
- ヒラタケ
- ムキタケ
- シイタケ
などと間違えられることがあります。
食べると、食後30分〜1時間程度で、
- 嘔吐
- 下痢
- 腹痛
などの消化器症状が現れることがあります。
ツキヨタケが誤食されやすい理由
ツキヨタケは、枯れ木などにまとまって生えることがあります。
その姿が食用のヒラタケやムキタケなどに似て見えることがあり、採取した人が食用だと思い込んでしまうことがあります。
食品安全委員会では、ツキヨタケとムキタケが同じ枯れ木に生えることもあるとして注意を呼びかけています。
つまり、
「この木には毎年食べられるキノコが生える」
という経験だけでも安全とはいえません。
クサウラベニタケ
クサウラベニタケも、食用キノコと間違えられやすい代表的な毒キノコです。
厚生労働省によると、
- ウラベニホテイシメジ
- ホンシメジ
- ハタケシメジ
などと間違えられることがあります。
食べると、20分〜1時間程度で、
- 嘔吐
- 下痢
- 腹痛
などが現れることがあります。
さらに、唾液分泌の増加、瞳孔の収縮、発汗などの症状が出ることもあります。
「シメジっぽいから食べられる」は危険
クサウラベニタケは、見た目から食用のシメジ類に似ていると判断されることがあります。
しかし、名前や見た目が似ていることと、安全に食べられることは別です。
野生キノコでは、「シメジに見える」という印象だけで採取・喫食しないようにしましょう。
カキシメジ
カキシメジも、食用キノコと間違えて食べられることがある毒キノコです。
食品安全委員会では、カキシメジについても誤食に注意する代表的な毒キノコとして紹介しています。
食べると、
- 吐き気
- 嘔吐
- 下痢
- 腹痛
などの消化器症状を起こすことがあります。
テングタケ類にも注意
テングタケの仲間にも、有毒な種類があります。
毒キノコは種類によって含まれる毒成分が異なり、症状も同じではありません。
消化器症状だけでなく、神経系の症状などを引き起こすものもあります。
「毒キノコ=腹痛だけ」と考えないことが大切です。
カエンタケは触ることにも注意
カエンタケは、赤やオレンジ色で、棒状や指のような独特の形をした毒キノコです。
厚生労働省によると、カエンタケは触れるだけでも皮膚に炎症を起こすことがあり、食べると死亡する可能性もある非常に危険なキノコです。
見つけても、むやみに触らないようにしましょう。
毒キノコは派手とは限らない
「毒キノコは赤くて派手」
というイメージを持つ人もいます。
しかし、実際の毒キノコは地味な茶色や白色のものもあります。
反対に、色が鮮やかだから必ず毒があるというわけでもありません。
色だけで毒の有無を判断することはできません。
食用キノコの中に毒キノコが混ざることもある
野生キノコを採取するときは、1本ずつ同じ種類とは限りません。
似た場所に複数種類のキノコが生えていたり、食用キノコの中に毒キノコが混ざったりする可能性もあります。
「たくさん採れたから全部同じ種類」と思い込むことも危険です。
見た目だけでは判別できない
キノコの判別では、傘の色や形だけを見るわけではありません。
種類によっては、
- 傘の裏側
- ひだ
- 柄
- 根元
- つば
- 発生している場所
など、複数の特徴が重要になります。
そのため、一枚の写真だけで安全に食用かどうか判断することはできません。
AIや画像検索なら見分けられる?
最近では、スマートフォンでキノコを撮影し、AIや画像検索で名前を調べることもできます。
しかし、そこで表示されるのは、あくまで画像から推定された候補です。
食用キノコと毒キノコがよく似ている場合、誤った種類が表示される可能性もあります。
AIや画像検索を「食べていいか」の最終判断に使うのは避けましょう。
「毎年採っている人」でも間違える可能性はある
キノコ採りの経験が長い人からもらった野生キノコなら安全だと思うこともあるでしょう。
しかし、野生キノコの取り違えは経験者でも起こる可能性があります。
厚生労働省は、食用と確実に判断できないキノコを人にあげないよう呼びかけています。
「昔から食べているから大丈夫」でもない
同じ場所で毎年採っているキノコであっても、今年も同じ種類とは限りません。
違う種類が同じ場所に生えたり、似た毒キノコが混ざったりする可能性があります。
過去に食べた経験だけを安全の根拠にしないようにしましょう。
迷信による判別も危険
野生キノコには、昔からさまざまな迷信があります。
たとえば、
- 虫が食べているものは安全
- 縦に裂けるキノコは食べられる
- 派手な色のキノコだけが毒
- 塩漬けにすれば毒が抜ける
といったものです。
しかし、このような方法で食用かどうかを判断することはできません。
加熱すれば毒はなくなる?
毒キノコを加熱すれば食べられるという考えも危険です。
毒キノコによる食中毒は、キノコそのものに含まれる自然毒によって起こります。
「炒めたから大丈夫」
「しっかり煮たから大丈夫」
という判断は避けましょう。
最も大切なのは「見分ける」より「食べない判断」
毒キノコについて調べていると、
「どうすれば食用キノコと見分けられるの?」
と考えたくなります。
しかし、一般の人が野生キノコを食べる場面で重要なのは、無理に種類を決めることではありません。
食用と確実に判断できないなら食べない。
この判断が食中毒予防につながります。
国が呼びかける4つの原則
厚生労働省や農林水産省では、食用と確実に判断できない野生キノコについて、
- 採らない
- 食べない
- 売らない
- 人にあげない
ことを呼びかけています。
種類がわからない場合には、無理に食べられるかどうかを判断する必要はありません。
食べて体調が悪くなったらすぐ受診を
もし野生キノコを食べた後に、嘔吐、下痢、腹痛などの体調不良が現れた場合には、すぐに医療機関を受診してください。
キノコの種類がわからなくても、
「野生キノコを食べた」
ということを医療機関へ伝えることが重要です。
まとめ|食用キノコと似た毒キノコは少なくない
毒キノコの中には、食用キノコとよく似ているものがあります。
代表的なものとして、
- ツキヨタケ
- クサウラベニタケ
- カキシメジ
- テングタケ類
などがあります。
特にツキヨタケは、ヒラタケやムキタケ、シイタケなどと間違えられることがあります。
野生キノコは個体差や成長段階によって見た目も変わり、一枚の写真や画像検索だけで安全に判別することはできません。
AIや図鑑で似たキノコが見つかったとしても、それだけを根拠に食べないようにしましょう。
食用と確実に判断できない野生キノコは、採らない・食べない・売らない・人にあげない。
これが、毒キノコによる食中毒を防ぐための基本です。

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