「採ってきた野生キノコを食べたら、急に気持ち悪くなってきた」
「食べた家族が嘔吐や下痢をしている」
そんなとき、どうすればよいのでしょうか。
毒キノコによる食中毒では、嘔吐や下痢、腹痛などの消化器症状だけでなく、種類によっては神経症状などが現れたり、重症化したりするものもあります。
農林水産省や厚生労働省は、野生キノコを食べた後に体調が悪くなった場合には、すぐに医療機関を受診するよう呼びかけています。
この記事では、毒キノコを食べてしまった可能性があるとき、どのように対応すればよいのかを解説します。
- 毒キノコを食べて体調が悪くなったらすぐ受診を
- どんな症状が出る?
- 症状が出るまでの時間はキノコによって違う
- 「少ししか食べていないから大丈夫」とは限らない
- 一緒に食べた人も確認する
- 受診するときに伝えたいこと
- キノコの名前がわからなくても受診する
- 残ったキノコや料理はどうする?
- AIでキノコを特定してから病院へ行く必要はない
- AIに「毒じゃない」と言われても症状を無視しない
- 自分で吐かせればいい?
- 「水を大量に飲む」「牛乳を飲む」などの自己流対処は?
- 下痢止めを自己判断で飲んでもいい?
- 症状が強い場合は緊急性を判断する
- 症状がなくても「もう一口食べて確認」はしない
- 「よく加熱したから毒は消えた」は危険
- 毒キノコ食中毒には重い症状を起こすものもある
- 毒キノコを食べないことが最大の予防
- 人からもらった野生キノコも同じ
- AI時代でも最優先は「受診」
- まとめ|毒キノコを食べて異常を感じたらすぐ医療機関へ
毒キノコを食べて体調が悪くなったらすぐ受診を
最も重要なのは、野生キノコを食べた後に体調の異変を感じた場合、自己判断で長時間様子を見ないことです。
厚生労働省は、キノコを食べて体調が悪くなった場合には、すぐに病院で診察を受けるよう呼びかけています。
農林水産省も同様に、野生キノコを食べて体調に異常を感じた場合は直ちに病院を受診するよう案内しています。
毒キノコの種類によって、現れる症状や症状が出るまでの時間は異なります。
「もう少し待てば治るかも」と自己判断せず、医療機関へ相談しましょう。
どんな症状が出る?
毒キノコによる症状は種類によって異なります。
代表的な症状には、
- 吐き気
- 嘔吐
- 下痢
- 腹痛
などがあります。
しかし、すべての毒キノコが消化器症状だけを起こすわけではありません。
種類によっては、発汗、めまい、けいれん、呼吸困難など、神経系を含む症状が現れることもあります。
毒キノコによる食中毒は「お腹を壊すだけ」と考えないことが重要です。
症状が出るまでの時間はキノコによって違う
毒キノコを食べてから症状が現れるまでの時間も、種類によって異なります。
たとえば厚生労働省によると、ツキヨタケでは食後30分~1時間程度で嘔吐、下痢、腹痛などが現れることがあります。
クサウラベニタケでは、食後20分~1時間程度で消化器症状などが現れるとされています。
一方、毒キノコには異なる経過をたどる種類もあります。
そのため、「食べて1時間たって何ともないから安全」などと判断することはできません。
「少ししか食べていないから大丈夫」とは限らない
毒キノコを一口しか食べていなかったとしても、自己判断で安全とは決められません。
摂取したキノコの種類や量、体格、体調などによって影響は異なります。
食べた量が少なかったことだけを理由に、症状を放置しないようにしましょう。
一緒に食べた人も確認する
家族や友人など複数人で同じ野生キノコを食べた場合には、一緒に食べた人の体調も確認しましょう。
同じ料理を食べても、全員が同じタイミングで同じ症状を起こすとは限りません。
症状がある人については、医療機関へ相談・受診します。
また、ほかの人も同じキノコを食べたことを医療機関へ伝えられるようにしておきましょう。
受診するときに伝えたいこと
医療機関へ相談するときには、できる範囲で状況を整理して伝えます。
たとえば、
- 野生キノコを食べたこと
- いつ食べたか
- どのくらい食べたか
- どのように調理したか
- いつ症状が始まったか
- どのような症状があるか
- 一緒に食べた人がいるか
- その人たちにも症状があるか
などです。
特に、「野生キノコを食べた」ことは忘れずに伝えましょう。
キノコの名前がわからなくても受診する
「何というキノコかわからないから、病院へ行っても説明できない」
と考える必要はありません。
むしろ、種類がわからない野生キノコを食べた後に症状が出たこと自体が重要な情報です。
AIや画像検索を使って無理に名前を決めてから受診する必要はありません。
「○○タケだと思います」と断定するより、野生キノコを食べたことと、わかっている状況を正確に伝えましょう。
残ったキノコや料理はどうする?
食べたキノコや調理した料理が残っている場合には、ほかの人が誤って食べないようにしてください。
また、原因となったキノコの確認に役立つ可能性があります。
残ったキノコや料理をどう扱うべきかについては、医療機関や保健所などの指示に従いましょう。
安全確認のために、自分や家族がもう一度食べて確かめることは絶対に避けます。
AIでキノコを特定してから病院へ行く必要はない
最近では、キノコの写真をAIへ送ると種類の候補を回答してくれるサービスがあります。
しかし、体調不良が起きているときに、AIによる種類の特定へ時間を使うべきではありません。
キノコには個体差があり、厚生労働省もインターネットの画像検索結果から食べられると判断することは危険だと注意しています。
体調に異常があるなら、AIの回答を待つより医療機関への相談・受診を優先しましょう。
AIに「毒じゃない」と言われても症状を無視しない
AIへ写真を見せたところ、
「食用キノコの可能性があります」
と回答されたとしても、それを理由に症状を無視してはいけません。
AIによる画像判定は医療診断でも、キノコの安全性を保証する鑑定でもありません。
実際に野生キノコを食べた後に体調が悪くなっている場合には、その事実を優先して医療機関へ相談しましょう。
自分で吐かせればいい?
毒キノコを食べたと気づくと、
「すぐ吐かせたほうがいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、自己判断で無理に吐かせるなどの処置を行うことは避け、医療機関など専門家の指示を受けてください。
意識状態などによっては、吐いたものを気道へ吸い込む危険もあります。
家庭で独自の処置を試すより、速やかに医療へつなげることが重要です。
「水を大量に飲む」「牛乳を飲む」などの自己流対処は?
インターネットや昔からの言い伝えには、中毒時のさまざまな対処法が書かれていることがあります。
しかし、毒キノコの種類によって含まれる毒成分や症状は異なります。
「これを飲めば毒が消える」といった自己流の方法に頼らないようにしましょう。
何かを飲んだり食べたりするべきかについても、症状がある場合には医療機関の指示に従うことが安全です。
下痢止めを自己判断で飲んでもいい?
嘔吐や下痢があると、市販薬で症状を止めたくなることもあるでしょう。
しかし、中毒が疑われる状況では、自己判断で薬を使用するよりも、まず医療機関へ相談することが大切です。
使用している薬がある場合には、その情報も受診時に伝えましょう。
症状が強い場合は緊急性を判断する
意識がおかしい、呼吸が苦しい、けいれんしているなど、明らかに重い症状がある場合には、緊急の対応が必要です。
ためらわず救急要請を検討してください。
また、小さな子ども、高齢者、基礎疾患のある人などでは、症状による影響が大きくなる可能性があります。
状態に不安がある場合には、早めに医療機関へ相談しましょう。
症状がなくても「もう一口食べて確認」はしない
一緒に食べた人だけが体調を崩し、自分にはまだ症状がない場合でも、
「自分は平気だから、このキノコは大丈夫」
と判断して残りを食べることは避けましょう。
食べた量や個人差などによって、症状の現れ方が異なる可能性があります。
原因が疑われる食品は、それ以上食べないようにします。
「よく加熱したから毒は消えた」は危険
毒キノコによる食中毒は、細菌性食中毒とは性質が異なります。
細菌性食中毒では十分な加熱が予防につながる場合がありますが、毒キノコではキノコ自体に自然毒が含まれています。
そのため、種類がわからない野生キノコについて、
- 炒めたから大丈夫
- ゆでたから大丈夫
- 煮込んだから大丈夫
と判断してはいけません。
毒キノコ食中毒には重い症状を起こすものもある
毒キノコといっても、すべて同じ毒を持っているわけではありません。
厚生労働省が紹介する毒キノコの中には、嘔吐や下痢、腹痛などの消化器症状を起こすものだけでなく、神経系の中毒症状を起こすものもあります。
また、毒キノコによる食中毒では死亡事例も発生しています。
「キノコで少しお腹を壊しただけ」と軽く考えないことが重要です。
毒キノコを食べないことが最大の予防
毒キノコによる食中毒は、発生してから家庭で対処するより、そもそも食べないことが最も重要です。
厚生労働省では、食用と確実に判断できないキノコについて、
- 採らない
- 食べない
- 売らない
- 人にあげない
という4原則を呼びかけています。
人からもらった野生キノコも同じ
自分で採ったキノコだけが問題ではありません。
厚生労働省は、人から譲り受けた野生キノコによる食中毒事例も紹介しています。
「キノコに詳しい人からもらったから」
という理由だけで安全とは判断できません。
食用と確実に判断できないものは食べないようにしましょう。
AI時代でも最優先は「受診」
野生キノコを食べて体調が悪くなったとき、スマートフォンを開けば、AI、SNS、画像検索などから大量の情報を得られます。
しかし、その場面で必要なのは、ネット上で正解のキノコ名を探し続けることではありません。
体調に異常があるなら、医療機関へつなげる。
AIは情報収集を助けることはできますが、診察や治療の代わりにはなりません。
まとめ|毒キノコを食べて異常を感じたらすぐ医療機関へ
野生キノコを食べた後に、嘔吐、下痢、腹痛などの体調不良が現れた場合には、自己判断で長時間様子を見ず、すぐに医療機関を受診しましょう。
受診時には、
- 野生キノコを食べたこと
- 食べた時間と量
- 調理方法
- 症状が始まった時間
- 一緒に食べた人の状況
など、わかる範囲の情報を伝えます。
キノコの種類をAIで特定できなくても構いません。
また、自己判断で無理に吐かせたり、民間療法を試したりするより、医療機関の指示を受けることが重要です。
「何のキノコかわからない。でも野生キノコを食べた後に具合が悪くなった」――それだけでも、受診時に伝える大切な情報です。

コメント