吐いたあと、まず気になるのが「何を飲めばいいの?」ということではないでしょうか。
家にある水を飲めばいいのか、お茶でもいいのか、それとも経口補水液を用意したほうがいいのか迷うことがあります。
嘔吐すると水分だけでなく、電解質も失われることがあります。
一方で、一度吐いただけなのか、何度も嘔吐して脱水が心配なのかによって、適した水分補給は変わってきます。
ラーメンマラソンから考える今回は、吐いたあとの「水・お茶・経口補水液」の違いと選び方を栄養士目線で整理します。
- 吐いたあとは水分と電解質が失われる
- まず大切なのは「何を飲むか」だけではない
- 水は吐いたあとに飲んでもいい?
- 水なら大量に飲んでも大丈夫?
- お茶は吐いたあとに飲んでもいい?
- カフェインが入っているお茶は絶対ダメ?
- 経口補水液とは?
- 経口補水液は「健康によい飲み物」ではない
- 経口補水液も一気飲みしない
- 水・お茶・経口補水液の違いを整理
- スポーツドリンクはどうなの?
- 運動中に吐いた場合は「汗」も考える
- 暑い環境で吐いたら熱中症にも注意
- 意識がおかしい場合は飲ませない
- 子どもが吐いた場合は何を飲ませる?
- 吐いたあとの飲み物で避けたい考え方
- 水分がとれない場合は「飲み物選び」より受診判断
- ラーメンマラソンから考える「何を飲むか」より大切なこと
- まとめ
吐いたあとは水分と電解質が失われる
嘔吐すると、胃の内容物と一緒に水分が体外へ出ていきます。
さらに、ナトリウムなどの電解質も失われます。
一度だけ吐き、その後は問題なく飲食できている場合と、何度も嘔吐している場合では、水分や電解質の失われ方も異なります。
特に、
- 何度も吐いている
- 下痢も続いている
- 発熱している
- 大量に汗をかいている
- 水分を十分にとれていない
といった場合には脱水に注意が必要です。
まず大切なのは「何を飲むか」だけではない
吐いたあとの水分補給というと、飲み物の種類に注目しがちです。
しかし、もうひとつ大切なのが「どう飲むか」です。
吐いた直後にコップ何杯もの飲み物を一気に飲むと、胃が急に膨らみ、再び吐き気が強くなることがあります。
意識がはっきりしていて自分で飲める状態なら、吐き気の様子を見ながら少量ずつ補給しましょう。
水は吐いたあとに飲んでもいい?
一度吐いたものの、その後は吐き気が落ち着いていて、普段通り食事もできそうな状態であれば、水は身近な水分補給の選択肢になります。
水には糖質やカフェインなどが含まれておらず、手軽に利用できます。
ただし、水だけでは嘔吐によって失われた電解質を補うことはできません。
繰り返し嘔吐して脱水が心配な場合には、「とにかく水だけを大量に飲む」という方法ではなく、状態に応じた補給を考える必要があります。
水なら大量に飲んでも大丈夫?
水だからといって、一気に大量に飲んでよいわけではありません。
吐いたあとは胃が敏感になっていることがあります。
大量の水を短時間で飲むと、
- 胃が張る
- ムカムカする
- 吐き気が強くなる
- 再び吐いてしまう
といったことがあります。
水分補給は「一度にどれだけ飲めるか」を競うものではありません。
お茶は吐いたあとに飲んでもいい?
お茶も水分を含むため、種類や体調によっては水分補給に使える場合があります。
ただし、「お茶」とひとことでいっても種類はさまざまです。
緑茶、紅茶、ウーロン茶などにはカフェインが含まれるものがあります。
吐き気があるときには、濃いお茶などが飲みにくく感じる人もいるでしょう。
嘔吐後は、普段から飲み慣れていて、刺激が少なく感じる飲み物を少量ずつ試すことがポイントです。
カフェインが入っているお茶は絶対ダメ?
「吐いたあとはカフェイン入りのお茶を一口でも飲んではいけない」というわけではありません。
カフェインを含む飲み物も水分として体に入ります。
ただし、吐き気が強いときや胃が敏感になっているときには、濃いお茶やコーヒーなどが負担に感じられることがあります。
また、子どもやカフェインに敏感な人では、あえて選ぶ必要はないでしょう。
嘔吐直後は「普段健康によさそうな飲み物」よりも、無理なく水分をとれることを優先します。
経口補水液とは?
経口補水液は、水分と電解質を効率よく補給できるよう、ナトリウムやブドウ糖などの濃度が調整された飲料です。
嘔吐や下痢などによって脱水状態になった場合の水分・電解質補給に利用されます。
水とは異なり、失われた水分だけでなく電解質も補給できることが特徴です。
そのため、嘔吐を繰り返して脱水が心配な場合には選択肢になります。
経口補水液は「健康によい飲み物」ではない
ここは栄養士目線でも押さえておきたいポイントです。
経口補水液は、普段からたくさん飲むことで健康になる飲料ではありません。
脱水状態での水分・電解質補給を目的として成分が調整されています。
そのため、日常の水分補給として水やお茶の代わりに大量に飲むものではありません。
「普通の水より高機能だから、いつでも経口補水液のほうがいい」という考え方は避けましょう。
経口補水液も一気飲みしない
経口補水液なら、吐いた直後に大量に飲んでも大丈夫というわけではありません。
強い吐き気が残っている状態で大量に飲めば、再び嘔吐することがあります。
自分で安全に飲める状態であれば、少量ずつ補給します。
少量でも繰り返し吐いてしまう場合には、口からの水分補給だけでは対応できないこともあります。
水・お茶・経口補水液の違いを整理
それぞれの特徴を簡単に整理すると、次のようになります。
| 飲み物 | 特徴 | 考えたい場面 |
|---|---|---|
| 水 | 手軽に水分を補給できる | 吐き気が落ち着き、軽い水分補給をしたいとき |
| お茶 | 種類によってカフェインなどを含む | 普段から飲み慣れ、無理なく飲める場合 |
| 経口補水液 | 水分と電解質を補給するため成分が調整されている | 嘔吐などによる脱水が心配な場合 |
ただし、この表だけで病状を判断することはできません。
水分をまったく保てないほど嘔吐している場合には、飲み物選びより医療機関への相談が優先されることがあります。
スポーツドリンクはどうなの?
運動後であれば、スポーツドリンクを思い浮かべる人も多いでしょう。
スポーツドリンクには水分のほか、糖質や電解質などが含まれています。
運動や発汗時の水分補給に使いやすい飲料ですが、経口補水液とは成分や目的が異なります。
「どちらも塩分が入っているから同じ」ではありません。
経口補水液とスポーツドリンクの違いについては、次の記事で詳しく取り上げます。
運動中に吐いた場合は「汗」も考える
ラーメンマラソンから考えると、運動中の嘔吐にはもうひとつ重要なポイントがあります。
それが、運動による発汗です。
嘔吐する前から長時間走っていた場合には、汗によってすでに水分や電解質を失っている可能性があります。
そこへ嘔吐が加われば、さらに体液が失われます。
そのため、運動中に吐いた場合には「吐いたから何を飲むか」だけではなく、それまでの運動時間や発汗量、暑さなども含めて考える必要があります。
暑い環境で吐いたら熱中症にも注意
暑い日の運動中に吐いた場合には、熱中症の可能性にも注意してください。
吐き気や嘔吐は熱中症でもみられる症状です。
さらに、
- 頭痛
- めまい
- ふらつき
- 強いだるさ
- 筋肉のけいれん
- 意識状態の変化
などがある場合には、運動を中止して涼しい場所へ移動し、体を冷やします。
単なる食べ過ぎや胃もたれと決めつけないようにしましょう。
意識がおかしい場合は飲ませない
水分不足が心配でも、意識状態がおかしい人へ無理に水や経口補水液を飲ませるのは危険です。
うまく飲み込めず、誤嚥する可能性があります。
呼びかけへの反応がおかしい、意識がもうろうとしている、自力で水分を飲めないほど状態が悪い場合などには、速やかな救急要請を検討してください。
子どもが吐いた場合は何を飲ませる?
子どもの嘔吐でも、基本的には一度に大量に飲ませるのではなく、状態を見ながら少量ずつ水分を試します。
子どもは「のどが渇いた」と一気に飲んでしまい、その直後に再び吐くこともあります。
また、小さな子どもでは脱水が進んでいても、自分の状態を十分に説明できない場合があります。
水分がとれない、何度も吐く、尿が極端に少ない、ぐったりしているなどの場合には、早めに医療機関へ相談しましょう。
吐いたあとの飲み物で避けたい考え方
嘔吐後の水分補給では、次のような極端な対応は避けましょう。
- 吐いた分を取り戻すため一気に大量に飲む
- 水だけを大量に飲み続ける
- 水分をとると吐くのが怖いから長時間まったく飲まない
- 経口補水液ならいくら飲んでもよいと考える
- スポーツドリンクと経口補水液をまったく同じものとして扱う
- 意識がおかしい人へ無理に飲ませる
大切なのは、体調と脱水の程度に合わせることです。
水分がとれない場合は「飲み物選び」より受診判断
水、お茶、経口補水液のどれを選んでも、飲んだそばから何度も吐いてしまう場合には注意が必要です。
特に、
- 何度も嘔吐する
- 少量の水分も保てない
- 尿が極端に少ない
- 口の中が強く乾燥している
- ぐったりしている
- 強い腹痛がある
- 血を吐いた
- 症状が改善しない
といった場合には、医療機関への相談を検討してください。
意識状態がおかしいなど緊急性が高い症状がある場合には、速やかな救急要請を考えましょう。
ラーメンマラソンから考える「何を飲むか」より大切なこと
ラーメンマラソンから考えると、運動中に嘔吐した場合には、食べたラーメンだけでなく、それまでに汗で失った水分も考える必要があります。
だからこそ、吐いたあとの水分補給は重要です。
しかし、「一番いい飲み物を探して大量に飲む」のではなく、嘔吐の程度や発汗量、脱水の可能性を考えながら、飲める状態なら少量ずつ補給することが基本になります。
そして、水分そのものを保てない状態なら、家庭で飲み物を変え続けるより医療機関への相談を考えることも大切です。
まとめ
吐いたあとの飲み物は、体調や嘔吐の程度によって選び方が変わります。
一度吐いただけで、その後は問題なく飲食できる場合には、水など身近な飲み物で水分を補給できることもあります。
お茶も種類や体調によっては選択肢になりますが、吐き気があるときは濃いものや刺激に感じるものを無理に選ぶ必要はありません。
一方、嘔吐を繰り返して脱水が心配な場合には、水分と電解質を補給するために経口補水液が使われることがあります。
ラーメンマラソンから考えると、運動中の嘔吐では発汗による水分・電解質の喪失も重なる可能性があります。
何を飲む場合でも一気飲みを避け、吐き気の状態を確認しながら少量ずつ補給することが大切です。
次の記事では、「経口補水液とスポーツドリンクは何が違う?」という疑問に注目し、それぞれの特徴と使い分けについて詳しく解説します。


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