吐いたあとは、口の中も気持ち悪く、のども渇いて「冷たい水を一気に飲みたい」と感じることがあります。
特に運動中に汗をたくさんかいていた場合には、「脱水にならないよう、すぐにたくさん飲まなければ」と考えるかもしれません。
しかし、嘔吐した直後に大量の水を一気に飲むと、胃への刺激となり、再び吐き気や嘔吐につながることがあります。
ラーメンマラソンから考える今回は、吐いたあとの水分補給について、なぜ一気飲みを避けたいのか、どのように飲み始めればよいのかを栄養士目線で解説します。
吐いたあとは水分補給が大切
嘔吐すると、胃の内容物だけでなく水分や電解質も体から失われます。
一度だけの嘔吐ですぐに重い脱水になるとは限りませんが、何度も吐いている場合や、下痢もある場合、運動や暑さによって大量に汗をかいている場合には、水分不足に注意が必要です。
そのため、吐いたあとの水分補給は重要です。
ただし、大切なのは「できるだけ大量に飲む」ことではありません。
吐き気の状態を確認しながら、無理なく水分を戻していくことがポイントです。
吐いた直後に水を一気飲みするのは避けよう
吐いた直後は胃が刺激を受けており、吐き気が残っていることがあります。
そこへコップ何杯分もの水を一度に流し込めば、胃が急に膨らみます。
すると、
- 胃が苦しくなる
- 再びムカムカする
- 吐き気が強くなる
- 再び嘔吐する
といったことがあります。
「吐いた分をすぐ取り戻そう」と焦って大量に飲むよりも、胃の状態を確認しながら補給しましょう。
吐いたあとすぐに飲まなければいけない?
嘔吐直後にまだ強い吐き気が残っている場合には、無理に大量の水分を飲む必要はありません。
まずは体を休ませ、吐き気が少し落ち着いてから飲み始めます。
ただし、長時間まったく水分をとらずに我慢するのも、脱水が心配な状況では適切ではありません。
「大量に飲む」か「まったく飲まない」かの二択ではなく、状態を見ながら少しずつ再開することが大切です。
水分補給は少量ずつ始める
意識がはっきりしていて、自分で問題なく飲み込める状態なら、少量の水分から試します。
一度にコップ一杯を飲み干すのではなく、少ない量を口にして、吐き気が強くならないか確認しましょう。
問題なく飲めるようなら、少しずつ補給を続けます。
「早く必要量を飲み切らなければ」と焦る必要はありません。
少量でも吐いてしまったら?
少し飲んだだけでもすぐに吐いてしまう場合には、胃がまだ水分を受け付けられない状態かもしれません。
繰り返し嘔吐していると、吐くことでさらに水分が失われる一方、口から補給できない状態になります。
この状態が続く場合には、脱水が進む可能性があります。
何度試しても水分がとれない、嘔吐を繰り返す場合には、医療機関への相談を検討しましょう。
水だけ飲めば十分?
嘔吐後に何を飲むかは、嘔吐の回数や原因、発汗量などによって変わります。
一度吐いただけで、その後は普段通り食事や水分がとれる場合と、何度も嘔吐して脱水が心配な場合では状況が異なります。
嘔吐を繰り返している場合には、水分だけでなくナトリウムなどの電解質も失われます。
そのような脱水状態では、経口補水液が選択肢になることがあります。
一方、スポーツドリンクやお茶、水にもそれぞれ特徴があります。
次の記事では、吐いたあとに何を飲むのか、水・お茶・経口補水液を比較して詳しく解説します。
経口補水液と普通の水は同じではない
経口補水液は、脱水時に水分と電解質を補給するために成分が調整されています。
そのため、単なる「体によさそうな水」ではありません。
嘔吐や下痢などによる脱水時に利用されることがありますが、普段の水分補給として必要以上に飲むものではありません。
また、持病がある場合などは摂取に注意が必要なこともあるため、必要に応じて医師などに相談しましょう。
スポーツドリンクなら一気飲みしてもいい?
水ではなくスポーツドリンクなら大量に飲んでもよい、というわけではありません。
どのような飲み物でも、吐いた直後に大量に飲めば胃が膨らみ、再び吐き気につながることがあります。
また、スポーツドリンクと経口補水液は成分や目的が異なります。
「電解質が入っているから全部同じ」と考えず、状態に応じて使い分けましょう。
冷たい水と常温の水、どちらがいい?
吐いたあとは「冷たい水のほうが飲みやすい」「常温のほうが楽」など、人によって感じ方が異なります。
必ず特定の温度でなければならないわけではありません。
極端に熱い飲み物などは避け、自分が少量ずつ無理なく飲める温度を選ぶとよいでしょう。
重要なのは、温度だけにこだわることより、吐き気を悪化させず水分を補給できるかどうかです。
運動中に吐いた場合は発汗量にも注意
ラーメンマラソンから考えると、運動中の嘔吐では「吐いた分」だけを考えるのでは不十分です。
走っている間には汗でも水分を失っています。
特に暑い環境で長時間運動していた場合には、
- 運動による発汗
- 嘔吐による水分喪失
- その後、水分を飲めない状態
が重なる可能性があります。
そのため、運動中に嘔吐した場合には、運動を中止して休み、全身の状態を確認することが重要です。
暑い日の嘔吐は熱中症にも注意
暑い環境で運動していて吐いた場合、「食べ過ぎたから吐いた」と決めつけないようにしましょう。
吐き気や嘔吐は熱中症でもみられる症状です。
特に、
- 頭痛
- めまい
- ふらつき
- 強いだるさ
- 筋肉のけいれん
- 意識状態の変化
などがある場合には注意が必要です。
運動を中止して涼しい場所へ移動し、衣服を緩め、可能な範囲で体を冷やしましょう。
意識がおかしい人には水を飲ませない
「脱水かもしれないから水を飲ませよう」と思っても、意識状態がおかしい場合には無理に飲ませてはいけません。
意識がもうろうとしていると、うまく飲み込めず誤嚥する危険があります。
呼びかけへの反応がおかしい、受け答えができないなど重い症状がある場合には、速やかな救急要請を検討してください。
救急隊を待つ間も、熱中症が疑われる場合には可能な範囲で体を冷やします。
吐いたあとに食事より水分を優先したい理由
吐いた直後に、「食べたものを全部出してしまったから栄養をとらなければ」と焦る必要はありません。
まだ吐き気がある状態で食事を無理にとれば、再び気持ち悪くなることがあります。
まずは休息し、水分を無理なくとれる状態か確認しましょう。
水分がとれるようになり、吐き気が落ち着いてから、体調に合わせて食事を再開します。
吐いたあとに水分がとれているか確認するポイント
嘔吐後は「何mL飲んだか」だけでなく、全身の状態も確認しましょう。
例えば、
- 水分を飲んでも吐かないか
- 何度も嘔吐していないか
- 口の中が極端に乾いていないか
- 尿が極端に少なくなっていないか
- 強いだるさやふらつきがないか
- 普段通り受け答えができるか
などが確認のポイントになります。
ひとつの症状だけで脱水を判断するのではなく、全体の様子を見ることが大切です。
子どもが吐いたあとの水分補給は?
子どもが吐くと、心配になって「水をたくさん飲んで」と勧めたくなるかもしれません。
しかし、子どもの場合も吐いた直後の一気飲みは避け、吐き気の状態を確認しながら少量ずつ水分を試します。
特に小さな子どもでは、自分の体調をうまく説明できないことがあります。
水分がとれない、何度も吐く、尿が極端に少ない、ぐったりしているなど普段と違う様子がある場合には、早めに医療機関へ相談しましょう。
吐いたあとに注意したい受診のサイン
嘔吐後、次のような状態がある場合には医療機関への相談を検討してください。
- 何度も吐いている
- 少量の水分も保てない
- 水分がほとんどとれない
- 尿が極端に少ない
- 強い腹痛がある
- 激しい頭痛がある
- 血を吐いた
- 強いふらつきやだるさがある
- 症状がなかなか改善しない
また、意識状態がおかしい、自力で水分を飲めないほど状態が悪いなどの場合には、緊急性が高い可能性があります。
ラーメンマラソンから考える「吐いたあと」の重要性
ラーメンマラソンから考えると、注目されやすいのは「食べて走れるのか」「途中で吐いてしまうのか」という部分かもしれません。
しかし、健康面で重要なのは、吐いたあとの対応です。
運動中であれば、すでに汗によって水分を失っている可能性があります。
そこへ嘔吐が加われば、さらに水分や電解質が失われることがあります。
だからこそ、吐いたあとに大量の水を一気に飲むのではなく、運動を中止して体を休め、飲める状態なら少量ずつ水分を戻していくことが大切です。
まとめ
吐いたあとは水分補給が大切ですが、水を大量に一気飲みするのは避けましょう。
嘔吐直後は吐き気が残っていることがあり、一度に大量の飲み物を入れると、再び嘔吐につながることがあります。
意識がはっきりしていて自分で安全に飲める状態なら、吐き気を確認しながら少量ずつ水分補給を再開します。
ラーメンマラソンから考えると、運動中の嘔吐では汗による水分喪失も重なっている可能性があるため、脱水にも注意が必要です。
水分がとれない、何度も吐く、強い腹痛などがある場合には医療機関への相談を検討し、意識がおかしい場合などには速やかな救急要請を考えましょう。
次の記事では、「吐いたあとには何を飲めばいい?」という疑問に注目し、水・お茶・経口補水液の違いと選び方を詳しく解説します。

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