運動前の食事というと、「何を食べればいい?」という食品選びに注目しがちです。
おにぎりがいいのか、バナナがいいのか、それとも麺類がいいのか。
もちろん食事内容も重要ですが、もうひとつ忘れたくないのが「どのくらい食べるか」です。
同じ料理でも、適度な量を食べる場合と満腹になるまで食べる場合では、その後の運動のしやすさが変わることがあります。
国道ラーメンマラソンのように食事とランニングが組み合わさる状況から考えても、「量」は見逃せないポイントです。
ラーメンマラソンから考える今回は、運動前に満腹を避けたい理由と、食事量を考えるときのポイントを栄養士目線で解説します。
運動前は「何を食べるか」だけでは決まらない
運動前の食事では、炭水化物を中心にエネルギーを補給することが大切です。
しかし、「運動に向いている食品なら、たくさん食べても大丈夫」というわけではありません。
例えば、おにぎりが比較的食べやすいからといって、満腹になるまで何個も食べれば胃に入る量は増えます。
うどんのような料理でも、大盛りにして大量に食べれば同じです。
つまり、運動前の食事は、
- 何を食べるか
- どのくらい食べるか
- いつ食べるか
をセットで考えることが重要です。
食べる量が増えるほど胃の中身も増える
当たり前のようですが、食事量が増えれば胃に入る食べ物の量も増えます。
食べたものは胃の中で消化され、少しずつ腸へ送り出されていきます。
満腹になるほど食べた直後は、胃の中に多くの内容物が残っている状態です。
そこでランニングなどの激しい運動を始めると、
- 胃が重い
- お腹が張る
- げっぷが出る
- 胸やけがする
- 吐き気がする
といった不快感につながることがあります。
満腹だとランニングの揺れも気になりやすい
ランニングでは、着地するたびに体が繰り返し上下します。
胃の中に食べ物や飲み物が多く入った状態では、この揺れを不快に感じる人もいます。
普段なら問題なく走れるペースでも、食後すぐでは「お腹が重くて走りにくい」と感じることがあるでしょう。
運動前に食事量を調整するのは、単にカロリーを減らすためではありません。
胃腸が快適な状態で運動するためという意味もあります。
食べれば食べるほどエネルギーが増えるわけではない
「これからたくさん運動するから、できるだけたくさん食べておこう」と考える人もいるかもしれません。
確かに運動にはエネルギーが必要です。
しかし、食べたものがその瞬間にすべて運動のエネルギーとして使えるわけではありません。
食べ物は消化・吸収される必要があります。
運動直前に大量に食べても、胃の中に残った食事がかえって運動中の負担になることがあります。
運動前の食事では「最大限詰め込む」のではなく、運動までの時間を考えて適量をとることが大切です。
食事量は運動までの時間によって変える
運動前にどのくらい食べるかを考えるときには、運動開始までの時間が重要です。
運動まで十分な時間があるなら、通常の食事をとり、消化する時間を確保できます。
一方、運動開始まであまり時間がない場合には、食事量を少なくして胃への負担を抑える方法があります。
例えば、運動までの時間が短いときには、
- 小さめのおにぎり
- パン
- バナナ
- 少量のうどん
など、食べる量を調整しやすい食品が選択肢になります。
どの食品や量が合うかには個人差があるため、自分が快適に運動できる組み合わせを探してみましょう。
脂質が多い食事なら量にもさらに注意
運動前の食事では、量だけでなく脂質にも注目したいところです。
脂質を多く含む食事は、胃から腸へ移動するまでに時間がかかりやすい傾向があります。
そのため、
- 量が多い
- 脂質も多い
- 食べてから運動までの時間が短い
という条件が重なると、胃もたれなどを感じやすくなる可能性があります。
揚げ物や脂身の多い肉料理、こってりした料理などを運動直前にたくさん食べることは避けたほうがよいでしょう。
ラーメンは「一杯」という単位に注意
ラーメンマラソンから考えると、ラーメンには「一杯」というわかりやすい単位があります。
しかし、同じ一杯でも実際の量は同じとは限りません。
例えば、
- 麺の量
- スープの量
- チャーシューの枚数
- 卵などのトッピング
- 野菜の量
- 使われている油脂
などによって、食事全体のボリュームは大きく変わります。
さらに大盛りや替え玉を追加すれば、胃に入る量は増えていきます。
「ラーメン一杯だから多くない」と考えるのではなく、一杯の中身まで見ることが大切です。
スープや飲み物も胃に入る「量」の一部
食事量というと、固形物だけを数えてしまいがちです。
しかし、胃に入る量を考えるなら、スープや飲み物も無視できません。
例えばラーメンの麺と具材をしっかり食べたあとにスープをたくさん飲み、さらに運動前だからと大量の水分を一気にとれば、胃の中の容量はさらに増えます。
もちろん運動前の水分補給は重要です。
ただし、水分不足になってから直前にまとめて飲むのではなく、運動前から適切に補給しておくことを意識しましょう。
「腹八分目」なら運動にちょうどいい?
運動前には「腹八分目にすれば絶対に大丈夫」と考える必要もありません。
満腹感の感じ方には個人差があり、同じ量を食べても胃腸の状態は人によって違います。
さらに、運動まで3時間ある場合と30分しかない場合では条件が異なります。
「腹○分目」という感覚だけで決めるのではなく、食事量・食事内容・運動開始までの時間を合わせて考えましょう。
長時間運動するなら途中の補給も考える
長時間運動する予定がある場合、「途中でお腹が空いたら困るから」と運動前に大量に食べたくなることもあります。
しかし、長時間の運動では、最初にすべてのエネルギーを詰め込むのではなく、運動中の補給を組み合わせる方法があります。
競技や運動時間によって必要な補給は異なりますが、運動前・運動中・運動後に分けて考えることで、一度に大量に食べる必要性を減らせます。
大会などに参加する場合には、本番で初めて補給方法を試すのではなく、練習中から自分に合う食べ方を確認しておきましょう。
子どもの運動前も食べ過ぎには注意
子どもの運動会やスポーツの前にも、「たくさん食べて力をつけて」と食事量を増やしたくなることがあります。
しかし、子どもでも満腹状態ですぐ激しく動けば、お腹が痛くなったり気持ち悪くなったりする可能性があります。
普段食べ慣れている食品を中心に、運動開始までの時間に合わせて無理のない量をとることが大切です。
「全部食べなければ運動できない」と無理に食べさせるのではなく、その子の食欲や体調にも合わせましょう。
食べ過ぎてしまったらどうする?
運動前に予定より食べ過ぎてしまった場合でも、焦る必要はありません。
まずは消化する時間を確保します。
満腹感や胃の重さ、吐き気などが残っている場合には、激しい運動を避けましょう。
運動を始める場合も、いきなり全力で走るのではなく、ウォーキングや軽いジョギングなどから体調を確認します。
動き始めて胃の不快感が強くなる場合には、運動を中止して休みましょう。
運動中の吐き気は食べ過ぎだけが原因とは限らない
食事量が多かったあとに運動して吐き気が出ると、「やっぱり食べ過ぎたからだ」と考えたくなります。
しかし、運動中の吐き気にはさまざまな要因が関係します。
特に暑い環境では、脱水や熱中症にも注意が必要です。
吐き気に加えて、頭痛、めまい、強いだるさ、ふらつきなどがある場合には運動を中止し、涼しい場所へ移動して体を冷やしましょう。
自力で水分がとれない、意識がもうろうとしている、受け答えがおかしい場合には、速やかな救急要請を検討してください。
ラーメンマラソンから考える「適量」の大切さ
ラーメンマラソンから考えると、運動と食事の関係では「何を食べたか」だけでなく「どのくらい食べたか」が非常に重要です。
炭水化物は運動のエネルギー源になります。
たんぱく質や脂質も体に必要な栄養素です。
しかし、必要な栄養素が含まれているからといって、運動直前に大量に食べればよいわけではありません。
運動に必要な栄養をとりながら、胃腸が快適に動ける量に調整することがポイントです。
まとめ
運動前の食事では、「何を食べるか」と同じくらい「どのくらい食べるか」が大切です。
満腹になるほど食べた直後に激しく運動すると、胃の重さやお腹の張り、腹痛、吐き気などにつながることがあります。
運動まで十分な時間がある場合は通常の食事をとって消化する時間を確保し、時間が短い場合には食事量を調整する方法があります。
ラーメンマラソンから考えると、運動前の食事は「たくさん食べてエネルギーをためる」のではなく、内容・量・タイミングの3つを組み合わせることが重要です。
ここまで食後の運動について見てきましたが、次の記事からは「運動すると吐き気がするのはなぜ?」という疑問に注目します。
運動中の吐き気には、食事だけでなく運動強度や水分不足、暑さなどさまざまな要因が関係します。次の記事では、考えられる原因をひとつずつ整理していきます。

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