麻布十番納涼まつりで販売された「冷やし蟹ラーメン」による大規模な食中毒。
患者数が123人に増えたことに加え、今回もうひとつ注目されているのが、
「そもそも屋台で冷たいラーメンを販売してよかったの?」
という疑問です。
一般的な屋台では、食品衛生上の理由から取り扱える食品に制限があります。
ところが今回、港区は冷やし蟹ラーメンの販売形態について「違反ではない」と説明しています。
その理由は、今回の冷やし蟹ラーメンが、祭りのテント内で一から調理された一般的な屋台料理とは異なり、店舗内で調理し、「弁当」のような形で店前のテントで販売する形態として届け出られていたためです。
今回は、麻布十番の冷やし蟹ラーメンがなぜ「弁当扱い」とされたのか、一般的な屋台販売との違いを整理します。
「屋台で冷たいラーメンを売って大丈夫だった?」との疑問
今回の食中毒が明らかになった後、SNSなどでは、
「冷たいラーメンを屋台で売ってよかったの?」
「保健所の許可はどうなっていた?」
といった疑問が出ました。
こうした疑問が出た背景には、屋台で取り扱える食品には一定の制限があることがあります。
報道では、屋台について、かき氷などの例外を除き、客へ提供する直前に加熱処理を行わないものは取り扱わないというルールが紹介されています。
冷やしラーメンは名前の通り、提供時に熱々まで加熱する料理ではありません。
そのため、
「屋台のルールに反するのでは?」
という疑問につながったわけです。
港区長「今回は違反ではない」
しかし今回の販売について、港区の清家愛区長は取材に対し、「今回は違反ではない」と説明しています。
理由は販売方法にあります。
今回の冷やし蟹ラーメンは、祭り会場のテント内で一から調理して提供する方式ではありませんでした。
店舗の中で調理したものを、弁当のような形にして店の前に設置したテントで販売する形態として届け出を受けていたと説明されています。
つまり、
「屋台で冷やしラーメンを調理して販売」
という単純な構図ではなかったのです。
冷やし蟹ラーメンは「弁当と同じ扱い」だった
最新報道では、店舗で作った冷やし蟹ラーメンについて「弁当と同じ扱い」と説明されています。
実際に保健所へ提出された書類についても、店舗で弁当にすることや、温度管理に注意する旨が店側によって記載されていたと報じられています。
ここが、一般的にイメージする祭りの屋台との大きな違いです。
屋台で調理してその場で提供する食品ではなく、営業許可を受けた店舗で調理した食品を、店頭で販売するという形態だったわけです。
港区公式発表でも「区内の飲食店内で調理」と記載
この点は、港区が9月3日に公表した食中毒調査結果からも確認できます。
港区によると、原因食品となった冷やし蟹ラーメンは、
区内の飲食店内で調理し、イベント会場へ持ち込んで販売されたもの
でした。
つまり、イベント会場の簡易なテント設備だけで調理された料理ではありません。
今回の食中毒を考えるうえでは、この販売形態を正確に理解しておく必要があります。
「弁当扱いだった」=食品衛生上安全という意味ではない
ここで特に注意したいのが、
「弁当として販売できた」ことと、「食品衛生上安全だった」ことは別問題
だという点です。
港区が「違反ではない」と説明しているのは、今回届け出られていた販売形態についてです。
実際には、その冷やし蟹ラーメンを原因食品とするサルモネラ属菌による食中毒が発生しました。
9月3日の港区公式発表時点で患者は78人。
その後の調査で、食中毒患者として認定された人数は123人に増えています。
「販売方法として届け出が認められていた」ことと、「調理・保存・提供まで適切な衛生管理が行われていたか」は分けて考える必要があります。
冷たい料理では温度管理が重要
食品衛生の視点から見ると、冷たい状態で提供する料理では温度管理が非常に重要です。
加熱してすぐ提供する料理なら、十分な加熱によって多くの食中毒菌を減らすことができます。
一方、加熱した後に冷却して提供する料理では、
- 加熱後の冷却
- 冷蔵保存
- 盛り付け
- 運搬
- 販売
という複数の工程があります。
その途中で温度管理が不十分だったり、調理器具や人の手などから二次汚染が起きたりすれば、食品中で微生物が増殖する可能性があります。
特にイベントでは大量調理や大量販売になることもあるため、普段とは違う調理量や作業工程も考慮した衛生管理が必要になります。
店側も「冷やし」がイベントに適していなかったと説明
今回の店舗代表は取材に対し、冷やし蟹ラーメンという商品自体が今回の祭りの販売に適していなかったとの認識を示しています。
その理由について、「冷やし」である部分を挙げています。
ただし、今回の食中毒について、
「冷たいラーメンだったから食中毒になった」
と単純に結論づけることはできません。
冷たい食品でも適切に衛生管理されていれば提供できます。
反対に、温かい料理でも調理や保存方法が不適切なら食中毒は起こり得ます。
重要なのは、その食品に適した温度管理や調理工程、二次汚染防止などを徹底することです。
今回の問題は販売形態だけではない
さらに今回の最新報道では、店舗側が日々の衛生管理の実施状況を記録していなかったことも明らかになりました。
みなと保健所長は、衛生管理計画に基づく記録を通常営業時から行っていなかったと説明しています。
つまり今回の事案を、
「屋台で冷たいラーメンを販売したから起きた」
という一点だけで説明することはできません。
店舗での衛生管理、調理工程、温度管理、運搬、販売まで、食品が客の手に渡るまでの流れ全体を見る必要があります。
「無許可で販売した」と断定するのは誤り
今回の食中毒についてインターネット上では、販売許可そのものを疑う声も出ています。
しかし、現時点で確認できる港区側の説明では、今回の出店形態は違反ではありません。
店舗側も、無許可で販売したことを隠して出店したという趣旨の情報について否定しています。
食中毒が発生したことは事実ですが、それを理由に、
「無許可の屋台だった」
と事実確認なく断定するのは避けるべきです。
食品衛生の問題を考えるときこそ、許可・届け出の問題と、実際の衛生管理上の問題を分けて整理する必要があります。
まとめ|「屋台で冷たいラーメンを無許可販売」ではなかった
麻布十番納涼まつりで食中毒の原因となった冷やし蟹ラーメンについて、港区は今回の販売形態を「違反ではない」と説明しています。
冷やし蟹ラーメンはイベント会場のテントで一から調理したものではなく、区内の飲食店で調理し、弁当のような形で店前のテントで販売する形態として届け出られていました。
そのため、「屋台で冷たいラーメンを無許可で販売していた」と単純に理解するのは正確ではありません。
一方、販売形態が認められていたからといって、食品衛生上の管理に問題がなかったという意味でもありません。
今回、冷やし蟹ラーメンを原因食品とするサルモネラ属菌による大規模な食中毒が発生し、さらに通常営業時から衛生管理の記録が行われていなかったことも明らかになっています。
「販売する資格があったか」と「食品を安全に管理できていたか」は別の問題。
今回の事案は、その違いを分けて考える必要があります。

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