夏だけじゃない?ノロウイルス食中毒注意報・警戒情報が冬に出る理由

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「食中毒注意報」と聞くと、気温や湿度が高い真夏をイメージする人が多いかもしれません。

確かに夏は細菌性食中毒への注意が必要な季節です。

しかし、食中毒への注意喚起が必要なのは夏だけではありません。

秋から冬にかけては、ノロウイルスによる食中毒に注意が必要になります。

自治体によっては、夏の食中毒注意報・警報とは別に、「ノロウイルス食中毒注意報」や「ノロウイルス食中毒警戒情報」などを発表しています。

この記事では、なぜ冬にも食中毒の注意情報が出るのか、実際の自治体の制度や2025〜2026年シーズンの発令例をもとに解説します。

食中毒は夏だけに起こるものではない

夏に食中毒警報が発令されると、「暑い=食中毒」という印象を持ちやすくなります。

しかし、食中毒にはさまざまな原因があります。

細菌、ウイルス、寄生虫、自然毒など原因によって特徴が異なり、注意したい季節も同じではありません。

その代表的なものがノロウイルスです。

ノロウイルスは秋から冬に注意

ノロウイルスによる食中毒は、秋から冬にかけて多く発生する傾向があります。

神奈川県も、ノロウイルスを原因とする食中毒は毎年秋から冬にかけて多く発生すると説明しています。

そのため、夏の高温時だけ食品衛生に気をつければよいわけではありません。

冬には冬の食中毒対策が必要になります。

冬は気温30℃にならなくても注意情報が出る

夏の食中毒注意報・警報では、気温や湿度などの気象条件が発令基準として使われることがあります。

しかし、ノロウイルスを対象とした注意情報では事情が異なります。

感染性胃腸炎の患者数やノロウイルス食中毒の発生件数などを基準としている自治体があります。

つまり、

「気温が低いから食中毒注意報は出ない」

とは限りません。

滋賀県には「ノロウイルス食中毒注意報」がある

滋賀県では、夏季の食中毒注意報とは別に「ノロウイルス食中毒注意報」を運用しています。

2025〜2026年シーズンの発令対象期間は、2025年11月1日から2026年3月31日までです。

発令対象範囲は、大津市を含む滋賀県全域となっています。

滋賀県では感染性胃腸炎の増加も基準

滋賀県のノロウイルス食中毒注意報では、感染症発生動向調査による感染性胃腸炎の患者数が発令判断に利用されています。

保健所ごとの定点患者数を確認し、前週からの定点増加率が1.6以上となった保健所が複数認められた場合が基準のひとつです。

また、2週間以内にノロウイルスによる食中毒事件が2件発生した場合も発令基準となります。

2026年2月にも滋賀県で注意報

2025〜2026年シーズンには、滋賀県でノロウイルス食中毒注意報が複数回発令されました。

第3回は2026年1月22日から2月11日まで。

さらに第4回は2026年2月13日から3月4日まで発令されています。

真冬にも食中毒注意報が実際に発令されていることがわかります。

岐阜県にも冬のノロウイルス食中毒注意報

岐阜県でも、夏の食中毒警報とは別に「ノロウイルス食中毒注意報」があります。

2025年11月6日にはノロウイルス食中毒注意報が発表され、発表期間は2026年3月31日までとされました。

岐阜県では原則として10月1日から翌年3月31日までを注意報発表期間としています。

岐阜県も感染性胃腸炎の動向を見る

岐阜県では、県内でノロウイルス食中毒が1か月以内に2件以上発生した場合が発表条件のひとつです。

さらに感染症発生動向調査における定点医療機関当たりの感染性胃腸炎報告症例数について、

  • 前週と比較して2週続けて1.1倍以上
  • 前週と比較して2倍以上

などの条件も設定されています。

夏の「最高気温○℃」とは、発令基準の考え方が大きく違います。

神奈川県では「警戒情報」という名前

さらに名称が違う自治体もあります。

神奈川県では「ノロウイルス食中毒警戒情報」という名称を使っています。

2025年10月14日には、県内の感染性胃腸炎の定点当たり報告数が4.22となり、発令基準の4.0を超えたため、警戒情報が発令されました。

発令期間は2026年3月31日まででした。

神奈川県では「3週間連続上昇」も基準

神奈川県では10月以降、感染性胃腸炎の定点当たり報告数について、

  • 前週より3週間連続して上昇した場合
  • 定点当たり報告数が4.0を超えた場合

のいずれかに該当すると、ノロウイルス食中毒警戒情報を発令する仕組みです。

このように、冬の注意情報では感染性胃腸炎の流行状況が重要な指標として利用されています。

静岡県では「ノロウイルス食中毒警報」

静岡県でも、ノロウイルスを対象とした食中毒警報が発表されることがあります。

2026年3月5日には「食中毒警報(ノロウイルス食中毒 第2号)」が発表されました。

2月22日に県内でノロウイルス食中毒が2件連続して発生したことから、食品取扱施設と一般家庭へ注意を促すために発表されたものです。

有効期間は3月5日から3月11日まででした。

同じノロウイルスでも名称が違う

ここまでの例を並べると、

  • 滋賀県:ノロウイルス食中毒注意報
  • 岐阜県:ノロウイルス食中毒注意報
  • 神奈川県:ノロウイルス食中毒警戒情報
  • 静岡県:食中毒警報(ノロウイルス食中毒)

となります。

同じノロウイルス食中毒への注意喚起でも、全国で名称は統一されていません。

夏の警報と冬の注意情報では対策も違う

夏の細菌性食中毒では、食品を適切な温度で保存して細菌を「増やさない」ことが重要です。

一方、ノロウイルスは食品中で増殖するわけではありません。

人の腸管内で増殖し、感染者の便やおう吐物などに多量のウイルスが排出されます。

そのため、感染した人の手などを介して食品を汚染する二次汚染にも注意が必要です。

ノロウイルス対策では手洗いが重要

ノロウイルス食中毒を防ぐうえで、基本となるのが手洗いです。

調理前、食事前、トイレの後などには、石けんと流水で丁寧に手を洗いましょう。

特に食品を扱う人は、自分自身の体調管理も重要です。

下痢やおう吐などの症状がある場合には、食品を直接取り扱う作業を控える必要があります。

食品は十分に加熱する

ノロウイルスによる汚染のおそれがある二枚貝など、加熱して食べる食品は中心部まで十分に加熱します。

ノロウイルスの汚染のおそれがある食品については、中心部を85〜90℃で90秒以上加熱することが目安とされています。

表面だけ温めるのではなく、中心部までしっかり加熱することがポイントです。

調理器具からの二次汚染にも注意

まな板、包丁、ふきんなどの調理器具を介して食品が汚染されることもあります。

使用した調理器具は十分に洗浄し、必要に応じて熱湯や塩素系の消毒剤などを用いて適切に消毒します。

食品だけを見るのではなく、手指や調理環境を含めた衛生管理が重要です。

おう吐物の処理にも注意

ノロウイルスは感染力が強く、感染者のおう吐物や便には多量のウイルスが含まれることがあります。

おう吐物などを処理するときは直接触れないようにし、周囲を汚染しないよう適切に処理することが大切です。

処理後には石けんと流水で十分に手を洗いましょう。

アルコールだけに頼らない

ノロウイルス対策では、アルコール消毒だけに頼らないことも重要です。

手指については、石けんと流水による丁寧な手洗いでウイルスを物理的に洗い流すことが基本です。

調理器具やおう吐物で汚染された場所については、対象に応じて加熱や塩素系消毒剤など適切な方法を選びます。

冬のお弁当なら食中毒の心配はない?

気温が低い冬でも、食品衛生をおろそかにしてよいわけではありません。

特にノロウイルスの場合、夏の細菌性食中毒のように「食品を冷やして菌を増やさない」という対策だけでは防げません。

調理する人の健康管理や手洗い、二次汚染の防止、十分な加熱などが重要になります。

「食中毒警報=気温を見るもの」と思わない

夏の食中毒警報では、最高気温や最低気温、湿度、高温が続く時間などが発令基準として使われる自治体があります。

一方、冬のノロウイルス注意情報では、感染性胃腸炎の患者数やノロウイルス食中毒の発生状況などが判断材料になります。

つまり、食中毒注意報・警報は「暑さだけを見る情報」ではありません。

自分の地域では何という名前?

ノロウイルスへの注意情報も全国共通名称ではないため、自分の地域について調べる場合は、

「○○県 ノロウイルス 食中毒 注意報」

「○○県 ノロウイルス 食中毒 警報」

「○○県 ノロウイルス 警戒情報」

など、いくつかの言葉で自治体公式サイトを確認するとよいでしょう。

まとめ|食中毒の注意情報は冬にもチェックしよう

食中毒注意報・警報は夏だけのものではありません。

秋から冬にかけてはノロウイルスによる食中毒が多くなるため、自治体によっては専用の注意情報を発表しています。

2025〜2026年シーズンでも、滋賀県や岐阜県では「ノロウイルス食中毒注意報」、神奈川県では「ノロウイルス食中毒警戒情報」が発令されました。

静岡県でも2026年3月5日に「食中毒警報(ノロウイルス食中毒 第2号)」が発表されています。

しかも発令基準は夏の気温だけを基準とするものとは異なり、感染性胃腸炎の患者数や実際のノロウイルス食中毒発生状況などが利用されています。

「夏が終わったから食中毒シーズンも終了」ではありません。

冬は手洗い、調理する人の健康管理、二次汚染防止、十分な加熱など、ノロウイルスを意識した食中毒予防を続けましょう。

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