秋になると、山や野原、公園などでさまざまなキノコを見かけるようになります。
「これ、食べられるキノコかな?」
「せっかく見つけたから持ち帰ってみたい」
と思うこともあるかもしれません。
しかし、野生キノコには食用キノコとよく似た毒キノコがあり、見た目だけで安全に判断することが難しいものがあります。
そこで厚生労働省や農林水産省が呼びかけているのが、食用と確実に判断できないキノコを、
- 採らない
- 食べない
- 売らない
- 人にあげない
という4つの原則です。
この記事では、この4原則がなぜ重要なのか、野生キノコを安全に楽しむためのポイントとともに解説します。
- 毒キノコによる食中毒は今も発生している
- まず大切なのは「採らない」
- 自然観察なら採らなくても楽しめる
- 2つ目は「食べない」
- 「少しだけ味見」もしない
- 加熱すれば安全になるとは限らない
- 3つ目は「売らない」
- フリマサイトやネット販売にも注意
- 4つ目は「人にあげない」
- 「毎年食べている」は安全の証明にならない
- 知人が「大丈夫」と言っても注意
- AIが「食用」と答えた場合も同じ
- 写真と同じキノコに見えても安心できない
- キノコに関する迷信を信用しない
- 公園や庭に生えたキノコにも注意
- 子どもたちとキノコを見つけたら?
- キノコ狩りをするときは地域の情報も確認する
- 食べるなら流通しているキノコを選ぶ方法も
- もし野生キノコを食べて体調が悪くなったら?
- 野生キノコを安全に楽しむために覚えたいこと
- まとめ|迷ったら4原則に戻ろう
毒キノコによる食中毒は今も発生している
毒キノコによる食中毒は、過去の話ではありません。
毎年、野生キノコを食用だと思って食べ、食中毒になる事例が発生しています。
厚生労働省は、山で採ったキノコだけでなく、自宅の敷地内で採取したキノコを食べた事例や、人から譲り受けたキノコを食べて食中毒になった事例なども紹介しています。
つまり、毒キノコ食中毒はキノコ狩りをする人だけの問題ではありません。
まず大切なのは「採らない」
4原則の最初が、食用と確実に判断できないキノコを採らないことです。
なぜなら、採取した時点で、
「せっかく持って帰ったから食べてみよう」
「詳しい人に見せれば大丈夫かも」
という次の行動につながりやすくなるからです。
また、複数のキノコを一緒に採取すると、毒キノコが混ざってしまう可能性もあります。
農林水産省も、食用キノコと毒キノコは同じ場所に生えることがあり、混ざってしまった後で見分けることが難しい場合があると注意しています。
自然観察なら採らなくても楽しめる
野生キノコを楽しむ方法は、食べることだけではありません。
その場で写真を撮ったり、形や色を観察したり、どんな種類があるのか調べたりすることもできます。
自然観察として楽しむのであれば、無理に採取する必要はありません。
「見つけたら食べる」ではなく、
「見つけたら観察する」
という楽しみ方もあります。
2つ目は「食べない」
食用と確実に判断できない野生キノコは、食べないことが重要です。
毒キノコの中には、食用キノコと見た目が似ているものがあります。
たとえば、ツキヨタケはヒラタケやムキタケ、シイタケなどと間違えられることがあります。
クサウラベニタケも、食用のキノコと混同されることがあります。
「似ているから大丈夫」
という判断はできません。
「少しだけ味見」もしない
種類がわからないキノコについて、
「少しだけ食べてみればわかる」
と考えるのも危険です。
毒キノコによっては、食べることで嘔吐、下痢、腹痛などの症状を起こします。
種類によっては重い中毒症状を起こすものもあります。
味見を食用判定の方法にしないようにしましょう。
加熱すれば安全になるとは限らない
「生では危なくても、加熱すれば大丈夫なのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、毒キノコによる食中毒はキノコそのものに含まれる自然毒によって起こります。
炒めたり、煮たり、ゆでたりしたからといって、安全になるとは限りません。
食用と確実に判断できないものは、調理して試さないことが大切です。
3つ目は「売らない」
自分では食べなくても、
「食べられそうだから誰かに売ろう」
という行為も危険です。
農林水産省は、食用と確実に判断できない野生キノコを販売しないよう呼びかけています。
毒キノコを誤って販売すれば、購入した人に食中毒が発生する可能性があります。
販売する側には、自分だけではなく購入する人の安全を守る責任があります。
フリマサイトやネット販売にも注意
農林水産省は、フリーマーケットサイトやオークションサイトなどで野生キノコが販売されていることについても注意を呼びかけています。
食用と確実に判断できない野生キノコを食用として販売しないこと。
そして購入する側も、食用かどうか確実に判断できない野生キノコを購入して食べないことが重要です。
4つ目は「人にあげない」
毒キノコ食中毒では、採取した本人だけが被害に遭うとは限りません。
「たくさん採れたからおすそ分け」
と知人や家族へ渡し、その人が食べて食中毒になる可能性もあります。
厚生労働省も、人から譲り受けた野生キノコを食べたことによる食中毒事例が発生しているとしています。
自分が食べられると思っていることと、安全が確認されていることは別です。
「毎年食べている」は安全の証明にならない
野生キノコについて、
「この山では毎年採っている」
「去年も食べたから大丈夫」
という経験がある人もいるでしょう。
しかし、同じ場所に違う種類のキノコが生えることがあります。
農林水産省は、食用キノコと間違えられやすい毒キノコが同じ場所に生えている場合もあると説明しています。
去年の経験だけで、今年採ったキノコの安全性を判断することはできません。
知人が「大丈夫」と言っても注意
キノコに詳しいという知人から、
「これは食べられるよ」
と言われることもあるかもしれません。
しかし、実際に人から譲り受けた野生キノコによる食中毒は発生しています。
誰かが大丈夫と言ったことだけを理由に食べないようにしましょう。
AIが「食用」と答えた場合も同じ
最近では、野生キノコの写真をAIへ送って種類を調べることもできます。
しかし、AIの回答も食用の保証にはなりません。
厚生労働省は、キノコには個体差があるため、インターネットなどの画像検索結果から食べられると判断することも危険だと注意しています。
AIや画像検索は、キノコについて学ぶための情報収集には利用できます。
一方で、
「AIが食用と言ったから食べる」
という使い方は避けましょう。
写真と同じキノコに見えても安心できない
キノコには個体差があり、成長段階や環境によって見た目が変化します。
ネット上の写真や図鑑とよく似ていても、それだけで同じ種類だと判断することはできません。
また、一枚の写真には傘の裏側や柄、根元などが写っていないこともあります。
「写真と一致したから食べられる」という考え方は避けましょう。
キノコに関する迷信を信用しない
野生キノコには、昔からさまざまな言い伝えがあります。
たとえば、
- 派手な色のキノコだけが毒
- 虫が食べているキノコは安全
- 縦に裂ければ食べられる
- 塩漬けにすれば毒が抜ける
といったものです。
しかし、このような方法で食用かどうかを判断することはできません。
迷信ではなく、食用と確実に判断できないものは食べないという原則を守ることが大切です。
公園や庭に生えたキノコにも注意
毒キノコは山の中だけに生えるとは限りません。
種類によっては、公園、芝生、庭、道路脇など人の生活圏に近い場所に発生することがあります。
厚生労働省も、自宅の敷地内で採取したキノコによる食中毒事例を紹介しています。
「庭に自然に生えたから安全」ということではありません。
子どもたちとキノコを見つけたら?
公園などで大きなキノコを見つけると、子どもたちが興味を持つことがあります。
そんなときは、食べるものとしてではなく、自然観察の対象として楽しむのがおすすめです。
写真を撮ったり、離れた場所から色や形を観察したりしながら、
「知らないキノコは食べない」
という安全のルールを伝える機会にもできます。
キノコ狩りをするときは地域の情報も確認する
野生キノコを採取する場合には、毒キノコだけでなく、地域ごとの採取ルールや出荷制限などにも注意が必要です。
厚生労働省では、キノコ狩りをする場合に、放射性物質のモニタリング検査結果や出荷制限などの情報を確認するよう案内しています。
地域の自治体や林野庁などが公表する最新情報も確認しましょう。
食べるなら流通しているキノコを選ぶ方法も
キノコを安全に楽しみたい場合、スーパーなどで一般に流通しているキノコを選ぶこともひとつの方法です。
シイタケ、エノキタケ、ブナシメジ、マイタケなど、身近なキノコでもさまざまな料理を楽しめます。
野生キノコを無理に食べなくても、秋の味覚を楽しむことはできます。
もし野生キノコを食べて体調が悪くなったら?
野生キノコを食べた後に、
- 吐き気
- 嘔吐
- 下痢
- 腹痛
- そのほか普段と違う症状
などが現れた場合には、すぐに医療機関を受診してください。
厚生労働省も、キノコを食べて体調が悪くなった場合は、すぐ病院で診察を受けるよう呼びかけています。
受診するときには、野生キノコを食べたことも伝えましょう。
野生キノコを安全に楽しむために覚えたいこと
野生キノコを安全に楽しむために必要なのは、すべての種類を見分けられるようになることではありません。
むしろ、
「わからないものを無理に食べない」
という判断が重要です。
AIや画像検索、図鑑は、自然について学ぶ道具として使う。
そして食用と確実に判断できないキノコについては、口にしない。
この線引きを意識しましょう。
まとめ|迷ったら4原則に戻ろう
野生キノコには、食用キノコとよく似た毒キノコがあります。
見た目、過去の経験、人からの情報、AIや画像検索の結果だけで、安全に食べられると判断することはできません。
厚生労働省や農林水産省が呼びかけている基本は、シンプルです。
- 採らない
- 食べない
- 売らない
- 人にあげない
対象は、食用と確実に判断できない野生キノコです。
自然観察として写真を撮ったり、キノコについて調べたりすることは楽しめます。
しかし、食べるかどうかについて迷ったときは、
「迷うなら食べない」
という安全側の判断を選びましょう。


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