嘔吐した場所の消毒はどうする?感染症が疑われる場合の基本

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家族が床やトイレなどで吐いてしまったあと、「拭き取ったからこれで大丈夫?」と迷うことがあります。

嘔吐物そのものを取り除くことは大切ですが、感染性胃腸炎などが疑われる場合には、その後の消毒まで考える必要があります。

特にノロウイルスは感染力が強く、嘔吐物や便を介して家庭内へ広がることがあります。

ラーメンマラソンから考える今回は、家庭で嘔吐が起きたとき、どこまで清掃・消毒すればよいのかをわかりやすく解説します。

  1. まず「掃除」と「消毒」は別と考えよう
  2. 最初に吐いた本人の状態を確認する
  3. 嘔吐物は乾く前に処理する
  4. 処理するときに用意したいもの
  5. まずペーパーで静かに取り除く
  6. 嘔吐物が残ったまま消毒液をかければいい?
  7. ノロウイルスが疑われる場合は塩素系消毒薬が基本
  8. 嘔吐物が付着した場所には濃いめの濃度が使われる
  9. 濃ければ濃いほどいいわけではない
  10. 床は拭き取ったあと消毒する
  11. 消毒後に水拭きが必要な場合も
  12. 塩素系漂白剤を原液のまま使わない
  13. 熱湯で希釈しない
  14. 作り置きしすぎない
  15. 塩素系漂白剤は絶対に酸性洗剤と混ぜない
  16. ほかの洗剤とも自己流で混ぜない
  17. 換気しながら使用する
  18. アルコールスプレーだけでいい?
  19. アルコールが全部無意味ということではない
  20. 「次亜塩素酸ナトリウム」と「次亜塩素酸水」は同じ?
  21. 手や皮膚に塩素系漂白剤を使わない
  22. カーペットはどう消毒する?
  23. 布団やマットレスの場合は?
  24. 衣類に付着した場合は?
  25. 洗濯機へそのまま入れない
  26. ドアノブや蛇口も消毒範囲に入ることがある
  27. スマートフォンも意外な注意ポイント
  28. トイレで吐いた場合は便器だけ見ない
  29. 洗面台で吐いた場合も周辺を確認
  30. 処理したごみは密閉する
  31. 処理後は手洗い
  32. タオルの共用にも注意
  33. 小さな子どもは消毒場所へ近づけない
  34. ペットがいる家庭でも注意
  35. 家庭に塩素系漂白剤がない場合は?
  36. 嘔吐物処理セットを作っておくと便利
  37. ラーメンマラソンでの嘔吐を感染症と結びつけない
  38. 「運動で吐いただけ」でも衛生処理はしておこう
  39. 消毒が終わっても本人の観察は続ける
  40. 家族が次々に嘔吐した場合は?
  41. 受診を考えたいサイン
  42. 暑い日の運動後なら熱中症への対応も
  43. ラーメンマラソンから考える「拭いて終わりにしない」
  44. まとめ

まず「掃除」と「消毒」は別と考えよう

嘔吐物処理で大切なのは、いきなり消毒液をかけることではありません。

最初に嘔吐物そのものをできるだけ取り除き、そのあとに周囲を消毒します。

つまり、

  1. 嘔吐物を取り除く
  2. 汚れた範囲を清掃する
  3. 必要に応じて消毒する

という流れで考えるとわかりやすいでしょう。

最初に吐いた本人の状態を確認する

床の汚れを見つけると、すぐ掃除したくなります。

しかし、何よりも先に確認したいのは吐いた本人の状態です。

意識がおかしい、呼びかけへの反応が鈍い、けいれんがある、自力で起き上がれないなどの場合には、消毒より救急対応を優先します。

特に暑い環境での運動後に吐いた場合には、熱中症の可能性にも注意が必要です。

嘔吐物は乾く前に処理する

ノロウイルスなどが疑われる場合、嘔吐物を長時間そのまま放置しないことが重要です。

厚生労働省も、嘔吐物や便が乾燥するとウイルスを含む細かな粒子が空中に漂う可能性があるため、乾燥しないうちに速やかに処理することを案内しています。0

ただし、慌てて素手で触ったり、雑巾で勢いよくこすったりするのは避けましょう。

処理するときに用意したいもの

家庭では次のようなものを用意しておくと便利です。

  • 使い捨て手袋
  • 使い捨てマスク
  • 使い捨てエプロン
  • ペーパータオル
  • ビニール袋
  • 塩素系消毒薬

処理途中に取りに行かなくて済むよう、あらかじめ一か所にまとめておくと安心です。

まずペーパーで静かに取り除く

床などに吐いた場合には、ペーパータオルなどで嘔吐物を覆い、外側から内側へ向かって静かに拭き取ります。

ゴシゴシ広げるように拭くのではなく、できるだけ汚染範囲を広げないことがポイントです。

使ったペーパーはその場でビニール袋へ入れます。

嘔吐物が残ったまま消毒液をかければいい?

嘔吐物が残った状態で、上から消毒液を大量にかけるだけでは十分とはいえません。

まず物理的に汚れを取り除き、そのあとに消毒することが重要です。

「消毒液を使ったから掃除不要」ではなく、拭き取りと消毒を分けて考えましょう。

ノロウイルスが疑われる場合は塩素系消毒薬が基本

ノロウイルス対策では、次亜塩素酸ナトリウムを使った消毒が代表的です。

厚生労働省では、ノロウイルスを完全に失活化する方法として、次亜塩素酸ナトリウムや加熱などを挙げています。1

家庭用の塩素系漂白剤には、次亜塩素酸ナトリウムを含む製品があります。

ただし、製品によって濃度が異なるため、必ず製品表示を確認しましょう。

嘔吐物が付着した場所には濃いめの濃度が使われる

厚生労働省の資料では、嘔吐物や便が付着した床や物には、次亜塩素酸ナトリウム0.1%、つまり約1,000ppmを目安とする例が示されています。2

一方、便座やドアノブ、手すりなどの環境消毒では、0.02%、約200ppmが目安として示されています。3

ただし、家庭用漂白剤は製品ごとに原液濃度が違います。

「キャップ何杯」と一律に覚えるのではなく、使う製品の表示やメーカーの案内を確認して希釈してください。

濃ければ濃いほどいいわけではない

消毒液は濃ければ強力で安心、というものではありません。

必要以上に濃くすると、

  • 素材を傷める
  • 金属を腐食させる
  • 衣類や床材を変色させる
  • 皮膚や呼吸器への刺激が強くなる

可能性があります。

目的に合った濃度を守ることが大切です。

床は拭き取ったあと消毒する

嘔吐物を取り除いた床は、必要に応じて塩素系消毒薬で拭きます。

厚生労働省のノロウイルスQ&Aでは、嘔吐物などを拭き取ったあと、次亜塩素酸ナトリウム約200ppmなどで床を浸すように拭き、その後水拭きする方法が示されています。4

一方、別の厚生労働省資料では、嘔吐物が直接付着した場所には1,000ppmが示されています。5

実際の使用では、施設のマニュアルや使用製品の説明に従いましょう。

消毒後に水拭きが必要な場合も

次亜塩素酸ナトリウムには金属を腐食させる性質があります。

そのため、ドアノブなど金属部分に使用した場合には、必要な時間をおいてから水拭きすることが重要です。6

床材なども変色することがあるため、素材への使用可否を確認しましょう。

塩素系漂白剤を原液のまま使わない

家庭用塩素系漂白剤を、嘔吐した床へ原液のまま大量にかけることは避けましょう。

素材を傷めるだけでなく、刺激も強くなります。

使用目的に応じて適切に希釈します。

熱湯で希釈しない

消毒液を作るときに、「熱いほうが効きそう」と熱湯を使う必要はありません。

厚生労働省の資料でも、塩素系消毒薬を熱湯で希釈しないよう示されています。7

製品の使用方法に従って調製しましょう。

作り置きしすぎない

塩素系消毒薬の希釈液は、時間の経過とともに有効濃度が低下します。8

そのため、「冬の間ずっと使えるように」と大量に作り置きするのではなく、必要なときに適切に調製するほうがよいでしょう。

塩素系漂白剤は絶対に酸性洗剤と混ぜない

家庭で特に注意したいのが、塩素系漂白剤と酸性タイプの洗剤を混ぜることです。

組み合わせによって有害な塩素ガスが発生する危険があります。

「消毒効果を高めたい」と複数の洗剤を混ぜることは絶対に避けましょう。

ほかの洗剤とも自己流で混ぜない

酸性洗剤以外でも、複数の薬剤を自己判断で混ぜることは避けます。

必ず単独で、製品表示に従って使用してください。

換気しながら使用する

塩素系製品を使用するときには換気も重要です。

窓を開けるなどして、十分に空気を入れ替えながら作業しましょう。

ただし、子どもやペットが処理場所へ近づかないようにすることも忘れないでください。

アルコールスプレーだけでいい?

家庭の消毒というと、アルコールスプレーを思い浮かべる人も多いでしょう。

しかし、ノロウイルスへの対策では、アルコールだけで十分とは限りません。

厚生労働省も、ノロウイルスを完全に失活化する方法としては、次亜塩素酸ナトリウムや加熱などを挙げています。9

「とりあえずアルコールを吹きかければOK」と考えないようにしましょう。

アルコールが全部無意味ということではない

一方で、アルコールがあらゆる感染症対策で無意味ということでもありません。

重要なのは、原因となる病原体や消毒する対象によって方法が異なることです。

ノロウイルスが疑われる嘔吐物の処理では、塩素系消毒薬など適切な方法を選ぶ必要があります。

「次亜塩素酸ナトリウム」と「次亜塩素酸水」は同じ?

名前が似ているため混同されやすいですが、次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水は別のものです。

濃度や使用方法も同じではありません。

家庭で使用するときには、手元の製品が何なのかを確認し、表示に従って使用しましょう。

手や皮膚に塩素系漂白剤を使わない

床の消毒に使う塩素系漂白剤を、手指消毒に使ってはいけません。

皮膚を傷める可能性があります。

嘔吐物処理後の手は、石けんと流水で丁寧に洗いましょう。

カーペットはどう消毒する?

カーペットやじゅうたんは、塩素系漂白剤を使うと脱色する可能性があります。

まず嘔吐物をできるだけ静かに取り除き、素材に適した処理方法を確認しましょう。

洗濯やクリーニングが可能なものは、その方法も検討します。

布団やマットレスの場合は?

布団やマットレスに吐いた場合には、中まで染み込んでしまうことがあります。

まず表面の嘔吐物を取り除き、洗えるカバー類は本体から外します。

塩素系漂白剤を使えない素材も多いため、洗濯表示やメーカーの案内を確認しましょう。

衣類に付着した場合は?

衣類へ嘔吐物が付いた場合には、手袋を着用し、固形物をできるだけ取り除きます。

汚れた衣類を勢いよく振ると周囲へ広がる可能性があるため、静かに扱いましょう。

素材によっては塩素系漂白剤が使えないため、洗濯表示の確認も必要です。

洗濯機へそのまま入れない

大量の嘔吐物が付着した衣類を、そのままほかの洗濯物と一緒に洗濯機へ入れるのは避けましょう。

まず固形物などを取り除き、必要な処理を行ってから洗濯します。

感染性胃腸炎が疑われる場合には、ほかの衣類と分けて扱う方法もあります。

ドアノブや蛇口も消毒範囲に入ることがある

嘔吐した本人や処理した人が触れた場所も確認しましょう。

例えば、

  • ドアノブ
  • トイレのレバー
  • 蛇口
  • 手すり
  • 照明スイッチ

などです。

厚生労働省も、ノロウイルス感染時にはドアノブや日用品など環境中からウイルスが検出されることがあるとしています。10

スマートフォンも意外な注意ポイント

嘔吐物を処理しながら、汚れた手袋のままスマートフォンで消毒方法を検索すると、端末へ汚れを移す可能性があります。

処理に必要な情報や道具は、できれば作業前に用意しておきましょう。

トイレで吐いた場合は便器だけ見ない

便器内へ吐いた場合でも、便座、床、壁、レバーなどへ細かく飛び散っている可能性があります。

見えている嘔吐物だけでなく、その周辺も確認しましょう。

洗面台で吐いた場合も周辺を確認

洗面ボウルへ吐いた場合には、排水口へ流して終わりにせず、蛇口や洗面台の縁、床なども確認します。

嘔吐時には思っているより広い範囲へ飛沫が広がることがあります。

処理したごみは密閉する

嘔吐物を拭いたペーパーや使用済み手袋などは、ビニール袋へ入れて密閉します。

厚生労働省では、嘔吐物などを拭き取ったペーパータオル等をビニール袋に密閉して廃棄する方法が示されています。11

袋の外側へ汚れが付かないように注意しましょう。

処理後は手洗い

手袋をしていた場合でも、処理後には石けんと流水で手を洗います。

手袋を外すときに手へ汚れが付く可能性もあるためです。

手洗い前に顔やスマートフォンなどへ触れないようにしましょう。

タオルの共用にも注意

感染性胃腸炎が疑われる場合には、家族全員が同じ手拭きタオルを使うことで汚染が広がる可能性があります。

個別のタオルやペーパータオルを利用する方法があります。

小さな子どもは消毒場所へ近づけない

乳幼児は床を触り、その手を口へ入れることがあります。

嘔吐物の処理や消毒をしている間は、できるだけ別の場所で過ごさせましょう。

塩素系消毒薬そのものに触れないよう、保管場所にも注意が必要です。

ペットがいる家庭でも注意

犬や猫などが床を舐めたり、処理場所へ近づいたりすることがあります。

掃除や消毒が終わるまでは別の部屋へ移動させると安心です。

消毒薬の使用後も、製品表示に従い、安全な状態になってから近づけましょう。

家庭に塩素系漂白剤がない場合は?

突然の嘔吐で、適切な消毒薬が手元にないこともあります。

その場合でも、まず嘔吐物を広げないよう静かに取り除き、石けんと流水による手洗いを徹底することが重要です。

原因不明の嘔吐が起こる可能性を考え、普段から処理用品を備えておくと安心です。

嘔吐物処理セットを作っておくと便利

家庭では、

  • 使い捨て手袋
  • マスク
  • エプロン
  • ペーパータオル
  • ビニール袋
  • 塩素系漂白剤

などを一つの箱にまとめておく方法があります。

小さな子どもがいる家庭では特に、急な夜間の嘔吐にも対応しやすくなります。

ラーメンマラソンでの嘔吐を感染症と結びつけない

ラーメンマラソンから考える記事ですが、番組内で起きた嘔吐について、感染症が原因だったと判断することはできません。

嘔吐には、食事量、運動強度、胃腸への刺激、暑さ、脱水、体調不良などさまざまな要因があります。

今回紹介している消毒方法は、家庭などで原因不明の嘔吐が起き、感染性胃腸炎の可能性も考える場合の一般的な衛生対策です。

「運動で吐いただけ」でも衛生処理はしておこう

仮に運動など感染症以外の原因が強く考えられる場合でも、嘔吐物を放置してよいわけではありません。

嘔吐物そのものは衛生的に処理し、床や周囲を清潔にしましょう。

原因を確定できない場合には、感染性の可能性も考えた処理をしておくほうが安心です。

消毒が終わっても本人の観察は続ける

部屋がきれいになったら、それで対応が終わりではありません。

吐いた本人について、

  • また吐いていないか
  • 水分を飲めているか
  • 尿が出ているか
  • 発熱や下痢がないか
  • 強い腹痛がないか
  • ぐったりしていないか

などを確認しましょう。

家族が次々に嘔吐した場合は?

同じ家庭内で複数人が短期間に嘔吐や下痢を起こした場合には、感染性胃腸炎や共通して食べた食品による食中毒なども考えられます。

症状の経過を確認し、水分がとれない場合や症状が強い場合には医療機関への相談を検討してください。

受診を考えたいサイン

嘔吐後に次のような状態がある場合には、掃除や消毒だけでなく医療機関への相談を考えましょう。

  • 嘔吐を繰り返している
  • 水分を飲んでも吐く
  • ほとんど水分がとれない
  • 尿が極端に少ない
  • 強い腹痛がある
  • 血を吐いた
  • 高熱や激しい頭痛がある
  • ぐったりしている
  • 症状が急激に悪化している

意識がおかしい、けいれんがある、自力で水分を飲めないほど状態が悪い場合には、速やかな救急要請を検討してください。

暑い日の運動後なら熱中症への対応も

暑い環境で運動したあとに吐いた場合には、熱中症にも注意が必要です。

頭痛、めまい、強いだるさ、ふらつき、意識状態の変化などがみられた場合には、運動を中止し、涼しい場所へ移動して体を冷やします。

意識がはっきりして安全に飲み込める場合のみ水分を補給し、自力で飲めない場合や意識がおかしい場合には救急対応を検討してください。

ラーメンマラソンから考える「拭いて終わりにしない」

ラーメンマラソンから考えると、嘔吐が起きた瞬間ばかりに目が向きます。

しかし家庭で実際に嘔吐が起きたときには、その後の処理も重要です。

特に原因が分からない場合には、嘔吐物をきれいに拭き取るだけでなく、感染性胃腸炎の可能性を考えて周囲を適切に消毒することが、家庭内への広がりを防ぐポイントになります。

「見た目がきれいになった=衛生的に処理できた」とは限りません。拭き取り、消毒、手洗いまでを一連の対応として考えましょう。

まとめ

嘔吐した場所を消毒するときには、まず嘔吐物そのものを使い捨て手袋とペーパータオルなどを使って静かに取り除きます。

感染性胃腸炎、特にノロウイルスが疑われる場合には、次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系消毒薬が利用されます。

厚生労働省の資料では、嘔吐物が付着した場所では1,000ppm、周辺の環境消毒では200ppm程度が示される場合がありますが、製品ごとに原液濃度が違うため、必ず表示やメーカーの使用方法を確認してください。12

また、塩素系漂白剤は酸性洗剤などと絶対に混ぜず、十分に換気しながら使用します。

消毒後は手袋を外し、石けんと流水でしっかり手を洗いましょう。

ラーメンマラソンから考えると、嘔吐の原因を映像だけで判断することはできません。しかし、家庭で原因不明の嘔吐が起きた場合には、感染性の可能性を想定して適切に清掃・消毒することが大切です。

次の記事ではラーメンそのものへ戻り、「ラーメンは塩分が多い?スープを全部飲んだ場合との違い」を栄養士目線で詳しく解説します。

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