新潟市西区の認定こども園「有明こども園」で、保育教諭による行為9件と園長の対応2件、合わせて11件が虐待と認定されました。
今回の問題を知って、ひとつ大きな疑問が残ります。
「以前にも問題があったのなら、なぜ今回の虐待を防げなかったのか?」
実は有明こども園では、2023年にも複数の不適切保育が確認され、新潟市から指導を受けていました。
しかも、その中には今回虐待をしたとされる保育教諭による事案も含まれていたと報じられています。
それから数年後、同じ保育教諭をめぐる問題が再び確認されました。
ただし、ここで「再発した原因はこれだ」と推測することはできません。
2023年に新潟市が具体的にどのような指導を行ったのか。
園がどのような改善策を取ったのか。
その後、改善状況をどのように確認していたのか。
現在公開されている情報だけでは、詳細が分からない部分もあります。
この記事では、確認できる事実を時系列で整理しながら、「分かっていること」と「まだ分からないこと」を切り分けます。
2023年|有明こども園で複数の不適切保育
今回の問題は、2026年に突然始まったわけではありません。
報道によると、有明こども園では2023年にも複数の不適切保育が確認され、新潟市から指導を受けています。
さらに、その中には今回虐待をしたとされる保育教諭による事案も含まれていました。
つまり、少なくとも2023年の時点で、同じ保育教諭の保育について何らかの問題が把握されていたことになります。
ただし、注意したい点があります。
現在確認できる公開情報では、2023年に有明こども園で確認された個々の不適切保育の詳細や、新潟市が園に対して行った具体的な指導内容までは明らかになっていません。
そのため、2023年の事案と今回認定された個々の虐待行為を同一の内容だったと考えることはできません。
2025年度~2026年6月|同じ保育教諭をめぐり再び問題
その後、2025年度から2026年6月までの間に、同じ保育教諭が複数の園児に対して不適切な行為をしたとされています。
報じられている行為には、
- あざができるほど強く押さえつける
- 腕をねじる
- 叩く
- 食べ物を口に押し込む
などがあります。
新潟市は、保育教諭による9件を虐待と認定しました。
つまり、2023年に市の指導を受けたあと、同じ保育教諭をめぐって再び問題が確認されたことになります。
今回は「園長の対応」も2件が虐待認定
さらに今回、注目したいのが園長の対応です。
虐待と認定された11件の内訳は、
- 保育教諭によるもの:9件
- 園長が適切な対応を取らなかったもの:2件
と報じられています。
つまり、新潟市が問題としたのは、保育教諭本人の行為だけではありません。
問題が起きたときの管理者側の対応についても、虐待認定に含まれています。
この点は、2023年の指導後に園全体としてどのような再発防止体制が作られていたのかを考えるうえでも重要です。
2026年8月3日|新潟市が11件を虐待認定し改善勧告
新潟市は2026年8月3日、保育教諭による9件と園長の対応2件、合わせて11件を虐待と認定し、改善勧告を通知しました。
今回問題となった保育教諭は現在、保育業務から外れています。
法人の聞き取りに対し、「感情のコントロールができていなかった」という趣旨の説明をしていると報じられています。
しかし、本人の感情だけを理由にして今回の問題全体を説明することはできません。
複数の行為がなぜ続いたのか。
周囲はどの段階で把握していたのか。
問題が把握されたとき、管理者はどのように対応したのか。
2023年の指導後に作られた再発防止策はどのようなものだったのか。
組織として検証する必要があるポイントは複数あります。
9月17日・18日|保護者説明会を開催
園では9月17日と18日の夜、保護者説明会を開き、虐待があったことを保護者へ説明しました。
18日の説明会後には、運営法人「新潟市有明福祉事業協会」の会長が取材に応じています。
報道によると、運営法人は今回の問題を一人の職員だけの問題として終わらせず、園の管理体制、法人による監督、園への支援体制などを含め、法人全体として改善に取り組む考えを示しています。
これは今回の問題を考えるうえで重要な発言です。
再発防止では、「問題を起こした職員を現場から外した」で終わるのではなく、問題を防げなかった組織の仕組みまで確認する必要があるからです。
2023年から今回までを時系列で整理
2023年
有明こども園で複数の不適切保育が確認され、新潟市が指導。今回虐待をしたとされる保育教諭による事案も含まれていたと報じられています。
2025年度~2026年6月
同じ保育教諭が複数の園児に対し、強く押さえつける、腕をねじる、叩く、食べ物を口に押し込むなどの行為をしたとされています。
2026年8月3日
新潟市が、保育教諭による9件と園長が適切な対応を取らなかった2件、計11件を虐待と認定。改善勧告を通知しました。
2026年9月17日・18日
園が保護者説明会を開催。
2026年9月18日
運営法人の会長が取材に応じ、園の管理体制や法人の監督、園への支援体制などを含めて改善に取り組む考えを示しました。
では「なぜ再発した」のか?
ここが最も気になるところです。
2023年に不適切保育が確認され、市から指導を受けていた。
それにもかかわらず、今回再び同じ保育教諭をめぐる問題が確認された。
この時系列だけを見ると、
「2023年の改善策が不十分だったのでは?」
「園長は以前から知っていたのでは?」
と考えたくなるかもしれません。
しかし、現時点の公開情報だけで、そこまで断定することはできません。
確認できる事実は、
- 2023年にも複数の不適切保育が確認された
- その中に今回の保育教諭による事案も含まれていた
- 新潟市が園を指導した
- その後、同じ保育教諭をめぐって再び問題が確認された
- 今回は保育教諭9件に加え、園長の対応2件も虐待と認定された
というところまでです。
「再び問題が起きた」という結果と、「なぜ再び起きたのか」という原因は分けて考える必要があります。
今後確認したいのは「指導後に何をしたのか」
再発の経緯を考えるうえで、今後特に確認したいのが2023年の指導後です。
たとえば、
- 2023年に新潟市は具体的に何を指導したのか
- 園はどのような改善策を作ったのか
- 職員への研修や指導は行われたのか
- 改善策が実際に現場で実施されていたのか
- その後の保育を誰が確認していたのか
- 問題を報告・相談できる仕組みは機能していたのか
- 運営法人は園をどのように監督していたのか
といった点です。
これらが明らかになれば、「指導を受けたのに、なぜ再び問題が起きたのか」をより具体的に検証できるようになります。
「指導した」で終わらせないことが重要
不適切な保育が見つかったとき、職員へ注意や指導をすることは必要です。
しかし、それだけで再発防止が完成するわけではありません。
なぜその行為が起きたのか。
周囲が気付ける環境だったのか。
気付いた職員が声を上げられたのか。
報告を受けた管理者が適切に対応できたのか。
改善後の状態を確認する仕組みがあったのか。
こうしたところまで見なければ、同じ問題が形を変えて起こる可能性があります。
保育は一人だけで行う仕事ではない
保育現場には多くの職員が関わります。
担任。
ほかの保育者。
子育て支援員。
栄養士や調理員。
看護師。
主任。
園長。
それぞれ役割は違いますが、子どもの安全を守るという目的は共通しています。
だからこそ、誰か一人の関わり方に違和感があったときに、
「あの先生のやり方だから」
「先輩だから言いにくい」
と流さず、子どもの安全を基準に確認できる仕組みが必要です。
「職員個人の問題」と「組織の問題」は分けずに見る
虐待や不適切保育が起きたとき、問題となった職員本人の行為を検証することは当然必要です。
しかし、それと同時に、
なぜ周囲が止められなかったのか。
なぜ管理者が適切に対応できなかったのか。
なぜ過去の指導が今回の問題を防ぐことにつながらなかったのか。
という組織側の検証も必要です。
今回、運営法人自身が園の管理体制や法人による監督、園への支援体制まで含めて改善すると説明しているのも、そのためと考えられます。
子育て支援員として感じる「違和感を止める仕組み」
私自身も子育て支援員として保育現場にいます。
保育では、毎日同じように見えても、子どもの状態は一人ひとり違います。
そして職員同士で子どもの様子を共有する場面もたくさんあります。
だからこそ、子どもへの関わり方について、
「あれ?」
と思ったときに声を上げられることは大切です。
問題が大きくなってから対応するのではなく、小さな違和感の段階で共有できる。
相談された管理者が確認する。
必要なら関わり方を変える。
その後も改善しているかを見る。
こうした流れが機能することが、子どもを守ることにつながります。
現時点で「分かっていること」と「分からないこと」
分かっていること
- 2023年に有明こども園で複数の不適切保育が確認された
- 今回問題となった保育教諭による事案も含まれていた
- 新潟市が園を指導した
- 2025年度から2026年6月までに、同じ保育教諭をめぐる問題が再び確認された
- 保育教諭による9件が虐待と認定された
- 園長が適切な対応を取らなかった2件も虐待と認定された
- 新潟市が改善勧告を通知した
- 運営法人が管理体制などを含めた改善に取り組む考えを示した
現時点の公開情報だけでは十分に分からないこと
- 2023年の個々の不適切保育の詳細
- 2023年に新潟市が行った具体的な指導内容
- 指導後に園が実施した具体的な改善策
- 改善策がどのように確認・評価されていたのか
- 今回の問題が続いた具体的な組織的背景
この二つを混ぜずに考えることが重要です。
まとめ|「再発した事実」と「再発した原因」は別
有明こども園では2023年にも複数の不適切保育が確認され、新潟市から指導を受けていました。
その中には、今回虐待をしたとされる保育教諭による事案も含まれていました。
その後、2025年度から2026年6月までの間に、同じ保育教諭をめぐって再び問題が確認されました。
そして今回は、保育教諭による9件だけでなく、園長が適切な対応を取らなかった2件についても虐待と認定されています。
ここまでが現在確認できる重要な事実です。
一方、
「2023年の指導後に何が行われていたのか」
「なぜ再び問題を防げなかったのか」
という部分は、現在の公開情報だけでは十分に明らかになっていません。
再発防止を考えるためには、問題を起こした職員本人だけでなく、過去の指導後の改善策、園の管理体制、法人の監督、問題を発見・報告・対応する仕組みまで検証する必要があります。
「以前にも指導されたのに、また起きた」という事実だけから原因を決めつけない。
その間に何が行われ、どこで再発防止の仕組みが機能しなかったのか。
今後の説明で確認したいポイントです。

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