「昔は秋になるとサンマが安く並んでいたのに」
そんな印象を持っている人も多いのではないでしょうか。
近年、日本のサンマ水揚げ量は大きく減少し、2026年も水産庁は漁期を通じた来遊量が前年を下回ると予測しています。
ここまで不漁が続くと、気になるのが「サンマはこれからもずっと獲れないの?」という問題です。
結論からいうと、今後資源が回復する可能性はあります。
ただし、漁獲量を減らせばすぐ昔の水準へ戻るほど単純な問題ではありません。
サンマには、資源量だけでなく海水温や海流、回遊ルート、餌環境、各国・地域による漁獲など複数の要因が関係しています。
この記事では、2026年時点の情報をもとに、サンマ不漁が今後どうなる可能性があるのか、資源回復とこれからの漁業について整理します。
- 結論|不漁がすぐ終わるとは言えないが、資源回復のための管理は進んでいる
- 日本のサンマ水揚げ量は大きく減少している
- 2026年も「来遊量は前年を下回る」予報
- 不漁はこれから毎年続くの?
- サンマが戻るには「魚が増える」だけでは足りない
- 海水温や海流は資源回復に大きく関係する
- 餌環境もサンマの成長と生き残りに関係
- 人間が直接変えられるのは「獲る量」
- 2026年は国際的な漁獲上限を5%削減
- 2027年はさらに10%削減へ
- 小さなサンマを守る取り組みも
- 獲ったサンマを無駄にしない管理も重要
- 国際管理が重要なのはサンマが国境を越えるから
- 資源回復には科学的な調査も必要
- これからのサンマ漁は「遠い漁場」への対応も課題
- 冷凍技術を使った新しい操業方法も実証へ
- これからのサンマ漁で必要になるもの
- 漁獲量を減らせばスーパーのサンマはさらに高くなる?
- 昔のような「安いサンマ」は戻る?
- 「サンマが絶滅する」という話ではない
- 今後見るべきポイントは?
- 2026年は「資源を守りながら漁を続ける」転換点のひとつ
- まとめ
結論|不漁がすぐ終わるとは言えないが、資源回復のための管理は進んでいる
2026年時点で、「来年には昔のように大量のサンマが戻ってくる」と断言できる状況ではありません。
日本のサンマ水揚げ量は長期的に大きく減少しており、海洋環境や回遊ルートにも変化が起きています。
一方で、サンマ資源を利用する国・地域では国際的な資源管理が進んでいます。
2026年には公海などの漁獲上限が前年より削減され、2027年にはさらに削減する方針も決まっています。
つまり現在は、
- 資源の状態を調べる
- 獲る量を抑える
- 海洋環境の変化を観測する
- 漁業そのものも変化へ対応する
という複数の取り組みを進めながら、サンマ資源の持続的利用を目指している段階です。
日本のサンマ水揚げ量は大きく減少している
サンマ不漁が一時的なものではないことは、長期的な水揚げ量を見ると分かります。
水産研究・教育機構によると、日本のサンマ水揚げ量は2014年の約22万トンから、2025年には約6万トンまで減少しました。
10年余りの間に大幅に減っていることになります。
この背景について、水産研究・教育機構は、気候変動によるサンマ資源の減少と、回遊経路の変化に伴う漁場の遠隔化を挙げています。
つまり、単純に「魚が少なくなった」だけではありません。
サンマがいる場所そのものが日本から遠くなり、獲りにくくなっているという問題もあります。
2026年も「来遊量は前年を下回る」予報
2026年7月に発表されたサンマ長期漁海況予報では、8月から12月の道東から常磐海域について、漁期を通じた来遊量は前年の水準を下回ると予測されました。
さらに、
- 漁獲物に占める1歳魚の割合は前年を下回る
- 1歳魚の体重も前年を下回る
との見通しも示されています。
2026年も、量とサイズの両面で厳しい予測が出ていることになります。
不漁はこれから毎年続くの?
ここで注意したいのは、「2026年が不漁予報だから、今後ずっと不漁」と決まったわけではないことです。
魚の資源量や回遊状況は毎年変化します。
海水温、海流、餌環境、若い魚の生き残りなどが変われば、資源量や日本近海への来遊量も変化する可能性があります。
そのため、将来のサンマ漁を正確に予測することは簡単ではありません。
一方、近年の減少が長期間続いていることを考えると、「来年になれば自然に元通り」と楽観することもできません。
サンマが戻るには「魚が増える」だけでは足りない
日本の食卓へサンマが戻るためには、大きく2つの条件があります。
ひとつは、北太平洋全体のサンマ資源量が増えることです。
もうひとつは、日本の漁船が獲りやすい海域へサンマが回遊することです。
| 必要な変化 | 意味 |
|---|---|
| 資源量の回復 | 北太平洋に存在するサンマ自体が増える |
| 回遊・漁場の変化 | 日本から比較的近い海域へ魚群が来る |
資源量が増えても魚群が遠い公海にいれば、日本の水揚げが昔のように増えるとは限りません。
逆に日本近海へ魚が来ても、資源量そのものが少なければ大量には獲れません。
海水温や海流は資源回復に大きく関係する
サンマの分布や回遊には海洋環境が深く関係しています。
近年は、親潮の南下の弱まりや釧路沖・三陸沖の海水温上昇などが、サンマの分布・回遊変化と関係する要因として指摘されています。
海水温や海流が変われば、サンマがどこを泳ぐかだけではなく、どこで餌を食べて成長するかも変わります。
そのため、資源回復を考えるときは漁獲量だけでなく、海洋環境の変化も長期的に観測する必要があります。
餌環境もサンマの成長と生き残りに関係
サンマは動物プランクトンなどを食べながら成長します。
水産庁は、サンマの回遊経路が餌環境の良くない沖合域へ変化したことなどが、資源量減少に関係している可能性を挙げています。
餌が十分になければ成長しにくくなり、生き残る割合にも影響する可能性があります。
つまり、漁獲を減らして親魚を残しても、海の環境がサンマにとって厳しければ、資源回復に時間がかかる場合があります。
人間が直接変えられるのは「獲る量」
海水温や海流を漁業者が直接コントロールすることはできません。
一方、人間が調整できるのが漁獲量です。
そのため資源が低い状態では、獲る量を抑えて魚を海に残すことが重要な資源管理手段になります。
サンマについても、日本国内ではTACによる管理が行われ、北太平洋全体ではNPFCによる国際的な漁獲上限が設定されています。
2026年は国際的な漁獲上限を5%削減
2026年4月に開催された北太平洋漁業委員会、NPFC第10回年次会合では、サンマの漁獲上限を前年より5%削減することが合意されました。
2026年の公海での漁獲上限は11万5425トン。
さらに、各国・地域のEEZを含む分布域全体の年間漁獲量は19万2375トン以内とされました。
| 区分 | 2026年の上限 |
|---|---|
| 公海 | 115,425トン |
| 分布域全体 | 192,375トン以内 |
| 日本・ロシアの200海里水域内 | 76,950トン以内 |
いずれも前年から5%削減された水準です。
2027年はさらに10%削減へ
2026年のNPFC会合では、翌2027年についても方向性が決まりました。
2027年には漁獲管理規則を適用し、2026年の漁獲上限から10%削減することで合意しています。
つまり国際的にも、サンマ資源への漁獲圧をさらに下げていく方向です。
ただし、この削減によって翌年から急激に資源が増えるという意味ではありません。
資源管理の効果は数年単位で確認していく必要があります。
小さなサンマを守る取り組みも
NPFCでは単純に総漁獲量を減らすだけでなく、小型魚を保護するための措置も行われています。
2026年の保存管理措置では、東経170度以東で6月から7月にサンマを対象とする操業を行うことが禁止されています。
まだ小さな魚を保護し、成長してから資源として利用することは、持続可能な漁業を考えるうえで重要です。
獲ったサンマを無駄にしない管理も重要
2026年の国際的な保存管理措置には、漁獲されたサンマの船上保持を義務化し、洋上投棄を防ぐルールも含まれています。
獲った魚を捨てず、正確な漁獲量を把握することは資源評価の精度を高めるためにも重要です。
資源管理は単に「漁獲枠を減らす」だけではなく、どれだけ獲ったのかを正確に記録するところまで含まれます。
国際管理が重要なのはサンマが国境を越えるから
サンマは日本近海だけで生活する魚ではありません。
北太平洋を広く回遊するため、日本、中国、台湾、韓国、ロシアなど複数の国・地域が同じ資源を利用します。
そのため、日本だけが漁獲量を減らしても十分な資源管理にならない場合があります。
サンマ資源を回復させるには、利用する国・地域が共通のルールで管理することが欠かせません。
資源回復には科学的な調査も必要
「獲る量をどこまで減らせばよいか」を決めるためには、そもそも海にサンマがどれくらいいるのかを知る必要があります。
水産研究・教育機構では、表層トロール調査などによってサンマの資源量や年齢構成を調べています。
こうした調査データをもとに、漁況予報や資源管理が行われます。
魚は海の中にいるため、陸上の家畜のように一匹ずつ数えることはできません。
だからこそ、継続的な調査と予測の精度向上が重要になります。
これからのサンマ漁は「遠い漁場」への対応も課題
近年のサンマ漁では、資源減少だけでなく漁場が遠くなったことも大きな課題です。
大型サンマ漁船は公海を中心に操業するようになっていますが、漁場までの往復航が長くなると燃料費が増えます。
さらに、長期間氷蔵することで鮮度が低下する問題もあります。
つまり今後の漁業は、サンマを守るだけでなく、遠くなった漁場でどう効率よく操業するかという課題にも対応する必要があります。
冷凍技術を使った新しい操業方法も実証へ
水産研究・教育機構は2026年、大型サンマ漁船を使い、船上で効率的に冷凍サンマ製品を生産する新たな操業体制の実証試験を始めています。
漁場が遠くなるなかで、獲ったサンマを高い品質のまま利用しやすくすることが目的です。
これまでのように「魚群を追って獲り、すぐ港へ戻る」だけではなく、漁場の沖合化に合わせて漁業の仕組みそのものを変える必要が出てきています。
これからのサンマ漁で必要になるもの
| 取り組み | 目的 |
|---|---|
| 漁獲上限の設定 | 資源への漁獲圧を抑える |
| 小型魚の保護 | 成長前の魚を守る |
| 国際協力 | 北太平洋全体で資源を管理する |
| 資源調査 | 現在の資源状態を正確に把握する |
| 海洋観測 | 水温や海流と回遊の関係を調べる |
| 操業方法の改善 | 遠い漁場でも効率よく漁を続ける |
| 冷凍・鮮度保持技術 | 漁獲物を無駄なく利用する |
漁獲量を減らせばスーパーのサンマはさらに高くなる?
漁獲上限を減らすと、「市場へ出るサンマが減ってさらに高くなるのでは?」と感じるかもしれません。
短期的には供給量が価格へ影響する可能性があります。
しかし、資源が減っているのに漁獲量を維持し続ければ、将来的にさらに魚が少なくなる可能性があります。
資源管理は、目先の供給量だけではなく、数年後・十数年後にも漁業を続けられるようにするための取り組みです。
昔のような「安いサンマ」は戻る?
これは現時点では分かりません。
資源量が回復し、日本近海への来遊量も増えれば、水揚げ量が増えて価格が下がる可能性はあります。
一方で、海水温や海流、漁場までの距離、燃料費や物流費なども価格には関係します。
そのため、資源量が回復したからといって、必ず昔と同じ価格でサンマが買えるとは限りません。
「サンマが絶滅する」という話ではない
不漁が続くと、「このままサンマがいなくなるのでは?」と心配になるかもしれません。
しかし、2026年時点の不漁情報は「サンマが絶滅寸前」という意味ではありません。
問題になっているのは、資源量が低い状態や、日本近海への来遊量の減少、漁場の沖合化などです。
だからこそ、資源がさらに悪化する前に漁獲量を調整し、持続可能な利用を目指す取り組みが進められています。
今後見るべきポイントは?
サンマ資源が回復しているかを見るには、一年の水揚げ量だけでは十分ではありません。
今後は、
- 北太平洋全体の資源量
- 0歳魚・1歳魚の量
- 魚体サイズ
- 日本近海への来遊量
- 漁場までの距離
- 各国・地域の漁獲量
- 国際的な漁獲上限
などを継続して見る必要があります。
数年単位で資源量が増え、漁獲上限も資源状態に応じて調整できるようになれば、回復の兆しを判断しやすくなります。
2026年は「資源を守りながら漁を続ける」転換点のひとつ
2026年のサンマ漁を見ると、不漁そのものだけでなく、漁業のあり方が変化していることが分かります。
国際的には漁獲上限を削減し、小型魚を守る措置も続いています。
国内では、漁場の沖合化に対応するため大型船での冷凍サンマ生産の実証試験も進められています。
つまりこれからのサンマ漁は、単純に「たくさん獲る」ことではなく、
限られた資源を守りながら、獲った魚を効率よく利用する漁業
へ変化していく必要があります。
まとめ
サンマ不漁が今後も続くかどうかを、現時点で断定することはできません。
ただし、日本のサンマ水揚げ量は2014年の約22万トンから2025年には約6万トンへ大きく減少しており、2026年も来遊量は前年を下回ると予測されています。
その背景には、資源量の減少だけでなく、海水温や海流、餌環境、回遊ルートの変化、漁場の沖合化などがあります。
一方、2026年にはNPFCでサンマの漁獲上限を前年から5%削減し、2027年にはさらに10%削減することも合意されました。
資源回復には時間がかかる可能性がありますが、国際的な漁獲管理や資源調査、小型魚の保護など、回復に向けた取り組みは進められています。
サンマをこれからも秋の味覚として楽しむためには、海の変化を見ながら「獲れるだけ獲る」のではなく、資源に合わせて漁業そのものを変えていくことが重要です。
2026年のサンマ漁はまだ途中です。
今年の最終的な漁獲量だけでなく、その先の資源量がどのように変化していくのかにも注目していきたいところです。

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