吐いたあとに心配になることのひとつが「脱水」です。
嘔吐すると体から水分が失われるため、「吐いた分を取り戻さなければ」と急いでたくさん飲みたくなるかもしれません。
しかし、まだ吐き気が残っている状態で大量の水分を一気に飲むと、胃が刺激されて再び吐いてしまうことがあります。
特に運動中の嘔吐では、それまでに汗でも水分を失っている可能性があるため、嘔吐後の水分補給は重要です。
ラーメンマラソンから考える今回は、嘔吐後の脱水を防ぐために知っておきたい「少量ずつの水分補給」について、栄養士目線で解説します。
- そもそも脱水とは?
- 嘔吐すると水分だけが失われるわけではない
- 運動中の嘔吐では「汗+嘔吐」に注意
- 吐いたあとに一気飲みしたくなる理由
- なぜ「少量ずつ」が大切なの?
- 「少量ずつ」はどのくらい?
- 飲んですぐ吐かなければ量を増やしていい?
- 吐いた直後は食事より水分を優先
- 何を飲めばいい?
- 経口補水液でも少量ずつ
- スポーツドリンクでも一気飲みは避ける
- 水分をとっても何度も吐く場合は?
- 脱水のサインとして確認したいこと
- 尿の色だけで脱水を判断しない
- 暑い日の嘔吐は熱中症にも注意
- 意識がおかしい場合は水分を飲ませない
- 子どもは脱水の変化を自分で説明しにくい
- 高齢者の嘔吐後も脱水に注意
- 嘔吐後に避けたい水分補給
- 嘔吐後の水分補給を整理すると
- ラーメンマラソンから考える「失った分を一気に戻さない」
- まとめ
そもそも脱水とは?
脱水とは、体内の水分や電解質が不足した状態です。
私たちの体からは、尿や汗などを通して日常的に水分が失われています。
通常は食事や飲み物から水分を補うことでバランスを保っていますが、嘔吐や下痢、大量の発汗などがあると、失う量が増えることがあります。
さらに、吐き気によって飲食できなくなると、「出ていく量は増えているのに、入ってくる量は減っている」という状態になり、脱水につながりやすくなります。
嘔吐すると水分だけが失われるわけではない
嘔吐では、水分とともにナトリウムなどの電解質も失われます。
そのため、嘔吐を何度も繰り返している場合には、「水を飲めばすべて解決」と単純に考えることはできません。
特に、
- 嘔吐を繰り返している
- 下痢もある
- 発熱している
- 大量に汗をかいた
- 食事や飲み物を十分にとれていない
といった場合には、水分と電解質の両方が不足する可能性を考える必要があります。
運動中の嘔吐では「汗+嘔吐」に注意
ラーメンマラソンから考えると、運動中の嘔吐には通常の嘔吐とは少し違った注意点があります。
走っている間には汗をかきます。
つまり、吐く前からすでに水分や電解質を失っている可能性があります。
そこへ嘔吐が加わると、
- 発汗による水分・電解質の喪失
- 嘔吐による水分・電解質の喪失
- 吐き気による水分摂取量の低下
が重なることがあります。
そのため、運動中に吐いた場合には、運動を中止して体調を確認し、その後の水分補給を考えることが大切です。
吐いたあとに一気飲みしたくなる理由
嘔吐後は口の中が不快になったり、のどが渇いたりするため、冷たい飲み物を一気に飲みたくなることがあります。
また、「脱水になったら大変」と考えて、意識的に大量の水を飲もうとする人もいるでしょう。
水分補給そのものは重要です。
しかし、吐いた直後の胃が大量の水分を受け入れられるとは限りません。
なぜ「少量ずつ」が大切なの?
吐いた直後は、胃の不快感や吐き気が残っていることがあります。
そこへ一度に大量の液体が入ると胃が急に膨らみ、再び吐き気につながることがあります。
そして、飲んだ水分をすぐ吐いてしまえば、結果として水分補給がうまく進みません。
そこで、意識がはっきりしていて自分で安全に飲める場合には、吐き気の様子を見ながら少量ずつ補給することがポイントになります。
「少量ずつ」はどのくらい?
嘔吐後の水分補給では、その人の年齢や体格、嘔吐の程度、脱水状態などによって適切な量は異なります。
そのため、「すべての人が必ず一回○mL」と一律に考える必要はありません。
まずは少ない量から始め、吐き気が悪化しないか確認します。
問題なく飲めるようであれば、少しずつ補給を続けていきましょう。
特に子どもや脱水が疑われる場合には、年齢や症状に応じて医療機関などから具体的な指示を受けることも大切です。
飲んですぐ吐かなければ量を増やしていい?
少量の水分を問題なくとれるようになったら、体調を確認しながら徐々に補給していきます。
一口飲めたからといって、その直後にコップ何杯も一気に飲む必要はありません。
吐き気が戻ってこないか、胃が苦しくならないかを確認しながら進めましょう。
「一気に元の量へ戻す」のではなく、「少しずつ通常の水分摂取へ戻す」と考えるとわかりやすいでしょう。
吐いた直後は食事より水分を優先
嘔吐すると、「食べたものを全部出してしまったから、栄養をとらなければ」と心配になることがあります。
しかし、吐き気が強い状態で無理に食事をとると、再び吐いてしまうことがあります。
まずは体を休ませ、水分を保てる状態か確認することを優先します。
水分が問題なくとれるようになり、吐き気が落ち着いてから、体調に合わせて食事を再開しましょう。
何を飲めばいい?
嘔吐後に適した飲み物は、症状や脱水の程度によって変わります。
一度吐いただけで、その後は普段通り飲食できる場合には、水など身近な飲み物で補給できることもあります。
一方、嘔吐を繰り返して脱水が心配な場合には、水分と電解質を補給できる経口補水液が選択肢になります。
重要なのは、「一番健康によさそうな飲み物」を選ぶことではなく、現在の状態に合ったものを選ぶことです。
経口補水液でも少量ずつ
経口補水液は、脱水時の水分・電解質補給を目的として成分が調整されています。
しかし、経口補水液なら吐いた直後に大量に飲んでもよいわけではありません。
まだ吐き気が強い状態で大量に飲めば、再び吐くことがあります。
自分で安全に飲める状態なら、経口補水液の場合も少量ずつ補給します。
スポーツドリンクでも一気飲みは避ける
運動後であれば、スポーツドリンクを選ぶ人も多いでしょう。
スポーツドリンクには水分のほか、糖質や電解質などが含まれています。
しかし、飲み物の種類にかかわらず、嘔吐直後の大量摂取は胃への負担になることがあります。
「スポーツドリンクなら吸収されるから一気飲みしても大丈夫」とは考えないようにしましょう。
水分をとっても何度も吐く場合は?
少量ずつ試しても、そのたびに吐いてしまう場合には注意が必要です。
水分を口から補給できなければ、脱水が進む可能性があります。
特に、
- 嘔吐を繰り返している
- 水分をほとんど保てない
- 下痢も続いている
- 発熱している
- 大量に汗をかいている
といった条件が重なっている場合には、早めに医療機関へ相談しましょう。
脱水のサインとして確認したいこと
脱水は「のどが渇いたかどうか」だけで判断するものではありません。
例えば、
- 口の中が強く乾いている
- 尿の回数や量が極端に減っている
- 強いだるさがある
- めまいやふらつきがある
- ぐったりしている
などがみられることがあります。
ただし、これらの症状だけで脱水の程度を自己判断することはできません。
水分がとれない状態が続く場合や全身状態が悪い場合には、医療機関へ相談してください。
尿の色だけで脱水を判断しない
尿の色が濃くなることは、水分不足を考えるひとつの手がかりになります。
しかし、尿の色は食事やサプリメント、薬などの影響を受けることもあります。
そのため、「尿が黄色いから重度の脱水」「透明だから絶対大丈夫」と決めつけることはできません。
尿の回数や量、体調なども含めて全体を見ることが大切です。
暑い日の嘔吐は熱中症にも注意
暑い環境で運動している最中や直後に吐いた場合には、脱水だけでなく熱中症にも注意が必要です。
吐き気や嘔吐に加えて、
- 頭痛
- めまい
- 強いだるさ
- ふらつき
- 筋肉のけいれん
- 意識状態の変化
などがある場合には、運動を中止して涼しい場所へ移動します。
衣服を緩め、可能な範囲で体を冷やしましょう。
「水分を飲ませれば治る」と考えて運動を続けるのは避けてください。
意識がおかしい場合は水分を飲ませない
脱水が心配でも、意識がもうろうとしている人へ無理に飲み物を飲ませてはいけません。
自分でうまく飲み込めない状態では、誤嚥する危険があります。
呼びかけへの反応がおかしい、自力で水分を飲めない、意識がないなどの場合には、速やかな救急要請を検討してください。
熱中症が疑われる場合には、救急隊を待つ間も可能な範囲で体を冷やします。
子どもは脱水の変化を自分で説明しにくい
子どもが吐いた場合にも、水分を少量ずつ補給することが基本です。
ただし、小さな子どもは「めまいがする」「口が乾いている」など、自分の体調をうまく言葉にできないことがあります。
周囲の大人が、
- 水分を飲めているか
- 何度も吐いていないか
- 尿が極端に少なくなっていないか
- いつもより元気がないか
- ぐったりしていないか
- 受け答えや反応が普段通りか
などを確認しましょう。
水分を保てない状態が続く場合には、早めに医療機関へ相談してください。
高齢者の嘔吐後も脱水に注意
高齢者では、のどの渇きを感じにくくなっていることがあります。
そのため、本人が「のどは渇いていない」と話していても、嘔吐や下痢などで水分を失っている場合には注意が必要です。
また、持病によって水分や塩分の摂取量に制限がある場合もあります。
自己判断で大量の水や経口補水液を飲むのではなく、必要に応じて医師などに相談しましょう。
嘔吐後に避けたい水分補給
脱水を防ごうとして、次のような極端な補給をするのは避けましょう。
- 吐いた直後に大量の水を一気飲みする
- 短時間に大量の飲み物を無理に飲む
- 吐くのが怖くて長時間まったく水分をとらない
- 経口補水液なら無制限に飲んでよいと考える
- 水分を保てないのに家庭で様子を見続ける
- 意識がおかしい人に無理に飲ませる
嘔吐後の水分補給を整理すると
基本的な流れを整理すると、次のように考えられます。
- まず嘔吐後の体調を確認する
- 強い吐き気がある間は無理に大量に飲まない
- 自分で安全に飲める状態なら少量から試す
- 吐かなければ少しずつ補給を続ける
- 脱水が心配な場合には経口補水液も選択肢にする
- 水分を保てない場合には医療機関への相談を考える
症状や年齢、持病などによって対応は変わるため、すべてのケースに同じ方法が当てはまるわけではありません。
ラーメンマラソンから考える「失った分を一気に戻さない」
ラーメンマラソンから考えると、運動中の嘔吐では「汗で失った水分」と「嘔吐で失った水分」の両方が気になります。
だからこそ、「早く水分を取り戻さなければ」と大量に飲みたくなるかもしれません。
しかし、吐いた直後の胃に大量の水分を入れ、再び吐いてしまえば補給はうまく進みません。
失った水分を一気に取り戻そうとするのではなく、体が受け入れられる状態を確認しながら少しずつ補給することが重要です。
まとめ
嘔吐後は水分や電解質が失われるため、脱水に注意が必要です。
特に運動中に吐いた場合には、それまでの発汗による水分・電解質の喪失も重なっている可能性があります。
ただし、吐いた直後に大量の水分を一気飲みすると、胃が刺激されて再び吐いてしまうことがあります。
意識がはっきりしていて自分で安全に飲める状態なら、吐き気を確認しながら少量ずつ水分補給を再開しましょう。
少量の水分も保てない、何度も吐く、尿が極端に少ない、ぐったりしているなどの場合には、医療機関への相談を検討してください。
ラーメンマラソンから考えると、嘔吐後の水分補給では「たくさん飲むこと」よりも「飲んだ水分を無理なく保てること」が重要です。
次の記事では、「吐いたあとスポーツドリンクは飲んでもいい?」という疑問に注目し、嘔吐後にスポーツドリンクを選ぶ場合のポイントを詳しく解説します。

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