りんごを切ってしばらく置いておくと、切った面がだんだん茶色くなっていきます。
ところが、りんごを煮たり電子レンジなどで加熱したりすると、生のりんごとは色の変わり方が違うことがあります。
ここで疑問です。
どうして加熱したりんごは、生のりんごより茶色く変色しにくくなるのでしょうか?
りんごの褐変には、果肉に含まれる酵素と空気中の酸素が関係しています。
そして今回のポイントになるのが、酵素は熱によって働き方が変わるということです。
今回は、生のりんごと加熱したりんごを同じ条件で置き、時間ごとの色の変化を比べてみましょう。
- この自由研究は何日かかる?
- まず予想してみよう
- そもそも、りんごはなぜ茶色くなる?
- 加熱すると酵素はどうなる?
- 自由研究|生のりんごと加熱したりんごを比べよう
- この自由研究であると便利なもの
- まず2種類のりんごを用意しよう
- りんごの大きさをそろえよう
- 実験方法
- 今回「変えるもの」と「そろえるもの」は?
- 何分ごとに観察する?
- 茶色さを5段階で評価しよう
- 加熱したりんごの「もともとの色」に注意しよう
- 生のりんごだけ茶色くなったら?
- 加熱したりんごも色が変わったら失敗?
- 追加実験|加熱時間を変えたらどうなる?
- 追加実験|温度を変えたらどうなる?
- 追加実験|電子レンジと煮る方法で違う?
- 追加実験|すりおろしたりんごではどうなる?
- レモン汁で色止めするのとは仕組みが違う?
- 塩水による色止めとも比べてみよう
- ジャムが茶色くなりにくいのも加熱が関係する?
- なぜ酵素は熱で働かなくなるの?
- 温度と時間、どちらも大切
- 写真は同じ明るさで撮ろう
- グラフにしてみよう
- 何年生におすすめ?
- 自由研究のまとめ方
- 写真・比較表・グラフを印刷してまとめよう
- まとめ|りんごを加熱すると褐変に関係する酵素の働きが変わる
- よくある質問
この自由研究は何日かかる?
- おすすめ学年:小学3~6年生
- おすすめ期間:1日
- 実験時間:1~3時間程度
- 結果が出るまで:当日
- 材料の入手しやすさ:★★★★★
- 当日完成:◎
生のりんごと加熱したりんごを並べて観察するだけなら、その日のうちに結果が出ます。
加熱時間や温度を変える追加実験をする場合は、2~3日かけて発展させることもできます。
まず予想してみよう
実験を始める前に、生のりんごと加熱したりんごではどちらが早く茶色くなると思うか予想します。
- 生のりんごの方が早く茶色くなると思う
- 加熱した方が早く茶色くなると思う
- どちらも同じくらい変色すると思う
- 加熱時間によって違うと思う
さらに、
「なぜそうなると思ったのか」
まで書いておきましょう。
そもそも、りんごはなぜ茶色くなる?
りんごを切ると、果肉の細胞が壊れます。
すると、それまで別々の場所にあった成分や酵素が触れやすくなり、さらに空気中の酸素も加わります。
りんごに含まれるポリフェノール類などが、ポリフェノールオキシダーゼという酵素の働きによって変化し、褐色の物質が作られていきます。
このような変化を酵素的褐変といいます。
加熱すると酵素はどうなる?
酵素はたんぱく質の一種です。
たんぱく質は熱を加えると構造が変化します。
そのため、十分に加熱されると酵素本来の働きが弱くなったり、働かなくなったりします。
りんごの褐変に関係する酵素も同じです。
つまり、
加熱によって褐変に関係する酵素の働きが弱くなることで、生のりんごより変色しにくくなることがあります。
自由研究|生のりんごと加熱したりんごを比べよう
用意するもの
- りんご
- 包丁
- まな板
- 加熱に使う耐熱容器
- 鍋または電子レンジなど
- 白い皿や白い紙
- キッチンタイマー
- デジタルキッチン温度計(発展実験にあると便利)
- 記録用紙
- 筆記用具
- カメラやスマートフォン
包丁や熱い調理器具を使うため、小学生は必ず大人と一緒に実験してください。
この自由研究であると便利なもの
材料を同じ量にそろえるならデジタルキッチンスケール
りんごの重さを同じくらいにそろえて比較すると、実験条件を整えやすくなります。
このあと行うジャム実験でも砂糖の量を測るために使えるので、自由研究を続ける場合にも便利です。
加熱温度まで調べるならデジタルキッチン温度計
加熱前後のりんごやお湯の温度を記録したい場合は、温度計があると発展研究にできます。
まず2種類のりんごを用意しよう
基本実験では、
- A:生のりんご
- B:加熱したりんご
の2種類を比較します。
できるだけ同じりんごから切り分けて使いましょう。
りんごの大きさをそろえよう
比較するときは、
- 厚さ
- 大きさ
- 重さ
- 切る場所
をできるだけそろえます。
大きさが違うと、空気に触れる面積なども変わるため、結果を比較しにくくなります。
キッチンスケールがある場合は、例えば20gずつなど同じ重さにそろえてみましょう。
実験方法
- 同じりんごから同じくらいの大きさの試料を2つ切ります。
- Aは生のまま残します。
- Bを決めた方法で加熱します。
- 加熱後は安全な温度まで冷まします。
- AとBを同じ白い皿や紙の上へ並べます。
- 「生」「加熱」とラベルを置きます。
- 開始直後の写真を撮ります。
- タイマーをスタートします。
- 決めた時間ごとに色を観察します。
- 毎回同じ場所・同じ角度から写真を撮ります。
今回「変えるもの」と「そろえるもの」は?
| 項目 | どうする? |
|---|---|
| 加熱する・しない | 変える |
| りんご | 同じものを使う |
| りんごの大きさ | できるだけそろえる |
| 重さ | できるだけそろえる |
| 置く場所 | そろえる |
| 観察時間 | そろえる |
| 撮影条件 | そろえる |
今回意図的に変えるのは加熱したかどうかです。
何分ごとに観察する?
例えば、
- 開始直後
- 15分後
- 30分後
- 60分後
- 120分後
に観察します。
りんごの品種や室温などによって変色速度は違うため、実際の様子に合わせて時間を調整しても構いません。
茶色さを5段階で評価しよう
- 1:ほとんど変色していない
- 2:少し色が変わった
- 3:やや茶色い
- 4:かなり茶色い
- 5:とても茶色い
| りんご | 開始直後 | 15分後 | 30分後 | 60分後 | 120分後 |
|---|---|---|---|---|---|
| 生 | |||||
| 加熱 |
加熱したりんごの「もともとの色」に注意しよう
加熱すると、りんごそのものの色や透明感が変わることがあります。
そのため、単純に、
「生より色が濃い=褐変した」
とは限りません。
実験開始直後の写真を必ず撮り、
それぞれが開始時からどのくらい色を変えたか
を見ることが大切です。
生のりんごだけ茶色くなったら?
例えば60分後、
- 生のりんごはかなり茶色くなった
- 加熱したりんごは開始直後とあまり変わらなかった
という結果になったとします。
この場合は、
加熱によって褐変に関係する酵素の働きが弱くなった可能性
を考えることができます。
加熱したりんごも色が変わったら失敗?
いいえ。
加熱したりんごにも、
- 加熱そのものによる色の変化
- 加熱の程度
- 水分量の変化
- 保存中の変化
などが起こることがあります。
また、加熱が十分でなければ酵素の働きが残っている可能性もあります。
「加熱したから絶対に色が変わらない」わけではありません。
今回の条件ではどんな変化が見られたかを、そのまま記録しましょう。
追加実験|加熱時間を変えたらどうなる?
今度は、加熱時間を変えてみましょう。
例えば、
- A:生
- B:短時間加熱
- C:中くらい加熱
- D:長めに加熱
のようにします。
そして冷ましたあと、同じ時間だけ空気に触れさせます。
「長く加熱するほど変色しにくくなる?」
という新しい疑問を調べられます。
追加実験|温度を変えたらどうなる?
温度計がある場合は、温度に注目した実験にもできます。
例えば複数の温度条件でりんごを加熱し、その後の褐変を比べます。
すると、
「どのくらいの加熱から褐変しにくくなった?」
という発展研究になります。
家庭ではりんご内部の温度を完全に一定にすることは難しいため、実際に測れた温度と条件を記録しましょう。
追加実験|電子レンジと煮る方法で違う?
加熱方法自体を変える方法もあります。
- 生
- 電子レンジで加熱
- お湯で加熱
を同じように比較します。
ただし、加熱方法を変えると温度だけでなく水分量などの条件も変わります。
そのため、
「今回の調理方法ではどんな違いが見られたか」
としてまとめましょう。
追加実験|すりおろしたりんごではどうなる?
りんごをすりおろすと、たくさんの細胞が壊れ、空気にも触れやすくなります。
そこで、
- 切った生りんご
- すりおろした生りんご
- 加熱したすりおろしりんご
を比べてみるのも面白いでしょう。
「細かく壊すこと」と「加熱すること」の両方
が褐変へどう影響するか考えられます。
レモン汁で色止めするのとは仕組みが違う?
りんごの色止めにはレモン汁もよく使われます。
しかし、加熱とレモン汁では褐変を抑える仕組みが同じではありません。
レモン汁では、酸性になることで酵素の働きに影響したり、ビタミンCなどの成分が褐変を抑える方向に働いたりします。
一方、加熱では熱によって酵素そのものの構造や働きを変えることが大きなポイントです。
塩水による色止めとも比べてみよう
これまでのりんご実験と組み合わせれば、
- 何もしない
- 塩水
- レモン水
- 加熱
という4種類を比較できます。
見た目はどれも「色止め」でも、
褐変を抑える方法や仕組みが同じとは限らない
ことを考える自由研究になります。
ジャムが茶色くなりにくいのも加熱が関係する?
りんごジャムを作るときは、りんごを砂糖などと一緒に加熱します。
そのため、生のりんごを切って放置した場合とは、酵素の状態も大きく異なります。
ただしジャムでは、
- 加熱
- 砂糖
- 酸
- 水分量
など複数の条件が変わります。
次は、そんなジャムの「固まり方」にも注目してみましょう。
なぜ酵素は熱で働かなくなるの?
酵素はたんぱく質でできています。
たんぱく質は、特定の立体的な形をしていることで働くことができます。
熱によってその構造が大きく変化すると、本来の働きをしにくくなります。
これは卵が熱で固まる実験ともつながっています。
りんごの褐変と卵の凝固は、一見まったく違う現象ですが、どちらも「たんぱく質と熱」という共通点があります。
温度と時間、どちらも大切
酵素への熱の影響も、温度だけでなく加熱時間が関係します。
同じ温度でも短時間と長時間では、酵素への影響が同じとは限りません。
そのため発展実験では、
「何℃で何分加熱したか」
の両方を記録しましょう。
写真は同じ明るさで撮ろう
今回の結果は色の違いなので、写真の条件をそろえることが重要です。
- 同じ場所
- 同じ照明
- 同じ白い背景
- 同じカメラ
- 同じ角度
- 同じ並び順
にすると比較しやすくなります。
グラフにしてみよう
茶色さを5段階で評価した場合は、
- 横軸:時間
- 縦軸:茶色さ
としてグラフにできます。
生のりんごと加熱したりんごの変化を同じグラフ上で比べれば、
時間がたつにつれて差がどのくらい広がったか
を視覚的に表せます。
何年生におすすめ?
小学1~2年生
加熱は大人が行い、生と加熱したりんごを並べて、時間ごとの色を写真や絵で比べる方法がおすすめです。
小学3~4年生
茶色さを5段階で評価し、時間ごとの変化を表にしてみましょう。
小学5~6年生
酵素がたんぱく質であることや熱による変性について調べ、加熱時間や温度を変えた追加実験まで行うと本格的な研究になります。
自由研究のまとめ方
- 疑問:加熱したりんごはなぜ変色しにくい?
- 予想:生と加熱ではどちらが早く茶色くなるか考える
- 調査:りんごの褐変と酵素について調べる
- 実験:生と加熱したりんごを同じ条件で置く
- 観察:時間ごとの色を記録する
- 結果:写真と表にまとめる
- グラフ:時間と茶色さを比較する
- 考察:加熱と酵素の働きについて考える
- 発展:加熱時間や温度を変える
- 感想:料理と酵素の関係について書く
写真・比較表・グラフを印刷してまとめよう
今回の自由研究では、
- 開始直後の生・加熱りんご
- 30分後
- 60分後
- 120分後
- 茶色さの比較表
- 変化のグラフ
を組み合わせると、とてもわかりやすくなります。
写真や比較表、グラフを自宅で何枚も印刷すると、プリンターのインクを多く使うことがあります。
印刷枚数が増えそうなら、純正品だけでなく互換インクを比較してみるのもひとつの方法です。
▶ 自由研究の写真・比較表の印刷に使える互換インクをチェックしてみる
まとめ|りんごを加熱すると褐変に関係する酵素の働きが変わる
生のりんごを切って空気に触れさせると、酵素や酸素が関係する反応によって茶色く変色します。
しかし酵素はたんぱく質なので、熱を加えることで構造や働きが変化します。
そのため十分に加熱したりんごでは、
生のりんごより酵素による褐変が起こりにくくなることがあります。
ただし、加熱そのものによる色の変化もあるため、開始直後からの変化を比べることが大切です。
そして今回の実験は、
「酵素は熱によって働き方が変わる」
ことを身近なりんごで観察できる自由研究です。
卵の凝固と合わせて考えると、食品の中にあるたんぱく質と熱の関係がさらに見えてきます。
よくある質問
加熱したりんごは絶対に茶色くなりませんか?
絶対に色が変わらないわけではありません。加熱そのものによる色の変化や、加熱条件による違いなどがあります。生のりんごと同じ条件で時間ごとの変化を比較してみましょう。
なぜ加熱すると褐変しにくくなるのですか?
りんごの褐変に関係する酵素はたんぱく質です。十分に加熱すると酵素の構造や働きが変化し、酵素的褐変が進みにくくなることがあります。
電子レンジで加熱しても実験できますか?
できます。ただし電子レンジと湯せん・煮る方法では、水分の減り方や加熱のされ方も違います。使用した加熱方法と時間を記録して、「今回の条件では」として比較しましょう。
温度計は必要ですか?
基本の生・加熱比較だけなら必要ありません。加熱温度と褐変の関係まで調べる発展実験では、温度計があると便利です。
1日で完成できますか?
はい。数時間で生のりんごと加熱したりんごの色の変化を比較できるため、その日のうちに写真、表、グラフ、考察までまとめやすいテーマです。


コメント