福岡市博多区の保育施設で、園児46人と職員2人の合計48人が嘔吐・下痢・発熱などを訴える感染性胃腸炎の集団発生が確認されました。
医療機関の検査では、園児1人からノロウイルスが検出されています。
ノロウイルスの集団発生で特に重要なのが、
嘔吐物の処理
です。
保育園や家庭では、子どもが突然吐くことがあります。
そのとき、
「とりあえず雑巾で拭けばいい?」
「アルコールをかければ大丈夫?」
「床だけ拭けばいい?」
「服や布団についたらどうする?」
と迷う人も多いのではないでしょうか。
ノロウイルスは感染力が強く、嘔吐物や便を介して周囲へ広がることがあります。
今回は、保育施設や家庭で嘔吐が起きたときの基本的な処理方法と、二次感染を防ぐポイントを整理します。
- 今回の福岡市の事案では48人が発症
- なぜ嘔吐物処理が重要?
- 「見える部分だけ拭く」では不十分
- まず他の子どもや家族を離す
- 処理する人は防護具を着用
- 手袋をしていれば手洗い不要?
- 嘔吐物は静かに取り除く
- 使ったペーパー類はすぐ袋へ
- 次亜塩素酸ナトリウムを使う
- 嘔吐物が付いた場所は濃いめの濃度で処理
- 原液をそのまま使わない
- 酸性洗剤と絶対に混ぜない
- 床は広めに処理する
- 処理後は水拭きが必要な場合も
- 金属は塩素で腐食することがある
- カーペットに吐いた場合は?
- 衣類に付いた場合
- 衣類を強く振らない
- 洗える物はしっかり洗浄
- 布団に吐いた場合は?
- 家庭ではクリーニング業者へ相談する方法も
- 嘔吐した子どもの着替えも慎重に
- 嘔吐した本人の手洗いも
- 処理後に床を歩いた靴にも注意
- 保育施設では「立入禁止」の範囲を作る
- 換気も行う
- アルコールを吹きかけるだけでは不十分
- 手洗いで一番大事なのは「洗い流す」こと
- 手洗い後のタオルも清潔に
- 保育園では「嘔吐物処理係」を決めると動きやすい
- 処理セットを1か所にまとめておく
- 嘔吐物処理セットに入れておきたい物
- 処理後は自分の服も確認
- 嘔吐物処理後にそのまま給食を触らない
- 給食が原因でなくても給食室を守る
- 調理従事者に症状があれば調理しない
- 家族が胃腸炎の場合も注意
- 保育施設勤務経験から一番重要だと思うこと
- マニュアルは読んだだけでは使えない
- 家庭でも処理セットを作っておくと安心
- 夜中の嘔吐は特に準備が役立つ
- まとめ
今回の福岡市の事案では48人が発症
福岡市の発表では、有症状者は、
- 園児46人
- 職員2人
の合計48人です。
主な症状は、嘔吐・下痢・発熱でした。
ただし、今回の事案は感染性胃腸炎の集団発生として公表されており、給食が原因の食中毒とは確認されていません。
なぜ嘔吐物処理が重要?
ノロウイルス感染者の嘔吐物には、ウイルスが含まれている可能性があります。
処理方法が不十分だと、
- 処理した人の手指
- 床
- 周囲の家具
- 衣類
- 靴
などへ汚染が広がることがあります。
「見える部分だけ拭く」では不十分
嘔吐物が落ちた場所だけを拭けば終わり、とは限りません。
吐いた勢いで細かな飛沫が周囲へ飛んでいる可能性があります。
そのため、目に見える汚染部分だけではなく、周辺も含めて処理する必要があります。
まず他の子どもや家族を離す
保育室や家庭内で嘔吐が起きた場合、可能であれば他の人をその場から離します。
特に小さな子どもは、
- 床に触る
- 近くへ寄ってくる
- 汚染された物へ触る
可能性があります。
まず周囲の人を離して、処理する人を限定することが大切です。
処理する人は防護具を着用
嘔吐物を処理するときは、可能な範囲で、
- 使い捨て手袋
- マスク
- 使い捨てエプロン
などを着用します。
直接手で触れないことが基本です。
手袋をしていれば手洗い不要?
いいえ。
手袋を外すときに、外側の汚染部分へ触れる可能性があります。
そのため、処理後は必ず石けんと流水で手を洗います。
嘔吐物は静かに取り除く
処理するときに、雑巾で勢いよくこすると、汚染範囲を広げる可能性があります。
ペーパータオルなどを使い、外側から内側へ集めるように、静かに取り除きます。
使ったペーパー類はすぐ袋へ
嘔吐物を拭き取ったペーパーや使い捨て物品は、そのまま床などへ置かず、すぐにビニール袋へ入れます。
袋の口を閉じ、周囲へ触れないように処理します。
次亜塩素酸ナトリウムを使う
ノロウイルス対策では、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が推奨される場面があります。
家庭用の塩素系漂白剤にも次亜塩素酸ナトリウムを含む製品があります。
ただし、製品によって濃度が異なるため、必ず表示を確認して使用します。
嘔吐物が付いた場所は濃いめの濃度で処理
一般的に、嘔吐物や便が直接付着した場所では、約0.1%程度の次亜塩素酸ナトリウム溶液が目安として使われることがあります。
一方、ドアノブや手すりなど環境表面の消毒では、より低い濃度が用いられることがあります。
施設では自治体や施設マニュアルに従って処理してください。
原液をそのまま使わない
塩素系漂白剤は、製品濃度に応じて適切に希釈する必要があります。
原液のまま使用すると、
- 皮膚への刺激
- 床材の変色
- 衣類の脱色
などにつながることがあります。
酸性洗剤と絶対に混ぜない
ここは非常に重要です。
次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系製品を、酸性洗剤などと混ぜると、
有毒な塩素ガス
が発生する危険があります。
「混ぜるな危険」と表示されている製品は、表示どおり他の洗剤と混ぜないでください。
床は広めに処理する
嘔吐物が飛び散っている可能性を考え、目に見える範囲だけでなく周辺も処理します。
保育施設では、子どもたちが床へ直接触れることも多いため、特に注意が必要です。
処理後は水拭きが必要な場合も
床材や家具によっては、次亜塩素酸ナトリウムを使用した後に水拭きする必要があります。
製品や材質ごとの注意事項を確認してください。
金属は塩素で腐食することがある
次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食させることがあります。
金属部分を消毒した場合は、必要に応じてその後水拭きを行います。
カーペットに吐いた場合は?
カーペットや布製品は、塩素系消毒剤を使用すると色落ちや傷みが起きる場合があります。
まず嘔吐物を静かに取り除き、その後、素材に応じた方法で処理します。
熱に耐えられる素材では、加熱による処理を検討できる場合もあります。
衣類に付いた場合
嘔吐物が付着した衣類は、他の洗濯物と一緒にそのまま洗濯機へ入れると、洗濯槽や他の衣類を汚染する可能性があります。
まず付着物を静かに取り除きます。
衣類を強く振らない
汚れた衣類を、
「バサバサ」
と振るのは避けましょう。
細かな汚染物を周囲へ広げる可能性があります。
洗える物はしっかり洗浄
衣類やタオルは、素材に応じた方法で十分に洗浄します。
熱に耐えられる物では、加熱処理が有効な場合があります。
布団に吐いた場合は?
布団やマットレスでは、内部まで汚染が染み込む場合があります。
表面だけを拭いて終わりにすると、汚染が残る可能性があります。
施設では、汚染した寝具の取り扱いルールを事前に決めておくとよいでしょう。
家庭ではクリーニング業者へ相談する方法も
家庭で処理が難しい寝具や大型布製品は、感染性胃腸炎による汚染があることを伝えたうえで、専門業者へ相談する方法もあります。
嘔吐した子どもの着替えも慎重に
嘔吐物が衣類についている場合、着替えの際に周囲へ触れないよう注意します。
汚れた服を丸めて袋へ入れるなど、汚染面を外へ広げないようにします。
嘔吐した本人の手洗いも
嘔吐した本人の手や顔にも汚染が付いている可能性があります。
体調を見ながら、可能な範囲で手指を清潔にします。
処理後に床を歩いた靴にも注意
嘔吐物の近くを歩くと、靴底へ汚染が付着する可能性があります。
そのまま施設内を歩けば、別の場所へ広げることがあります。
保育施設では「立入禁止」の範囲を作る
嘔吐が発生した場所は、処理が終わるまで他の子どもたちが入らないようにすることが重要です。
椅子やパーテーションなどを利用し、物理的に近づけないようにする方法があります。
換気も行う
処理時は、可能な範囲で換気を行います。
特に塩素系消毒剤を使用する場合は、製品表示に従い換気を十分に行ってください。
アルコールを吹きかけるだけでは不十分
ノロウイルスは、一般的な細菌と同じ感覚でアルコールだけに頼るべきではありません。
手指では石けんと流水による手洗いを基本にし、環境表面では適切な方法で清掃・消毒します。
手洗いで一番大事なのは「洗い流す」こと
ノロウイルス対策では、手についたウイルスを物理的に洗い流すことが重要です。
特に、
- 指先
- 指の間
- 親指
- 手首
は洗い残しやすい場所です。
手洗い後のタオルも清潔に
手をきれいに洗っても、共用タオルで再び汚染される可能性があります。
感染性胃腸炎が発生している時期は、ペーパータオルなどを利用する方法もあります。
保育園では「嘔吐物処理係」を決めると動きやすい
実際に子どもが吐いたとき、全員が一斉に動くと混乱します。
例えば、
- 嘔吐物を処理する人
- 他の子どもたちを移動させる人
- 嘔吐した子どもをケアする人
を分けると、汚染拡大を防ぎやすくなります。
処理セットを1か所にまとめておく
嘔吐が起きてから、
「手袋どこ?」
「エプロンがない!」
と探している間にも感染リスクは続きます。
必要な物品を嘔吐物処理セットとしてまとめておくと、すぐに対応できます。
嘔吐物処理セットに入れておきたい物
- 使い捨て手袋
- マスク
- 使い捨てエプロン
- ペーパータオル
- ビニール袋
- 消毒剤
- 希釈に必要な容器
施設ごとのマニュアルも一緒に入れておくと便利です。
処理後は自分の服も確認
嘔吐物を処理した人の衣類や靴へ飛沫が付着している場合があります。
処理後に別の保育室へ移動する前に、汚染がないか確認します。
嘔吐物処理後にそのまま給食を触らない
保育施設では、保育と給食補助を兼務する職員がいる場合もあります。
嘔吐物を処理した後に、十分な手洗いや着替えをせず食品を扱うことは避ける必要があります。
給食が原因でなくても給食室を守る
今回の福岡市の事案では、給食が原因とは確認されていません。
それでも、施設内でノロウイルスが発生すれば、保育室から給食室へウイルスを持ち込まない対策が必要です。
調理従事者に症状があれば調理しない
嘔吐や下痢などの症状がある調理従事者は、食品を扱わないことが重要です。
症状があるまま調理すると、食品を介して感染を広げる可能性があります。
家族が胃腸炎の場合も注意
本人に症状がなくても、同居家族に嘔吐や下痢がある場合は、家庭内で感染している可能性があります。
施設のルールに従って報告し、健康状態を確認します。
保育施設勤務経験から一番重要だと思うこと
私は栄養士として保育施設で働いていますが、嘔吐物処理で一番重要だと感じるのは、
「吐いてから調べる」のではなく、吐く前から準備しておくこと
です。
子どもは突然吐きます。
その瞬間に、職員が迷わず動けるかどうかで、汚染範囲が大きく変わることがあります。
マニュアルは読んだだけでは使えない
嘔吐物処理マニュアルがあっても、一度も確認したことがなければ、実際の場面で動けないことがあります。
定期的に、
- 処理セットの場所
- 消毒剤の作り方
- 職員の役割
を確認しておくことが重要です。
家庭でも処理セットを作っておくと安心
保育施設だけでなく、小さな子どもがいる家庭でも、
- 手袋
- マスク
- ペーパータオル
- ビニール袋
- 塩素系漂白剤
などをまとめておくと、突然の嘔吐に対応しやすくなります。
夜中の嘔吐は特に準備が役立つ
子どもの胃腸炎は夜中に突然始まることもあります。
眠い中で消毒用品を探すのは大変です。
一式を分かりやすい場所へ置いておくと便利です。
まとめ
今回は、福岡市博多区の保育施設で起きた感染性胃腸炎の集団発生をもとに、ノロウイルスの嘔吐物処理について整理しました。
- 今回の有症状者は48人
- 園児1人からノロウイルスを検出
- 給食が原因の食中毒とは確認されていない
- 嘔吐物にはウイルスが含まれている可能性がある
- まず周囲の子どもや家族を離す
- 手袋・マスク・エプロンなどを使用する
- 嘔吐物は静かに取り除く
- 処理物はビニール袋へ入れる
- 次亜塩素酸ナトリウムを使う場面がある
- 酸性洗剤などと絶対に混ぜない
- 処理後は石けんと流水で手を洗う
- 衣類・寝具・靴への汚染にも注意
- 保育施設では事前に処理セットと役割分担を決めておく
ノロウイルスの嘔吐物処理は、
「汚れをきれいにする作業」ではなく、「感染を次の人へ広げない作業」
です。
保育施設でも家庭でも、突然の嘔吐が起きてから慌てないよう、普段から処理方法と必要な物品を確認しておくことが大切です。

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