岩手県産小麦からDON基準値超過!なぜ流通した?自主回収・健康影響・対象商品を解説

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岩手県産の小麦から、国の基準値を超えるかび毒「DON(デオキシニバレノール)」が検出され、自主回収が進められています。

問題となっているのは、JA全農いわてが取り扱った岩手県産小麦「ナンブキラリ」です。

この小麦からは、DONが最大1.3mg/kg検出されました。

日本の小麦に設定されているDONの基準値は1.0mg/kg。

つまり、基準値を超えていたことになります。

しかも本来は出荷しない予定だった小麦約1トンが、正常な小麦と取り違えられて製粉会社へ出荷され、その後ほかの県産小麦と一緒に製粉。

小麦粉約17トンとなって県内外の販売先へ流通していました。

「DONって何?」

「どうして基準値を超えた小麦が出荷されたの?」

「パンやうどんを食べてしまったら危険?」

「どの商品が回収されている?」

と不安になった人も多いのではないでしょうか。

今回は、2026年10月時点で分かっている岩手県産小麦のDON基準値超過について、原因や流通経路、自主回収、健康への影響まで整理します。

岩手県産小麦から基準値を超えるDONが検出

JA全農いわてが販売する予定だった岩手県産小麦「ナンブキラリ」について、自主検査で国の基準値を上回るDONが検出されていました。

検出された最大値は、

1kgあたり1.3mg

です。

日本では小麦について、DONを1.0mg/kgを超えて含有してはならないという基準が設けられています。

そのため、この小麦は本来、食用として出荷しないものとして管理されていました。

DONとは何?

DONは、正式にはデオキシニバレノールといいます。

小麦や大麦などに発生する赤かび病の原因となるフザリウム属などのカビが作り出す「かび毒」の一種です。

英語名の頭文字からDONと呼ばれています。

海外では「ボミトキシン」と呼ばれることもあります。

カビそのものと「かび毒」は違う

今回注意したいのが、目に見えるカビだけを取り除けば安全という問題ではないことです。

DONは、カビが作り出す化学物質です。

そのため、

  • カビが目立たない
  • 製粉して見た目が普通
  • 小麦粉になっている

といった状態でも、DONが残っている可能性があります。

食品の見た目やにおいだけで、DONが含まれているかを家庭で判断することはできません。

なぜDONが増えるの?

小麦では、開花期から収穫期にかけて雨が多いなど、赤かび病が発生しやすい条件が重なるとDONなどのかび毒が問題になることがあります。

農産物なので、天候や栽培条件によってリスクが変化します。

そのため、生産段階での防除だけでなく、収穫後の検査や選別も重要です。

基準値を超えていたのになぜ出荷された?

今回のポイントは、

「検査せずに出荷された」のではない

ということです。

JA全農いわての自主検査では、すでにDONの基準値超過が確認されていました。

そのため本来は食用として出荷しない小麦として管理される予定でした。

ところが、保管倉庫への指示が適切でなかったことから、正常な小麦と取り違えられたとされています。

約1トンの小麦が製粉会社へ誤出荷

基準値を超えていた「ナンブキラリ」のうち、約1トンが2026年2月、製粉会社1社へ誤って出荷されました。

JA全農いわてが9月18日に在庫を確認したところ、本来残っているはずの商品がなくなっていたことから誤出荷が判明したと報じられています。

つまり、基準値超過が判明してから流通したのではなく、保管管理上の取り違えによって食用側へ出てしまったことになります。

小麦1トンがなぜ小麦粉約17トンになるの?

「1トンの小麦なのに、なぜ17トンも回収するの?」

と疑問に感じる人もいるでしょう。

これは、基準値を超えた約1トンだけを単独で製粉したわけではないためです。

問題となった「ナンブキラリ」は、製粉会社で別の岩手県産小麦と混ぜて製粉されました。

そのため影響範囲が広がり、最終的に小麦粉約17トンが自主回収の対象になっています。

小麦粉は県内外8社へ出荷

製粉された小麦粉は、岩手県内外の8社へ出荷されたとされています。

その後、小麦粉そのものだけでなく、

  • うどん
  • そうめん
  • ひやむぎ
  • その他の小麦加工品

などに加工されたものもあり、事業者ごとに自主回収が始まっています。

いわて生協では乾麺3商品を自主回収

消費者庁のリコール情報では、いわて生活協同組合が販売したアイコープの乾麺について自主回収が公表されています。

対象となっているのは、

  • アイコープ そうめん 200g
  • アイコープ ひやむぎ 200g
  • アイコープ うどん 200g

です。

いずれも、原料に使用した小麦からDONの基準値超過が確認されたことが回収理由とされています。

アイコープそうめんの対象商品

「アイコープ そうめん」は、内容量200g。

消費者庁リコール情報で公表されている対象賞味期限は、

  • 2028年5月6日
  • 2028年5月22日
  • 2028年7月17日

です。

販売数量は11,273個と公表されています。

アイコープひやむぎの対象商品

「アイコープ ひやむぎ」も内容量200gです。

対象賞味期限は、

  • 2028年5月15日
  • 2028年5月22日

です。

販売数量は1,690個。

岩手県内のいわて生協で販売されていました。

アイコープうどんの対象商品

「アイコープ うどん」は内容量200g。

対象賞味期限は、

  • 2027年10月27日
  • 2027年11月15日

です。

販売数量は1,033個と公表されています。

回収されたら返金される?

いわて生協では、対象商品について回収後に返金対応を行っています。

店舗で購入した場合は購入店舗で回収。

宅配で購入した場合は、配達担当者が回収する方法が案内されています。

対象商品を持っている場合は、食べずにいわて生協の案内を確認してください。

DONを食べるとどうなる?

DONを多量に摂取した場合、

  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 腹痛
  • 食欲不振

などの消化器症状を起こす可能性があります。

こうした作用から、DONは「ボミトキシン」と呼ばれることもあります。

基準値を超えたら食べただけで症状が出る?

ここは誤解しやすいところです。

基準値を少し超えた食品を一度食べただけで、必ず健康被害が起こるという意味ではありません。

今回確認された最大値は1.3mg/kgで、基準値1.0mg/kgを上回っています。

一方、JA全農いわては、今回のケースについて、仮に多量に摂取した場合でも健康への悪影響が及ぶ可能性は低いとの見解を示しています。

2026年10月6日の公表時点では、健康被害は確認されていません。

ではなぜ基準値があるの?

食品の基準値は、

「そこを超えたら直ちに中毒になる境界線」

ではありません。

毎日の食事から長期間摂取する可能性なども考え、安全性を確保するために設定されています。

基準値を超えた食品は流通させないことが基本です。

今回も健康被害の可能性が低いという評価とは別に、基準値を超えた原料を使用した商品は自主回収されています。

子どもが食べてしまった場合は?

子どもは大人より体重が少ないため、同じ量を食べても体重あたりの摂取量は大きくなります。

そのため、対象商品が家庭にある場合は、これ以上食べずに回収へ出しましょう。

すでに一度食べたからといって、直ちに健康被害が起きると考える必要はありません。

ただし、

  • 嘔吐
  • 強い腹痛
  • 下痢
  • 体調不良が続く

などの症状がある場合は、医療機関へ相談してください。

加熱すればDONはなくなる?

「うどんなら茹でれば大丈夫?」

「パンなら焼けば消える?」

と思う人もいるかもしれません。

しかし、DONは通常の家庭調理だけで完全になくなるとは考えないほうがよい物質です。

対象商品だからといって、

「しっかり加熱して食べればいい」

という対応はおすすめできません。

自主回収対象品は食べずに返却しましょう。

水洗いすれば大丈夫?

こちらも同様です。

DONは小麦の表面に付いた汚れを洗い落とすようなものではありません。

小麦粉や乾麺になった商品を水洗いして安全にできるものではないため、対象商品の回収案内に従ってください。

岩手県産小麦は全部危険なの?

違います。

今回問題となっているのは、基準値超過が確認された特定の「ナンブキラリ」が誤って流通した事案です。

岩手県産小麦すべてからDONが基準値超過しているわけではありません。

また、「ナンブキラリ」という品種そのものが危険という意味でもありません。

農産物の一部ロットで赤かび病由来のDONが高くなったことと、品種全体の安全性は分けて考える必要があります。

国内の小麦製品全部が対象でもない

今回流通した小麦は限定されています。

そのため、スーパーで販売されているパン・麺・小麦粉など、すべての小麦製品が自主回収対象になっているわけではありません。

対象かどうかは、事業者や消費者庁が公表する、

  • 商品名
  • JANコード
  • 賞味期限
  • 販売期間

などを確認してください。

なぜ回収商品が今後増える可能性がある?

問題となった小麦粉は県内外8社へ出荷されています。

そのため、調査が進むことで、小麦粉を原料として使用した加工食品の回収情報が追加される可能性があります。

今回すでに確認されているそうめん・ひやむぎ・うどんだけで回収対象がすべてとは限りません。

家庭に岩手県産小麦を使った商品がある場合は、最新の回収情報を確認すると安心です。

栄養士・元品質管理経験者として気になるのは「検査後の管理」

私は栄養士で、以前は飲料メーカーの品質管理部門で微生物検査などにも携わっていました。

今回の事案で特に気になるのは、

「基準値超過を検査で見つけられていたのに、その後の保管管理で取り違えが起きた」

という点です。

食品の安全管理では、検査をするだけでは十分ではありません。

検査で「不適合」と判断されたものを、正常品から確実に隔離する必要があります。

検査で見つけても流通したら意味がない

食品工場や倉庫では、不適合品について、

  • 置き場所を分ける
  • 明確に表示する
  • 出荷できない状態にする
  • 数量を管理する
  • 処分まで記録する

といった管理が重要です。

今回のケースは、DONを検査で発見する仕組み自体は機能していました。

しかし、その後の保管倉庫への指示が適切でなかったことで、正常品との取り違えが発生したとされています。

再発防止では、この管理工程の見直しが重要になりそうです。

2026年10月時点で健康被害の報告はなし

JA全農いわてによると、2026年10月6日の発表時点で健康被害は確認されていません。

基準値超過という言葉だけで過度に怖がる必要はありませんが、対象商品を持っている場合は回収に協力しましょう。

今後、新たな商品が自主回収対象として追加される可能性もあるため、続報にも注意が必要です。

まとめ

今回は、岩手県産小麦「ナンブキラリ」から国の基準値を超えるDONが検出され、自主回収が進められている問題についてまとめました。

  • 問題となったのは岩手県産小麦「ナンブキラリ」
  • DONが最大1.3mg/kg検出された
  • 日本の小麦の基準値は1.0mg/kg
  • DONは赤かび病の原因菌などが作るかび毒
  • 基準値超過は自主検査ですでに判明していた
  • 本来出荷しない小麦を正常品と取り違えた
  • 2026年2月に約1トンが製粉会社へ誤出荷された
  • ほかの県産小麦と混ぜて製粉され、小麦粉約17トンに影響
  • 小麦粉は県内外8社へ出荷された
  • アイコープのそうめん・ひやむぎ・うどんなどで自主回収が始まっている
  • 2026年10月6日時点で健康被害は確認されていない
  • 基準値超過は「食べたら必ず中毒になる」という意味ではない
  • 対象商品は加熱して食べず、回収へ出す

今回の事案は、DONが検査をすり抜けたのではありません。

検査で基準値超過を発見していたにもかかわらず、その後の保管管理で正常品と取り違えられたという点が大きなポイントです。

すでに加工品の自主回収も始まっているため、自宅に岩手県産小麦を使用した乾麺などがある場合は、商品名や賞味期限を確認しておきましょう。

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