麻布十番納涼まつりの集団食中毒で、一気に知られることになった「冷やし蟹ラーメン」。
その後、料理研究家のリュウジさんが2026年9月7日、自身のYouTubeで「冷やし蟹ラーメンについて」という動画を公開しました。
実際に冷やし蟹ラーメンを作る内容だったことから、
「食中毒を起こした冷やし蟹ラーメンを再現したの?」
「元の商品と同じ材料なの?」
と気になった人もいるのではないでしょうか。
しかし、リュウジさんが作ったものと、麻布十番納涼まつりで販売された冷やし蟹ラーメンは同一のレシピだと確認されたものではありません。
今回は、現在公開されている情報から、両者について「分かっていること」と「分からないこと」を整理します。
リュウジ版「冷やし蟹ラーメン」の材料は?
リュウジさんが動画で作った冷やし蟹ラーメンは、レシピが具体的に公開されています。
1人前に使う主な材料は次の通りです。
- 中華麺(平打ち麺)1玉
- コーンクリーム90g
- 無調整豆乳90cc
- カニ缶1缶
- カニカマ4本
- 醤油 小さじ2
- こんぶだし 小さじ1
- 味の素 4振り
- ホワイトペッパー 3振り
- 塩 ひとつまみ
- 食べるラー油 適量
- かいわれ大根 適量
- コーン 適量
- 糸唐辛子 適量
カニ缶とカニカマについては、どちらか一方だけでもよいとされています。
豆乳とコーンクリームを同量使った、クリーミーな冷製スープが大きな特徴です。
リュウジ版はどうやって作る?
作り方も比較的シンプルです。
器にコーンクリームと無調整豆乳を入れ、調味料やカニを加えてスープを作ります。
スープを入れた器は冷やしておきます。
平打ち麺を茹でたら流水で洗い、さらに氷水で締めて水気を切ります。
冷やしたスープと麺を合わせ、カニやかいわれ大根、コーン、糸唐辛子などをトッピング。
最後に食べるラー油をかけて完成です。
動画で作られているのは、リュウジさんが考えたひとつの「冷やし蟹ラーメン」です。
では、食中毒を起こした元の商品は?
元の商品は、2026年8月22日と23日に開催された麻布十番納涼まつりで「割烹こめを」が販売した冷やし蟹ラーメンです。
東京都の公式発表によると、この冷やし蟹ラーメンは店舗内で調理され、イベント会場へ持ち込んで販売されていました。
その後、喫食者から下痢、腹痛、発熱などの症状が相次ぎ、港区みなと保健所が調査。
患者全員に共通する食事がこの冷やし蟹ラーメンだったことなどから、原因食品と断定されました。
病因物質はサルモネラ属菌です。
元商品の詳しいレシピは公式発表されていない
ここが比較するうえで非常に重要です。
東京都の食中毒発表では、原因食品が「冷やし蟹ラーメン」であることは明記されています。
一方、公式発表には元商品の詳細なレシピや、すべての材料と分量までは掲載されていません。
そのため、リュウジ版に使われている材料を見て、
「元の商品にも同じ量の豆乳が入っていた」
「元の商品にもコーンクリームが90g使われていた」
などと考えることはできません。
公開されていない情報を、リュウジ版のレシピから逆算しないことが重要です。
リュウジ版は「完全再現レシピ」ではない
今回の動画は、元商品の正式なレシピを入手して忠実に再現する企画ではありません。
食中毒事件を受け、視聴者から「冷やし蟹ラーメンを作ってほしい」というリクエストが多数寄せられたことをきっかけに、リュウジさんが自身の料理として作ったものです。
そのため「再現」という言葉を使う場合にも、元の商品とまったく同じものを再現したという意味ではない点に注意が必要です。
リュウジは元商品のスープについても言及
リュウジさんは動画の中で、食中毒を起こした冷やし蟹ラーメンについても言及しています。
報道によると、元商品のスープがペットボトルで保管されていたことや、スープに豆乳が使われていたことなどに触れています。
さらに、実際に食べた人からスープが「ぬるかった」と聞いたとして、温度管理について自身の考えを述べています。
ただし、これらをそのまま行政による食中毒原因の認定と考えることはできません。
「豆乳が原因だった」とは確定していない
リュウジさんは動画内で豆乳の取り扱いについて強く注意を促しています。
この発言から、
「麻布十番の食中毒は豆乳が原因だったの?」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、東京都の公式発表では「豆乳がサルモネラ属菌の汚染源だった」とは発表されていません。
行政によって確認された病因物質はサルモネラ属菌ですが、その事実と「どの材料から菌が入ったのか」は別の問題です。
現時点で公表されていない汚染源を、特定の材料に結びつけて断定することは避ける必要があります。
「ぬるかった」ことも行政認定の原因ではない
同様に、リュウジさんが紹介した「ぬるかった」という喫食者の話についても注意が必要です。
食品衛生上、適切な温度管理は非常に重要です。
しかし、今回の食中毒について、行政が「スープがぬるかったことによってサルモネラ属菌が増殖した」と正式に発表したわけではありません。
一般的な衛生管理として温度管理を考えることと、個別事件の発生原因を断定することは分けて考えましょう。
同じ名前でも「作り方」が違えば別の料理
「冷やし蟹ラーメン」という料理名が同じでも、使う材料や調味料、加熱方法、冷却方法、保存方法、提供方法は作る人によって異なります。
今回のリュウジ版もそのひとつです。
豆乳とコーンクリームをベースに、カニや調味料を組み合わせ、茹でて氷水で締めた麺と合わせています。
事件で販売された商品と名前が同じだからといって、安全性まで同じになるわけではありません。
食中毒は「料理名」で起きるわけではない
麻布十番の事件によって、「冷やし蟹ラーメン」という料理名そのものに食中毒の印象を持った人もいるでしょう。
しかし、食中毒は料理の名前によって起きるものではありません。
食材の衛生状態、調理、加熱、冷却、保存、運搬、盛り付けなど、食品が口に入るまでのさまざまな工程が関係します。
そのため、今回の事件を理由に「冷やし蟹ラーメンという料理は危険」と考えるのも適切ではありません。
イベント販売と家庭調理では条件も違う
元の商品は店舗内で調理され、イベント会場へ持ち込んで販売されていました。
一方、リュウジさんの動画では1人前の料理をその場で調理しています。
この違いも大きなポイントです。
イベント販売では、まとまった量の調理や保管、運搬、販売といった工程が発生します。
家庭で1食分を作ってすぐ食べる場合とは、食品が置かれる条件や調理から喫食までの時間も異なります。
そのため、レシピだけを並べて安全性を比較することはできません。
リュウジ版を家庭で作る場合も衛生管理は必要
もちろん、家庭でリュウジ版を作れば食中毒対策を考えなくてよいという意味でもありません。
麺を茹でた後に冷やす。
冷たいスープと合わせる。
カニなどの具材をトッピングする。
こうした工程では、手指や調理器具を清潔に保ち、食品を必要以上に室温へ放置しないことが大切です。
冷たい状態でそのまま食べる料理だからこそ、完成後に再加熱しないことも意識しておきたいところです。
元商品とリュウジ版を比べて分かること
今回の2つの冷やし蟹ラーメンを比較して最も重要なのは、
「料理名が同じでも、レシピや調理条件まで同じとは限らない」
ということです。
元の商品について行政から公表されているのは、食中毒調査に必要な情報が中心です。
一方、リュウジ版は視聴者が料理を作れるよう、材料や分量、調理方法が具体的に公開されています。
そもそも公開されている情報の目的が違います。
そのため、分からない部分を無理に埋めて「完全比較」するのではなく、確認できる範囲で整理することが大切です。
まとめ|リュウジ版は「元の商品そのもの」ではない
料理研究家リュウジさんは2026年9月7日、麻布十番の食中毒で話題となった「冷やし蟹ラーメン」を自身のYouTubeで作りました。
リュウジ版では、無調整豆乳90ccとコーンクリーム90gをベースに、カニ、醤油、こんぶだしなどを使った冷製スープを作り、氷水で締めた平打ち麺と合わせています。
一方、麻布十番納涼まつりで販売された元商品の詳細なレシピや全材料の分量は、東京都の食中毒発表では公表されていません。
そのため、両者を同一のレシピと考えることはできません。
また、リュウジさんが動画で豆乳やスープの温度管理について言及していますが、東京都が「豆乳」や「ぬるいスープ」を今回の食中毒の直接原因として認定したわけではありません。
行政が確認しているのは、当該店舗が調理・販売した冷やし蟹ラーメンを原因食品、サルモネラ属菌を病因物質とする食中毒だったということです。
「リュウジ版のレシピ」「リュウジさん自身の考察」「行政が確認した食中毒の事実」。
この3つを分けて考えることで、今回の動画と食中毒事件の関係がより分かりやすくなります。


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