食品への金属異物混入はなぜ起こる?製造現場で考えられる原因と対策

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食品の自主回収では、ときどき、

「金属片が混入していた」

「針金のような異物が入っていた」

といった事案が公表されます。

2026年10月に自主回収となった中央冷藏の「鶏炭火焼砂肝」でも、肉の内部から長さ約1cmの針金状金属異物が確認されました。

では、そもそも食品に金属異物が混入するのはなぜなのでしょうか。

今回は、食品製造現場で一般的に考えられる金属異物混入の原因と、その対策について解説します。

なお、今回の「鶏炭火焼砂肝」については、公開情報から具体的な混入原因は確認できません。

そのため、以下はあくまで食品製造現場における一般的な原因と対策として説明します。

金属異物はどこから混入する?

食品製造現場には、

  • 製造機械
  • 刃物
  • ボルトやナット
  • 金属製の網
  • ブラシ
  • 工具
  • 搬送設備

など、多くの金属部品があります。

そのため、設備の破損や摩耗、作業中のトラブルなどによって金属片が食品へ入り込む可能性があります。

原因① 製造機械の摩耗

食品工場では、同じ設備を長期間使用します。

その中で、金属部品同士がこすれたり、振動したりすると、少しずつ摩耗することがあります。

摩耗した部品から、

  • 金属粉
  • 小さな金属片
  • 薄い破片

などが発生する可能性があります。

原因② 機械部品の破損

設備部品が破損すると、比較的大きな金属片が食品へ混入する可能性があります。

例えば、

  • ネジ
  • ボルト
  • ナット
  • バネ
  • 金属板
  • ピン

などです。

振動する設備では緩みにも注意

製造設備の中には、稼働中に大きく振動するものもあります。

長期間使用するうちにネジなどが緩み、脱落する可能性があります。

そのため、定期点検や増し締めが重要になります。

原因③ 刃物の欠損

食品を切断する工程では、

  • 包丁
  • カッター
  • スライサー
  • 回転刃

などの金属製刃物が使われます。

刃が欠けると、その破片が食品へ混入する可能性があります。

刃物は使用前後の確認が重要

そのため製造現場では、

  • 使用前の刃の確認
  • 使用後の確認
  • 欠損の有無
  • 交換履歴

などを管理することがあります。

原因④ ワイヤーブラシなどの清掃用具

食品工場では、設備の清掃に金属製ブラシなどを使用する場合があります。

こうしたブラシの細い金属線が折れると、

針金のような形状の異物

になる可能性があります。

ただし、今回の砂肝回収について、ワイヤーブラシが原因と公表されているわけではありません。

「針金状」だからブラシとは限らない

これは特に注意したいポイントです。

針金のように細い金属異物が見つかると、ワイヤーブラシを連想しやすいですが、

  • 設備の線材
  • 金属バネ
  • 金属網
  • 原料由来
  • その他の器具

など、さまざまな可能性があります。

形状だけで発生源を断定することはできません。

原因⑤ 金属製の網・メッシュ

食品製造では、

  • ふるい
  • ストレーナー
  • 金網
  • フィルター

などの金属メッシュを使うことがあります。

これらが劣化・破損すると、細い線状の金属片が発生する可能性があります。

原因⑥ 工具の置き忘れや破損

設備のメンテナンスでは、

  • ドライバー
  • レンチ
  • ペンチ
  • 六角レンチ

などの工具を使用します。

工具そのものが食品へ入ることはまれでも、破損した部品や小さな金属片が残る可能性があります。

メンテナンス後の確認が重要

設備修理の後は、

  • 工具の本数
  • 部品の状態
  • ネジの有無
  • 作業場所に異物が残っていないか

などを確認することが重要です。

原因⑦ 原料由来

金属異物は、必ずしも製造工場内で発生するとは限りません。

原料の段階ですでに混入している可能性もあります。

例えば、農畜水産物では、採取・加工・運搬などの過程で異物が入り込む可能性があります。

だから受け入れ検査も重要

食品工場では、完成品だけでなく、原料受け入れ時にも、

  • 外観
  • 包装状態
  • 異物
  • 品質

などを確認します。

原因⑧ 搬送設備

食品を運ぶコンベアや搬送装置にも金属部品が使われています。

これらの設備が摩耗・破損した場合も、金属異物の発生源になる可能性があります。

原因⑨ 包装機械

食品を袋やトレイへ詰める包装工程にも、さまざまな機械があります。

包装機の切断部分やシール機構などに金属部品が使われている場合、異常があれば異物発生につながる可能性があります。

原因⑩ 人の持ち込み

作業者が身につけている、

  • アクセサリー
  • クリップ
  • 安全ピン
  • 筆記具の金属部品

などが異物になる可能性もあります。

そのため、食品工場では持ち込み品を厳しく管理する場合があります。

金属異物を防ぐには?

金属異物対策では、

「混入を防ぐ」「発生した異物を見つける」

という二段階の考え方が重要です。

対策① 日常点検

まず重要なのが、製造開始前後の設備点検です。

例えば、

  • ネジの緩み
  • 刃の欠け
  • 金網の破損
  • ブラシの損傷
  • 設備の異音

などを確認します。

異常の早期発見が重要

「まだ動いているから大丈夫」ではなく、少しの異常でも早めに対応することで、部品が完全に破損する前に交換できます。

対策② 定期メンテナンス

設備は定期的に、

  • 分解
  • 点検
  • 部品交換
  • 潤滑
  • 調整

などを行います。

摩耗部品を故障前に交換する「予防保全」も重要です。

対策③ 部品管理

使用する部品を管理し、

  • 交換時期
  • 使用時間
  • 破損履歴

などを記録することで、異常の傾向を把握できます。

対策④ 工具管理

工具は、

  • 持ち込み
  • 使用
  • 返却

を管理します。

作業終了後にすべての工具がそろっているか確認することも、異物混入防止につながります。

対策⑤ 目視検査

製造工程や包装前に、作業者が食品の外観を確認する方法です。

比較的大きな異物であれば、目視で発見できることがあります。

ただし見えない異物もある

今回の砂肝のように、異物が食品内部に埋まっていた場合、外観検査だけでは見つけにくいことがあります。

そのため、目視だけに頼ることはできません。

対策⑥ 金属検出機

食品製造現場で代表的な異物検出装置が、

金属検出機

です。

食品を検査装置の中へ通し、金属の存在を検知します。

どんな金属を検出できる?

一般的な金属検出機では、

  • 鉄
  • 非鉄金属
  • ステンレス

などを検出対象とします。

ただし、検出感度は材質や大きさによって異なります。

対策⑦ X線検査

X線検査装置を使用すると、密度の違いを利用して異物を検出できます。

金属だけでなく、条件によっては、

  • 石
  • ガラス
  • 硬い骨

などを検出できる場合があります。

金属検出機とX線は同じではない

金属検出機は金属を検出する装置ですが、X線検査は食品と異物の密度差を利用します。

それぞれ得意・不得意があり、商品の性質によって使い分けられます。

検査機があれば100%防げる?

残念ながら、どの検査装置でも100%すべての異物を検出できるとは限りません。

検出感度には、

  • 異物の材質
  • 異物の大きさ
  • 異物の向き
  • 商品の厚み
  • 食品中の水分・塩分
  • 包装状態

などが影響します。

細長い針金は向きも影響する

細長い金属異物では、装置を通過するときの向きによって検出しやすさが変わることがあります。

このため、検査機を設置するだけでなく、感度設定や作動確認が重要です。

テストピースで動作確認

金属検出機などでは、既知の大きさ・材質のテストピースを使って、装置が正常に異物を検出できるか確認します。

製造開始前や製造中、終了時など、決められたタイミングで確認することがあります。

異常が出たら製品を隔離

検査装置が異物を検知した場合は、対象商品をそのまま出荷せず、隔離して確認します。

必要に応じて、その前後に製造された製品まで範囲を広げて調査します。

原因調査では現物が重要

実際に金属異物が見つかった場合は、

  • 材質
  • 太さ
  • 長さ
  • 形状
  • 断面

などを調べます。

設備の部品と照合する

異物と製造設備の部品を比較し、同じ材質・形状か確認することで、発生源を特定できる場合があります。

今回の砂肝案件では原因は未公表

中央冷藏の「鶏炭火焼砂肝」では、長さ約1cmの針金状異物が肉の内部から確認されています。

しかし、公開されている回収情報では、

  • どの設備が原因なのか
  • 原料由来なのか
  • どの工程で混入したのか
  • なぜ検出できなかったのか

といった具体的な原因は確認できません。

原因不明の段階で断定しない

異物混入事故では、原因を早く知りたくなります。

しかし、

「針金だから○○が原因だろう」

と推測だけで断定するのは避ける必要があります。

公式調査で判明した内容と、一般的に考えられる原因は分けて考えましょう。

私も品質管理では「原因を分けて考える」ことが重要だと感じます

私は以前、飲料メーカーの品質管理部門で微生物検査などに携わっていました。

製品に問題が起きたときは、まず事実を確認し、

  • 原料
  • 設備
  • 工程
  • 作業
  • 検査

など、可能性を一つずつ切り分けていくことが重要です。

異物混入でも、「見た目から原因を決めつける」のではなく、現物と工程を照合することが原因究明につながります。

金属異物の原因と対策まとめ

考えられる原因主な対策
設備摩耗定期点検・予防保全
部品破損始業前後点検・部品管理
刃物欠損刃の使用前後確認
金網・ブラシ破損劣化確認・定期交換
工具由来工具本数管理
原料由来受け入れ検査
人による持ち込み持ち込み品管理

検出方法まとめ

方法特徴
目視表面に見える異物を確認
金属検出機金属異物を検出
X線検査密度差の大きい異物を検出
設備点検異物発生そのものを予防

一番重要なのは「検出する前に発生させない」こと

金属検出機やX線検査は重要ですが、異物が食品に入ってから見つける対策です。

食品安全では、

異物を発生させない設備管理や作業管理

も同じくらい重要です。

複数の対策を組み合わせる

金属異物対策では、

  1. 設備を壊さない
  2. 異物を発生させない
  3. 途中で確認する
  4. 最終検査で検出する
  5. 異常品を出荷しない

という複数の対策を重ねることで、リスクを下げていきます。

まとめ

今回は、食品への金属異物混入がなぜ起こるのか、製造現場で一般的に考えられる原因と対策をまとめました。

  • 製造設備の摩耗で金属片が発生することがある
  • ネジや部品の破損・脱落も原因になり得る
  • 刃物の欠損にも注意が必要
  • 金属製ブラシや網が破損する可能性もある
  • 工具や搬送設備、包装機械も管理対象
  • 原料由来の異物も考えられる
  • 日常点検と定期メンテナンスが重要
  • 金属検出機やX線検査が利用される
  • 検査装置も100%ではない
  • 異物の材質・大きさ・向きなどで検出感度が変わる
  • 異物発生そのものを防ぐことが重要
  • 今回の鶏炭火焼砂肝の具体的な混入原因は公表情報だけでは確認できない

食品への金属異物混入対策で大切なのは、

「最後に金属検出機を通せばいい」のではなく、原料・設備・作業・検査を重ねて管理すること

です。

そして実際に異物事故が起きた場合は、推測だけで原因を決めつけず、現物と製造工程を一つずつ確認していくことが再発防止につながります。

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