2026年9月、江崎グリコの「アーモンド効果PROTEIN ナッツミックス」シリーズの一部商品について、自主回収が発表されました。
今回の発表で気になるのが、自主回収に至った原因です。
江崎グリコによると、製造過程で細菌が混入し、その細菌が商品中で増殖したことで「酸」が生じ、風味劣化につながったとされています。
つまり今回の品質変化は、単純に味付けを間違えた、原料の配合が違ったという話ではありません。
微生物の混入と増殖によって、本来とは異なる風味が生じたことが自主回収につながりました。
では、細菌が増えるとなぜ飲料の味が変わるのでしょうか。
今回は、アーモンド効果の自主回収について、メーカーが公表した情報をもとに「混入→増殖→酸生成→風味劣化」という流れを詳しく見ていきます。
アーモンド効果の一部商品が自主回収
江崎グリコが2026年9月14日に自主回収を発表したのは、次の2商品です。
- アーモンド効果PROTEIN ナッツミックス250g
- アーモンド効果 PROTEIN ナッツミックス砂糖不使用250g
ただし、この2商品すべてが対象ではありません。
今回問題となったのは、2026年7月27日に製造委託先工場で製造された一部の商品です。
対象商品の賞味期限は「2027年4月22日」で、ロット記号に「PKP」が含まれています。
対象となる商品は合計10万4030本です。
自主回収の直接的な理由は「風味劣化」
今回の自主回収について、江崎グリコは「風味劣化を引き起こす、品質基準に満たない商品が流通していることが判明した」と説明しています。
つまり、メーカーが本来想定している品質を満たしていない商品が市場へ流通していることが分かったため、自主回収することになりました。
そして、その風味劣化について原因調査を行った結果、細菌の混入が確認されました。
検出されたのはバチルス・チューリンゲンシス
江崎グリコが公表している原因菌は「バチルス チューリンゲンシス」です。
バチルス・チューリンゲンシスは、土壌や農産物などからも検出される、自然界に広く分布している細菌です。
今回、この菌が製造過程で商品へ混入したとされています。
重要なのは、「細菌が検出された」という事実だけではありません。
今回の風味劣化には、混入した菌がその後に増殖したことが関係しています。
「細菌が混入した」だけでは風味が変わるとは限らない
食品中へ微生物が混入した場合、その後どのような変化が起こるかはさまざまな条件によって変わります。
菌の種類だけでなく、食品中の水分、栄養分、pH、温度、酸素の有無など、複数の条件が微生物の増殖に関係します。
また、混入した微生物の量によっても、その後の変化の現れ方は異なります。
そのため、微生物がごく少量混入した瞬間に、食品の味や香りが急激に変わるとは限りません。
今回、商品中で実際にどのような速度で菌数が増えたのかなど、詳細な増殖過程までは公表されていません。
今回の流れは「混入→増殖→酸生成→風味劣化」
江崎グリコの公式発表を整理すると、今回の品質劣化は次のような流れになります。
| 段階 | 起きたこと |
|---|---|
| 1.製造 | 製造過程で細菌が混入 |
| 2.増殖 | バチルス・チューリンゲンシスが商品中で増殖 |
| 3.代謝 | 菌の増殖に伴って酸が生じる |
| 4.品質変化 | 本来とは異なる風味へ変化 |
| 5.自主回収 | 品質基準を満たさない商品として回収 |
「菌がいたから味が変わった」という一段階の話ではなく、菌が増殖し、その活動によって生じた物質が食品の品質へ影響したと考えると分かりやすいでしょう。
なぜ細菌が増えると「酸」ができるの?
微生物も、生きて活動するために食品中の成分を利用します。
その過程で、さまざまな代謝物が生じることがあります。
菌の種類や食品の条件によって生じる物質は異なりますが、酸などが作られると、食品のpHや味、香りなどに変化が現れることがあります。
今回について江崎グリコは、バチルス・チューリンゲンシスの増殖によって酸が生じ、それが風味劣化につながったと説明しています。
ただし、具体的にどの酸がどの程度生成されたのかについては、公式発表では明らかにされていません。
「酸ができた」=腐敗とは限らない
ここで注意したいのが、「酸が生じた」という情報だけで一般的な意味での腐敗と決めつけないことです。
食品の品質変化には、さまざまな微生物や化学反応が関係します。
メーカーの発表では今回の現象を「風味劣化」と説明しています。
そのため、今回の商品について「腐ったアーモンドミルクだった」などと表現するのは適切ではありません。
公式に確認されているのは、細菌が増殖して酸が生じ、メーカーの品質基準を満たさない風味劣化が起きたということです。
「細菌混入」なのになぜ健康への影響はないの?
「細菌が混入していた」と聞くと、食中毒を心配する人も多いでしょう。
しかし、細菌には非常に多くの種類があり、食品から細菌が検出されたことと、食中毒が発生することは同じではありません。
今回検出されたバチルス・チューリンゲンシスについて、江崎グリコは土壌や農産物などからも検出され、広く分布している菌と説明しています。
また、同社は国内外の複数の公的機関によって安全性が科学的に確認されているとしており、今回の対象商品を摂取することによる健康への影響はないと判断しています。
今回の自主回収は、健康被害が発生したことを理由とするものではなく、風味劣化によってメーカーの品質基準を満たさなくなったことによるものです。
「安全」と「品質」は同じではない
食品を考えるときに重要なのが、「安全性」と「品質」を分けて考えることです。
健康への影響がないと判断された食品であっても、本来想定された味や香り、色、食感などから外れていれば、商品として求められる品質を満たしていない場合があります。
今回のアーモンド効果では、まさにこの品質部分が問題になりました。
江崎グリコは健康への影響はないと判断する一方、品質方針に基づき、品質に万全を期す観点から対象商品を自主回収しています。
なぜ製造した時点で分からなかったの?
今回の商品は2026年7月27日に製造され、自主回収が発表されたのは9月14日です。
そのため、「工場で作ったときに気付かなかったの?」という疑問も出てきます。
しかし、微生物による品質劣化では、混入した直後から目に見える異常が現れるとは限りません。
ごく少量の微生物が時間の経過とともに増殖し、一定量の代謝物が生じた段階で、初めて味や香りなどの変化として分かる場合があります。
一方で、今回の製造時検査の具体的な内容や、菌がどの工程から混入したのか、いつ風味変化が認識できる状態になったのかといった詳細は公表されていません。
そのため、「検査ミスだった」「検査をすり抜けた」と現段階で断定することはできません。
対象商品が限定されているのはなぜ?
今回の自主回収は、アーモンド効果シリーズ全体を対象にしたものではありません。
江崎グリコは、風味劣化が発生している商品について、2026年7月27日に製造委託先工場で製造された2商品に特定できているとしています。
また、該当日以外に生産した同商品については、品質上の問題がないことを確認したと発表しています。
そのため、商品名だけではなく、賞味期限やロット記号まで確認することが重要です。
実は2025年にも「アーモンド効果」で風味劣化による回収があった
アーモンド効果では、2025年5月にも一部商品の自主回収が行われています。
当時対象となったのは「アーモンド効果 3種のナッツ 200ml」の一部商品でした。
このときは、製造過程でセルロモナス属細菌が混入し、増殖によって酸や凝集が生じたことが風味劣化の原因とされています。
ただし、2025年と2026年では検出された菌も対象商品も製造工場も異なります。
そのため、2つの自主回収を同じ原因によるものとして扱うことはできません。
微生物による食品の「品質劣化」をどう考える?
食品と微生物の問題というと、どうしても食中毒に注目しがちです。
しかし、食品メーカーが管理しているのは健康被害につながる微生物だけではありません。
味や香り、色、食感などを変化させ、商品価値を損なう微生物も品質管理の対象になります。
今回のアーモンド効果は、微生物によって風味が変化し、メーカーの品質基準を満たさなくなった事例です。
「食中毒菌かどうか」だけではなく、「商品として本来あるべき品質を保てているか」という視点も、食品の品質管理では重要になります。
まとめ
2026年9月に発表されたアーモンド効果の自主回収は、一部商品で風味劣化が発生したことによるものです。
江崎グリコによると、製造過程でバチルス・チューリンゲンシスが混入し、商品中で増殖したことで酸が生じ、風味劣化につながりました。
今回の流れを整理すると、「細菌の混入→増殖→酸の生成→風味劣化」となります。
一方、江崎グリコは対象商品を摂取することによる健康への影響はないと判断しています。
今回の自主回収は、食中毒の発生を受けたものではなく、メーカーの品質基準を満たさない商品が流通したことを受けて行われたものです。
細菌が食品へ与える影響は健康被害だけではありません。味や香りなどの商品品質を維持するという意味でも、食品製造における微生物管理は重要です。

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