「縦に裂けるキノコなら食べられる」
「虫が食べているキノコなら人間も食べられる」
「ナスと一緒に煮れば毒が消える」
キノコについて、こんな話を聞いたことはありませんか?
一見すると昔から伝わる「キノコの見分け方」のようですが、石川県はこれらを誤った見分け方として公式サイトで否定しています。
2026年9月2日に更新された石川県の毒キノコ注意喚起では、なんと6つの俗説を具体的に挙げ、すべて「×」としています。
毒キノコによる食中毒を防ぐために、何を信じてはいけないのか。
今回は石川県が紹介する6つの誤った見分け方を、一つずつ整理します。
石川県が毒キノコへの注意を呼びかけ
石川県によると、全国では2024年にキノコによる食中毒が19件発生し、48人の患者が確認されています。
2023年には24件、患者60人でした。
石川県内でも直近では2023年に1件発生し、2人が患者となっています。
毒キノコの中には食用キノコと色や形がよく似ていて、区別することが難しいものがあります。
そのため石川県は、食用と判断できないキノコについて、
- 採らない
- 食べない
- 売らない
- 人にあげない
ことを呼びかけています。
俗説①「縦に裂けるキノコは食べられる」→×
まずは、天然キノコの見分け方として耳にすることがある、
「縦に裂けるキノコなら食べられる」
という説です。
石川県はこれについて明確に「×」としています。
キノコが縦に裂けるかどうかは、食用か毒キノコかを判断する基準にはなりません。
「きれいに裂けたから大丈夫」と判断して食べるのは危険です。
俗説②「塩漬けすれば毒はなくなる」→×
続いては、
「毒キノコでも塩漬けにすれば食べられる」
という説。
これも石川県は否定しています。
県によると、毒性の強いキノコでは塩漬けにしても効果はありません。
調理や加工をすれば毒キノコを安全な食品へ変えられる、と安易に考えないことが重要です。
俗説③「地味な色のキノコは食べられる」→×
毒キノコというと、赤や紫など派手な色をしたキノコを想像する人もいるかもしれません。
そのイメージから生まれやすいのが、
「地味な色なら食べられる」
という思い込みです。
しかし、これも間違いです。
石川県は、見た目の色だけでは食用か毒キノコかを判断できないとしています。
茶色や白など、一見すると普通の食用キノコのように見える毒キノコも存在します。
2026年に各地で話題となっているオオシロカラカサタケも、大型で白いキノコです。
「毒々しい色ではない=安全」という判断はできません。
俗説④「ナスと一緒に煮れば毒がなくなる」→×
かなり具体的なのが、
「毒キノコもナスと一緒に煮れば毒がなくなる」
という俗説です。
しかし石川県は、毒キノコとナスを一緒に煮ても毒はなくならないと明記しています。
ナスに毒を吸収したり無毒化したりする効果があるわけではありません。
昔から聞いたことのある調理法だからといって、安全性が保証されているわけではないのです。
俗説⑤「においが良ければ食べられる」→×
「毒のあるものなら嫌なにおいがするのでは?」
そんなイメージもありますが、これも判断基準にはなりません。
石川県は、
「においが良ければ食べられ、悪ければ毒である」
という説を否定しています。
においだけで食用・毒キノコを判断することはできません。
おいしそうな香りがするから安全、という保証もないのです。
俗説⑥「虫が食べているキノコは安全」→×
最後は、
「ナメクジや虫が食べているなら、人間が食べても大丈夫」
という説です。
これも間違いです。
石川県は、ナメクジや虫に無害であっても、人間に無害とはいえないと説明しています。
人間と昆虫などでは、物質に対する影響が同じとは限りません。
虫食いの跡は「食用証明書」にはならないということです。
6つ全部、食用判定には使えない
石川県が否定している俗説をまとめると、
- 縦に裂けるから安全 → ×
- 塩漬けすれば安全 → ×
- 地味な色だから安全 → ×
- ナスと煮れば安全 → ×
- においが良いから安全 → ×
- 虫が食べているから安全 → ×
となります。
どれかひとつを確認すれば食べられる、というものではありません。
「昔からそう言われている」という理由だけで天然キノコを口にするのは避けましょう。
食用キノコと毒キノコは本当に似ている
石川県は公式サイトで、紛らわしい毒キノコについて具体的な例も紹介しています。
そのひとつがツキヨタケです。
ツキヨタケは毒キノコですが、食用のヒラタケやムキタケなどと似ています。
石川県内でも過去に繰り返しツキヨタケによる食中毒が発生しています。
食べると嘔吐や下痢などの症状を起こします。
専門家でも見分けが難しいキノコがある
さらに石川県が注意を促しているのが、クサウラベニタケなどのキノコです。
毒キノコのクサウラベニタケとイッポンシメジ、食用のウラベニホテイシメジは外見が似ています。
石川県は、この3種類について専門家でも見分けることが困難と説明しています。
県内では2010年、2015年、2019年にクサウラベニタケによる食中毒が発生しています。
「キノコを何度も採ったことがあるから大丈夫」と経験だけに頼ることにも注意が必要です。
毒キノコが実際に販売された事例も
石川県が紹介している「ニガクリタケ」にも注目です。
ニガクリタケは毒キノコで、食べると嘔吐や下痢を起こし、重症になるとけいれんを起こして死亡することもあります。
食用のクリタケと間違えやすく、2010年には県外でクリタケと間違えてニガクリタケが販売された事例もありました。
毒キノコの誤認は、自分で採って自分で食べるケースだけの問題ではありません。
だからこそ厚生労働省や石川県は「売らない」「人にあげない」ことまで呼びかけています。
写真検索やAIなら見分けられる?
現在は、スマートフォンでキノコを撮影して画像検索をしたり、AIに写真を見せて種類を尋ねたりすることもできます。
しかし、それを「食べて安全かどうか」の最終判断に使うのは危険です。
厚生労働省も、キノコには個体差があるため、インターネットなどの画像検索結果から食べられると判断することは危険だと注意しています。
画像検索やAIが候補となる種類を示したとしても、それは食用であることを保証するものではありません。
少しでも判断できないキノコは食べないことが基本です。
なぜ「昔からの見分け方」が残っているの?
天然キノコは古くから食べられてきたため、地域や家庭の中でさまざまな見分け方が伝えられてきました。
その中には経験則として語り継がれたものもあります。
しかし、キノコの食用・毒性を判定する方法として科学的に使えるとは限りません。
特に「これをすれば全部のキノコを判定できる」という簡単な方法には注意が必要です。
石川県が6つもの俗説を具体的に否定しているのも、こうした誤った知識による食中毒を防ぐためと考えられます。
迷ったら「食べない」が正解
天然キノコを前にすると、「せっかく採ったのにもったいない」と思うことがあるかもしれません。
しかし、食品として安全だと確実に判断できないものを無理に食べる必要はありません。
厚生労働省と石川県が呼びかけている基本はシンプルです。
食用だと確実に判断できないキノコは、採らない・食べない・売らない・人にあげない。
昔からの言い伝えやインターネット上の写真よりも、この原則を優先しましょう。
まとめ|毒キノコに「簡単な見分け方」はない
石川県は、毒キノコについて伝わる6つの誤った見分け方を公式サイトで紹介しています。
「縦に裂ける」「地味な色」「においが良い」「虫が食べている」といった特徴は、食用であることを保証するものではありません。
塩漬けやナスとの調理によって、毒キノコを安全にできるという考え方も否定されています。
さらに石川県では、専門家でも見分けることが難しいほど似ている食用キノコと毒キノコがあると注意しています。
キノコの季節に覚えておきたいのは、「簡単に見分けられる方法」ではありません。
分からないキノコは食べない。
それが最も基本的な毒キノコ食中毒対策です。

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