「吐いたあとはスポーツドリンクでいい?」
「経口補水液のほうが体にいいの?」
水分補給について調べると、よく登場するのが「経口補水液」と「スポーツドリンク」です。
どちらも水分や電解質を含むため似ているように見えますが、目的や成分のバランスには違いがあります。
そのため、「経口補水液のほうが高性能だから、運動するときはいつでもこちらを飲めばいい」というものでもありません。
ラーメンマラソンから考える今回は、運動中や嘔吐後にも関係する経口補水液とスポーツドリンクの違い、使い分けの考え方を栄養士目線で解説します。
- 経口補水液とスポーツドリンクは同じではない
- 経口補水液とは?
- スポーツドリンクとは?
- 大きな違いは「ナトリウム」と「糖質」のバランス
- 経口補水液が少ししょっぱく感じるのはなぜ?
- 嘔吐後なら経口補水液?
- 吐いた直後に経口補水液を一気飲みしていい?
- 運動中ならスポーツドリンク?
- 運動中なら経口補水液を飲んではいけない?
- 暑い日の運動で大量に汗をかいた場合は?
- ラーメンマラソンではどちらを選ぶ?
- ラーメンのスープで塩分をとれば電解質補給になる?
- スポーツドリンクを水で薄めたら経口補水液になる?
- 経口補水液は普段からストックしておくと便利?
- 経口補水液を飲むときに注意したい人は?
- 子どもにはどちらを飲ませる?
- 「経口補水液を飲めば大丈夫」と考えない
- 意識状態がおかしい場合は無理に飲ませない
- 水・スポーツドリンク・経口補水液を簡単に整理
- ラーメンマラソンから考える「飲み物は目的で選ぶ」
- まとめ
経口補水液とスポーツドリンクは同じではない
経口補水液とスポーツドリンクは、どちらも水分補給に使われることがあります。
また、どちらにもナトリウムなどの電解質が含まれる製品があります。
そのため同じような飲み物に見えますが、そもそも想定されている利用場面が異なります。
大きく分けると、
- 経口補水液:脱水状態で失われた水分・電解質を補給するためのもの
- スポーツドリンク:運動や発汗時などの水分・電解質・エネルギー補給に利用されるもの
と考えると違いを理解しやすいでしょう。
経口補水液とは?
経口補水液は、脱水状態で水分と電解質を補給することを目的に、ナトリウムやブドウ糖などの濃度が調整されています。
嘔吐や下痢などによって体から水分や電解質が失われた場合などに利用されます。
水だけを飲む場合と異なり、水分とともに失われた電解質を補えることが特徴です。
ただし、日常的なのどの渇きを潤すために大量に飲む飲料ではありません。
スポーツドリンクとは?
スポーツドリンクは、運動時の水分補給をしやすいように作られた飲料です。
製品によって違いがありますが、一般的には、
- 水分
- 糖質
- ナトリウムなどの電解質
などが含まれています。
長時間の運動では、水分だけでなくエネルギー補給が必要になることもあるため、糖質を含むことにも意味があります。
一方で、日常生活でほとんど運動をしていないのに、毎日の水代わりとして大量に飲み続ければ、糖質の摂取量が増えることにも注意が必要です。
大きな違いは「ナトリウム」と「糖質」のバランス
経口補水液とスポーツドリンクの違いを理解するときに重要なのが、ナトリウムと糖質のバランスです。
経口補水液は、脱水時の水分・電解質補給を目的としているため、一般的なスポーツドリンクよりナトリウム濃度が高く、糖質濃度は低めに調整されています。
一方、スポーツドリンクは運動時の水分やエネルギー補給を想定しているため、経口補水液とは異なる組成になっています。
商品によって成分は異なるため、実際に選ぶときには栄養成分表示を確認しましょう。
経口補水液が少ししょっぱく感じるのはなぜ?
経口補水液を初めて飲んだ人の中には、「スポーツドリンクよりしょっぱい」と感じる人もいるでしょう。
これは、経口補水液に比較的多くのナトリウムが含まれているためです。
味をおいしくすることだけを目的に作られた飲料ではなく、脱水時の水分・電解質補給という目的があります。
「しょっぱいから体に悪い」「甘くないから水分補給に向いていない」ということではなく、そもそもの用途がスポーツドリンクとは違うのです。
嘔吐後なら経口補水液?
嘔吐を繰り返すと、水分とともに電解質も失われます。
そのため、脱水が心配な場合には経口補水液が選択肢になることがあります。
ただし、一度吐いただけで、その後は普段通り飲食できている場合まで、必ず経口補水液を飲まなければならないわけではありません。
嘔吐の回数や水分摂取状況、下痢の有無、発汗量、全身状態などを合わせて考える必要があります。
吐いた直後に経口補水液を一気飲みしていい?
経口補水液であっても、一気飲みは避けたいところです。
吐いた直後は胃が敏感になっていることがあります。
そこへ大量の液体を入れると、胃が膨らんで再び吐き気が強くなることがあります。
意識がはっきりしていて自分で安全に飲める場合には、吐き気の状態を確認しながら少量ずつ補給しましょう。
運動中ならスポーツドリンク?
運動中の飲み物は、運動時間や強度、発汗量、気温などによって考えます。
短時間の軽い運動であれば、水などで十分な場合もあります。
一方、長時間の運動や大量に汗をかく状況では、水分や電解質に加えて糖質の補給も必要になることがあり、スポーツドリンクが利用しやすい場面があります。
「運動=必ずスポーツドリンク」というわけではなく、運動内容に合わせることが大切です。
運動中なら経口補水液を飲んではいけない?
経口補水液を運動中に飲んだら危険という意味ではありません。
ただし、経口補水液は通常のスポーツドリンクよりも脱水状態での補給を目的とした飲料です。
健康な状態で軽く運動するたびに、日常の水分補給として経口補水液を選ぶ必要はありません。
目的に合わせて使い分けましょう。
暑い日の運動で大量に汗をかいた場合は?
暑い環境で長時間運動すると、汗によって多くの水分と電解質が失われます。
このような状況では、単に「水かスポーツドリンクか」という飲料選びだけでなく、そもそも運動を続けても安全な環境なのかを考えることが重要です。
暑さ指数(WBGT)が高い場合には、運動時間や内容の変更、中止も検討する必要があります。
水分補給をしているから熱中症にならない、というわけではありません。
ラーメンマラソンではどちらを選ぶ?
ラーメンマラソンから考えると、通常のスポーツとは少し特殊な条件があります。
走ることで汗をかく一方、その途中でラーメンを食べるため、胃には食べ物やスープが入ります。
そのため、単純に「汗をかいたから大量のスポーツドリンクを飲もう」とすると、胃の内容量がさらに増えてしまう可能性があります。
また、もし嘔吐が起きれば、発汗による水分・電解質の喪失に嘔吐による喪失も加わります。
重要なのは特定の飲料を選べば解決するということではなく、運動・食事・発汗・体調を合わせて考えることです。
ラーメンのスープで塩分をとれば電解質補給になる?
ラーメンのスープには一般的に食塩が含まれています。
だからといって、「スポーツドリンクや経口補水液の代わりにラーメンのスープを飲めばいい」と考えるのは適切ではありません。
経口補水液は水分と電解質を補給する目的で組成が調整されています。
ラーメンのスープは料理の一部であり、水分補給専用に作られたものではありません。
塩分を含んでいるという一点だけで同じものとして扱わないようにしましょう。
スポーツドリンクを水で薄めたら経口補水液になる?
スポーツドリンクを水で薄めても、経口補水液にはなりません。
水で薄めれば糖質だけでなく、ナトリウムなどの成分濃度も下がります。
経口補水液は、水分や電解質を補給するために成分のバランスが調整されたものです。
自己流で別の飲み物を混ぜたり薄めたりして、経口補水液の代用品と考えるのは避けましょう。
経口補水液は普段からストックしておくと便利?
嘔吐や下痢などは突然起こることがあります。
そのため、家庭の備蓄として経口補水液を用意しておくという考え方もあります。
ただし、購入したまま長期間置いておく場合には賞味期限を確認しましょう。
また、開封後は製品表示に従って保存し、早めに使用することが大切です。
経口補水液を飲むときに注意したい人は?
経口補水液にはナトリウムやカリウムなどが含まれています。
そのため、腎臓や心臓などの病気で水分や塩分、カリウムなどの摂取について医師から指示を受けている人は、自己判断で大量に飲まないようにしましょう。
持病がある場合には、あらかじめ医師などに確認しておくと安心です。
子どもにはどちらを飲ませる?
子どもの場合も、状況によって選ぶ飲み物は変わります。
元気に遊んでいて通常の水分補給をする場合と、嘔吐や下痢を繰り返して脱水が心配な場合では目的が異なります。
嘔吐後は一度に大量に飲ませず、状態を見ながら少量ずつ補給します。
何度も吐く、水分が保てない、尿が極端に少ない、ぐったりしているなどの場合には、飲み物だけで対応しようとせず医療機関へ相談しましょう。
「経口補水液を飲めば大丈夫」と考えない
経口補水液は脱水時の水分・電解質補給に役立つものですが、病気そのものを治す薬ではありません。
経口補水液を飲んでいるから、何度吐いても大丈夫というわけではありません。
特に、
- 水分を飲んでも何度も吐く
- 水分をほとんどとれない
- 尿が極端に少ない
- 強い腹痛がある
- 血を吐く
- ぐったりしている
- 症状が改善しない
といった場合には、医療機関への相談を検討してください。
意識状態がおかしい場合は無理に飲ませない
熱中症などで意識がもうろうとしている場合には、経口補水液であっても無理に飲ませてはいけません。
自分でうまく飲み込めない状態では、誤嚥する危険があります。
呼びかけへの反応がおかしい、意識がない、自力で水分を飲めないなどの場合には、速やかな救急要請を検討してください。
水・スポーツドリンク・経口補水液を簡単に整理
| 飲み物 | 主な特徴 | 利用を考えやすい場面 |
|---|---|---|
| 水 | 手軽な水分補給 | 日常生活や短時間の軽い運動など |
| スポーツドリンク | 水分・電解質・糖質などを含む | 長時間の運動や発汗時など |
| 経口補水液 | 脱水時の水分・電解質補給を目的に調整 | 嘔吐や下痢などによる脱水時など |
実際に必要な飲み物は、体調や運動量、発汗量などによって異なります。
ラーメンマラソンから考える「飲み物は目的で選ぶ」
ラーメンマラソンから考えると、走って汗をかいた場面ではスポーツドリンク、嘔吐によって脱水状態になった場面では経口補水液というように、同じ人でも状況によって必要なものが変わる可能性があります。
ここで大切なのは、「どちらが優れているか」ではなく「何のために飲むのか」です。
運動中の水分補給と、嘔吐などによって起こった脱水への対応では目的が違います。
目的を理解して選ぶことで、それぞれの飲み物を適切に活用しやすくなります。
まとめ
経口補水液とスポーツドリンクは、どちらも水分や電解質を含む飲料ですが、目的や成分のバランスが異なります。
スポーツドリンクは運動や発汗時の水分・電解質・エネルギー補給に利用しやすい一方、経口補水液は嘔吐や下痢などによる脱水状態での水分・電解質補給を目的に調整されています。
ラーメンマラソンから考えると、運動による発汗と嘔吐では水分を失う状況が異なるため、「いつでも同じ飲み物」ではなく状態に応じて考えることが大切です。
また、どちらの飲料でも吐いた直後の一気飲みは避け、飲める状態なら少量ずつ補給しましょう。
次の記事では、嘔吐後の脱水を防ぐために、なぜ「少量ずつ」の水分補給が大切なのか、具体的な考え方を詳しく解説します。


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