毎年9月1日は「防災の日」です。
防災リュックや非常食を準備している家庭も多いと思いますが、高齢者がいる家庭では、一般的な防災用品だけでは足りないことがあります。
例えば、
- 毎日飲んでいる薬がある
- 長い距離を歩くのが難しい
- かたいものを食べにくい
- メガネや補聴器が欠かせない
- 一人で避難することが難しい
など、その人によって必要な備えは異なります。
また、高齢の親と離れて暮らしている場合には、
「災害が起きたらどうやって安否を確認する?」
「誰が避難を手伝う?」
ということも考えておく必要があります。
この記事では、高齢者がいる家庭で防災の日に確認しておきたいポイントを紹介します。
- 高齢者の防災は「その人に必要なもの」から考えよう
- 高齢者がいる家庭で準備したい防災用品
- 常用薬は特に確認しておきたい
- お薬手帳など薬の情報も備えよう
- メガネ・補聴器・入れ歯も大切な防災用品
- 高齢者の非常食は「食べられるか」まで確認する
- かたい非常食ばかりになっていない?
- 食事制限がある場合は普段から備蓄を
- 水分補給も忘れずに
- 避難所まで歩けるか確認してみよう
- 「避難所へ行くこと」だけが避難ではない
- 避難に時間がかかる人は早めの行動を考える
- 個別避難計画について確認してみよう
- 大人用おむつや排泄用品も確認しよう
- 高齢者の防災リュックは重くしすぎない
- 離れて暮らす高齢の親とも防災について話そう
- 連絡が取れない場合も想定しておこう
- 避難先でも「できること・できないこと」を伝えられるようにする
- 高齢者家庭の防災チェックリスト
- まとめ|高齢者の防災は「普段の生活」をそのまま確認しよう
高齢者の防災は「その人に必要なもの」から考えよう
高齢者といっても、必要な支援は一人ひとり違います。
元気に一人で外出できる人もいれば、杖や車いすを使っている人、日常生活で介助が必要な人もいます。
そのため、
「高齢者用の防災グッズをそろえれば大丈夫」ではなく、その人が普段どのように生活しているか
を基準に考えることが大切です。
まずは普段の1日を思い浮かべてみましょう。
- 毎日使っているものは?
- 飲んでいる薬は?
- 食事で困ることは?
- 移動する時に必要なものは?
- 聞く・見るために必要なものは?
- 一人でできないことは?
ここから、その人専用の防災対策を考えていきます。
高齢者がいる家庭で準備したい防災用品
一般的な防災用品に加えて、高齢者がいる家庭では次のようなものも確認してみましょう。
- 常用している薬
- お薬手帳など服薬内容が分かるもの
- メガネ
- 補聴器と必要な電池
- 杖など移動に必要なもの
- 入れ歯とケア用品
- 食べやすい非常食
- 大人用おむつや尿取りパッド
- ウェットティッシュなどの衛生用品
- 持病や緊急連絡先などを確認できる情報
もちろん、すべての高齢者に必要なわけではありません。
普段使っているものを中心に、災害時にも必要になるかを確認していきましょう。
常用薬は特に確認しておきたい
高齢者の防災で特に重要なのが薬です。
災害が起きると、いつも利用している医療機関や薬局へすぐ行けるとは限りません。
道路や交通機関が使えなくなったり、医療機関が混雑したりする可能性もあります。
日常的に薬を使用している場合は、
- 何の薬を使っているか
- どのくらいの頻度で使用しているか
- 薬の情報を家族も確認できるか
- 災害時にどのように備えておくか
などを確認しておきましょう。
薬には保管方法や処方上の注意があるため、自己判断で大量に保管するのではなく、災害時の備えについて医師や薬剤師へ相談しておくと安心です。
お薬手帳など薬の情報も備えよう
薬そのものと一緒に大切なのが、服薬内容を確認できる情報です。
災害時にいつもの医療機関を利用できない場合でも、
- 薬の名前
- 服用量
- 服用回数
- 持病
- アレルギー
などの情報が分かれば、医療従事者へ状況を伝えやすくなります。
お薬手帳などをすぐ確認できるようにし、家族も保管場所を知っておきましょう。
情報をコピーや写真などで別に保管する場合は、個人情報の管理にも注意してください。
メガネ・補聴器・入れ歯も大切な防災用品
水や非常食に比べると忘れやすいものですが、
- メガネ
- 補聴器
- 入れ歯
などは、人によっては生活するうえで欠かせないものです。
メガネがなければ周囲の状況を確認しにくくなり、避難そのものに影響することがあります。
補聴器が必要な人の場合、避難情報や周囲からの声かけを聞き取りにくくなる可能性もあります。
補聴器を使用している場合は、必要に応じて予備の電池や充電方法についても確認しておきましょう。
入れ歯を使用している場合は、食事にも影響するため、入れ歯ケースやケア用品なども含めて考えておくとよいでしょう。
高齢者の非常食は「食べられるか」まで確認する
非常食というと、保存期間の長さを重視して選びがちです。
しかし、高齢者の場合は、
- かむ力が弱くなっている
- 飲み込みにくさがある
- 入れ歯を使っている
- 食事療法を行っている
- 食欲が落ちやすい
などの事情があることもあります。
そのため、保存できるだけではなく、
「災害時に本人が実際に食べられるか」
を確認することが重要です。
かたい非常食ばかりになっていない?
防災用として売られている食品の中には、しっかりかむ必要があるものもあります。
普段やわらかい食事を中心に食べている人の場合、非常食だけ急にかたいものへ変わると食べにくいことがあります。
例えば家庭の備蓄には、
- 普段から食べ慣れている食品
- 常温保存できる食品
- やわらかく食べやすい食品
- 開封してそのまま食べられる食品
などを組み合わせておく方法があります。
食べる力や飲み込む力に問題がある人は、その人に適した食形態を優先し、必要に応じて医師や管理栄養士などの専門職へ相談しましょう。
食事制限がある場合は普段から備蓄を
糖尿病や腎臓病などで食事について指示を受けている場合や、食物アレルギーがある場合には、一般的な非常食が適しているとは限りません。
災害時には、その人に合った食品をすぐ入手できない可能性があります。
普段食べている食品の中から保存しやすいものを探し、ローリングストックする方法も検討しましょう。
ただし、疾患によって必要な食事管理は異なるため、災害時の食事についても主治医や管理栄養士などへ事前に相談しておくと安心です。
水分補給も忘れずに
高齢者の防災では、水分についても確認しておきたいところです。
災害時にはトイレへ行きにくいことなどを理由に、飲む量を控えてしまうことも考えられます。
しかし、水分は体にとって必要です。
家庭では飲料水を備蓄するとともに、普段どのような飲み物なら無理なく飲めるのかも確認しておきましょう。
病気などによって水分量の指示を受けている場合は、その指示を優先してください。
避難所まで歩けるか確認してみよう
避難場所を知っているだけでは十分ではありません。
高齢者がいる場合には、
「実際にそこまで移動できるか」
まで考えておきましょう。
例えば、
- 坂道はあるか
- 階段はあるか
- 長い距離を歩く必要があるか
- 杖で移動できる道か
- 車いすで通れるか
などを確認します。
普段なら歩ける距離でも、災害時は道路の状態が悪くなっている可能性があります。
本人と家族で実際の避難経路を確認しておくことが大切です。
「避難所へ行くこと」だけが避難ではない
災害が起きたら全員が必ず避難所へ行く、というわけではありません。
自宅が安全で生活を続けられる場合には、在宅避難が選択肢になることもあります。
一方で、自治体から避難情報が出ている場合や、自宅にいることが危険な場合には、安全な場所へ移動する必要があります。
大切なのは、
「高齢だから自宅にいる」
「災害だから必ず避難所へ行く」
と最初から一つに決めることではなく、地域の災害リスクや本人の状態に合わせて複数の選択肢を考えておくことです。
避難に時間がかかる人は早めの行動を考える
歩く速度が遅い、移動に介助が必要など、避難に時間がかかる人がいる家庭では、避難開始のタイミングも重要です。
大雨や台風など事前に危険が予想される災害では、自治体から発表される避難情報を確認し、必要な場合は早めに避難できるよう準備しておきましょう。
「周りの人が避難してから考える」のではなく、
- 誰が付き添うか
- 何を持つか
- どの経路を使うか
- どこへ避難するか
まで平常時に確認しておくと行動しやすくなります。
個別避難計画について確認してみよう
高齢者や障害のある人など、自力での避難が難しく支援を必要とする人については、自治体で避難支援に関する取り組みが行われています。
対象となる人について「個別避難計画」が作成される場合もあります。
家族だけで抱え込まず、
- 住んでいる自治体
- ケアマネジャー
- 地域包括支援センター
- 普段利用している福祉サービス
などに相談し、利用できる制度や地域の支援体制を確認しておくのも大切な防災対策です。
大人用おむつや排泄用品も確認しよう
普段から大人用おむつや尿取りパッドなどを使用している場合は、防災用品としても備えておきましょう。
災害時には普段使っている商品がすぐ手に入るとは限りません。
また、
- おしりふき
- 使い捨て手袋
- 防臭袋
- ごみ袋
など、交換時に必要になるものも一緒に考えます。
普段使用している量を基準に、家庭で必要な備蓄量を考えると分かりやすくなります。
高齢者の防災リュックは重くしすぎない
必要なものが多いからと、本人の防災リュックへすべて詰め込むのは危険です。
重いリュックを背負うことで、歩きにくくなったり転倒のリスクが高まったりする可能性があります。
本人が持つものと家族が持つものを分け、
実際に持って安全に移動できる量
に調整しましょう。
薬やメガネなど、その人にとって特に重要なものを優先して持ち出せるようにしておくこともポイントです。
離れて暮らす高齢の親とも防災について話そう
高齢の親と別々に暮らしている場合は、自宅の防災だけでなく親の防災についても確認しておきましょう。
例えば、
- 避難場所を知っているか
- ハザードマップを確認しているか
- 非常食や水があるか
- 薬の情報を整理しているか
- 災害時に誰へ連絡するか
- 近所に頼れる人がいるか
などです。
遠方に住んでいる場合、災害が起きてからすぐ駆けつけられるとは限りません。
だからこそ、本人だけでなく近所や地域の支援につながる方法についても確認しておくと安心です。
連絡が取れない場合も想定しておこう
災害時に、
「電話すれば大丈夫」
と考えている家庭もあるかもしれません。
しかし、大規模災害では通信がつながりにくくなる可能性があります。
離れて暮らす家族とは、
- どの方法で安否確認をするか
- 連絡が取れなかったらどうするか
- 誰を共通の連絡先にするか
なども話し合っておきましょう。
避難先でも「できること・できないこと」を伝えられるようにする
高齢者の場合、見た目だけでは必要な支援が分からないことがあります。
例えば、
- 耳が聞こえにくい
- 飲み込みにくい
- 薬を決まった時間に使っている
- 長時間立っていられない
- トイレに介助が必要
などです。
本人が説明することが難しい場合に備えて、必要な支援や医療情報を家族も把握しておきましょう。
高齢者家庭の防災チェックリスト
防災の日には、次の項目を確認してみましょう。
- □ 常用薬について確認した
- □ お薬手帳など服薬情報を確認できる
- □ 持病やアレルギーなど必要な情報を整理した
- □ メガネ・補聴器など必要なものを確認した
- □ 入れ歯やケア用品を確認した
- □ 本人が食べられる非常食がある
- □ 飲料水を備蓄している
- □ 排泄用品を備えている
- □ 避難場所を確認した
- □ 避難経路を実際に確認した
- □ 移動を手伝う人を考えている
- □ 災害時の連絡方法を決めている
- □ 必要に応じて地域の支援制度を確認した
- □ 防災リュックを持って安全に移動できる
チェックが付かなかったところがあれば、そこから一つずつ準備していきましょう。
まとめ|高齢者の防災は「普段の生活」をそのまま確認しよう
高齢者がいる家庭では、一般的な水や非常食だけでなく、
- 薬
- メガネや補聴器
- 食べやすい食品
- 排泄用品
- 移動手段
- 避難を手伝う人
など、その人の生活に合わせた備えが必要です。
防災用品リストだけを見ていると、つい「特別な防災グッズ」を探したくなります。
しかし、本当に必要なものを見つけるヒントは普段の生活の中にあります。
朝起きてから夜眠るまで、その人が何を使い、どんな支援を必要としているか。
一度書き出してみると、災害時にも欠かせないものが見えてきます。
今年の防災の日は、高齢の家族と一緒に「もし今、電気・水道・交通が止まったら?」と考えてみてはいかがでしょうか。


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