秋が近づき、田んぼの稲穂が実ってくると、いよいよ収穫の季節です。
ところが、そんな収穫前の大切な時期に台風が接近することがあります。
「もうお米は実っているなら大丈夫なのでは?」
「台風が来ると稲は全部ダメになってしまうの?」
気になりますよね。
実際には、台風が来たからといって必ず収穫できなくなるわけではありません。
しかし、強風や大雨によって稲が倒れたり、田んぼが浸水したり、収穫作業が難しくなったりする可能性があります。
そして、こうした稲にとって大切な時期の風雨への警戒と深く結びついてきたのが、二百十日(にひゃくとおか)です。
この記事では、収穫前の稲に台風が来るとどのような影響が考えられるのか、二百十日と米作りの関係からわかりやすく解説します。
二百十日は稲作と深く関係する雑節
二百十日は、立春を1日目として数えた210日目にあたる雑節です。
2026年の二百十日は9月1日(火)です。
このころは、地域や品種、栽培時期などによって違いはあるものの、稲が実りへ向かう重要な時期と重なることがあります。
一方、夏から秋にかけては、日本で台風への警戒が必要な季節でもあります。
つまり、
「稲にとって大切な時期」と「風雨への警戒が必要な時期」が重なりやすい
というわけです。
そのため、二百十日は昔から農家が風雨を警戒する季節の目安として知られてきました。
収穫前の稲に台風が来ると何が起こる?
台風による稲への影響は、風の強さや雨量、稲の生育段階、田んぼの状態などによって異なります。
主に考えられるものを見てみましょう。
1.強風で稲が倒れる
まず心配されるのが、 倒伏(とうふく)です。
倒伏とは、稲などの農作物が傾いたり倒れたりすること。
穂が実って重くなっているところへ強い風や雨などが加わると、稲が倒れる場合があります。
倒伏すると、機械で刈り取りにくくなるなど、収穫作業への影響が出る可能性があります。
2.大雨で田んぼの水が増える
台風では強風だけでなく、大雨にも注意が必要です。
短時間または長時間に大量の雨が降れば、田んぼや周辺の水路、河川などの水位が上がることがあります。
排水が追いつかないほどの雨になれば、田んぼが浸水・冠水する可能性もあります。
3.稲が水につかることがある
田んぼに大量の水が入り、稲の一部または全体が水につかることもあります。
影響の程度は、水につかった深さや時間、稲の生育段階などによって異なります。
そのため、 「水につかったら必ず収穫できない」と一概にはいえません。
4.収穫作業が遅れることがある
台風が通過しても、すぐに稲刈りができるとは限りません。
田んぼがぬかるんでいたり、稲が濡れていたり、倒伏していたりすれば、収穫作業に影響する場合があります。
そのため台風は、 直接的な被害だけでなく、その後の農作業にも影響する可能性がある のです。
稲が倒れたら全部ダメになるの?
いいえ。
倒伏したからといって、必ずすべての米が収穫できなくなるわけではありません。
倒れ方や生育段階、その後の天候などによっては収穫できる場合があります。
ただし、倒れた稲は刈り取りにくくなり、通常より収穫作業に時間がかかることがあります。
さらに倒伏の時期や程度などによっては、品質や収量へ影響する場合もあります。
「倒れた=全滅」ではありませんが、農家にとって大きな心配であることに変わりはありません。
穂が実ってからなら台風が来ても平気?
「もう穂にお米ができているなら、台風が来ても大丈夫なのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、実りが進んだ稲にも台風によるリスクはあります。
穂が重くなった稲が風雨によって倒れることもありますし、大雨による浸水や収穫作業の遅れなども考えられます。
つまり、 収穫直前まで天候は米作りに関係している のです。
台風が来る前に早く収穫すればいいのでは?
台風が来るとわかっているなら、
「その前に全部刈ってしまえばいいのでは?」
と思いますよね。
しかし、稲刈りには適した時期があります。
まだ十分に成熟していない稲を、台風が来るという理由だけで極端に早く収穫すればよいとは限りません。
また、広い田んぼを短時間ですべて収穫できるとも限りません。
実際の収穫時期は、稲の成熟状態や品種、天候、田んぼの状態などを確認しながら判断されます。
農業では、 「台風が来る前ならいつ刈っても同じ」というほど単純ではない のです。
台風通過後も田んぼには危険がある
台風が通り過ぎると、
「田んぼがどうなったか確認したい」
と思うのは当然です。
しかし、雨が弱まったように見えても、水路や河川の水位が高い状態が続いていることがあります。
道路が冠水していたり、地盤が緩んでいたりする可能性もあります。
農作物の確認よりも人の安全が最優先です。
台風の接近中はもちろん、通過直後も安全が確認できるまでは田んぼや水路、河川などに近づかないようにしましょう。
大雨だけに注目すると見えにくい「風+雨」の影響
台風では、
- 強風
- 大雨
- 浸水
- 倒伏
- 農業施設への被害
など、複数の影響が重なることがあります。
例えば、雨で地面や稲が濡れているところへ強い風が吹けば、稲への負担も変わります。
さらに田んぼがぬかるめば、台風通過後の作業にも影響します。
だからこそ二百十日は、 単に「風が強い日」ではなく、農作物への風雨を警戒する季節の目安 として捉えるとわかりやすいでしょう。
台風による米への影響は私たちにも関係する
田んぼの台風被害というと、
「農家の問題」
のように感じるかもしれません。
しかし、その田んぼで作られているのは、私たちが普段食べているお米です。
広い地域で大きな農業被害が発生すれば、収穫量や出荷などに影響する場合があります。
そして米の価格は、収穫量だけではなく、
- 需要
- 在庫
- 流通
- 生産コスト
- 各地の作柄
など、さまざまな要因によって決まります。
そのため、 「台風が来たから米が必ず値上がりする」とは限りません。
ただ、天候と農業、そして私たちの食生活がつながっていることは確かです。
二百十日だけ台風を警戒すればいいわけではない
二百十日は風雨への警戒と結びついた雑節ですが、 9月1日だけ台風に注意すればいいという意味ではありません。
二百十日の10日後には、 二百二十日(にひゃくはつか) という雑節もあります。
こちらも風雨への警戒と深く関係しています。
昔の人々にとって重要だったのは、特定の日に台風が来ると予言することではなく、
稲の大切な時期に風雨への警戒を強めること だったと考えると理解しやすくなります。
収穫前の稲と台風についてよくある質問
台風が来ると稲は全部ダメになる?
必ずすべて収穫できなくなるわけではありません。被害の程度は風雨の強さや稲の状態、倒伏や浸水の程度などによって異なります。
稲が倒れても収穫できる?
収穫できる場合があります。ただし倒れ方によっては、通常より刈り取りが難しくなることがあります。
収穫直前なら台風の影響は少ない?
収穫直前でも、倒伏や大雨、浸水、収穫作業の遅れなどの影響を受ける可能性があります。
台風前に全部稲刈りすればいい?
稲には適した収穫時期があり、台風が来るからといっていつでも収穫できるわけではありません。成熟状態や天候などを見ながら判断されます。
二百十日に必ず台風が来る?
いいえ。二百十日は特定の日の天候を予言するものではなく、風雨への警戒が必要な季節を意識する目安として伝えられてきました。
2026年の二百十日はいつ?
2026年9月1日(火)です。
まとめ|収穫前の台風は稲にも農作業にも影響する可能性がある
収穫前の稲に台風が来ると、
- 強風による倒伏
- 大雨による浸水や冠水
- 品質や収量への影響
- 収穫作業の遅れ
などにつながる可能性があります。
ただし、 台風が来たから必ず米が収穫できなくなるわけではありません。
影響は台風の強さや進路、雨量、稲の生育段階、田んぼの状態などによって異なります。
二百十日のころは、稲が実りへ向かう大切な時期と風雨への警戒が必要な季節が重なることがあります。
だからこそ昔の農家は、二百十日を大切な季節の目安としてきました。
私たちが普段何気なく食べている一杯のご飯も、 収穫する最後の瞬間まで天候と向き合いながら作られている のです。

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