ここまで氷と塩について調べてくると、ひとつの疑問が出てきます。
塩って、氷を冷たくするもの?それとも氷を溶かすもの?
氷に塩を加えると、0℃より低い温度になることがあります。
ところが同時に、
塩を加えた氷の方が早く溶ける
こともあります。
「冷たくなったなら、氷は溶けにくくなるんじゃないの?」
と思いますよね。
実はこの2つは矛盾していません。
今回は、
- 温度はどう変わる?
- 氷の重さはどう変わる?
を同時に測定して、
塩は氷を冷たくするのか、それとも溶かすのか
を確かめてみましょう。
- この自由研究は何日かかる?
- まずは予想してみよう
- 用意するもの
- 今回のポイントは「2つ同時に測る」こと
- 実験方法
- 条件はできるだけそろえよう
- 温度と氷の重さを記録しよう
- 温度計で「どれだけ冷えたか」を測ろう
- 測定時間はタイマーでそろえよう
- 実験すると何が起こる?
- なぜ塩を入れると氷が溶ける?
- では、なぜ温度まで下がるの?
- つまり答えは「両方」
- 「塩が冷たさを出している」わけではない
- 実験前の塩の温度も測ってみよう
- グラフ① 温度の変化
- グラフ② 氷の重さの変化
- 2つのグラフを並べるのが今回の見せ場
- No.80「なぜもっと冷たくなる?」とつなげよう
- No.81「なぜアイス作りに塩を使う?」ともつながる
- No.82「なぜ塩を入れると氷が早く溶ける?」ともセットに
- 追加実験① 塩の量を変える
- 追加実験② 塩と砂糖を比べる
- 追加実験③ 氷の大きさを変える
- 追加実験④ 混ぜる・混ぜないで比べる
- 冬の道路でも同じ仕組みが使われている
- 実験するときの注意
- 写真はどこを撮る?
- 何年生におすすめ?
- 自由研究のまとめ方
- 写真やグラフを印刷してまとめよう
- まとめ|塩を入れると「氷が溶ける」と「温度が下がる」が同時に起こる
- よくある質問
この自由研究は何日かかる?
- おすすめ学年:小学3~6年生
- 実験期間:1日
- 実験時間:30分~1時間程度
- 結果が出るまで:当日
- 材料のそろえやすさ:★★★★★
- 考察のしやすさ:★★★★★
氷と塩という簡単な材料ですが、
「温度」と「氷の量」という2種類の数字を同時に比較できる
ため、自由研究らしいデータを取りやすいテーマです。
まずは予想してみよう
塩を氷へ加えると、どうなると思いますか?
- 冷たくなるだけ
- 溶けるだけ
- 冷たくなりながら溶ける
- 何も変わらない
実験前に自分の予想を書いておきましょう。
| 調べること | 予想 |
|---|---|
| 塩を入れたあとの温度 | |
| 塩を入れたあとの氷の重さ |
用意するもの
- 氷
- 食塩
- 同じ大きさの容器2個
- キッチンスケール
- デジタルキッチン温度計
- キッチンタイマー
- スプーン
- ざる
- タオル
- 記録用紙
- カメラやスマートフォン
塩と氷を混ぜるとかなり低温になる場合があります。
長時間素手で触らないようにしましょう。
今回のポイントは「2つ同時に測る」こと
これまでの実験では、
- 温度
- 氷の溶け方
をそれぞれ調べました。
今回はこの2つを同時に測ります。
つまり、
「温度が下がっているとき、氷の量はどうなっている?」
を見る実験です。
実験方法
例えば、氷100gずつを使います。
- 同じ容器を2つ用意してA・Bとします。
- それぞれに氷を100gずつ入れます。
- 最初の温度を測ります。
- Aは氷だけにします。
- Bへ決めた量の塩を加えます。
- タイマーをスタートします。
- 決めた時間ごとに温度を測ります。
- 同じ時間に残った氷の重さも測ります。
- 氷の形や溶けた水の様子も観察します。
条件はできるだけそろえよう
| 条件 | そろえ方 |
|---|---|
| 氷の重さ | 同じにする |
| 氷の大きさ | できるだけ同じにする |
| 容器 | 同じものを使う |
| 置く場所 | 同じ場所 |
| 測定時間 | 同じにする |
| 塩 | Bだけに加える |
変える条件を塩の有無だけにすると、結果を比較しやすくなります。
温度と氷の重さを記録しよう
| 時間 | 氷だけの温度 | 氷だけの重さ | 氷+塩の温度 | 氷+塩の重さ |
|---|---|---|---|---|
| 開始時 | 100g | 100g | ||
| 5分後 | ||||
| 10分後 | ||||
| 15分後 | ||||
| 20分後 | ||||
| 30分後 |
温度計で「どれだけ冷えたか」を測ろう
手で触った感覚だけでは、何℃まで温度が下がったのかわかりません。
温度計を使えば、
塩を入れたあとに何℃まで下がったのか
を数字として残せます。
測定時間はタイマーでそろえよう
温度と氷の重さを比較するときは、
「だいたい5分」
ではなく、できるだけ同じ時間で測定します。
実験すると何が起こる?
実際の結果は氷や塩の量、室温などによって変わります。
しかし塩を加えた方では、
- 温度が下がる
- 氷が溶ける
という2つの変化が同時に観察できることがあります。
つまり、
「冷える」と「溶ける」は同時に起こることがある
のです。
なぜ塩を入れると氷が溶ける?
水に塩が溶けると、
水が凍る温度が0℃より低くなります。
この現象を凝固点降下といいます。
純粋な水なら0℃付近で氷と水が共存できますが、塩水では凍る温度がもっと低くなります。
そのため塩が氷の表面の水分へ溶けると、
氷が溶ける方向へ変化しやすくなります。
では、なぜ温度まで下がるの?
氷が固体から液体へ変わるためにはエネルギーが必要です。
そのエネルギーを周囲から熱として受け取ります。
すると周囲が持っていた熱が使われるため、
氷と塩水の混合物の温度が下がります。
つまり答えは「両方」
今回の疑問、
「塩は氷を冷たくする?それとも溶かす?」
の答えは、
条件によって、氷を溶かす変化と温度が下がる変化が同時に起こる
です。
塩を加えることで水の凝固点が下がります。
その結果、氷が溶けます。
そして氷が溶けるために周囲の熱が使われ、温度も下がります。
「塩が冷たさを出している」わけではない
ここは間違えやすいポイントです。
塩の中に冷たさが入っていて、それが氷へ移動しているわけではありません。
塩が加わることで、
水が凍ったり氷が溶けたりする条件が変化する
ことがポイントです。
実験前の塩の温度も測ってみよう
塩そのものの温度も測ってみると面白くなります。
例えば、
- 室温:28℃
- 塩:28℃
- 氷:0℃付近
だったとしても、混ぜたあとに0℃より低くなることがあります。
つまり、
「冷たい塩を入れたから冷えた」わけではない
ことを確かめられます。
グラフ① 温度の変化
まず、
- 横軸:時間
- 縦軸:温度
の折れ線グラフを作ります。
氷だけと氷+塩の2本の線を描きましょう。
グラフ② 氷の重さの変化
次に、
- 横軸:時間
- 縦軸:残った氷の重さ
のグラフを作ります。
こちらも、
- 氷だけ
- 氷+塩
を比較します。
2つのグラフを並べるのが今回の見せ場
今回の自由研究では、
温度グラフと重さグラフを横に並べる
のがおすすめです。
すると、
「温度はどんどん下がった」
のに、
「氷の重さもどんどん減った」
という結果を一目で見せることができます。
ここから、
「冷たい=必ず凍る・溶けない、ではない」
という考察につなげられます。
No.80「なぜもっと冷たくなる?」とつなげよう
No.80では、
氷と水に塩を入れるとなぜもっと冷たくなるのか
を温度中心に調べました。
今回の実験では、その温度変化と氷の量を同時に調べます。
No.81「なぜアイス作りに塩を使う?」ともつながる
0℃より低い環境を作れる性質は、手作りアイスにも利用できます。
今回の実験をすると、
なぜ普通の氷だけではなく塩まで使うのか
がわかりやすくなります。
No.82「なぜ塩を入れると氷が早く溶ける?」ともセットに
No.82では、氷の重さに注目して溶ける速さを比較しました。
No.80~83を順番に読むと、
- No.80:温度はどうなる?
- No.81:その低温を何に使う?
- No.82:氷自体はどうなる?
- No.83:結局「冷える」と「溶ける」のどっち?
という流れでまとめられます。
追加実験① 塩の量を変える
同じ量の氷に、
- 塩0g
- 塩5g
- 塩10g
- 塩20g
を加えます。
| 塩の量 | 最低温度 | 10分後の氷の重さ |
|---|---|---|
| 0g | ||
| 5g | ||
| 10g | ||
| 20g |
温度が一番低かった条件と、氷が一番減った条件は同じになる?
まで調べると面白くなります。
追加実験② 塩と砂糖を比べる
次は、
- 何も入れない
- 塩を入れる
- 砂糖を入れる
の3種類で比較します。
砂糖でも水の凝固点は下がりますが、同じ重さを加えても塩と同じ結果になるとは限りません。
追加実験③ 氷の大きさを変える
同じ100gでも、
- 大きな氷
- 小さな氷
- 砕いた氷
で比べてみましょう。
細かい氷ほど塩と触れる面積が大きくなります。
温度の下がる速さや氷の溶ける速さに違いが出るでしょうか。
追加実験④ 混ぜる・混ぜないで比べる
同じ量の氷と塩を使って、
- そのまま置く
- 一定時間ごとに混ぜる
を比較しても面白いでしょう。
塩水が氷全体に触れやすくなることで、温度や溶け方に違いが出るかもしれません。
冬の道路でも同じ仕組みが使われている
冬の道路では、雪や氷を溶かしたり再び凍りにくくしたりするために、塩化物を含む凍結防止剤が使われることがあります。
これも水の凝固点を下げる性質を利用したものです。
つまり、
台所でできる氷と塩の実験が、冬の道路の安全対策にもつながっている
のです。
実験するときの注意
塩と氷を混ぜると、0℃よりかなり低い温度になることがあります。
- 長時間素手で触らない
- スプーンなどを使う
- 容器を持つときはタオルを使う
- 実験後の塩水は飲まない
- 小さな子どもだけで行わない
ようにしましょう。
写真はどこを撮る?
- 同じ重さの氷を用意したところ
- 実験開始時の温度
- 塩を加えるところ
- 温度が下がったところ
- 5分後の氷
- 10分後の氷
- 残った氷を量っているところ
- 最後の2つの容器
- 完成した温度グラフ
- 完成した重さグラフ
何年生におすすめ?
小学1~2年生
少し難しいテーマなので、大人と一緒に「塩あり・なし」の見た目と温度を比べる方法がおすすめです。
小学3~4年生
温度と氷の重さを記録して、2種類のグラフを作ってみましょう。
小学5~6年生
凝固点降下や氷が溶けるときの熱について調べ、「なぜ冷えながら溶けるのか」まで説明すると本格的な自由研究になります。
自由研究のまとめ方
- 疑問:塩は氷を冷たくする?溶かす?
- 予想:温度と氷の量を予想する
- 準備:同じ重さの氷を用意する
- 実験:片方だけへ塩を加える
- 測定①:時間ごとの温度を測る
- 測定②:時間ごとの氷の重さを測る
- グラフ:温度と重さをそれぞれグラフにする
- 比較:2つのグラフを見比べる
- 調査:凝固点降下について調べる
- 考察:なぜ冷えながら溶けたのか考える
写真やグラフを印刷してまとめよう
今回は、
- 実験写真
- 温度の表
- 氷の重さの表
- 温度グラフ
- 重さグラフ
と、自由研究に使える材料がたくさんあります。
写真やグラフを自宅で印刷する場合は、プリンターに対応する互換インクを比較してみるのもひとつの方法です。
▶ 自由研究の写真・グラフ印刷に使える互換インクをチェックする
まとめ|塩を入れると「氷が溶ける」と「温度が下がる」が同時に起こる
塩が水に溶けると、水が凍る温度は0℃より低くなります。
これを凝固点降下といいます。
そのため塩を氷へ加えると、氷が溶ける方向へ変化します。
そして氷が溶けるためにはエネルギーが必要なので、周囲から熱を受け取ります。
その結果、
氷は溶けているのに、全体の温度は下がる
という不思議な現象が起こります。
だから、
「塩は氷を冷たくする?それとも溶かす?」の答えは「条件によって両方の変化が同時に起こる」
です。
「冷たい=氷が溶けない」とは限りません。
水の中に何が溶けているかによって、凍ったり溶けたりする温度そのものが変わる
ということが、氷と塩だけで観察できます。
よくある質問
塩は氷を冷やすの?溶かすの?
条件によって、氷が溶ける変化と混合物の温度が下がる変化が同時に起こります。
なぜ氷が溶けているのに温度が下がるの?
塩によって水の凝固点が下がり、氷が溶けます。氷が溶けるためには周囲から熱を受け取る必要があるため、混合物の温度が下がります。
塩そのものが氷を冷やしているの?
塩そのものが「冷たさ」を出しているわけではありません。塩が水に溶けることで、氷と水が存在できる温度条件が変化します。
温度と氷の重さ、どちらを測ればいい?
今回のテーマでは両方測るのがおすすめです。「温度が下がった」と「氷が減った」を同時に示すことで、研究のポイントがわかりやすくなります。
1日でできますか?
はい。30分~1時間程度で測定でき、その日のうちに表やグラフまでまとめられます。


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