秋の食卓を代表する魚のひとつ、秋鮭。
塩焼きやちゃんちゃん焼き、石狩鍋はもちろん、生筋子から作るいくらを楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。
ところが2026年、北海道の秋鮭をめぐってかなり厳しい予測が出ています。
2026年に北海道へ来遊する秋鮭は、約365万尾。
記録的な低水準だった前年から、さらに大きく減少する見込みです。
なぜ北海道の秋鮭はここまで減っているのでしょうか。
この記事では、2026年の来遊予測や過去の漁獲実績を確認しながら、秋鮭不漁の背景を整理します。
2026年の秋鮭来遊予測は約365万尾
2026年に北海道へ来遊すると予測されている秋鮭は、約365万尾です。
より詳しい予測値では364万5,000尾とされ、前年の来遊数に対して約53%という非常に厳しい見通しとなっています。
つまり、単純に規模を比べると前年の半分程度です。
しかも、その前年である2025年も秋鮭が非常に少ない年でした。
「前年が豊漁だった反動で半分になる」という話ではなく、すでに低迷していた状態から、さらに減少する可能性が示されているところが2026年の大きな問題です。
2025年の沿岸漁獲は約562万尾まで減少
北海道が公表している秋さけ沿岸漁獲実績を見ると、近年の減少がよく分かります。
| 年 | 北海道の秋さけ沿岸漁獲尾数 |
|---|---|
| 2022年 | 約2,940万尾 |
| 2023年 | 約1,922万尾 |
| 2024年 | 約1,563万尾 |
| 2025年 | 約562万尾 |
2022年には約2,940万尾あった沿岸漁獲が、2025年には約562万尾まで落ち込んでいます。
わずか数年間で大きく減っていることが分かります。
なお、「来遊数」と「沿岸漁獲尾数」は同じ数字ではありません。
来遊数には沿岸で漁獲された魚だけでなく、河川へ戻って捕獲された魚も含まれるため、数字を比較するときには区別が必要です。
2026年は平成以降で最低の来遊数となる見込み
2026年の約365万尾という来遊予測は、平成元年以降で最も少ない水準になる見込みとされています。
前年も記録的な不漁だったため、北海道の秋鮭資源を取り巻く状況はかなり厳しいといえます。
実際、2026年9月に各地で秋鮭漁が始まりましたが、漁業関係者からも今後の漁を心配する声が出ています。
秋鮭はどこから北海道へ戻ってくる?
秋鮭は、川で生まれたあと海へ下り、広い北太平洋を回遊して成長します。
数年後、成熟すると生まれた川へ産卵のために戻ってきます。
これが「母川回帰」と呼ばれる性質です。
その長い旅の途中では、海水温や餌、生息環境などさまざまな条件の影響を受けます。
川から放流した稚魚の数だけで、数年後に戻ってくる親魚の数が決まるわけではありません。
秋鮭減少と海水温にはどんな関係がある?
近年、北海道の秋鮭を考えるうえで注目されているのが海水温です。
サケは比較的冷たい水を好む魚です。
北海道立総合研究機構の研究では、海水温が高い年には高水温域を避けて回遊することで、北海道沿岸への回帰が遅れる可能性が指摘されています。
また、稚魚が海へ下ったあとの沿岸域の水温は、生き残りにも関係すると考えられています。
海の環境が変わることは、成魚が戻ってくる時期だけでなく、まだ小さな稚魚の段階にも影響する可能性があるのです。
「高水温だけ」が原因とは言い切れない
ただし、「2026年の秋鮭不漁は海水温だけが原因」と単純に断定するのは適切ではありません。
北海道立総合研究機構では、沿岸域の水温が秋鮭の来遊数に影響する要因のひとつと考えられる一方、それだけでは説明できない年級も存在するとしています。
秋鮭は海へ出てから数年間にわたり広大な海を回遊します。
その間の餌環境や成長、生残、海洋環境など、複数の要素が関係します。
「海が暑かったから魚が全部いなくなった」というほど単純な問題ではありません。
餌となるプランクトンの変化も指摘
海水温の変化は、秋鮭そのものだけでなく、海の生態系にも影響します。
2026年の秋鮭減少については、海水温上昇に加えて、餌となるプランクトン量の減少との関係も指摘されています。
海へ下ったばかりの稚魚にとって、適切な水温の海で十分な餌を食べ、成長できるかどうかは重要です。
海洋環境の変化が続けば、放流した稚魚が成魚となって北海道へ戻ってくるまでの生残にも影響する可能性があります。
放流しているのに、なぜ秋鮭は減る?
北海道では長年、サケの人工ふ化放流が行われています。
親魚から採卵してふ化させ、育てた稚魚を川へ放流する取り組みです。
2026年度についても、北海道はさけ・ます人工ふ化放流計画を公表しています。
それでも、放流した稚魚がすべて大人になって帰ってくるわけではありません。
川を下り、沿岸から広い海へ出て、数年間を生き抜いて初めて北海道へ戻ってきます。
そのため、ふ化放流だけでは解決できない海洋環境の問題もあります。
親となる秋鮭が少ないことも問題
秋鮭の来遊数が減ると、漁獲量だけでなく、次の世代を生み出すための親魚確保にも影響します。
北海道立総合研究機構では、来遊数の減少によって、ふ化放流に必要な親魚の確保が難しくなっていることも課題として挙げています。
秋鮭は「今年獲れる魚」だけを見ればよいわけではありません。
数年後に戻ってくる世代まで考えながら資源を管理する必要があります。
2026年の漁はもう始まっている
2026年9月、北海道各地では秋鮭漁が始まっています。
北海道は9月16日に、2026年の秋さけ漁獲速報として9月上旬の結果を公表しました。
秋鮭漁はこれからシーズンが進むため、約365万尾という数字はあくまで事前の来遊予測です。
今後は実際の漁獲尾数や河川への回帰状況を確認しながら、予測と実績の違いを見る必要があります。
来遊予測365万尾=最終漁獲365万尾ではない
ここも注意したいポイントです。
約365万尾は2026年の「来遊予測」であり、最終的な沿岸漁獲尾数をそのまま表した数字ではありません。
また、来遊予測には一定の不確実性があります。
近年は秋鮭が成熟する年齢構成にも変化があり、従来の予測方法では精度が低下する可能性も指摘されています。
そのため、今後公表される旬ごとの漁獲速報も合わせて見ることが重要です。
秋鮭が減ると生筋子やいくらにも影響する?
秋鮭の不漁で気になるのが、生筋子やいくらです。
生筋子は成熟した雌の秋鮭から取れるため、秋鮭そのものの入荷が少なければ原料確保にも影響する可能性があります。
特に秋は、自宅で生筋子をほぐしていくらの醤油漬けを作る人も多い季節です。
秋鮭の漁獲状況は、切り身だけでなく秋の生筋子相場にも関係してきます。
2026年は秋鮭本体の水揚げとともに、生筋子やいくらの価格も注目したいところです。
スーパーから鮭がなくなるわけではない
一方、「北海道の秋鮭が不漁なら、スーパーから鮭がなくなるの?」と心配する必要はありません。
日本の売り場には北海道産秋鮭だけでなく、輸入されたサーモンや冷凍品、養殖魚などさまざまな商品が並んでいます。
北海道の秋鮭が不漁だからといって、すべての鮭・サーモン商品が同じように不足するわけではありません。
ただし、北海道産の生秋鮭や生筋子など、秋鮭漁と直接結びつく商品の価格や流通量には影響が出る可能性があります。
2026年秋鮭は今後の漁獲速報に注目
2026年の秋鮭シーズンは、まだ始まったばかりです。
約365万尾という非常に厳しい来遊予測が出ていますが、最終的な結果は今後の漁獲や河川への回帰を見なければ分かりません。
北海道では旬ごとに秋さけ漁獲速報が公表されます。
予測通り記録的な低水準になるのか、それとも一部地域で漁獲が伸びるのか。
2026年は秋鮭そのものだけでなく、生筋子やいくらの価格まで含めて動向を追いたいシーズンです。
まとめ
2026年に北海道へ来遊する秋鮭は、約365万尾と予測されています。
前年も記録的な低水準でしたが、2026年はそこからさらに減少し、平成元年以降で最低の来遊数となる見込みです。
北海道の沿岸漁獲実績も、2022年の約2,940万尾から2025年には約562万尾まで大きく減少しています。
秋鮭減少の背景には、海水温など海洋環境の変化が影響する可能性が指摘されています。
ただし、水温だけですべてを説明できるわけではなく、餌環境や稚魚の生残など複数の要素を考える必要があります。
2026年の漁はすでにスタートしています。
今後は北海道が公表する漁獲速報を確認しながら、秋鮭の水揚げ、生筋子、いくらの価格がどう動くのか注目していきたいところです。


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