子どもと高齢者で違う「詰まりやすさ」|同じリンゴでも食形態が違う理由

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生のリンゴをそのまま食べられる人。

加熱して柔らかくしたほうが食べやすい人。

さらに別の食形態への調整が必要な人。

同じ「リンゴ」でも、安全に食べられる形は人によって違います。

特に食べ物による窒息に注意したいのが、乳幼児と高齢者です。

ただし、ここで注意したいことがあります。

乳幼児と高齢者は、どちらも窒息リスクがあるからといって、食べる機能が「同じ」なのではありません。

乳幼児は、噛む・飲み込むといった食べる機能をこれから獲得していく途中。

一方、高齢者では、加齢や疾患などによって、それまで持っていた機能が低下することがあります。

結果として同じように食形態への配慮が必要になったとしても、その背景は違うのです。

子どもは「食べる機能を獲得している途中」

乳幼児は、生まれたときから大人と同じように固形物を噛んで飲み込めるわけではありません。

離乳食を通して、

  • 食べ物を口に取り込む
  • 舌を動かす
  • あごを使う
  • 食べ物を口の中で処理する
  • 飲み込む

といった動きを少しずつ身につけていきます。

そのため、子どもの食形態では「今どのくらいの食べる力を獲得しているか」を見ることが重要です。

月齢は発達を見るための目安のひとつですが、同じ月齢でも食べ方には個人差があります。

リンゴは子どもにとって注意が必要な食材

生のリンゴには固さがあります。

こども家庭庁は、リンゴについて、咀嚼によって細かくなっても食塊の固さや切り方によっては詰まりやすいとして注意を呼びかけています。

教育・保育施設などでは、離乳食完了期までは柔らかくなるまで加熱して提供することが示されています。

つまり、

「細かく刻んだから大丈夫」

「歯が生えたから大丈夫」

「一度食べられたから大丈夫」

という一つの条件だけでは判断できません。

その子が今、その固さを安全に処理できるのかを見る必要があります。

高齢者は「持っていた機能が低下する」ことがある

高齢者では事情が異なります。

これまで普通に食事をしてきた人でも、加齢に伴って口の中や喉の機能が変化することがあります。

噛む力が弱くなる。

唾液が少なくなる。

飲み込む力が弱くなる。

食べ物が喉に残りやすくなる。

万が一詰まったとき、咳で押し返す力が弱くなる。

こうした変化によって、以前は問題なく食べられたものが食べにくくなることがあります。

また、高齢者の食べる機能には、加齢だけでなく疾患や口腔内の状態なども影響します。

「去年食べられたから今年も大丈夫」とは限らない

高齢者の食事で注意したいのが、過去の食経験だけで現在の食べる力を判断しないことです。

ずっと生のリンゴを食べてきた。

去年も普通に食べていた。

以前はむせなかった。

そうした経験があっても、現在の噛む力や飲み込む力が同じとは限りません。

食べる機能が変化していれば、食形態もそれに合わせて見直す必要があります。

同じ「リンゴ」でも見るポイントが違う

子どもと高齢者の食事では、同じリンゴでも確認したい背景が異なります。

乳幼児では、

  • 現在の発達段階
  • これまで経験している食形態
  • 口やあごの動き
  • 飲み込み方
  • 離乳の進み具合

などを確認します。

一方、高齢者では、

  • 現在の咀嚼機能
  • 嚥下機能
  • 歯や義歯の状態
  • 唾液など口腔内の状態
  • 疾患などによる身体機能の変化

なども考える必要があります。

どちらも「食べる人を見る」ことは共通していますが、見る理由は同じではありません。

乳幼児は「これからできるようになる」

乳幼児では、食べる経験を重ねながら機能が発達していきます。

離乳食も、その発達に合わせて形や固さを変えていきます。

だからこそ、早く大人と同じものを食べさせることが目標ではありません。

その時点で安全に処理できる食形態を経験しながら、少しずつ食べる力を育てていきます。

食形態を進めたときに難しそうなら、状態に応じて調整することも必要です。

高齢者は「以前できた」が判断基準にならないことがある

高齢者では反対に、それまでできていたことが難しくなる場合があります。

噛むのに時間がかかるようになった。

食事中にむせるようになった。

口の中に食べ物が残るようになった。

飲み込むまで時間がかかる。

以前より食事に疲れる。

こうした変化があれば、「今まで普通食だったから」と同じ食形態を続けるのではなく、現在の状態を確認することが重要です。

食形態は「年齢のラベル」で決めない

子どもにも高齢者にも共通して言えるのが、年齢だけで食形態を決めないことです。

「1歳だからこれ」

「3歳だから生でも大丈夫」

「80歳だから刻み食」

といった年齢だけの判断では、その人の食べる力を十分に反映できません。

同じ年齢でも、食べる機能には個人差があります。

食形態は年齢ではなく、その人が現在どのように食べているのかを確認しながら考える必要があります。

「刻む」が全員への答えではない

食べにくそうな人を見ると、食材を細かく刻むことを思いつくかもしれません。

しかし、「細かい=安全」とは限りません。

乳幼児については、リンゴは細かくなっても固さが残ることがあり、国も離乳食完了期までは柔らかくなるまで加熱するよう注意喚起しています。

高齢者でも、その人の口腔機能や嚥下機能によって適切な食形態は異なります。

細かく刻むだけではなく、柔らかさやまとまりなどを含め、その人に適した状態を考える必要があります。

共通するのは「一口量」への配慮

子どもと高齢者では窒息しやすくなる背景は異なりますが、安全に食べるための対策には共通する部分もあります。

そのひとつが一口量です。

乳幼児では、口の中に食べ物が残ったまま次の一口を入れないことが重要です。

高齢者でも、一度に無理なく食べられる量にし、ゆっくり噛んで飲み込むことが窒息予防につながります。

食べる人のペースを無視して、介助する側のテンポで次々に口へ運ばないことが大切です。

共通するのは「見守る」こと

食事中の観察も共通する安全対策です。

子どもなら、

泣いていないか。

眠そうではないか。

口に食べ物をため込んでいないか。

きちんと飲み込めているか。

高齢者なら、

いつもよりむせていないか。

噛むのに時間がかかっていないか。

飲み込みにくそうではないか。

口の中に食べ物が残っていないか。

見る内容には違いがありますが、「食事を出したら終わり」にしないことは共通しています。

でも「同じ対策をすればいい」ではない

一口量、姿勢、食形態、見守り。

子どもと高齢者には共通するキーワードが多くあります。

しかし、それだけを見て、同じ対応をすればよいと考えるのは適切ではありません。

子どもでは、発達段階に合わせながら食べる機能を育てていく視点があります。

高齢者では、現在の身体機能を評価し、必要に応じて低下した機能を補うよう食形態や介助方法を調整する視点があります。

同じ「安全に食べる」でも、そこへ至る考え方が違うのです。

栄養士・介護福祉士として両方に関わって感じること

私は栄養士として病院厨房で常食からミキサー食まで扱い、介護福祉士として高齢者の食事にも関わってきました。

現在は子育て支援員として、0歳児の離乳食介助にも関わっています。

両方の食事に関わると、乳幼児と高齢者を単純に同じものとして扱えないことを感じます。

0歳児は、これから食べる機能を獲得していく途中です。

高齢者では、それまでできていた食べ方が身体機能の変化によって難しくなることがあります。

スタート地点も、食形態を調整する理由も違います。

でも、ひとつ共通していることがあります。

食べる人を食事に合わせるのではなく、食事をその人の「今の食べる力」に合わせることです。

同じリンゴでも食形態が違っていい

家族で同じリンゴを食べるとしても、全員が同じ形で食べる必要はありません。

大人は生のまま。

離乳期の子どもは柔らかく加熱する。

高齢者は現在の噛む力や飲み込む力に応じて調整する。

それぞれ違って構いません。

むしろ、「同じ食材だから同じ形で提供する」という考え方を外すことが、安全な食事につながります。

「食べられるか」を確認するポイント

子どもと高齢者では確認する内容に違いがありますが、食事中には次のような視点を持っておきたいところです。

  • 現在の食べる機能に固さが合っているか
  • 安全に噛んだり口の中で処理したりできているか
  • 一口量が多すぎないか
  • 飲み込んでから次の一口へ進んでいるか
  • 安定した姿勢で食べられているか
  • 食事中にむせるなど普段と違う様子がないか
  • 現在の食形態が本当にその人に合っているか

年齢や食材名だけを見るのではなく、「誰が、今、どのように食べているのか」を見ることが重要です。

まとめ|同じ「詰まりやすい」でも理由は違う

乳幼児と高齢者は、どちらも食べ物による窒息に注意が必要です。

しかし、その理由は同じではありません。

乳幼児は、噛む・飲み込むなどの食べる機能を獲得している途中。

高齢者では、加齢や疾患などによって噛む力や飲み込む力が低下することがあります。

そのため、同じリンゴでも適切な食形態は違います。

離乳期の子どもでは、国がリンゴを離乳食完了期まで柔らかくなるまで加熱するよう注意喚起しています。

高齢者では、現在の歯や義歯、噛む力、唾液、飲み込む力などを見ながら食形態を考える必要があります。

共通するのは、「○歳だからこの形」と決めないこと。

その人の「今の食べる力」に食事を合わせる。

子どもから高齢者まで、安全に食べるための基本になる考え方です。

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