滋賀県で腸管出血性大腸菌感染症多発警報|2026年度5回目、何が起きている?

未分類

滋賀県は2026年9月10日、県内全域に「腸管出血性大腸菌感染症多発警報」を発令しました。

今回で2026年度5回目の発令です。

「また警報が出たけれど、滋賀県で大規模な食中毒が起きたの?」

「O157が集団発生しているということ?」

ニュースを見て、このように感じた人もいるかもしれません。

しかし、今回の警報は、特定の飲食店や食品による集団食中毒が発表されたという意味ではありません。

滋賀県内で腸管出血性大腸菌感染症の患者などが継続して確認され、県が定める警報発令基準に達したことによる注意喚起です。

今回は、2026年9月10日に発令された警報について、何が起きているのか、発生状況や注意したいポイントを栄養士目線で整理します。

滋賀県が2026年9月10日に多発警報を発令

滋賀県によると、腸管出血性大腸菌感染症が頻発した場合、県民へ注意を呼びかけ、感染予防や拡大防止につなげるため「腸管出血性大腸菌感染症多発警報」を発令しています。

今回の発令期間は、

2026年9月10日から9月20日まで

です。

対象地域は滋賀県全域です。

2026年度ではすでに5回目

2026年度に滋賀県で発令された警報は、今回で5回目です。

  • 第1回:8月14日
  • 第2回:8月19日
  • 第3回:8月25日
  • 第4回:9月4日
  • 第5回:9月10日

8月中旬以降、短い間隔で警報が繰り返し発令されていることが分かります。

今回突然一件の大規模発生が起きたというより、夏以降、県内で患者などの発生が続いている状況です。

今回の警報はなぜ発令された?

滋賀県が定める警報基準には、いくつかの条件があります。

今回該当したのは、

「県下全域において3週連続して2名以上患者等が発生した」

という基準です。

つまり、「一週間で突然多数の患者が出たから警報」というわけではありません。

少なくとも2人以上の発生が3週間続いたことで、継続した注意が必要な状況と判断されています。

直近3週間では何人確認された?

大津市が公表している資料では、直近3週間の届出状況は次のようになっています。

  • 8月24日〜8月30日:患者2人
  • 8月31日〜9月6日:患者4人、無症状病原体保有者1人
  • 9月7日〜9月13日:患者2人、無症状病原体保有者1人

ただし、警報の判定では、先に届け出られた患者などの同居家族については対象外として扱われます。

そのため、公表されている人数をそのまま足した数字と、警報基準に使われる人数は一致しません。

「無症状病原体保有者」とは?

今回の発生状況には、患者だけでなく「無症状病原体保有者」も含まれています。

これは、検査で腸管出血性大腸菌が確認されていても、下痢や腹痛などの症状が出ていない人です。

腸管出血性大腸菌に感染したからといって、全員が同じような症状を起こすわけではありません。

症状がない人もいることは、家庭内や施設内での感染拡大を考えるうえでも重要なポイントです。

腸管出血性大腸菌=O157なの?

「腸管出血性大腸菌」と聞くと、O157を思い浮かべる人が多いでしょう。

O157は代表的な腸管出血性大腸菌の一つです。

しかし、腸管出血性大腸菌にはO157以外にもO26やO111など複数の血清型があります。

そのため、「腸管出血性大腸菌感染症多発警報=O157だけが多発している」という意味ではありません。

今回「O157の集団食中毒」とは発表されていない

ここは今回のニュースで特に注意したいところです。

滋賀県の9月10日の発表では、特定の飲食店や食品を原因とする集団食中毒が起きたとは公表されていません。

また、今回の警報発令について「O157が何人確認された」という形でも発表されていません。

したがって、

「滋賀県でO157の集団食中毒が発生した」

と読み替えるのは適切ではありません。

「食中毒」ではなく「感染症警報」であることも重要

腸管出血性大腸菌は、汚染された食品を食べることで感染することがあります。

しかし、感染経路は食品だけではありません。

感染した人の便などを介して人から人へ感染することもあります。

そのため、滋賀県が発令しているのは「食中毒警報」ではなく、

「腸管出血性大腸菌感染症多発警報」

です。

どんな症状が出る?

滋賀県によると、腸管出血性大腸菌感染症では、全く症状がない場合から、軽い腹痛や下痢で終わる場合、さらに重い症状へ進む場合までさまざまです。

代表的な症状として、

  • 水のような下痢
  • 激しい腹痛
  • 血便

などがあります。

発熱がみられることもありますが、一過性の場合が多いとされています。

潜伏期間は3〜8日程度

腸管出血性大腸菌感染症では、感染してすぐ症状が出るとは限りません。

滋賀県は、感染した人の多くでは、おおよそ3〜8日の潜伏期間を経て発症すると説明しています。

そのため、症状が出た直前の食事だけを見ても感染源を判断できないことがあります。

ノロウイルスなどと比べても潜伏期間が長いため、数日前までさかのぼって行動や食事を確認することが必要になります。

激しい腹痛や血便がある場合は注意

腸管出血性大腸菌感染症では、激しい腹痛に続いて著しい血便がみられることがあります。

さらに、一部では重い合併症につながることがあります。

激しい腹痛や血便などがある場合には、自己判断で様子を見続けず、早めに医療機関へ相談しましょう。

特に注意したいHUSとは?

腸管出血性大腸菌感染症で特に注意したい合併症が「溶血性尿毒症症候群(HUS)」です。

腸管出血性大腸菌が産生するベロ毒素などの影響によって起こる重い合併症で、貧血、血小板減少、急性腎障害などがみられることがあります。

特に子どもや高齢者などでは重症化に注意が必要です。

肉は中心部までしっかり加熱

腸管出血性大腸菌の感染予防では、肉類の十分な加熱が重要です。

表面だけ焼けていても、内部に菌が残っている可能性があります。

特にハンバーグや成形肉などは、肉の表面に付着していた菌が内部に入り込む可能性があるため、中心部まで十分に加熱しましょう。

焼肉では箸を使い分ける

滋賀県は、生肉を扱う箸と食べるための箸を分けるよう呼びかけています。

生肉をつかんだ箸で、そのまま焼き上がった肉や口に入れる食品へ触れると、加熱後の食品へ菌を付着させる可能性があります。

「しっかり焼いたのに、生肉用の箸で再び菌をつけてしまう」という二次汚染を防ぐことが大切です。

生肉や加熱不足の肉を避ける

生肉や加熱不十分な肉には、腸管出血性大腸菌などの病原菌が存在する可能性があります。

特に子ども、高齢者、体力が低下している人などでは重症化するリスクも考え、十分に加熱した食品を選びましょう。

肉だけ気をつければいいわけではない

腸管出血性大腸菌というと、牛肉や焼肉を連想する人が多いかもしれません。

しかし、過去には野菜などを介した感染事例もあります。

滋賀県も、生野菜について流水で十分に洗うよう注意を呼びかけています。

「肉を食べなければ大丈夫」と単純に考えないことが重要です。

調理前後の手洗いを徹底する

食品を扱う前や食事前には、石けんと流水で手を洗いましょう。

生肉を扱ったあとに、そのままサラダや食器へ触れると、菌を別の食品へ広げる可能性があります。

包丁やまな板などの調理器具も、生肉から他の食品へ汚染を広げないよう管理します。

家庭内の二次感染にも注意

腸管出血性大腸菌は、感染者の便を介して人から人へ広がることがあります。

そのため、家庭内に患者がいる場合には、トイレ後の手洗いを特に丁寧に行います。

タオルの共用などにも注意しましょう。

おむつ交換後は特に手洗いを

滋賀県は、今回の警報でおむつ交換時の手洗いについても注意を呼びかけています。

乳幼児では、自分で十分に手洗いできないこともあります。

おむつを交換する大人が、便に触れた手を介して菌を周囲へ広げないよう、交換後の手洗いを徹底することが重要です。

幼児・児童には食前の手洗いを

滋賀県は、幼児や児童に対して食事前の手洗い指導を徹底するよう呼びかけています。

子どもたちはさまざまな場所や物へ触れるため、食事前に手を洗う習慣をつけることが感染予防につながります。

簡易プールの衛生管理にも注意

今回の県の注意喚起には、簡易プールの衛生管理も含まれています。

腸管出血性大腸菌は便を介して感染するため、複数の子どもが利用する簡易プールなどでも衛生管理が重要です。

下痢などの症状がある場合には利用を避けるなど、感染を広げない対応が必要です。

「滋賀県の食品が危険」という意味ではない

警報が出ると、「滋賀県で食事をするのは危険なのでは」と不安になるかもしれません。

しかし、今回の警報は滋賀県内の特定の食品や飲食店が危険だと示すものではありません。

県内で患者等の発生が続いているため、県民全体へ感染予防を呼びかけるものです。

5回も警報が出ているからこそ基本対策を

2026年度は8月14日以降、今回を含め5回警報が発令されています。

特別な対策だけを行うのではなく、

  • 肉を十分に加熱する
  • 生肉用と食事用の箸を分ける
  • 生野菜をよく洗う
  • 調理前後に手を洗う
  • トイレ後やおむつ交換後に手を洗う
  • 下痢などの症状がある人から感染を広げない

といった基本的な衛生管理を継続することが重要です。

まとめ

滋賀県は2026年9月10日、県内全域に本年度5回目となる腸管出血性大腸菌感染症多発警報を発令しました。

発令期間は9月20日までです。

今回の警報は、県内で3週間連続して2人以上の患者等が発生したという基準に該当したため発令されました。

重要なのは、

  • 特定の飲食店による集団食中毒が発表されたわけではない
  • O157だけの警報という意味ではない
  • 食品だけでなく人から人への二次感染にも注意が必要
  • 肉の十分な加熱や手洗いなど基本的な対策が重要

という点です。

「食中毒だけの問題」と考えず、食品衛生と感染症対策の両方から予防することが、腸管出血性大腸菌の感染拡大を防ぐポイントです。

次の記事では、腸管出血性大腸菌とはそもそもどのような菌なのか、O157だけでなくO26やO111などとの関係も含めて詳しく解説します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました