暦の上で冬が始まる「立冬(りっとう)」。
11月上旬から下旬にかけては、紅葉が残る地域もあれば、朝晩の冷え込みが厳しくなる地域もあります。
そんな季節の変化を、昔の人々は自然の様子から細かく感じ取っていました。
その知恵が込められているのが「七十二候(しちじゅうにこう)」です。
立冬には「山茶始開」「地始凍」「金盞香」という3つの七十二候があります。
しかし、漢字だけでは読み方がわかりにくく、「山茶は椿のこと?」「金盞香はキンセンカの花?」と疑問に思う人もいるかもしれません。
この記事では、立冬の七十二候の意味や読み方、2026年の期間、山茶花と椿の違い、水仙との関係をわかりやすく解説します。
立冬の七十二候とは?3つの候を一覧で紹介
七十二候とは、一年を約5日ずつ、72の期間に分けた暦のことです。
二十四節気が一年を24の期間に分けるのに対し、七十二候はさらに細かな自然の変化を表しています。
それぞれの二十四節気には、初候・次候・末候の3つの候があります。
立冬の七十二候は次のとおりです。
| 区分 | 七十二候 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 初候 | 山茶始開 | つばきはじめてひらく | 山茶花が咲き始める頃 |
| 次候 | 地始凍 | ちはじめてこおる | 大地が凍り始める頃 |
| 末候 | 金盞香 | きんせんかさく | 水仙が咲き、香り始める頃 |
3つを順番に見ると、花の開花から地面の冷え込み、そして冬の花へと、季節の変化が表現されていることがわかります。
2026年の立冬の七十二候はいつからいつまで?
2026年の立冬は11月7日(土)です。
立冬の期間は、一般的な日付の区切りでは11月7日から11月21日までとなります。
七十二候は約5日ずつに分けられ、2026年の目安は次のとおりです。
| 七十二候 | 2026年の期間の目安 |
|---|---|
| 山茶始開 | 11月7日~11月11日頃 |
| 地始凍 | 11月12日~11月16日頃 |
| 金盞香 | 11月17日~11月21日頃 |
七十二候の切り替わりの日付は、暦の資料によって1日前後異なる場合があります。
そのため、上記は季節を楽しむための目安として考えてください。
また、実際の開花や凍結は地域や気象条件によって異なります。
立冬の初候「山茶始開」とは?
立冬の初候は「山茶始開」です。
読み方は「つばきはじめてひらく」。
一般的には、山茶花(さざんか)が咲き始める頃を表しています。
山茶始開はなぜ「つばき」と読む?
「山茶」という漢字を見ると、山茶花を思い浮かべる人もいるでしょう。
ところが、七十二候の伝統的な読み方は「つばきはじめてひらく」です。
これは、植物の呼び名や漢字の使われ方に歴史的な違いがあるためです。
日本で使われる七十二候の解説では、この候を山茶花が咲き始める頃と説明することが一般的です。
つまり、読み方に「つばき」が入っていても、季節の風景としては山茶花を表していると理解するとわかりやすいでしょう。
山茶花はどんな花?
山茶花は、ツバキ科ツバキ属の常緑樹です。
秋から冬にかけて白やピンク、赤などの花を咲かせます。
生け垣や庭木、公園の植栽などでも見かけることがあります。
花が少なくなってくる季節に咲くため、冬の訪れを感じさせる植物の一つです。
山茶花と椿の違いは?見分け方を解説
山茶花と椿は、どちらもツバキ科ツバキ属の植物です。
花の形が似ているため、見分けにくいことがあります。
代表的な違いを比較してみましょう。
| 比較項目 | 山茶花 | 椿 |
|---|---|---|
| 主な開花時期 | 秋~冬 | 冬~春 |
| 花の散り方 | 花びらが一枚ずつ散ることが多い | 花全体がまとまって落ちることが多い |
| 花びら | 比較的平たく開くものが多い | 立体的な花形になるものも多い |
| 葉 | 椿より小ぶりなものが多い | 厚みと光沢のある葉が多い |
ただし、品種によって特徴が異なり、交雑品種もあるため、これらだけで必ず見分けられるわけではありません。
見分けるなら花の散り方に注目
山茶花と椿を見分けるとき、よく紹介されるのが花の散り方です。
山茶花は花びらが一枚ずつ散ることが多く、椿は花全体がまとまって落ちることが多いとされています。
木の下に花びらがたくさん落ちているか、花の形のまま落ちているかを観察すると、違いに気づけることがあります。
ただし、品種によって例外もあるため、葉や開花時期などと合わせて判断しましょう。
立冬の次候「地始凍」とは?
立冬の次候は「地始凍」です。
読み方は「ちはじめてこおる」。
大地が凍り始める頃を表しています。
秋から冬へ季節が進み、地面にも寒さの影響が現れ始めることを示す言葉です。
地始凍の頃は本当に地面が凍る?
地域によっては、11月中旬頃から地面が凍るほど冷え込むことがあります。
しかし、日本全国で同じ時期に地面が凍るわけではありません。
北海道や標高の高い地域と、温暖な地域とでは、気温や地面の状態が大きく異なります。
地始凍は、実際に全国の地面が凍る日を示すものではなく、冬の冷え込みが進む様子を表した季節の言葉です。
霜と地面の凍結は同じ?
霜と地面の凍結は、どちらも寒さに関係していますが、同じ現象ではありません。
霜は、地面や植物などの表面に空気中の水蒸気が氷の結晶として付着する現象です。
一方、地面の凍結は、土の中の水分などが冷えて凍ることです。
そのため、草に霜が付いていても、必ずしも土の中まで凍っているとは限りません。
霜柱は地始凍と関係がある?
冬の自然現象として知られる「霜柱(しもばしら)」も、地面の冷え込みと関係があります。
霜柱は、地中の水分が地表付近へ移動しながら凍り、細い氷の柱となって成長する現象です。
気温や地温、土の性質、水分量などの条件がそろうことで発生します。
地始凍の頃に霜柱が見られる地域もありますが、必ず発生するわけではありません。
また、霜柱は土の中の水分が関係する現象であり、植物や地面の表面にできる霜とは仕組みが異なります。
霜柱を観察するときの注意点
子どもたちと霜柱を観察する場合は、凍結した地面で滑らないよう注意しましょう。
特に道路や階段などでは、見た目では凍結がわかりにくいことがあります。
安全な場所で、地面の様子や氷の形を観察する程度にとどめると安心です。
立冬の末候「金盞香」とは?
立冬の末候は「金盞香」です。
読み方は「きんせんかさく」。
一般的には、水仙(すいせん)が咲き、香り始める頃を表します。
ただし、「金盞香」という漢字を見て、キンセンカという花を思い浮かべる人もいるかもしれません。
実は、七十二候の金盞香が指す花は、一般的な園芸植物のキンセンカとは異なります。
金盞香はなぜ水仙を指すの?
「金盞」は、金色の杯を意味する言葉です。
水仙には、白い花びらの中心に黄色い杯のような形をした部分を持つ種類があります。
その姿から、水仙を「金盞銀台(きんせんぎんだい)」と表現することがあります。
金色の杯と銀色の台に見立てた、美しい呼び名です。
七十二候の「金盞香」も、このような水仙の姿や香りを表した言葉として解説されています。
なお、園芸植物のキンセンカはキク科の植物で、水仙とは別の植物です。
水仙はどんな花?
水仙は、ヒガンバナ科スイセン属の植物です。
種類によって開花時期は異なりますが、日本では冬から春にかけて花を咲かせるものが多くあります。
白や黄色などの花を咲かせ、香りのある種類もあります。
ただし、七十二候の期間に必ず水仙が咲くわけではありません。
開花時期は品種や地域、気温によって異なります。
水仙には毒がある?子どもとの観察で注意したいこと
水仙は美しい花ですが、植物全体に有毒成分を含んでいます。
特に葉がニラ、球根がタマネギなどと間違われることで、食中毒が発生することがあります。
水仙を観察するときは、次の点に注意しましょう。
- 水仙の葉や球根を食べない
- 家庭菜園の食用植物と混ざらないようにする
- 子どもたちが植物を口に入れないよう見守る
- 観察後は必要に応じて手を洗う
- 食用植物かどうか確信できないものは食べない
水仙の葉をニラと間違えて調理すると、吐き気や嘔吐などの中毒症状が起こるおそれがあります。
もし誤って食べた場合は、自己判断で様子を見続けず、速やかに医療機関や中毒相談窓口に相談してください。
子どもたちには「きれいなお花でも、食べてはいけないものがあるんだよ」と伝えることも大切です。
立冬の七十二候を子どもにどう伝える?
七十二候は難しい漢字が多いため、子どもたちには身近な自然の言葉に置き換えて説明するとわかりやすくなります。
山茶始開の説明例
「寒くなってきても、きれいなお花が咲くんだよ。山茶花っていうお花を探してみようね。」
地始凍の説明例
「冬が近づいて、寒い場所では土の中のお水も凍ることがあるんだよ。」
金盞香の説明例
「冬になると、水仙というお花が咲く場所もあるんだよ。きれいだけど、食べてはいけないお花なんだよ。」
実際に見られる自然の変化は地域によって異なるため、その場所で観察できるものを取り入れてみましょう。
保育園や家庭で楽しむ立冬の自然観察
立冬の七十二候は、子どもたちと自然を観察する活動にもつなげられます。
山茶花の花を探してみる
散歩道や公園で山茶花を見つけたら、花の色や形を観察してみましょう。
「何色のお花かな?」
「花びらは何枚あるかな?」
そんな問いかけから、植物への興味が広がります。
ただし、植えられている花を無断で摘まないようにしましょう。
朝の地面を観察する
寒い朝には、地面や草の様子を観察してみましょう。
地域によっては、霜や霜柱が見られることがあります。
ただし、凍結した場所は滑りやすいため、安全に十分注意してください。
冬に咲く花を探してみる
冬にも花を咲かせる植物があります。
山茶花や水仙などを見つけたら、色や形、咲いている場所を観察してみましょう。
水仙など有毒な植物もあるため、植物を口に入れないことや、観察後の手洗いについても伝えるとよいでしょう。
立冬の七十二候に関するよくある質問
Q. 立冬の七十二候は何ですか?
山茶始開(つばきはじめてひらく)、地始凍(ちはじめてこおる)、金盞香(きんせんかさく)の3つです。
Q. 山茶始開は椿と山茶花のどちらですか?
伝統的な読み方は「つばきはじめてひらく」ですが、日本の七十二候では一般的に山茶花が咲き始める頃と解説されています。
Q. 地始凍は何と読みますか?
「ちはじめてこおる」と読みます。大地が凍り始める頃を表す言葉です。
Q. 金盞香は何と読みますか?
「きんせんかさく」と読みます。一般的には水仙が咲き、香り始める頃を表します。
Q. 金盞香はキンセンカのことですか?
いいえ。七十二候の金盞香は、一般的に水仙を指すとされています。園芸植物のキンセンカとは異なります。
Q. 七十二候の自然現象は全国で同じ日に起こりますか?
いいえ。七十二候は季節の変化を表す暦の言葉であり、実際の開花や凍結の時期は地域や気象条件によって異なります。
まとめ|立冬の七十二候は冬の訪れを知らせる自然の言葉
立冬の七十二候は、次の3つです。
- 山茶始開:山茶花が咲き始める頃
- 地始凍:大地が凍り始める頃
- 金盞香:水仙が咲き、香り始める頃
2026年の立冬は11月7日から始まり、11月21日まで続きます。
七十二候は、花の開花や地面の冷え込みなど、自然の小さな変化から季節を感じ取るための言葉です。
実際の自然現象が暦どおりに起こるとは限りませんが、身近な植物や景色に目を向けるきっかけになります。
山茶花の花や朝の冷え込みなど、暮らしの中にある冬の気配を探してみてはいかがでしょうか。

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