スーパーの刺身売り場や飲食店でおなじみのホタテに、深刻な異変が起きています。
全国有数のホタテ産地である青森県では不漁が続き、2025年度の青森県漁連の共販実績は1万9766トンまで減少しました。
2万トンを下回ったのは、陸奥湾でホタテ養殖が本格化する以前の1977年度以来です。
さらに2026年度については、2025年度を下回り、1万トンに届かない可能性もあると報じられています。
かつて10万トンを超える水揚げがあった青森県のホタテに、いったい何が起きているのでしょうか。
大きな原因として指摘されているのが、近年続く海水温の上昇と、それに伴うホタテのへい死です。
しかも問題は「今年獲れるホタテが少ない」というだけではありません。
次の世代を育てるための稚貝や親貝まで減少すれば、その影響は翌年以降にも続く可能性があります。
この記事では、2026年に深刻化しているホタテ不漁について、青森県や青森県漁業協同組合連合会などの情報をもとに、原因や価格への影響、今後の見通しをわかりやすく整理します。
※この記事は2026年10月18日時点で確認できる情報をもとにしています。
2026年にホタテが記録的不漁に
青森県のホタテをめぐる状況は、かなり厳しくなっています。
青森県漁業協同組合連合会によると、2025年度のホタテ共販実績は次の通りです。
| 項目 | 2025年度実績 |
|---|---|
| 共販数量 | 1万9766トン |
| 共販金額 | 86億6900万円 |
| 2万トン割れ | 1977年度以来 |
青森県漁連は、大幅な減産について3年連続の高水温被害が影響したとしています。
そして2026年度は、さらに厳しい状況になる可能性があります。
FNNの2026年10月15日の報道では、青森県のホタテ水揚げ量について、2026年度は2025年度をさらに下回り、1万トンに届かない可能性もあると伝えられました。
まだ年度途中のため最終的な数字が確定したわけではありませんが、記録的な不漁が続いていることは間違いありません。
青森ホタテはピーク時10万トン超から大幅減
現在の数字がどれほど深刻なのかは、過去と比較するとわかりやすくなります。
青森県のホタテは、ピーク時には水揚げ量が10万トンを超えていました。
それが2025年度には約2万トンまで減少。
2026年度はさらに1万トンを下回る可能性まで指摘されています。
単なる「今年は少し不漁」というレベルではなく、産地そのものが大きな転換点を迎えている状況です。
なぜホタテが獲れない?大きな原因は高水温
青森県産ホタテの不漁で、大きな原因として指摘されているのが海水温の上昇です。
ホタテは水温の影響を受ける生き物です。
青森県では以前から、異常な高水温によってホタテが大量へい死する危険性を指摘し、高水温時の養殖作業の改善や水温モニタリングなどの対策を進めてきました。
しかし近年は高水温が繰り返され、2025年度の共販実績についても青森県漁連が「3年連続の高水温被害」による大幅減産と説明しています。
高水温になるとホタテに何が起きる?
水温が高くなれば、ホタテが単純に「暑い」と感じるだけではありません。
高水温によるストレスが大きくなると、ホタテの生存そのものに影響します。
特に養殖では、稚貝を分散したり、ネットやかごを入れ替えたりする作業も必要です。
高水温時にこうした負担が重なることを避けるため、青森県では水温を確認しながら養殖作業を行うよう情報を発信しています。
2026年9月30日に発表された養殖管理情報でも、「新貝は20℃を下回ってから作業」するよう呼びかけられています。
それだけ水温管理が重要になっているということです。
稚貝が死ぬと翌年以降にも影響する
ホタテ不漁を考えるうえで重要なのが、稚貝です。
青森県のホタテ養殖では、春に採苗器を海へ投入して稚貝を採集し、その後パールネットなどへ収容して育てます。
さらに養殖方法に応じて耳づりや丸かごへの入れ替えなどを行い、成長させていきます。
つまり、スーパーに並ぶ大きなホタテが突然海から現れるわけではありません。
親貝 → 採苗 → 稚貝 → 育成 → 出荷
という時間のかかるサイクルがあります。
この途中にいる稚貝が大量に死んでしまえば、その年だけでなく、その稚貝が成長して出荷されるはずだった将来の生産量にも影響します。
親貝が減ることも深刻
さらに注意したいのが、親となるホタテの減少です。
稚貝を確保するには、その前段階として次世代につながる親貝が必要です。
成貝まで大きく減少すると、単純に「来年また稚貝をたくさん育てれば元通り」とはいかなくなる可能性があります。
稚貝だけでなく、次世代を生み出すところから生産体制を立て直す必要が出てくるためです。
青森県は「稚貝融通」の仕組みも用意
現在の状況の深刻さは、青森県の対策からもうかがえます。
青森県は2026年10月13日に更新したホタテガイ養殖情報の中で、
- ホタテガイ採苗速報
- 養殖管理情報
- 海況・気象情報
- ホタテ養殖支援システム
- 稚貝融通の問い合わせ
- 養殖技術・漁業共済・金融などの総合相談
といった情報や支援窓口を案内しています。
稚貝については、所属する漁業協同組合を通じて問い合わせを受け、むつ湾漁業振興会がマッチングする仕組みも設けられています。
産地ではすでに「ホタテが少ない」という段階を超えて、今後の生産をどう維持するかという対応が進められているのです。
青森県は2026年10月にホタテ総合戦略も改訂
さらに青森県は2026年10月7日、「陸奥湾ホタテガイ総合戦略」を改訂しました。
県は現在のホタテ養殖を取り巻く環境について、これまで経験したことのない厳しい状況になっていると説明しています。
2026年2月には「陸奥湾ホタテガイ産業のあり方検討会」を設置。
生産だけでなく、産業全体を持続させるための方向性について検討が進められています。
今回の不漁が、一時的な価格問題だけではないことがわかります。
ホタテ不漁で価格はどうなっている?
生産量が大きく減れば、当然ながら市場価格にも影響します。
2026年10月15日のFNNの報道では、刺身用の生ホタテについて、取材先では以前400円ほどだった商品が約1.5倍まで高騰しているケースが紹介されました。
2025年度の青森県産ホタテについても、生産量が大きく減る一方で平均単価が上昇しています。
つまり、
ホタテが少ない → 仕入れ価格が上がる → 小売店・飲食店にも影響する
という流れが現実になっています。
スーパーの刺身や飲食店にも影響
ホタテの価格高騰は、すでに消費者の身近な場所にも広がっています。
2026年6月には、ホタテ価格の高騰を受け、スーパーの刺身盛り合わせからホタテを外したり、海鮮丼からホタテを外したりする動きも報じられていました。
さらに10月には、青森料理を提供する東京都内の飲食店で、ホタテを十分に仕入れられず、ホタテ料理を提供できない状況も報じられています。
「ホタテが高くなった」だけでなく、そもそも仕入れられないという問題まで起き始めています。
ホタテの代わりにムール貝を出す店も
今回特に象徴的なのが、ホタテの代替として青森県産ムール貝を提供する飲食店が登場していることです。
ホタテが手に入りにくくなったことで、同じ青森県産の別の海産物を活用する動きが出ています。
今後ホタテ不足が長期化すれば、飲食店や加工食品でも「ホタテの代わりになる食材」が注目される可能性があります。
ホタテ不漁はいつまで続く?
現時点で「○年には元通りになる」と断定できる状況ではありません。
むしろ注意したいのは、ホタテ養殖には成長するまで時間が必要なことです。
青森県漁連によると、採苗した稚貝を育て、出荷が始まるのは2年目からです。
そのため、今年稚貝が不足したからといって、翌年すぐに生産量を元へ戻せるわけではありません。
さらに高水温が今後も続くか、親貝や稚貝を十分確保できるかによって回復速度は変わります。
2026年秋も青森県が成育状況を調査
青森県は2026年10月19日から、陸奥湾の養殖ホタテについて秋季実態調査を実施する予定です。
調査対象には2025年産貝と2026年産貝が含まれ、成育状況などが確認されます。
調査結果は12月に開催予定の報告会で公表される予定です。
今後の生産量を考えるうえでも、この調査結果は重要な材料になりそうです。
ホタテ不漁についてよくある質問
Q. 2026年はなぜホタテが不漁なの?
青森県では近年の高水温による影響が大きく、稚貝などのへい死によって生産量が減少しています。2025年度について青森県漁連は、3年連続の高水温被害による大幅減産としています。
Q. 2025年度はどれくらい獲れた?
青森県漁連の共販実績では1万9766トンでした。2万トンを下回ったのは1977年度以来です。
Q. 2026年度は1万トンを下回るの?
2026年10月時点では年度の最終実績は確定していません。ただし、FNNは2025年度をさらに下回り、1万トンに届かない可能性もあると報じています。
Q. ホタテは値上がりしている?
はい。生産量減少に伴い価格高騰が起きています。2026年10月の報道では、取材先で刺身用生ホタテが以前の約1.5倍になっている例も紹介されています。
Q. 来年になれば元に戻る?
現時点では断定できません。ホタテは採苗から育成・出荷まで時間が必要で、稚貝や親貝の減少が将来の生産量にも影響する可能性があります。
まとめ|ホタテ不漁は「今年獲れない」だけではない
2026年、青森県産ホタテをめぐる状況は非常に厳しくなっています。
- 2025年度の青森県漁連共販数量は1万9766トン
- 2万トン割れは1977年度以来
- 2026年度はさらに減少し、1万トンに届かない可能性も報じられている
- 大きな要因のひとつが近年続く高水温
- 稚貝の減少は翌年以降の生産にも影響する
- 刺身用ホタテなどの価格高騰が消費者にも波及
- ホタテを仕入れられず、ムール貝へ切り替える飲食店も登場
- 青森県は2026年10月に陸奥湾ホタテガイ総合戦略を改訂
今回の問題で重要なのは、単に「2026年のホタテが少ない」という話ではないことです。
高水温で稚貝や成貝が減り、次世代の生産にも影響すれば、回復には時間がかかります。
ホタテの価格やスーパー・飲食店への影響だけでなく、産地で次の世代のホタテを確保できるのかも、今後の重要なポイントになりそうです。


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