熱海土石流災害からまもなく一年…現在の状態や土地所有者は今…

こんにちは、tekowaです。

皆さんは昨年起こった熱海土石流災害、覚えているでしょうか?

2022年7月3日で一年経ちます。現在はどうなっているのでしょうか?しらべてみました。

熱海土石流のあらまし

発生当時の記事があったので引用しました。

引用:NHKニュース

静岡 熱海で土石流 2人死亡 計10人救助 安否不明は約20人か
2021年7月4日 0時41分
静岡県熱海市の伊豆山地区で発生した土石流で、これまでに2人の死亡が確認され安否不明者は正確には確認できていないものの、およそ20人いるとみられています。また、これまでに10人が救助されていて、警察や消防などが救助活動を続けています。
3日10時半ごろ静岡県熱海市伊豆山地区の逢初川で土石流が発生しました。
土石流は逢初川を海までおよそ2キロにわたって流れ出たとみられていて、複数の住宅が流され、女性2人の死亡が確認されました。
県や市によりますと、安否がわからない人はおよそ20人いるということですが、正確な数は確認できないということです。
また、熱海市によりますと、住宅に取り残されていた人など6人が、午後9時40分までに救助され、これで、これまでに救助された人は合わせて10人となりました。
警察や消防などがさらに救助活動を続けています。
また、熱海市は市内に11の避難所を開設して午後9時現在、合わせて264人が避難しています。
静岡県知事「総力あげて応急活動に取り組む」
静岡県熱海市で発生した土石流を受けて、静岡県の川勝知事は「総力をあげて応急活動に取り組む」と述べ、関係機関と連携して被害情報の収集や救助活動に全力で取り組む考えを示しました。
静岡県の川勝知事は3日夕方、記者会見を開き、熱海市の伊豆山地区で発生した土石流について、「およそ20人の安否がわからなくなっているという情報が入っている。避難をしている人も多く、心からお見舞い申し上げる」と述べました。
そのうえで「自衛隊に出動を要請し、消防や警察とも連携して情報収集にあたっている。総力をあげて災害応急活動に取り組む」と述べ、関係機関と連携して被害情報の収集や救助活動に全力で取り組む考えを示しました。
また、川勝知事は「今後さらに雨が降ることも予想されるが、すでに地盤が緩んでいるところがある。危ないところからは避難所などに避難し、自治体の情報に注意して安全の確保に万全を期してほしい」と呼びかけました。
2人が病院に搬送
現場からおよそ3キロ離れた熱海市昭和町にある「熱海所記念病院」によりますと、今回の土石流でけがをしたとみられる2人が、救急車で病院に搬送されて治療を受けているということです。
2人の性別や年代などは「明らかにできない」としています。
病院にはほかにも患者の受け入れができるかどうか問い合わせがあり、対応を検討しているということです。
警察「住宅10棟が流される」
警察によりますと、土石流の被害があった逢初川流域で、少なくとも住宅10棟が流されたことを確認したということです。
警視庁は3日午後6時ごろ、広域緊急援助隊としておよそ170人を現地に派遣しました。
警察犬も活用し、安否が分からなくなっている人たちの捜索などにあたる予定だということです。
緊急安全確保 静岡 熱海市内全域2万957世帯に
静岡県熱海市は土砂災害が発生するおそれが極めて高まったとして、これまでに市内全域の2万957世帯の3万5602人に、「緊急安全確保」を出しています。
警戒レベルで最も高いレベル5で、近くの建物や自宅の上の階、斜面から離れた場所など周囲の状況を確認し、少しでも安全な場所で命が助かる可能性の高い行動を取るよう呼びかけています。
静岡県内の停電ほぼ解消 JR伊東線は全線運転見合わせ
東京電力によりますと、大雨の影響で静岡県内では一時、およそ3000戸が停電しましたが、午後6時半すぎに一部を除いて復旧したということです。
また、JR東日本によりますと、JR東海道線は大雨のため、神奈川県の小田原駅と静岡県の熱海駅の間で、3日は終日、運転を見合わせるということです。また、JR伊東線も大雨で線路下の斜面が崩れた影響で、3日は終日、全線で運転を見合わせるということです。
東京農工大学 石川芳治名誉教授「また発生も」
土砂災害に詳しい東京農工大学の石川芳治名誉教授は、「映像からは土石流が発生しているように見える。熱海市周辺は勾配が急な山があり、水を含んで流れやすい火山性の地質が多く土石流が起きてもおかしくない。一度土石流が起きたところでも崩れた土砂がまた水をためて崩れたり、ほかの場所でも水分が地中にしみこむまでに時間がかかったりするので、雨が弱まっても土砂災害の危険性はすぐに下がらない。映像からは土砂が時速数十キロの速さで下っているように見える。土石流などが起きてからでは逃げるのは難しい。土砂災害の危険度が高い地域では避難指示などが続いている間は土砂災害警戒区域から離れてほしい」としています。
静岡大学防災総合センター 北村晃寿教授「ほかの場所でも危険」
被害があった現場の調査に訪れた静岡大学防災総合センターの北村晃寿 教授は「このあたりは火山岩の地盤で、長年の雨で削られた谷にたまった岩石が、大量の水分を含んで流れ出したことが原因と思われる」と指摘しました。
そのうえで「熱海は、非常に海岸に迫っている急勾配な地形で、谷沿いは特に土石流が起きやすい危険な場所だ。同じような岩石は伊豆半島全体にあり、きょう土石流が起きた場所以外でも、同じようなことが起きてもおかしくないので、雨が続けばしばらく危険な状態が続く」と話していました。
“10回以上、土石流のようなものが”
熱海市伊豆山にある寺院の住職は「10回以上、土石流のようなものが襲ってきた。外に出るとすでに土砂が道路を覆っていて、消防が付近の人に避難を促している最中にすごい音がして土石流が流れてくるのが見えたので、走って高台に避難しました。戻ってみると、寺院の前にあった家も車も流されていました。大きな木や壊れた家のものとみられるものががれきになって流れていました」と話しています。
また土砂崩れのあった静岡県熱海市伊豆山地区で釣り具店を営む70歳の男性は、「昨夜から大雨だったが、昼前になって土砂によってすごい勢いで住宅5棟くらいが流されていくのを見た。ゴーゴーという大きな音がして住宅を飲み込み、真っ黒な土砂であっというまに住宅がバラバラになった。こんなことが起きるとは思っておらず驚いている」と話していました。
また伊豆山神社にいる男性は「神社の西側で土砂崩れが起き、けたたましい音がしていた。家も電柱も多くが流されているのが見えた。町内の公民館に多くの人が避難し、いっぱいで中に入れない状況になっていた。土石流が家を直撃したという人も避難していた。あたり一帯では断水と停電が起きている」と話していました。
土石流を目撃したという近所に住む70代の男性は「熱海ではきのうからかなりの雨が降っていたが、そんなにすごい雨だとは思わなかった」と話しました。
土石流の状況については「土石流が起きたのは雨が落ち着いたあとだった。川から異常な音が聞こえて外に出てみるとものすごいスピードで流れる土砂を見た。波の上に建物が乗っているようだった」と振り返りました。
そして男性は「自宅から100メートルほどの場所まで土砂が流れてきて恐怖を感じた。生まれたときから70年以上この土地に住んでいるが大きな災害は今まで一度もなかったのでびっくりしている」と話していました。
1キロ離れたホテル「昨夜 高齢者に避難呼びかける無線」
静岡県熱海市で土石流があった現場から1キロほど離れた場所にあるホテルの30代の従業員の男性は、「土砂災害があった地域は高台になっていて海が一望できリゾートマンションや住宅が建ち並ぶ地域です。2日夜になってから、高齢者に避難を呼びかけるような無線が聞こえていました。高齢者が多い地域なのできのうから早めの避難をしていた人もいた様子でした。ホテルでは土石流があったけさ10時半すぎごろに停電が2回ありました。土石流で東京方面への道が分断され車で向かうことができない状況ですが、幸いきのうは車で来たお客さんはおらず、皆さん新幹線で帰りました」と話していました。
消防団の話
土砂災害があった地区の住民で、救助にあたった消防団の40代の男性は「土砂で巨大な石がたくさん流されてきました。この地区は古い木造の住宅が多く、自分が避難している最中にも流れてきた土砂で家がバラバラになっていました。自分と家族、周辺の人を避難させましたが人手が全く足りません。土砂災害は初めての経験で、手も足も出ませんでした。消防や自衛隊が救助活動にあたっているので、できるかぎり支援したい」と話していました。
土石流とは
土石流は、大雨で崩れた土や石が、水と一体となって一気に流れ下る現象です。
流れ下る速度は数十キロと自動車並みに速く、土石流が発生してからでは避難するのが難しい現象です。
土石流は、勾配の急な川や谷があるところ、谷の出口にある扇状地と呼ばれる場所で起こります。
また、火山灰が堆積した地質の場所でも発生するおそれがあります。
土石流は一度発生すると、繰り返し発生することがあるため、警戒が必要です。
伊豆山地区の住民が避難
静岡県熱海市にあるMOA美術館によりますと、伊豆山地区の住民14人が、地区内で土砂崩れが発生したとして、午前11時ごろから館内の部屋に避難しているということです。
美術館の男性職員は「避難している人にけが人はいませんが、大規模な土砂崩れだということで、動揺している様子でした」と話していました。
熱海市網代 平年の7月1か月上回る雨量
静岡地方気象台によりますと、熱海市で土石流が発生した場所からおよそ10キロ離れた熱海市網代の観測地点では、先月30日午後6時の降り始めから3日正午までに389ミリの雨が観測されました。
これは平年の7月、1か月の雨量、242.5ミリの1.6倍にあたります。
熱海市網代ではその後も1時間に数ミリの雨が観測されています。
気象台によりますと、熱海市を含む県内では、3日夜日付が変わるころから雨が再び降り始めて、4日朝に雨足が強まり、午前中は降り続く見通しだということです。
発生場所は「土石流危険渓流」
ツイッターに投稿された複数の土石流の映像はいずれも熱海市伊豆山地区の東西およそ500メートルの範囲で撮影されていました。
映っていた建物などから方角や場所を分析したところ、土石流が発生したのは相模湾に面した背後に山地がある険しい地形の地区で、住宅が数十軒密集し、ホテルや旅館なども点在しています。
JR熱海駅から北北東におよそ1キロの場所にあり、この地区の海側にはJR東海道本線と東海道新幹線の線路もあります。
土石流は「熱海ビーチライン」付近まで達しているとみられます。
撮影された範囲は標高が最も高いところから低いところまでの距離で、およそ600メートルにおよんでいます。
国土交通省が公開しているハザードマップによりますと今回発生した土石流は「土石流危険渓流」に重なるように起きたとみられます。
土石流危険渓流は土石流が発生するおそれがあり、住宅等に被害を与えるおそれがある渓流で、都道府県が指定しています。

発生当初は、このように国土交通省が公開しているハザードマップによると、発生した土石流は「土石流危険渓流」に重なるように起きたと見られていたようです。しかし、この熱海土石流災害は、自然災害だけではありませんでした。次は何がこの災害が大きくなった原因なのか見ていきたいと思います。

熱海土石流災害の原因と各行政の対応

災害発生後、原因調査が行われたことで明らかになった事をまとめられていたので引用させていただきました。引用:WIKIPEDIA熱海市伊豆山土石流災害

原因調査

現場はハザードマップで土石流や地滑り、急傾斜地の崩壊などのリスクが高いエリアに指定されている。河川工学者の田代喬と土質力学者の松岡元による発生当日段階での見立てでは、非常に強い雨が降り続いたことにより、雨が山間の斜面全体に浸透し、土中の水の圧力が増大し続けて一気に斜面が流れ出たと推定された。急峻な山間地の谷地形になっていて、水と土砂が相まって山腹の木々も巻き込み、相当な力で一気に流れたとみられる。また、近くにある活火山である箱根山の過去の噴火による噴出物や火山灰が堆積して崩れやすい地質であることも可能性に挙げられたが、土石流の土砂の大半が発生地点付近に人為的に作られた盛り土だったことが判明し、盛り土の設置状況などを中心に調査が進められることになった。

盛り土

静岡県の初期の調査によると、熱海市立伊豆山小学校から北西に1 kmほど離れた山の斜面が幅およそ100 mにわたって大きく崩れた。過去の地形データを比較した結果、山の谷間にできた開発による盛り土の大部分が崩れたと分かり、土砂が下るにつれて勢いを増し、被害を甚大化したと推定している。盛り土について川勝は7月4日の記者会見で「目的や工法を検証する決意だ」と述べた。静岡県幹部は6日の記者会見で、盛り土について「現時点の調査結果として不適正な点はなく、危険な状態だったとの認識もない」と説明した。7日、工学博士号を持ち長年国土交通省で土木行政に携わった経験を有する静岡県副知事の難波喬司は、盛り土について、技術者の個人的見解として通常あるべき排水設備や、土砂の流出を防ぐえん堤が設置されておらず、工法は不適切であったと指摘した。

7月9日、静岡県はレーザーで計測した地形データを使い調査した結果、土石流の土砂の総量が約5万55 m3で、そのうち大半が土石流の起点にある盛り土とみられると発表した。土砂は途中の砂防ダムで約0.75万 m3がせき止められたが、残りの約4.8万 m3が下流部の住宅地に押し寄せた。なお、静岡県は当初、土砂の総量を約10万 m3と推定していた。同日、静岡県の地質構造・水資源専門部会委員を務め、中央新幹線建設の水資源への影響などに詳しい地質学者の塩坂邦雄は静岡県庁で記者会見をし、災害後にドローンなどで現場を調査したことにより、盛り土が崩落したのは周辺の宅地開発で尾根が削られて人為的な河川争奪が起こり、従来は盛り土の上にある約4万 m2の逢初川の集水域から雨水が流れ込んでいたが、水の流れが変わったことで北隣の約20万 m2の鳴沢川の集水域から数年かけて水が集まったため、盛り土に大量の水がたまって地盤が滑りやすくなり、今回の大雨が崩落の引き金となったとの見方を示した。一方、副知事の難波は同日の記者会見で、「そんなに広い地域の水が集まっていれば大洪水になっているはずだ」と塩坂の見解を否定し、盛り土には適切な排水設備がなかった可能性が高いとして、1日から降り続いた雨水がたまって盛り土が崩落し、土石流につながったとの見方を示した。

崩落した盛り土の所有者である不動産実業家の麦島善光は太陽光発電施設の場所を含めて約130万 m2の土地を持っており、2011年に別の不動産会社から一帯の土地を買ったが、その後に盛り土はしておらず、そもそも崩壊箇所が盛り土だとも知らなかったとしている。元の所有者である神奈川県小田原市の不動産会社は2007年に「建設残土の処分」を目的に、静岡県土採取等規制条例に基づき盛り土の工事を熱海市に届け出をした。しかし、造成段階で対象面積が施工計画より拡大し、コンクリート、レンガ、ビニール、プラスチック、ガラスなどの産業廃棄物を含む残土や廃自動車も埋まっていたため、静岡県と熱海市が廃棄物の撤去や土砂搬入の中止を繰り返して要請したが、土地所有者が変わるまでに従わなかった。2021年現在、この会社は倒産となっているが、その会社の元幹部は共同通信の取材に応じ、「熱海市に届け出て盛り土をした。豪雨はこれまでもあったが、崩れなかった」と責任を否定した。しかし、7月7日に難波は、盛り土に関わった業者が林地の開発をめぐり違反があったなどとして、過去に県と市が是正を求めていたことを明らかにした。また、静岡県は7日、盛り土の高さが法令基準の3倍以上の約50 mに達するなど不適切な造成だったと発表し、計画では「土地の面積は約0.9 ha、盛り土の量は約3.6万 m3」のはずだが、実際の量はその1.5倍以上となっていた。国土地理院の測量によると、2009年6月 – 2019年12月間に実施された盛り土量は推計約5.6万 m3である。

工事の法的根拠となる静岡県土採取等規制条例では災害防止を目的に、盛り土の高さを15 m以内とすることなどが定められている。また、崩壊箇所は宅地造成等規制法で、より強い安全対策や自治体による工事完了検査が義務づけられた指定区域だが、工事目的が宅地造成でなかったことから、同法の規制対象外であった。なお、建設残土は再利用できる資源とみなされているため、産業廃棄物と違って処分を規制する法律はない。塩坂の調査によれば、現地で崩落せずに残った盛り土は約3万 m3程度とみており、目視ではコンクリートの破片なども含まれていたという。また、静岡県の調査によれば、神奈川県の不動産会社は盛り土を造成した際に、熱海市に工法変更計画書を提出した。そこに雨水排水用の地中排水設備や砂防ダムを設置するなどの対策が明記されていたため、市は計画書を受理した。しかし、災害後に県が過去の記録を調べた時、排水設備などの対策が行われたかの確認ができず、現場の目視調査でも排水設備の痕跡が見当たらなかった

なお、不動産管理会社の小田原市内の関係先を訪ねた経験がある熱海市の男性によると、盛土を造成した会社の元幹部は、地元住民や行政とのやりとりで指定暴力団の関係者であることをちらつかせていた。また、2009年の時点で盛土に不備があることを確認しており、盛土の工事変更届は図面無しや空欄があるものでも受理されたことが発覚した。

行政・立法機関の対応


国の対応
国土交通省は日本全国の盛り土の総点検を始めた。その結果、1089箇所で不備があることが判明した。崩落の危険があるため、各自治体による追加の対処を求めている。結果内訳は、「必要な災害防止措置が確認できない」が516箇所、「廃棄物の投棄などが確認された」が142箇所、「許可、届け出の手続きが取られていない」が728箇所、「手続内容と現地の状況に相違がある」が515箇所であった。

現行法では対処できないものも含まれているため、2022年3月1日、日本政府は宅地造成等規制法(宅造法)の改正案を閣議決定した。同改正案は同法を「宅地造成及び特定盛土等規制法」(盛土規制法)へと改名する上、盛り土を都道府県知事の許可制とし、罰金刑および懲役刑を定め、全国一律の規制を行うようと規定するもので、同月29日に衆議院に付託された。衆議院と参議院での可決を経って、2022年5月20日に成立した。

静岡県・熱海市の対応
静岡県による点検と結果、盛土193箇所に不備があることが確認された。2022年3月、沼津警察署は、事件が起きたあとでも沼津市宮本で無許可で盛土を10年以上続けていた84歳の建設業の男を逮捕した。男は条例とそれに基づく市の指導を無視し違法盛土を続けたため、現地では住宅の庭に大岩が落ちてくるなどの被害が報告されていた。ただ、市は当時注意しかできず、強制力のある対処が取れないでいた。

2022年3月18日、静岡県は新たな盛土規制条例を制定した。静岡県議会で可決され、同年7月から発効されるようになった。盛土は許可制となり、違反があった場合は懲役刑が課されるという内容だった。2022年4月、静岡県庁には新たに盛土対策課が設置された。同課は土木、農業、林業、警察、教育委員会など複数の領域の職員13人で構成され、さらに「盛土監視機動班」が設定される。これまでは対策を行う部署が一定しておらず、複数の部署にわかれて対応していたが、盛土対策課は盛土問題に特化した専門部署となる。巡回監視を行う、盛土の通報があったら迅速に現場確認し、原状回復まで一貫した指導を徹底して行うようになった。

熱海市議会の百条委員会による参考人招致では、仲介業者が盛土の施工には市の指導があったなどと主張し、現場責任者は「名義だけ貸したのであって関与していない」などと主張していた。一方、産廃不法投棄問題で取材していたジャーナリストは、「不法投棄を見たことを警察に伝えたが、動かなかった」と証言し、地元住民は「現場が緩い土砂」のほか、「履いていた靴が溶けた」などとして何らかの有害物質が含まれていた可能性を示唆した。

被害者の会の結成および裁判
盛り土の調査結果を踏まえ、2021年8月、被害者遺族が盛り土が行われた土地の前所有者を業務上過失致死容疑で、現所有者を重過失致死容疑で刑事告訴した。さらに「熱海市盛り土流出事故被害者の会」が結成された。

9月28日、被害者遺族ら70人が土地の現旧所有者らを相手取り、約32億6800万円の損害賠償を求める訴訟を静岡地裁沼津支部に起こした。また、被害者遺族の5人が、盛り土のあった土地の現旧所有者を殺人罪で告訴し、熱海警察署が正式に受理した。

2022年5月18日、崩落した時の土地の元・現所有者ら8人と5社を相手どり、遺族、被災者84人が総額85億1900万円の損害賠償を求めた訴訟を起こした。元、現所有者はいずれも争う姿勢である。

この盛り土事件により、盛り土が日本各地で不備があることがわかり、法律改正も行われたんですね。また、静岡県では新たな盛土規制条例が制定され、盛土が許可性になる多くの影響をもたらしたんですね。熱海での盛り土事件を教訓に日本全国の盛り土が適正に処理され二度と同じような災害・事件が怒らないようにしてもらいたいですね。

盛り土の土地所有者の現在

Y!ニュースより引用

「お前たちのしゃしゃり出る幕じゃない」 現土地所有者が口を開く 熱海土石流
2022/06/21 17:15
去年、静岡県熱海市で起きた大規模な土石流では、起点となった盛り土が被害を拡大させたとされています。
7月で発生から1年を迎える中、盛り土がある土地の現在の所有者がテレビ静岡の取材に自身の考えを主張しました。
記者:テレビ静岡です
現所有者:テレビ東海か何かは知らないけど、人の仕事の邪魔をするな。
記者:1年経ちますね
現所有者:ああ。(Q.遺族の方は…)そんなことは法律が決めることだ、お前たちのしゃしゃり出る幕じゃないんだよ
去年7月、熱海市伊豆山を襲った土石流を巡っては、違法に造成された盛り土が被害を拡大させたとみられていますが、現在の土地所有者はその責任ついて認めていません。
熱海市議会の百条委員会は5月、ウソの証言をすれば罰則も与えられる「証人尋問」の対象として、現在の土地所有者に聞き取りを行いました。しかし…
委員:10年、所有者として安全管理にどのようなことをしたか
現所有者:安全管理の必要性が私にあったのかなかったのかも記憶にない。確認したこともありません。誠に恥ずかしながら、これが現実です
危険な盛り土の存在を知らなかったと主張。そもそも自分が持っていた土地が崩れたことに対して責任はないのか、代理人の弁護士はこう答えています。
河合弘之弁護士(現所有者の代理人):崖が本当の自然のままであれば、原則として責任は負わないと思います。ただし、その崖が極めて危険だということがわかっていたとすれば、一般の不法行為責任が発生すると思います。危険だと知らされたこともなければ、兆候も見たこともない
そして現在の土地所有者は6月、テレビ静岡の取材に対し自身の考えを主張しました。
記者:遺族は言葉を求めていますが
現所有者:違うんだよ。お前らにはわからん
記者:前所有者は責任はないと主張している。あなたが主張しない限り向こうの主張が世に通っていくのでは
現所有者:いいよそれで。(それで問題ない?)ああ、いいよ。お前たちの思わぬ了解がとれるからいい
土石流の発生からまもなく1年。土地の現旧所有者に対する警察の捜査もおこなわれているほか、遺族らが損害賠償を求める裁判が始まっていて、こうした場で責任の追及が進められることになります。

現所有者と前所有者のどちらに責任があるのか、難しいところですね。インタビューの様子から察するに、現所有者も少し変わった人物のようです。発生からまもなく1年。この事件はどのような結末を迎えるのでしょうか?

まとめ

  • 2021年7月3日10時半ごろ、静岡県熱海市伊豆山地区の逢初川で土石流が発生した。
    土石流は逢初川を海までおよそ2キロにわたって流れ出たとみられていた。
  • 土石流は、大雨で崩れた土や石が、水と一体となって一気に流れ下る現象。
    流れ下る速度は数十キロと自動車並みに速く、土石流が発生してからでは避難するのが難しい現象。
    土石流は、勾配の急な川や谷があるところ、谷の出口にある扇状地と呼ばれる場所で起こる。
    また、火山灰が堆積した地質の場所でも発生するおそれがある。
    土石流は一度発生すると、繰り返し発生することがあるため、警戒が必要。
  • 土石流発生の原因は、近くにある活火山である箱根山の過去の噴火による噴出物や火山灰が堆積して崩れやすい地質であることも可能性に挙げられたが、土石流の土砂の大半が発生地点付近に人為的に作られた盛り土だったことが判明し、盛り土の設置状況などを中心に調査が進められることになった。
  • 静岡県の初期の調査によると、熱海市立伊豆山小学校から北西に1 kmほど離れた山の斜面が幅およそ100 mにわたって大きく崩れた。過去の地形データを比較した結果、山の谷間にできた開発による盛り土の大部分が崩れたと分かり、土砂が下るにつれて勢いを増し、被害を甚大化したと推定した。
  • 国土交通省は日本全国の盛り土の総点検を始めた。その結果、1089箇所で不備があることが判明した。
  • 2022年3月18日、静岡県は新たな盛土規制条例を制定した。静岡県議会で可決され、同年7月から発効されるようになった。盛土は許可制となり、違反があった場合は懲役刑が課されるという内容だった。
  • 去年7月、熱海市伊豆山を襲った土石流を巡っては、違法に造成された盛り土が被害を拡大させたとみられていますが、現在の土地所有者はその責任ついて認めていない。
  • 土地の現旧所有者に対する警察の捜査もおこなわれているほか、遺族らが損害賠償を求める裁判が始まっていて、こうした場で責任の追及が進められることになる。

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