
tekowaです。
保育園では季節ごとに行事食を取り入れますが、その中でも10月の「ハロウィン給食」は子どもたちが特に楽しみにしているイベントの一つです。いつもの給食を少しアレンジするだけで、食卓が明るくなり、食べる意欲がぐんと高まります。今回は、実際の保育園現場で取り入れられているハロウィン給食のメニュー実例と、年齢やアレルギー、咀嚼力に配慮した工夫を紹介します。
1. ハロウィン給食のねらい
ハロウィン給食の目的は、単に季節のイベントを楽しむことではありません。子どもたちが「食に関心を持つ」「季節を感じる」「文化を知る」ことが大切なねらいです。行事を通して、食材の色・形・香り・感触など五感を刺激し、食育につなげることができます。
特に3〜5歳児では「これなあに?」「かぼちゃの顔だ!」といった言葉のやり取りが生まれます。この瞬間が、食べ物と心の距離を近づける貴重な機会です。
2. 実例①:おばけライスプレート
保育園で人気なのが「おばけライスプレート」。ごはんをラップで包んでおばけ型に整え、海苔で目と口をつけるだけで完成です。トマトソースやカレーと組み合わせると、見た目にも楽しく、子どもの食欲を刺激します。
味つけは薄味が基本。塩分を抑えつつ旨味を引き出すため、トマトの酸味やだしを活用します。小麦・乳アレルギーの子どもには、米粉ホワイトソースを使ったカレー風味のあんかけもおすすめです。
3. 実例②:かぼちゃのグラタン風ココット
ハロウィンカラーの代表「かぼちゃ」を使ったグラタン風ココットは、行事感がありつつ栄養満点。マカロニではなく、ペンネやじゃがいもを使うと咀嚼力の発達段階に合わせやすいです。
ホワイトソースの代わりに豆乳を使用し、バターのかわりに菜種油を使えばアレルギー対応にもなります。かぼちゃの自然な甘みが子どもに人気で、加熱後もホクホク感を残すのがポイント。3歳児未満児にはペースト状にして提供します。
4. 実例③:ハロウィンサラダ(紫キャベツ・人参・コーン)
見た目の色合いでワクワク感を出すなら、カラフルサラダが効果的です。紫キャベツと人参の千切りにコーンを混ぜ、フレンチドレッシングで和えるだけ。オレンジと紫のコントラストがハロウィンらしさを引き立てます。
酸味を抑えるため、ドレッシングにヨーグルトを加えるとまろやかになります。乳製品がNGな園では豆乳ヨーグルトに変更すれば安心。ビタミンA・Cが豊富で、風邪予防にもつながるバランス副菜です。
5. 実例④:黒ゴマのコウモリスープ
遊び心のある一品として人気なのが「黒ゴマのコウモリスープ」。見た目は真っ黒ですが、味はまろやか。豆乳ベースのスープに黒ゴマペーストを溶かし入れ、表面にコウモリ型のクルトンを浮かべます。
ごまはカルシウムと鉄分が豊富で、成長期に欠かせない栄養素です。嚥下に配慮する場合は、すりごまを使い、とろみを少し強めに調整すると安心です。
6. 実例⑤:おばけリンゴヨーグルト
デザートには、火を使わず簡単にできる「おばけリンゴヨーグルト」。りんごを薄くスライスし、顔の形にカットしてヨーグルトにのせるだけ。自然な甘みで砂糖を使わずに仕上げることができます。
離乳後期〜幼児食初期の子どもには、すりおろしたリンゴとヨーグルトを混ぜたやわらかデザートがおすすめ。冷たすぎないよう常温に戻して提供すると、胃への負担も減ります。
7. 提供時の工夫
- 全体の味つけは薄めに、素材の味を活かす
- 大きな具材は1cm以下にカットして喉つまり防止
- 見た目に偏らず、主菜・副菜・汁物のバランスを意識
- イベント感を出すのは「盛り付け」や「器の色」で
保育園では、見た目重視より“安全第一”。派手な装飾よりも、食べやすくて温かみのある給食が理想です。行事の目的は「楽しく食べること」。その原点を忘れないようにしましょう。
8. アレルギー対応のポイント
ハロウィン行事では、市販のお菓子が多くなるため、給食ではあえてシンプルにまとめるのが安心です。卵・乳製品・小麦を避けたい場合は、以下の代替を使うと自然に対応できます。
- 牛乳 → 豆乳、オーツミルク
- バター → 菜種油、米油
- 小麦粉 → 米粉、片栗粉
- 卵 → 豆腐+片栗粉、もしくは市販の代替粉
アレルギー対応は“別メニュー”にせず、全員が同じ料理を食べられるよう調整することが理想です。みんなで同じものを食べる喜びが、行事の達成感にもつながります。
9. 栄養士と保育士の連携
ハロウィン給食の成功には、調理担当・栄養士・保育士の連携が欠かせません。メニューだけでなく、食べる時間や盛り付けタイミング、提供時の声かけまでチームで共有します。
たとえば「今日はハロウィンだから、かぼちゃの顔になってるね」と話しかけることで、子どもたちのワクワク感が倍増します。保育現場では“会話も調味料”なのです。
10. まとめ:行事を通じて「食べる力」を育てる
ハロウィン給食は、単なるイベントではなく、食育の実践そのものです。見た目で興味を引き、実際に食べて味覚を育て、五感を通して「食の楽しさ」を感じる。その積み重ねが、将来の食の基礎になります。
栄養士・保育補助としては、行事を通して「整った食事」「安全な提供」「温かい雰囲気」の三拍子を揃えることを心がけたいところです。季節の行事は、心と体を整える最高の教材です。
次回は、介護施設・高齢者向けのハロウィン食について解説します。


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