
tekowaです。
お盆の時期になると、キュウリとナスに割り箸や楊枝を刺した「精霊馬(しょうりょううま)」を見かける機会が増えます。初めて見る人は「これ、何のため?」「子どもの工作?」と思うかもしれません。
しかしこの精霊馬、実は深い意味と祈りが込められた、お盆の大切な風習なのです。
この記事では、精霊馬の由来や意味、なぜキュウリとナスを使うのか、そして飾り方や現代的なアレンジ例までを、やさしく・わかりやすく解説していきます。
精霊馬(しょうりょううま)とは?
精霊馬とは、キュウリやナスに割り箸・楊枝・爪楊枝などで足をつけて、馬や牛のような形に見立てたものです。
「ご先祖様があの世から家に帰ってくるときに乗ってくる乗り物」として、お盆の間、仏壇や精霊棚(しょうりょうだな)に供えられます。
漢字では「精霊馬」「精霊牛」とも書き、地域によっては「おがら馬」「迎え馬」「送り牛」などと呼ばれることもあります。
キュウリが馬、ナスが牛の意味とは?
精霊馬では、キュウリ=馬、ナス=牛を表しています。それぞれの意味と願いを見てみましょう。
キュウリの馬|早く帰ってきてほしい
キュウリは細長く、青々とした形をしており、「馬」に見立てられます。
馬は足が速い動物。そこから、「ご先祖さまができるだけ早く帰ってきてくれますように」という願いが込められています。
ナスの牛|ゆっくりお帰りください
一方、ナスはどっしりとした形から「牛」に見立てられます。
牛は歩みがゆっくり。「帰るときは名残惜しいので、ゆっくり帰ってくださいね」という意味が込められているのです。
つまり、「早く来て、ゆっくり帰って」という先祖への思いが、この2つの野菜に託されているのです。
地域によって違う?精霊馬の文化
精霊馬の風習は日本全国に広まっていますが、細かな習慣や意味合いには地域差があります。
- 足の本数:2本足・4本足・6本足など地域ごとに異なる
- 素材:割り箸、竹串、爪楊枝などさまざま
- 飾り方:仏壇、玄関、精霊棚、外玄関前など
- 迎え火・送り火とセットで:火を灯したあとに精霊馬を飾る地域も
中には、カラフルな紙を使ってデコレーションしたり、花を添えたりと、独自の飾り方を楽しむ家庭もあります。
いつ作る?どこに飾る?
精霊馬はお盆の初日(8月13日)に迎え火を焚いたあとに飾るのが一般的です。
飾る場所の例:
- 仏壇の横
- 精霊棚の上
- 玄関先(地域による)
- 外の門前や庭先
ご先祖さまが迷わず家に入ってこられるよう、見つけやすい場所・目立つ場所に置くことが多いです。
精霊馬の作り方
精霊馬はとても簡単に作れるので、子どもと一緒に作る家庭も増えています。以下に、基本的な作り方をご紹介します。
用意するもの:
- キュウリ(馬)とナス(牛)
- 割り箸や竹串、爪楊枝
- カッターまたはキッチンバサミ(安全に注意)
作り方:
- キュウリとナスをそれぞれ軽く洗う
- 割り箸や爪楊枝を4本用意し、足として斜めに刺す
- 安定するように長さを調整して、立てる
- 完成!目をつけたり飾りつけしてもOK
最近では、子どもの自由研究として「精霊馬の意味を調べる&実際に作ってみる」活動も人気です。
現代風のアレンジも増加中
現代の暮らしや住宅事情に合わせて、以下のようなアレンジ精霊馬も登場しています。
- 紙粘土や折り紙で作るクラフト精霊馬
- フェルトや布製のインテリアタイプ
- イラストや切り絵で表現する平面精霊馬
- 食べられるように塩もみキュウリ+飾りナス
小さなスペースでも工夫すれば、先祖を思う気持ちをしっかり表現できます。
精霊馬の片付け方は?
お盆が終わったあと、精霊馬をどう処分するか迷う人も多いですが、以下のような方法が一般的です。
- お焚き上げ:地域の寺院で焚いてもらう
- 川や海に流す:一部地域の伝統(ただし環境配慮が必要)
- 家庭で塩をふって清めて処分:生ゴミとして捨てる前に手を合わせる
大切なのは、感謝の気持ちを込めて処分するということ。子どもにもこの“気持ちの節目”を伝えることができます。
まとめ|精霊馬は“心の乗り物”
精霊馬は、ただの飾りではなく、ご先祖さまを「迎える」「送る」という気持ちを形にしたものです。キュウリとナスという身近な野菜に込められた、速く来て、ゆっくり帰ってほしいという祈り。
派手なことはしなくても、ほんの少し手を動かし、想いを込めるだけで、日常の中に“祈り”が宿ります。
ぜひ今年は、キュウリとナスで精霊馬を作ってみてください。子どもと一緒に語り合いながら作る時間は、忘れられない夏の思い出にもなるはずです。
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