国連と難民支援|UNHCRが守る命と尊厳

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tekowaです。

10月24日の国連デー。 この日は、世界中で国連の存在意義を考える特別な日です。 その中でも、紛争や迫害、自然災害などで故郷を追われた人々を支援する活動は、国連の最も人道的な取り組みの一つです。 この記事では、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の活動や、世界の難民の現状、日本の貢献、そして私たちにできる支援について詳しく解説します。

UNHCRとは?

UNHCR(United Nations High Commissioner for Refugees/国連難民高等弁務官事務所)は、1950年に設立された国連の機関です。 第2次世界大戦後、ヨーロッパで故郷を失った難民を保護・支援する目的で発足しました。 設立当初は「3年で活動を終える」とされていましたが、その後も世界各地で紛争が続き、現在では70年以上にわたり活動が続いています。

本部はスイス・ジュネーブにあり、世界130カ国以上で約2万人の職員が難民や避難民の支援にあたっています。 1954年と1981年にはその功績が認められ、2度のノーベル平和賞を受賞しました。

難民とは?避難民との違い

「難民(Refugee)」とは、戦争や迫害によって国を離れざるを得なくなった人々のことを指します。 その定義は1951年に採択された「難民の地位に関する条約」で明確にされています。

一方、「国内避難民(IDPs:Internally Displaced Persons)」は、国外ではなく自国内で避難生活を余儀なくされている人々です。 UNHCRは、こうした国内避難民や無国籍者への支援も行っています。

世界の難民の現状

UNHCRの2025年最新レポートによると、世界の避難民・難民の総数は1億1,400万人を超え、過去最多を更新しています。 その主な原因は、ウクライナ紛争、スーダン内戦、ミャンマー情勢、シリア・アフガニスタンの長期化などです。

このうち約4割が子どもたちであり、教育や医療を受けられないまま過酷な生活を送っています。 避難先の国でも就労や移動の制限があり、「生きる自由」が奪われた状態が続いています。

UNHCRの主な活動

UNHCRは、緊急時の救命支援から長期的な再定住支援まで、幅広い活動を行っています。

  • 緊急支援:避難直後に食料・飲料水・毛布・テント・医薬品を提供。
  • 避難所の設置:安全な生活環境を確保するためのキャンプ運営。
  • 教育支援:学校建設や教材配布、教師育成を通じて学ぶ機会を確保。
  • 医療・保健:ワクチン接種、母子保健、感染症対策。
  • 再定住支援:他国への移住や自立生活のサポート。
  • 法的保護:迫害から逃れた人々が合法的に安全を確保できるよう支援。

特に紛争直後の支援は「72時間が命を分ける」と言われるほど迅速な対応が求められます。 UNHCRは緊急対応チームを各地に派遣し、発生から数時間以内に現地入りして支援を開始します。

UNHCRのパートナー機関

UNHCRは単独ではなく、国連の他機関やNGO、各国政府と連携して活動しています。 たとえば、

  • 世界食糧計画(WFP)…食料支援
  • ユニセフ(UNICEF)…子どもの教育と保健
  • 世界保健機関(WHO)…感染症対策
  • 赤十字国際委員会(ICRC)…人道保護

このように、UNHCRは「国連の中の調整役」として、避難民支援の全体を統括しています。

日本とUNHCRの関わり

日本は1981年にUNHCRの執行委員会に加盟し、以降は資金・人材両面で支援を続けています。 東京には「国連UNHCR協会」が設立され、国内での募金・啓発活動を行っています。 日本政府も年間約300億円規模の資金協力を行っており、世界でも上位の支援国です。

また、日本はアジア地域での人材育成にも力を入れており、アフガニスタン難民の教育支援やシリア避難民への職業訓練などを支援しています。 一方で、国内での難民受け入れはまだ少なく、2024年の認定数は約300人と、国際的に見ても課題が残ります。

「無国籍者」への支援

UNHCRは難民だけでなく、国籍を持たない「無国籍者」の支援も行っています。 世界には約400万人の無国籍者が存在し、教育・医療・雇用・婚姻など基本的な権利を持てません。 UNHCRは「#IBelong(私はここにいる)」キャンペーンを通じて、国籍を持たない人々の法的地位の確立を目指しています。

難民支援とSDGsの関係

UNHCRの活動は、SDGs(持続可能な開発目標)の複数分野に関わっています。 特に、

  • 目標1:貧困をなくそう
  • 目標3:すべての人に健康と福祉を
  • 目標4:質の高い教育をみんなに
  • 目標10:人や国の不平等をなくそう
  • 目標16:平和と公正をすべての人に

これらの目標を実現するためには、難民・避難民を含めたすべての人が「取り残されない」社会をつくることが不可欠です。

私たちにできる支援

UNHCRの活動は、政府や企業だけでなく、個人の寄付によっても支えられています。 私たちにできる支援の形をいくつか紹介します。

  • UNHCRへの募金や継続支援プログラムに参加する
  • イベントや展示会で難民の現状を学ぶ
  • SNSで難民支援の情報を発信する
  • フェアトレード製品やエシカル商品を選ぶ
  • 子どもと一緒に「命の尊さ」や「多文化理解」を話し合う

「寄付できるお金が少ない」「遠い国の話」と感じるかもしれません。 でも、知ること・伝えることも立派な支援の一つです。 共感が広がることで、世界中に希望の輪が広がります。

まとめ

UNHCRは、国や民族を超えて人々の命を守り、尊厳を取り戻すための活動を続けています。 戦争や災害は誰にでも起こりうる現実です。 国連デーをきっかけに、「もし自分だったら?」と想像してみてください。 その思いやりの心が、国境を越えて誰かを支える力になります。

次回は「国連と食料支援(WFPの活動)」について解説します。

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