
tekowaです。
10月27日の「文字・活字文化の日」は、読書や文字文化の大切さを見直す日。 今回はその中でも、特に注目したい“音読”の力についてお話しします。 音読は単に「声に出して読む」だけではありません。 脳科学の観点から見ても、音読は脳全体を活性化し、心や体の整えにもつながる「読む整活」なのです。
1. 音読は“脳の筋トレ”
文字を目で追い、声に出し、耳で聞く――この一連の流れは、 脳のさまざまな部位を同時に働かせることになります。 これはまさに“脳の筋トレ”。 音読をすると、言語中枢・聴覚野・運動野・前頭葉が活発に動きます。 その結果、集中力・記憶力・理解力が自然とアップするのです。
実際、認知症予防のプログラムにも音読は取り入れられています。 福祉現場では、短い詩や俳句を声に出して読むことで、 高齢者の表情が明るくなり、会話が増える例が多く見られます。 読むことは“思考を外に出す行為”であり、脳への良い刺激になるのです。
2. 子どもの発達にも良い影響
音読は、子どもの発達にも大きなメリットがあります。 保育や幼児教育の現場では、言葉のリズムを楽しむ“音読遊び”が推奨されています。 絵本の繰り返し表現や、擬音語の多いフレーズを声に出すことで、 語彙力・発音・リズム感・感情表現が豊かになります。
さらに音読には、「読む=理解する」習慣を作る効果もあります。 音に出すことで文章の構造が自然に身につき、 “言葉の流れ”を感覚で覚えるようになるのです。 これは学齢期の国語力だけでなく、思考力全体を伸ばす土台にもなります。
3. 家庭でできる音読習慣の工夫
音読を特別なことにせず、日常の中に組み込むのが整活的なポイントです。 たとえば次のような形で“音読の時間”をつくると、自然に続けられます。
- 寝る前に「今日一番楽しかったこと」を声に出して話す
- 朝の支度中に短い詩や名言を読む
- 新聞や天気予報を子どもと交代で音読する
- お気に入りの絵本を一緒に読む(親が1行、子どもが1行)
このように、「読まなければならない」ではなく「声に出すと気持ちいい」と感じられる仕掛けが大切です。 声に出して読むことは、呼吸を整え、心拍を落ち着ける効果もあります。 まさに“読む瞑想”のような時間になるのです。
4. 栄養士・保育・介護福祉士の視点から見る音読の力
私は栄養士・保育補助・介護福祉士という立場から、音読が人に与える影響を多く見てきました。 たとえば保育園では、給食前の「おはようの歌」や「今日の絵本タイム」で、 子どもたちの集中力が一気に高まる瞬間があります。 また、介護施設では、食前に短い詩や童謡をみんなで声に出して読むことで、 嚥下リズムが整い、表情がやわらぐケースもあります。
音読は、“声を出す”という呼吸のリズムづくりにもつながるため、 血流促進・自律神経の安定にも良い影響を与えます。 つまり、読むことで「心と体を整える」ことができる――これが整活的な音読の本質です。
5. ストレスケアにも役立つ
声を出すこと自体がストレスの発散になります。 特に大人の場合、心の中にある感情を言葉にすることが減りがちですが、 音読をすると「声に出すことで気持ちを整理する」効果が生まれます。 文章を読むうちに、自分の思考が落ち着き、前向きな気持ちが戻ってくることも多いのです。
また、音読には「リズム呼吸」の効果もあります。 腹式呼吸を使って読むことで、副交感神経が優位になり、リラックス状態を作れます。 寝る前の音読は、快眠にもつながる整活法のひとつです。
6. 音読を“暮らしの整え時間”に変える
音読を続けるには、「無理なくできる習慣化」が鍵。 整活的には、以下のようなステップで生活に取り入れるのがおすすめです。
- まずは1日1分、声を出して読む
- 好きな言葉や短文を選ぶ(例:「ありがとう」「おはよう」など)
- 少しずつ長い文章に挑戦していく
声に出すだけで、気持ちがスッと軽くなるのを感じるでしょう。 これは、脳が“読む快感”を覚えている証拠です。 活字文化を守ることは、決して難しいことではなく、 こうした日々の“声の整活”から始まります。
7. 高齢者にもおすすめ|“読むことで若返る脳”
音読は高齢者にとっても「脳の若返りトレーニング」。 特に短い俳句・新聞の見出し・回想文などを声に出して読むことで、 過去の記憶が蘇り、感情が動き出します。 これにより、コミュニケーション意欲や表情筋の動きが改善されるケースもあります。
実際、介護施設で「音読タイム」を設けると、 普段あまり話さない方が積極的に声を出すようになることもあります。 読むことは、心を開くリハビリのようなもの。 活字文化を継承することは、高齢者の尊厳を守ることにもつながります。
8. まとめ|“声に出す整活”で暮らしを豊かに
音読は「読む」だけでなく、「感じ、伝える」行為です。 脳を活性化し、心を穏やかに整え、家族のコミュニケーションを豊かにします。 1日たった数分でも、声に出して読むだけで世界の見え方が変わります。
10月27日、文字・活字文化の日。 ぜひ今日から、“読む整活”を生活の中に取り入れてみてください。 それは、あなた自身の内側を整える最もやさしいリハビリです。 整活の一歩は、“声を出すこと”から始まります。


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