
tekowaです。
「富士山」「槍ヶ岳」「大山」…私たちは日本中の山を名前で呼んでいますが、その名前はいつ、どんなふうに決まったのでしょう?
今回は、山の名前の“ふしぎ”について考えてみます。昔の人たちは山にどんな意味を感じ、どんな想いをこめて名前をつけたのでしょうか?
1. 山の名前って、誰が決めたの?
いま地図にのっている山の名前は、国土地理院(こくどちりいん)という国の機関が管理しています。でも、それよりもずっと前から、地元の人たちは山に名前をつけて呼んでいました。
昔の人たちは、山を見て、「かたち」「色」「登ったときの様子」「神さまが住んでいる感じ」などから、ぴったりの名前を考えていたのです。
つまり、山の名前は「自然」と「人の想い」がいっしょになって生まれてきたものなのです。
2. いろんな名前の付け方がある
日本の山の名前は、いくつかのパターンに分けることができます。
(1)かたちや高さから
- 富士山(ふじさん):山の形が美しく、ぴんと高くそびえている
- 槍ヶ岳(やりがたけ):てっぺんが槍(やり)のようにとがっている
- 高尾山(たかおさん):高いところにある山
(2)色や木の名前から
- 白山(はくさん):雪で白くなることが多い山
- 赤城山(あかぎやま):昔「赤く光る木」があったという言い伝えも
- 杉山(すぎやま):スギの木がたくさん生えていた
(3)動物や神さまにちなんで
- 天狗岳(てんぐだけ):天狗(てんぐ)という山の妖怪が住んでいると言われていた
- 八ヶ岳(やつがたけ):八つの山が連なっているように見える
- 大山(おおやま):特別に大きくて神聖な山
3. 山は昔から“神さま”がいる場所だった
昔の人たちは、山のことを「ただの地形」とは考えていませんでした。
山は雨を降らせてくれるし、水の元でもあり、食べ物もとれる。とても大切な場所だったのです。
だからこそ、「山には神さまがいる」と考えるようになりました。
たとえば、富士山は「木花咲耶姫(このはなさくやひめ)」という女神さまがいるとされていて、火山の噴火をしずめるために、神社が建てられました。
山に登ることは、神さまに近づくこと。だから昔は「むやみに登ってはいけない」とも言われていたのです。
4. 山の名前に「岳」「峰」「山」ってどう違う?
山の名前には、「岳(たけ)」「峰(みね)」「山(やま)」など、いろんな言い方がついています。これはどんな違いがあるのでしょうか?
- 岳(たけ・だけ):とがった山、険しい山、高い山に多い(例:槍ヶ岳、男体山)
- 峰(みね):山のてっぺんや尾根に近い場所(例:御前峰、三峰山)
- 山(やま・さん):ふつうの山や、広く人々に親しまれている山(例:富士山、丹沢山)
でも、これらに厳密なルールがあるわけではありません。地元で呼ばれていた名前や、昔の言い伝えなどから自然に定着していったものなのです。
5. 「名前のない山」もある?
日本には2万以上の山がありますが、すべての山に名前がついているわけではありません。
とくに低い山や、あまり知られていない山の中には、地元の人しか名前を知らないものもあります。地図にのっていない“ひみつの山”が、もしかしたらあなたの近くにもあるかもしれません。
自分で名前をつけて、こっそり呼んでみるのも楽しいですね。
6. 外国の山の名前はどうやって決まったの?
海外の山にも、意味のある名前がたくさんあります。
- エベレスト:イギリスの測量官「ジョージ・エベレスト」にちなんで名付けられた
- マッターホルン(スイス):ドイツ語で「草地の角(つの)」という意味
- ロッキー山脈(アメリカ):岩が多いから「ロッキー」
それぞれの国の言葉や歴史、文化から、山の名前が生まれていることがわかります。
7. 名前から山の“物語”を感じよう
山の名前は、ただのラベルではありません。そこには、昔の人の感覚、地元の人の想い、自然に対する考え方がたくさんつまっています。
山に名前がついたとき、どんな景色だったのか。なぜその名前にしたのか。どんな言い伝えがあるのか。
山の名前を見て「へぇ〜」と思ったとき、あなたはすでに“山の物語”に触れているのです。
まとめ
山の名前は、自然の特徴や昔の人の想い、神話や信仰から生まれたものです。
形や色、木や動物、神さまの名前まで。名前の背景を知ると、いつもの山も違って見えてくるかもしれません。
今度、地図帳やスマホで山の名前を見かけたら、「どうしてこんな名前なんだろう?」と考えてみてください。きっと、そこにはおもしろいストーリーがあるはずです。
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